申し訳ないです。
では、どぞ。
その日、S.M.Sは休日ということもあり当直以外の隊員は街へ買出しやら家族との緩やかなひと時を楽しんでいる中、
ゼノンはボビーとマクロスクォーター内のラウンジに設置してあるビリヤードを楽しんでいた時だった。
ボビーとの白熱戦を終え、バーカウンターで一杯やっていると携帯が鳴った。
《着信 早乙女アルト》
「着信?ゼノン」
「ああ、アルトからだ」
「あらいやだ、ゼノンてもしかしてアルトちゃんと……!」
「んな訳あるかい、俺はいたってノーマルよ」
しかしなんだろうか?時間を考えると丁度学校帰りてところだが。
そう思いながらも電話に出ると、予想外の知らせが飛び込んできた。
「スカウトォ!?」
『ーーッあぁもう!声がでけぇよバカッ!!電話越しなのを考えろよ!』
「あ、ああ、すまん。しかしスカウトかぁ……」
『ああ、それで今からシルバームーンでお祝いをしようってことになったんだ。
で、連絡した訳さ』
「なる。丁度ランカちゃんとはまた会おうって約束してたからな、良いタイミングだ」
『そっか、んじゃ待ってるぜ』
会話が終わるとピッという電子音と共に通話を終了させる。
即座に携帯をポケットにしまい、ボビーに別れを告げラウンジを足早に去る。
実を言うとカフェ・シルバームーンはS.M.Sから少しばかり遠い。
アルト達が通う美星学園からは近いのだが、S.M.Sから向かうとなれば移動手段が欲しい所だ。
自室に立ち寄りS.M.Sの制服を素早く脱ぎ、私服に着替えてから車庫を目指す。
足早に歩き、車庫の扉がある角に差し掛かった時、後ろから声が掛かる。
「あれ?ゼノンさん、どこかに行くんですか?」
聞き覚えのあるその声にゼノンはピタッと止まり、振り返る。
「ラムか、どうしたんだ?こんな所で」
そこには先日専属のオペレーターになったラム・ホアの姿。
よくラウンジで一緒に遊ぶのでその時に歳を聞いたらなんと同い年。
背やその他が小っこかったのでアルト達と同い年辺りかと思ったが予想が外れた。
そう考えながらもラムの恰好を見て違和感を覚える。
S.M.S内であるにも関わらず隊服ではなく私服である。
トレードマークであるカタツムリの髪留めはいつも通りだが。
ゼノンの様子に気づいたのか、ラムは問いかける前に答えてくれた。
「私はこれから出かけるところです」
ああ、どおりで。
「んじゃ一緒だな、俺も今からシルバームーンに向かうんだ」
「ちょっと遠いですね、何で行くんですか?」
「バイク。無理言って俺専用のヤツを作って貰ったんだ、その試運転も兼ねて」
ルカに言ってちょっと無理やり。
いいだろう、アイツ御曹司っぽいし。
良くはねぇけど。
「ふぅ~ん……じゃあ、後ろに乗っていきます」
口に人差し指を当てて少し考える仕草をし、ラムは当たり前のようにそう言ったのだ。
「は?」
思わず間抜けな声が出てしまう。
「後ろに乗ります、安全運転でお願いします」
「いや、だって行く場所違うだろ?」
「いえ、そもそも私は何処に行くか言ってませんし」
そう言えば聞いてないな、とゼノンは思った。
「じゃ何処行くんだよ?」
そう聞くと、
「決めてません」
「……ん?」
平然と決まっていないと答えた。
「何処に行くかなんて決めてませんよ。
何処に行こうかなぁ~と思っていたらゼノンさんが来たので。
わざわざ電車に乗らずに済みました」
その答えを聞くとゼノンは妙に納得してしまった。
何処かに行く、など特に決めないで外に出てブラブラすることはゼノンはよくやっていた。
目的が無いからこそ気の向くままに歩き、街を周り何かを新発見したりしなかったり、
只単にのんびりと歩いたりと、寧ろゼノンは休日はこうあるべきだと思っている。
その考えがあるからこそ、ラムの気持ちが良く分かった。
「……そうかい」
そう言うとゼノンは車庫に歩を進める。
「あ、ちょっと!」
ゼノンの素っ気ない態度を見て、ラムは断られたと思ったがゼノンから帰ってきた言葉でその心配は消え去る。
「さっさと行くぞ、ラム」
背中越しに、そう言ってきた。
その言葉を聞き、ラムは思わずニヤける顔をどうにか抑えながら後に付いていった。
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車庫の一角、数台の見たことの無いデザインのバイクが数台並んでいる一番端。
シートの掛かっている一台にゼノンとラムはバイクに近づく。
「これですか?」
「ああ、コイツだ」
と言いながらシートに手を掛け、一気に剥がす。
「おおー、カッコイイじゃないですか!」
姿を見せたのはこの世界に来る前のゼノンの愛車を模した物。
その独特のボディの形から、ゼノンが生まれた数十年程前に作られたにも関わらず今でも愛されているバイク。
名を刀 KATANAと言う。
元となるのは参型と呼ばれる刀で、今では見ないリトラライト式の車種である。
Ⅰ・Ⅱ型とは違い少々特殊なデザインのためか、あまり人気が無かった車種なのだがゼノンはこれを気に入っている。
無論エンジンなどの各パーツは、マクロスの技術でコッチの世界とは比べ物にならない物に仕上がっている。
ついでに言えば、エネルギーはガソリンではなくエコな物に変わっている。
元愛車同様、ボディは黒に青いラインが入り、フレームは黒。
二本出しのマフラーはサテンシルバーに塗装されている。
何処か懐かしそうに、そして新しい玩具を手に入れた子供のようにゆっくりとキーを回す。
エンジンが重低音を響かせる。
音は流石に元とは違うが、この音も嫌いじゃないな。と思いながら跨る。
エコな物に変わっているにも関わらず、体に伝わる振動はそう変わらない。
それを体感すると自分の心が興奮しているのが分かる。
まるで子供のようだ、と思いながらもアルト達との約束を思い出しヘルメットを被る。
ラムにもヘルメットを渡し、ラムはそれを被ると軽い身のこなしでゼノンの後部に乗る。
「よし、しっかり掴まってろよラム」
「はい」
そう言うとラムの手が腹辺りで組まれ、背中に女性特有の柔らかい感触を感じる。
それを感じた瞬間、体が硬直してしまった。
実のところ、ゼノンは女性と付き合ったことが一度も無い。
そしてゼノン自身、誰かを好きになるなんてことが無かった。
そもそも、友達と言える存在が居ない。
小、中、高、大学と進んできたゼノンには友達も居なければ親友なんて呼べる存在も居なかった。
だがクラスメートと仲が悪かった訳でもない。
自分に恋愛経験など無いのに何故かよく男女問わず相談(主に恋愛)を受けたり、
学校帰りに遊んだり、飲み会に行ったり、家飲みもした。
学校行事には一緒に笑い、泣き合った。
しかし不思議と誰からも連絡など来ないしコチラからもしなかった。
携帯電話という最高の連絡手段が有ったにも関わらず。
遊園地の類などは誘われないし、誘おうともしない。お祭りも必ず一人。
寂しいとは思わなかった。悲しくもなければ、なぜ?とも思わなかった。
前置きは長くなったが、要するに背中から抱きつかれるなど慣れていないのである。
泣いた女子を落ち着かせるために抱きしめたことはあるのだが……。
しかし、環境が変われば人も変わるもんだなと思う今日この頃。
UCの世界に居た時には確かに有った感情。なんだろうな、と。
共に笑い合い、泣き合うのはそう変わらない筈なのに……。
大人数よりも一人で。の思いが変わった。
アルト達と共に居る方が心が充実している。
一人の時とは気分も何か違う。
心が許せる相手が居るだけでこうも違うものかと実感している。
同時に、居なくなった時の寂しさと悪感が脳裏に浮かぶ。
そんな想いを思い出した。
「ゼノンさん?どうしたんですか?」
「ん?なんでもない、やっぱバイクは良いなと思っていただけさ」
しかし、何処ぞのギャルゲの主人公みたいな変なリアクションなど起こさない。
良いのか悪いのか、ゼノンは即座に頭を「別に」切り替えられる。
「んじゃ、行くぜ~」
「は~い」
そう確認すると、ゼノンは刀を発進させた。
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「「「おめでと~、ランカちゃん!!」」」
ミシェル、ルカ、ナナセからの祝いの言葉にランカは笑顔で応える。
「ありがとう、皆のおかげだよ」
「ランカさん、これで夢に一歩近づいたんです!
私全力で応援します、目指せ銀河の歌姫!打倒シェリルですッ!!」
拳を握り締め、力説するナナセ。
その横で、誰にも気づかれない一瞬、ランカは微妙な表情をしていた。
打倒シェリルの言葉を聞いた瞬間、何とも言えない感情が巡っていた。
「俺も、応援するよランカちゃん。あんな素敵な歌を聞かされちゃあね。
つまり、ファン一号ってことで」
そんな感情を巡らせているランカの表情に、
珍しく気がづかずにミシェルが肩に手を回してファン一号宣言をする。
しかし、その宣言にナナセが食いつく。
「駄目です、一号は私です!」
「じゃあ二号」
そこは別に拘ってないのでミシェルは右手でピースを作りながら言う。
「僕は三号になります!」
続いてルカも三号の宣言。
それを聞いて少々恥ずかしかったのか、ランカは顔を赤くし伏せてしまう。
同時に全員が期待の籠もった目でアルトを見る。
少し遅れてアルトのことを思い出したランカも顔を上げ期待の眼差しでアルトを見る。
「わ、わかってる。俺も勿論応援するさ。
ランカにも最初に言ったろ?」
その眼差しに少々気圧されたのか、僅かな焦りを含みながらアルトは同じく宣言した。
それを聞き満足したのか、全員がニヤける。
と、そこで後ろから声がかかる。
「んじゃ俺は五号かな」
全員が振り返る中、アルトは軽く溜息を吐きながら背後の人物に声を掛ける。
「やっと来たな。遅いぞ、ゼノン」
「悪いな、少し迷った」
そこには、苦笑いを浮かべたゼノンの姿。
「ランカちゃん、改めておめでとう」
向き直り、ゼノンは改めてランカに伝える。
「ゼノン君!
……うん、ありがとう」
ランカは嬉し恥ずかしそうに顔を赤に染めながら笑顔で返す。
ゼノンも笑顔で返す。
その後ゼノンはナナセに軽く自己紹介をし、ランカ・リーファンクラブ入りを果たす。
名物コーヒーを飲みながら話に花を咲かせ、気づけば夜。
再び会おうと約束し、その日は終わった。
そこから少し、時は進む。
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宇宙に尾を引く閃光が二筋。
高速で自在にその二つは駆け巡っていた。
アルトが駆るVF-25が漆黒の宇宙を駆ける。
しかし、ソレを上回る速度でゼノンのF91が迫る。
「チィッ!」
背後に迫るプレッシャーにアルトは軽く舌打ちし、マイクロミサイルを後方に放つ。
二十程のミサイルが迫る。
迎撃する隙を狙おうとその場からバトロイドに変形しながら上昇し、ガンポッドを構える。
しかし予想外の事が起こる。
なんとゼノンはミサイルとミサイルとの間、
僅かな隙間に一気に潜り込むと同時にビームサーベルで手近な物を斬り捨て誘爆させる。
そしてさらにスラスターから青い粒子を放ち、一気にアルト機に肉迫する。
「なッんだとッ!?」
「とった」
その声と共にモニターに映るのは撃墜の文字。
それが目に入ると同時にアルトは悔しさの余り、声にならない声を上げる。
「ーーーッ!!」
プシューと空気の抜ける音がし、光が差し込み背後の扉が開く。
「15回目の撃墜お疲れ、アルト姫」
「ミシェル……その呼び方は止めろ」
アルトは扉から顔を出したミシェルを睨みながらシュミレーターを出る。
「クソッ!手も足も出ないなんて!!」
「そう怒鳴るな、アルト。
隊長ですら墜とされたんだ、アレだけ保っただけでも十分さ」
そのれを聞くな否や、アルトは信じられないという表情でミシェルに聞く。
「冗談だろ!?オズマ隊長まで?」
「マジだよ。
途中まではいい勝負だったんだが、
ゼノンがあのファンネルとかいうのを使い始めたらあっという間に墜とされたんだよ」
「ファンネルってたしか……」
「ファンネルはF91に搭載されている、
サイコミュと呼ばれる特殊な脳波コントロールで操作する無線誘導兵器です」
言いかけたアルトの背後から声が掛かる。
「ルカか、お疲れ」
「お疲れ様です、アルト先輩」
挨拶を交わすアルトとルカ、それが終えるのを待ってミシェルが疑問を抱く。
「ルカ、アレは自動じゃなくて脳波コントロールでやってたのか?しかも戦闘中」
「はい、通常の攻撃を行いながら脳波で全く別の敵、それも複数に攻撃をして墜としています。
多少の自動操作も入っているっぽいんですが、ゼノンさんはあまり切り替えてないみたいですね」
「すさまじいな……」
自分ではまず無理だな、と思うミシェル。
スナイパーのという立場上、単独行動が多い。
いちいち味方に着いて行くのではなく敵の視覚外、感知外からの攻撃の為、
少し離れた身を隠せる場所で敵を一発で沈めるために、神経を極限まで研ぎ澄まさなければならない。
そういった状況では良く言えば集中している、悪く言えばし過ぎている為周りが見えにくい。
もし、ファンネルが自動ならそういった状況で後ろを取られないと考えたのである。
「……て考えていたろ、ミシェル」
「ゼノン、人の頭の中でも見えているのか?」
溜息を吐きながら、頭の中の考えをそのまま言われたミシェルはゼノンを睨む。
「そう睨むなよ、俺はどこぞの超能力者じゃないんだから」
「似たようなモンだろ?」
「……どうだろうな。自分でもよくは分からんさ。
それよりもだ、お前にぴったしの武装があるんだが……聞くか?」
「へぇ、是非お願いしたいね」
武装の話題にピクリと反応したルカも興味津々だ。
「ファンネルとは違って有線なんだが、インコムという武装がある。
平たい円柱形をしててな、内部に誘導用のワイヤーが巻かれてて、
これを繰り出しつつ内蔵推進器によるパルス状のロケット推進を行う事で空間に展開するんだ。
ああ、ワイヤーは弛みが発生しない様に常に一定の張力が掛けられていて、
方向変換の際にはリレーインコム……だっけな、
それが中継器をワイヤー上に射出して、本体のベクトル変更をするんだ。
あ、回収はワイヤーの巻取りな。
んでこいつは、パイロットの特別な空間認識能力に依存する事が無い。
ファンネルと同じオールレンジ攻撃に近い戦法を実現が可能となっているんだ。
けどコンピュータによるアシストがあってもファンネルほどの複雑な攻撃は不可能だからな」
と、説明する。
「なるほど、有線ですか……けど高速で動くバルキリーには向かないですね」
至極最も。
「ああ、だからこそスナイパーであるミシェルに話したんだ」
「ふむ……魅力的な武装だが、悪いなゼノン。止めとくよ」
「そうか。ま、それだけ仲間を信頼しているんならいいんじゃないか」
それを聞いたミシェルは少し驚いた顔をしたが、すぐに笑い、ゼノンも笑い返す。
「さてアルト、休憩は済んだ。
次はバジュラ戦十本だ、気張れよ」
「マジかよ!?
せめてもう少し……」
「駄々捏ねてるとEX-ギアで格納庫十週追加だぞ。
あ、撃墜されたら二十週だ」
「クソッ!!ミシェル……憶えてろよ!!」
そう言いながらアルトは再びシュミレーターに入っていった。
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その頃、ランカはというと所謂下済みの真っ最中である。
デパ地下で世にも珍しい納豆のコスチュームを着て、
商品の宣伝歌を歌ったり……
『---♪~♪~♪---』
工事現場で水着で歌ったり……
『---♪~♪~♪---』
深・秋葉原。読みはディープ・アキハバラ。
フロンティア船団の地下に広がっている日本の電気街、秋葉原を再現した街である。
分かっていると思うが、基になっている秋葉原と同じくオタクの聖地でもある。
そんな中でランカは子供の心を持った大人達に相手に、
大人気のダイナム超合金の歌をバルキリーコスを着て店頭で歌ったり……
『---♪~♪~♪---』
その可愛らしい容姿と歌、一生懸命にこなす姿勢が評価され、
達磨ゼミナールというフロンティア船団内では評判のゼミの歌を歌ったり……
『---♪~♪~♪---』
ランカは少しずつではあるが、確実に、一歩一歩スターへの道を登っている。
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「ぬぐぐ……!!」
ガシャン、と格納庫にアルトの踏ん張る声と重い金属音が響く。
あの後のバジュラ戦十本で惜しくも九戦目で撃墜してしまい、今現在に至っている。
EX-ギアの主電源を入れずに歩行。
電源が入っていれば羽のように軽く動かせるのだが、
それが入っていないため数十kgの重さが体全体に重く圧し掛かる。
筋トレ、体力上昇、根性を鍛えるのにはもってこいなのだが……
「うおおわッ!?」
叫びと大きな音と共に、アルトは床に倒れる。
そう、一度倒れるとその重さ故なかなか起き上がれないのが難点である。
「ぐ、おおぉ……」
重い手足をどうにか動かし、起き上がろうとするが突如背中から押さえつけられる。
「くッ……足を退けろ、ミシェル!」
「まぁそう言うなよ。かなり辛いが俺も経験済みだから安心しな」
「クソッ!うおおぉ……!!」
そう言われてはアルトも文句は言えない。
渾身の力を込めてどうにか起き上がる。
それだけで息は絶え絶えだ。
「まだまだだな、アルト。
ほらゼノンを見てみろ、お前と同じ条件でバク宙してるぞ」
指差された方向にアルトは目を向けると思わず自分の目を疑った。
「嘘だろ……」
そこには自分と同じく電源を入れていない状態のEX-ギアを纏いながら、
汗一つかかずにピョンピョンと飛び跳ねるゼノンの姿。
「フッ!ハッ!ハアアァァァッ!!!」
そして思いっきり飛び跳ね、空中で見事な三回転捻りを行い華麗に着地した。
それを脇で見ていたボビーとオペ三人娘からは10.0の得点が上がる。
「す、凄いですぜノンさん!」
「フハハ……まだまだいけるぜ?」
とルカとやり取りをしている。
それを見てアルトとミシェルはただ溜息しか出なかった。
「ならば……見ろおおおぉぉぉッ!!」
ゼノンはある構えを取った。
「「あ、あれはっ!!」」
「アルト君、ルカ君、あれが何の構えか知ってるの?」
露骨な反応を見せたアルトとルカにラムが思わず聞く。
「ええ、あれはある動物の猛々しい姿を模した構えです」
「動物?」
「そう、大空の覇者……鷹を模している。
その難しさから今ではその構えを取ることすら出来ない幻の構え。
その名も……」
「「荒ぶる鷹のポーズッ!!!」」
後ろに雷が落っこちそうなカットだろうか。
雰囲気的に。
「そ、そんなに凄い構えなんだ……あれ」
「ええ、まさか別世界のゼノンさんが知っていて出来るとは思いませんでした」
そう話しているとゼノンが次の行動に移る。
「超級ッ!覇王ッ!!電影だあああぁぁんッ!!!」
顔はそのまま体だけ回転させ、物凄い勢いでスクラップを粉砕した。
「「「えええぇぇぇ!!!」」」
そして原理は分からないがそのまま空中へ上昇し、
「爆発ッ!!」
空中でまた別の構えと共にそう叫ぶと、スクラップが爆発した。
「「「す、すげえええぇぇぇ!!!」」」
そんな訓練?の日々の一コマ。
ちなみに……
格納庫で謎の爆発騒ぎを聞きつけ艦長まで出てきて少々騒ぎになり、
ゼノンにその技の禁止令が出たのはまた別の話。
日常編はこれで一旦終わりです。
少し薄いかなぁ、描写内容……。
次回から少し進みます。
感想、アドバイス、その他諸々お待ちしています。