新次元ゲイムネプテューヌ 反響のリグレット【完結】   作:ジマリス

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プラネテューヌ編1 降り立つ

「到着……っと」

 

謎の敵の情報を求めて、ぼくたちは別の時空、超次元に降り立った。

本来ならば超次元と神次元のイストワールはともに通信できるらしいが、今回はなんらかが邪魔してそれができなかったそうだ。

だが次元を越えることは可能で、しかたなくぼくたちはそれを選んだ。ヤマトはもともとここにくるつもりだったみたいだが。

エディンとプラネテューヌのシェアを大量に使ってイストワールは次元を渡るゲートを開いた。

プルルートも来たがっていたが、エディンを無防備にするわけにはいかない。彼女にはエディンの臨時守護を依頼している。

アイと仲が良いブランも快く引き受けてくれたから、神次元でのいざこざは頭の片隅に置いておいても大丈夫だ。

 

「ここに来るのも久しぶりだ」

 

「三年ぶりッスね。ここは……プラネテューヌの外みたいッスね」

 

どこかの国の外かな。見渡す限りは草原……いや、一つだけ異常なものがあった。

 

「あの金ぴかタワーは何なんッスかね」

 

「さあ……なんかの記念碑かな。あれだけ高いものをつくるなんて、豪勢でいいなぁ」

 

アイとヤマトが首をかしげて遠くに見える金の塔を見た。天まで届く黄金の塔。見上げてもてっぺんが見えない。

もちろん、ぼくたちの次元にもあんなものはない。

 

「おーい、ノワール! ブランー! ベールー!」

 

突然、女の子の声が聞こえた。

アイははっとして、その声のほうへ向かっていった。ぼくたちもついていくとある人影が見えた。

一人の少女がきょろきょろと辺りを見渡しながら、女神の名前を叫んでいる。

 

その少女の顔が見えた瞬間、ヤマトは笑顔になる。

 

「ネプテューヌ?」

 

「あれ、ヤマト……? それに……」

 

その少女がこっちに気付いた。

ネプテューヌ……ヤマトに聞いたことがある。確か、超次元のプラネテューヌの女神……だったはず。

なるほど、どことなくプルルートと雰囲気は似ている気がする。

 

走っていたアイはネプテューヌにがばっと抱き着いた。

 

「おひさッス!」

 

「わー、シノちゃんだー! 久しぶり! 何でこっちに来たの?」

 

「ん、まあちょっとごたごたがあって聞きたいことが……」

 

アイが言葉を探していると、割ってヤマトが説明した。

ここに来る経緯。アンチクリスタルを狙った犯罪組織と、その男が言った依頼主の言葉。

 

代わりに教えてもらったのは、ネプテューヌに起きた異変だ。

シェア回復のために開催されたG-1グランプリの決勝戦で行われた四女神による戦い。それに乱入してきた『ゴールドなんとか』という四人組。

圧倒的な力を見せたゴールドなんとかに敗けたその瞬間、光に包まれた。目を覚ましたらここにいたらしい。

奇妙なのは、あの黄金の塔についてネプテューヌは知らないということだ。

 

「うーん」

 

「どうにもこうにも、分からないことが多すぎる。僕たちの知りたいことも、ネプテューヌたちの知りたいことも、推測するには情報不足だ。だけど、同時期に起きたのは気になるな」

 

ぼくたちは今までの情報を整理したが、なにしろ当の本人たちが『なにがなにやらわからない』状況なのだ。

 

「ウチらの敵はアンチクリスタルを欲しがってたッスよね?」

 

「もし、僕らの敵とネプテューヌたちの敵が同一人物だとすれば、女神に対して明らかな敵意を持ってることになる」

 

アイはヤマトに目を向けた。珍しく眉間にしわを寄せている。

 

「ブランちゃん……!」

 

「行ってきてくれ。こっちは僕とヴァトリで情報を集めるよ」

 

ヤマトがぼくを指さすと、アイは頷いて変身する。

紅の女神がすきとおった翼を展開すると、ジェットのように飛び立つ。

空へ向かっていったローズハートは数秒で視界から消えていった。

違う次元とはいえ、親友であるブランが危険かもしれないと聞かされては居ても立っても居られなくなったのだ。

 

「ヴァトリだ。よろしく」

 

「よろしくー……ってうわ、握力凄い」

 

とりあえず、ぼくはネプテューヌとあいさつを交わす。

この中で初対面なのはぼくだけだ。ネプテューヌが神次元に来たとき、ぼくはまだヤマトにも出会っていなかった。まだ戦いの『た』の字も知らない若者だった。

ヤマトを知ってから、彼のように強くなりたいと鍛え続けて三年。

身長も伸びて、筋肉もついた。ヤマトやアイに鍛えられて、実力もついた。犯罪組織との戦いで経験もいくらかある。

それなりに自分に自信はあるが、次元移動なんてのはさすがに初めてだ。それでも、ヤマトのようになるために、ぼくはついてきた。

 

「というわけで、僕とヴァトリは君についていくよ。どうやら危険な状況みたいだし」

 

「よかったー。みんないなくなったから心細かったんだ」

 

ネプテューヌと同じく、ぼくたちも安堵していた。

事件が何も起きていないならともかく、この異常な状況において超次元の住民がいるのは心強い。

 

とりあえず、ぼくたちはわかりやすい謎である黄金の塔から調べることにした。

それは都合よく、プラネテューヌの中心にそびえたっていた。

近くで見ても、やはり首が痛くなるほどに高く、扉は巨人が出はいりしているのかと思うほどに大きい。

 

「来てみたはいいけど……」

 

「開かないな。なんのための塔なんだ、これ」

 

ヤマトが扉の取っ手を握るが、びくともしない。カギがかかっている様子はないが。

彼は女神メモリーの影響で右半身がモンスター化している。神次元じゃそれが受け入れられているが、超次元ではちょっとした騒ぎになってしまうことを考慮してフードをかぶっている。

ヤマトは女神級の力を持っているが、それでも動かないとなると、人間が出入りしている可能性は低い。

 

「わたしが知ってる限りじゃ、こんな塔知らないし……もしかして冷凍睡眠されて一気に時が飛んだのかも……!?」

 

「それはないと思うけど……天まで届くくらい高いうえに装飾も凝ってる。『つくられた』というよりは、『現れた』のほうが正しいかもね」

 

ぼくたちが立ち往生していると、隣に双葉リボンと長いコートが特徴の少女が現れた。

こちらに興味はないらしく、目の前の黄金の塔を見上げている。

 

「これが黄金の頂ってやつね。塔マニアとしては登ってみたいけど、今は仕事が先よね。登りがいのある塔だし休暇が取れたらまた今度来ようかしら」

 

「おおーっ、あいちゃんだ! よかったー、ちょうどこっちの次元の状況を知ってる人が欲しかったんだよねー」

 

ネプテューヌが目を輝かせた。

確かにそこにいるのはアイエフだ。神次元にいるのとそっくりで、凛とした雰囲気をもっているが、どこかしら隙がある。

神次元では、仕事柄何度か一緒に働いたことがある。こっちではもう少し成長した姿だったけど。

 

「……あのさ、アンタ、誰?」

 

そんな彼女の口から出たのは、予想外の言葉だった。

 

「やだなぁ、さすがのあいちゃんでもそれはひどいんじゃないかな? 突然会場から姿を消したのはわたしだって不本意だったんだから、それで怒るのはお門違いだと思うな」

 

「……アンタ、何を言ってるの? 私はアンタのことなんか知らないんだけど……」

 

「もう、あいちゃんったら失礼しちゃうな!けど、これ以上……」

 

続きを遮って、ヤマトがネプテューヌをぐいっと引っ張って、手で口をふさいだ。

んーんー! と訴えられるが、ヤマトはこれを無視した。

 

「ストップだ、ネプテューヌ。すまないな、連れが変なこと言って。知り合いと似てたからつい……」

 

「そうなの? まあいいわ。それじゃ、私はこれで」

 

疑問符を浮かべながらも、アイエフはその場を去っていった。

彼女が見えなくなったところで、ようやくヤマトはネプテューヌから手を離した。

ネプテューヌはぷはーっと深呼吸して、ヤマトに詰め寄る。

 

「ちょっと、なんであいちゃんを行かせるのさ!」

 

「あれはガチの反応だよ。つまり、よく似た別人か、本当に君のことを忘れてるか」

 

ホールドアップしながら冷静に返す。

そう言いながらも、ヤマトは後者に焦点を当てているはずだ。

顔が似ているならともかく、別人なら服、リボンまで同じってことはない。

 

「えぇー、そんなぁ」

 

「それと、アイエフが、というよりみんなが君のことを忘れてるなら問題点がもう一つ」

 

「問題?」

 

「シェアがほとんどないんじゃないか?」

 

「そういえば、身体が重ーいような……」

 

そういえば、で済まされるものなのだろうか。

思ったよりもずぼらというかなんというか。

 

「戦闘面に関してはぼくたちがいるからなんとかなるけど、女神がいないっていうのは国としてやばいんじゃ……」

 

「え……えーと、どうしたら……」

 

「この変な状況を知って、説明できそうな人物が欲しいな……」

 

とは言ったものの、この世界の住人じゃないぼくにはそんな人は思い浮かばない。

もし他の女神がいたとしても同じくなにがなにやら状態だろうし、ネプテューヌの知り合いがいても、アイエフのように忘却状態の可能性が高い。

 

「いーすん……いーすんだ!」

 

むむむっと悩んでいたかと思うと、ネプテューヌがピコーンという効果音と一緒に指を立てた。

聞きなれない人物の名前に、ぼくははてなを浮かべた。

 

「いーすん?」

 

「イストワールのことだよ。プラネテューヌの教祖。ヴァトリは会ったことなかったっけ?」

 

ヤマトがぼくに説明する。記憶を手繰り寄せて、イストワールとやらの姿を思い出す。

浮かんだのは、本に乗った妖精みたいな小さな女の子。

 

「ああ、あの小さいの。五か国会議で何度か目にしたことはあったけど、話したことはないな」

 

「ま、確かにイストワールならわかりそうだ。さっそく行ってみよう」

 

ようやく進展できそうだ。具体的な目標を手に入れたぼくたちは教会へと向きを変えた。

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