記録者達が異世界から来るそうですよ?【削除&改訂予定】   作:白結雪羽

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同調状態の会話表示ですが、

『』が普通。

『()』が二人だけでの意思疎通。

『<>』は念話になってます。

分かり難いかもしれませんが、そこはご容赦ください。




ジョーカー

あの交渉から三日がたった。

 

彼らが店を出た後少しいざこざがあったのだが、それは此処では割愛する。結果だけ言うなら雪羽と十六夜が治めた。

 

そして、その中心でもあった黒ウサギは絶賛謹慎中である。

 

 

「…………はぁ」

 

 

ふと吐いたであろう溜め息は、外で降る雨もあって陰鬱な雰囲気を演出していた。

 

黒ウサギはずっと考えていた。それはもちろん───────レティシアの事だ。

彼女は今でこそ雪羽のおかげも有りノーネームの本拠に居るが、実際はまだペルセウスの所有物となっている。つまり、三日前のルイオスから持ちかけられた話、一見ノーネーム側が有利にも思えるが根本的な事が解決してない以上有利のへったくれもないのだ。

そして、この事で今ノーネーム内の空気は少し危うげなものとなっている。

 

 

「(そういえば、レティシア様は雨が苦手でしたね……)」

 

 

黒ウサギは最早暗くなりすぎて逆にポジティブになったようだ。

表情、雰囲気と思考が大分ずれている。……いや、これも普通な事だろう。

 

と、そんな時黒ウサギの部屋に少し控えめなノック音が響いた。

 

 

「はいはーい鍵も掛かってますし誰も居ませんよー」

 

「…………入ってもいいという事かしら?」

 

「そうじゃないかな?」

 

 

ノックの主は飛鳥と耀だった。

 

因みに耀だが、すでに元気を取り戻している。飛鳥の説得と二日前の雪羽の懸命なお話しによって、いつまでこのままじゃいけないな、と思ったらしい。

今では、自分にできる事をやっていくつもりだそうな…………ただし平常運転で。

 

 

「あら、本当に鍵が掛かってるわ」

 

「ん……本当だ。こじ開ける?」

 

 

ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ─────────

 

 

「あぁ!!はいはい、今開けますから!御二人とももう少しオブラートにですね─────」

 

「いっそ壊しましょうか」

 

「そうする」

 

 

バキンッ!ドン!

 

 

「オブラアァァァァト!!御二人とも!何してくださr」

 

「「五月蝿い」」

 

「…………はい」

 

 

黒ウサギは今日も平常運転のようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

視点~雪羽~

 

 

『(すまない、雪羽。私などの為に……)』

 

『何言ってるんですか、レティシアさん。あのような事苦でも有りませんよ?』

 

『(いや、それも含めて……)』

 

『それ以上は言っちゃ駄目です。皆、レティシアさんの為に頑張ってるんですから。当事者の

 方がそんなんじゃ、いくら私でもこれ以上は怒りますよ?』

 

『(!すまな…………いや、ありがとう)』

 

『はい♪』

 

 

雨の降りしきる中、私は今ノーネームの本拠に向かっています。レティシアさんは万が一にも姿を見られるわけには行かないので、あの日からずっと同調しっぱなしです。

 

それで、私が何故外にいるかと言うとですね……。少々用意があって、それの帰りなわけです。

 

 

「お?雪羽か。そっちは……大丈夫みたいだな」

 

『あ、十六夜君。やっぱり早いですね~』

 

 

そろそろ本拠に着くかという所で十六夜君と出会いました。その手には私のものと同じサイズの何か(・・)を包んだ風呂敷があります。

 

 

「それをお前が言うか?やっぱ、お前って面白いな……、一度でいいからサシでやんねえか?」

 

『アハハ……え、遠慮しときます』

 

「ちぇっ…………にしても、相変わらずその声は違和感が残るな」

 

『しょうがないですよ。これは慣れてもらうしかありません』

 

「そういうもなのか?まあしかし、あの時にあのボンボンにばれなかったって事は幸いだし別に

いいか」

 

 

ボンボンというのはルイオスさんでしょうか?確かにそうですよね。前にも言ったと思いますが、今の私の声は少しレティシアさんの声音も混ざっているので聞いてる側としては少し疑問に思うものなのですが……

 

 

「さてと。ここで駄弁んのもあれだ、さっさと行こうぜ」

 

『そうですね』

 

 

十六夜君がそう言い、私達は一旦会話を切り屋敷へと向かいました。

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「っと、ここか」

 

『……あれ?十六夜君、ドアノブが無いんだけど……』

 

「ん?マジか…………って事は、」

 

 

黒ウサギさんの部屋まで移動したのですが、どうしてかドアノブが存在してませんでした。

それで、十六夜君はそれを確認するや何を思ったのか右足をって!

 

 

ドガァン!

 

 

『い、十六夜君!?何してるの!?』

 

「何って、鍵掛かってるから開けただけだが?っと、邪魔すんぞ」

 

 

鍵が掛かってたいたら蹴破るんですかこの人は……。

 

 

『(雪羽……。彼に常識は存在するのか?)』

 

『あるんじゃないんですか?俗に言う俺様ルールというのが……』

 

 

レティシアさんの問いに私は返す。適当に投げてしまったが、割と間違いでは無いかもしれない。おそらく、彼は独自の常識をお持ちなのだろう。

 

私がそんな事を考え、レティシアさんが呆けているのをよそに十六夜君はずかずかと部屋に入っていきました。

 

 

「い、十六夜さん!それに雪羽さん、レティシア様まで!今まで何所に、って本当に破壊しない

で入れないのですか貴方達は!?」

 

 

どうやらドアは先に壊されてたみたいです。……それでドアノブが無かったんですかね?

 

 

「だって鍵掛かってたし」

 

『いや……あ、でも……そうなのか、な?』

 

「あ、なるほど!じゃあ黒ウサギの持っているこのドアノブは一体何なんですかこの御馬鹿様!!」

 

「ハハハ!尚更入れねえじゃんかよ」

 

「なら、ノックぐらいしてくださいよ!」

 

「……ノック?何それ?新種の幻獣か?」

 

「~~~~!!この御馬鹿!!」

 

 

黒ウサギさん、そこまでにしないと永遠と続きますよ?

 

 

『(……平和だな)』

 

『ですね~。あ、飛鳥さん、それ食べてもいいですか?』

 

「別にいいわよ」

 

 

私は二人の漫才を横目に席について置いてあったクッキーを少し拝借します。

別に相手をするのが疲れるとかそんなんじゃありませんよ?

 

 

「雪羽、その大風呂敷って」

 

『ん、これですか?』

 

「ゲームの戦利品だよ。見るか?」

 

 

十六夜君は風呂敷を少しだけ広げ中を見せた。序に私も。

 

 

「……………………これ、どうしたの?」

 

「だから戦利品だって。お嬢さまも見るか?」

 

「?」

 

 

飛鳥さんも首をかしげながら風呂敷の中を覗き、数秒考えて理解した途端すこし噴き出しました。

まあ、飛鳥さんの反応は正しいです。私達が持っているのはトランプで言うジョーカーになりえるものなのですから。

 

 

「もしかして……ふふ……貴方達、これを取りに行ってたの?」

 

「ああ。少し出るのが遅くてギリギリにはなったがな」

 

「ふふ、なるほどね。それにしても雪羽ちゃんが行ったのは意外だったわね。普通なら十六夜君

一人でやってしまいそうだけど?」

 

「ま、あれだ。効率を考えて仕方なくって奴だ」

 

『その言い方は少し酷くないですか?』

 

「ハハッ!そう気にすんな。思った以上にやれたじゃねえか」

 

『フォローになってませんけど……』

 

 

はぁ……、私ってやっぱりそういうイメージなのでしょうか?確かに間違いではないはずですが……何か納得いかないです。

 

 

「でもねぇ二人とも?こういう面白い事企むなら、次から声をかける事。いいわね?」

 

「そりゃ悪かった。次からは気を付けるぜ、お嬢様。──────でだ。おい黒ウサギ。逆転のカー

ド、持ってきてやったぜ。後はお前しだいだ」

 

 

私達はテーブルの上に風呂敷を乗せる。黒ウサギさんは中身を見ようとはしませんでしたが、その顔に映る表情は全てを理解して驚きに満ちています。

 

 

「ま、まさか……たったの二日でこれを御三人で?」

 

 

〝交代〟

 

 

『いや、私は一緒にはいたが関与はしてない。紛れもない……二人の実力だ、黒ウサギ』

 

「では本当に……!」

 

「まっ、実力つっても、あんなのただの時間だけが問題だ」

 

『私は十六夜の方は見ていないので判断は出来ないが……。雪羽は正直言って私は驚嘆した

 よ。このような子がなしえたと、最初は信じられなかったからな』

 

『<ああ!レティシアさんまでそういう事言うんですか!>』

 

 

私も、中から話に加わりました。すると、レティシアさん以外はどうやら驚いたようで、

 

 

「おお、なんだこれ。これが念話って奴か?」

 

「ふーん、何だか不思議な感じね」

 

「頭に直接響いてくるのに不思議と不快じゃない」

 

「そうですね」

 

 

口々に感想を述べた。まあ、一応会話の手段ですから不快に感じてもらっては困るんですよね。

 

 

『ゴホンッ……話を戻す。黒ウサギ、私が言うのも可笑しな話だが……』

 

 

レティシアさんは一旦そこで区切る。やっぱり、まだまだ様々な葛藤があるみたい……

 

 

『(レティシアさん。此処に来る前に言いましたけど、建て前とかそういったものは考えない

  でください。ただ、貴女がどうして欲しいか、一個人の〝レティシア=ドラクレア〟とし

  ての答えを言ってください)』

 

『雪羽……フフ、すまない。二度も同じ事を諭されるとは。───────黒ウサギ』

 

「は、はい」

 

『一人の私としての頼みだ。どうか───────私を勝ち取ってくれ』

 

 

レティシアさんはそう言い深く頭を下げました。黒ウサギさんは、そのレティシアさんの行動に少し慌てましたが、すぐ真っ直ぐ彼女に目をやり言う。

 

 

「……顔を上げてください、レティシア様」

 

『…………』

 

 

静かにレティシアさんは顔を上げ、黒ウサギと向き合う。そして、黒ウサギははっきりと返事をした。

 

 

「我らが同士の願い、確と受け取りました」

 

「…………なんか仰々しいな。それに似合わねえ」

 

『<この空気でよくそんな事いえますね!?>』

 

 

十六夜君のせいで色々と台無しですよ!って、皆笑ってる!?

 

 

『フフ……十六夜。その反応も分かるが、少しは待てないのか?』

 

「そ、そうでございますよ……フフッ……」

 

「そい」

 

「フギャッ!?な、何するんですか!」

 

「さーって、そんじゃあのボンボンに宣戦布告しに行くか!」

 

「ええ、そうね」

 

「うん……」

 

『いや、一応はあのペルセウスだ。何も準備無しというのはどうなのだ?』

 

「無視!?無視ですか皆さん!?レティシア様まで!」

 

 

黒ウサギさんがぎゃあぎゃあ騒いでますが、皆ガンスルーしてます。こんな時でも、皆さん仲がいいですね。

 

 

「まっ、まだ期限は四日もあるしそうすっか。そういうわけだ、レティシア。その状態で俺とも

ういっちょサシでやらねえか?」

 

『<何さらりと誘ってるんですか!やりませんよ!というよりさっき言いましたよね!?>』

 

『ふむ……それもいいか』

 

『<レティシアさん!?一応分かってると思いますけどこれ私の体ですからね!?>』

 

「五月蝿いぞ雪羽。俺はレ・ティ・シ・アに頼んでるんだぞ?」

 

『<その返答で私が納得するとでも!?>』

 

「あら、何をするの?」

 

「ああ、雪羽(の体)でどう遊ぶかって話をな」

 

『<してないよ!?してないらね!?>』

 

「おもしろそう」

 

『<ヒッ!?>』

 

 

皆目が割りとマジです!というかレティシアさんも笑ってないで止めて、ってなんで近づいてくるんですか!?くっ、こうなったら────!

 

 

『む?………………───逃走あるのみです!』(ダッ!

 

「ハハハハ!逃がすかぁ!!」

 

 

ヒィ!?十六夜さんやっぱり早い!?目も危ない!?何ですかこれ!いつから如何おかしくなったのですかーーーーーーーーーー!!!

 

 

「…………あの構図だけ見ると犯罪ね」

 

「そうだね……」

 

 

私と十六夜君が駆け出す後ろで二人はそんな暢気な事を言ってるのが遠くながらも聞こえました。

 

それで、残された黒ウサギはというと……

 

 

(ズゥ~~~ン)

 

 

部屋の隅で一人膝を抱えていた……みたいです。

 

 

 

 

 




短いですね。前回の四分の一って一体……


次回は少し飛んで一気にギフトゲームまで行きます。因みにですが、レティシアも事実上は参加の形になりますが、事情ゆえにあくまで形だけとなります。
そして、更に言うなら新しく加えた自重タグが一つ開放されるようですよ?

ってな訳で今日は此処まで。誤字脱字等有りましたらご指摘ください。
ではっ。
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