記録者達が異世界から来るそうですよ?【削除&改訂予定】 作:白結雪羽
まぁでも、書き直しも消しもしません。これは初めてかいたらどういう風になるのかのテスト兼ね自己満足の為のやつですし、ありのままを残していた方が、教訓にもなると思うので。
とまぁ、くだらない事をどうもすいません。こんな調子ですけど、本文をまだまだ楽しんでいってくれたらこちらとしても幸いです。
それでですが、今回は長いです。しかもテンポが悪いです。……………………で、では、ぞうぞ!
─とある会話─
「ねぇ、ペスト」
「何、」
「ペストってさ…………もし、今回のギフトゲームで敗れた場合、消ええちゃうのかな?」
「突然何よ?」
「いや……少し心配でね……」
「頭でも打った?貴女が心配なんて、」
「それは酷くない?私でもそういう感情くらいあるよ?」
「あら、それはごめんなさいね」
「…………で、実際の所どうなの?」
「さぁ……?でも、私が魔王であるならラッテンとウェーザーが言ったように……いつかは消えるんじゃない?」
「そっか…………ペスト。ペストは目的を果たすまで、死ぬ気は無いでしょ?」
「当然」
「だったら──────────────────────私と
視点~絵錬~
私が屋根の上で見守る中、上空での交戦は徐々に過激になっている。
因みに戦っているのは雪羽とペストだ。ウサ耳少女と龍少女は私が現在進行形で膠着状態に持ち込んでる……というより重圧で縛り付けてる。
「はぁッ!!」
「いい加減諦めて、早く死んでない?」
「くッ……!!そういうわけには……いかないです!!」
ペストは死の風を更に吹き荒べ、雪羽を囲う。
だが、雪羽も雪羽でそれを回避しつつペストにガントレットを叩きつける。
「う~ん……。雪羽ってあんなに接近タイプだったけかな~?ねぇ、ウサ耳少女。雪羽ってこっちに来てからどんな感じだった?」
「…………」
ウサ耳少女と龍少女は無言でこちらを睨んできた。まぁ、動けなくしてるからしょうがないんだど……
「はぁ……。そう睨まないでよ~、二人とも。ペストに手を出すなって言われて暇でしょうがないんだからさ~」
「…………貴女は……」
「ん?」
「貴女は……雪羽さんがあのような状況なのに、何も思わないんですか……」
「?何を思う事があるの?」
「貴女はッ!雪羽さんのご家族なのでしょう!?どうして、そんなに無関心でいられるのですか!!」
ウサ耳少女は悲痛な顔をして叫ぶ。なんか、今がギフトゲームの最中だという事を忘れそうなくらいの話しだな~と思いつつ私は返した。
「別に、無関心ではないよ?家族が減るのは私も悲しいと言えば悲しい」
「だったら…………!!」
「でも、
「それはどういう──────ッ!?」
私はウサ耳少女の言葉を聞き流しつつ、空間から一振りの大剣を取り出した。
それは剣と言うには少し変わっており、剣先が四角く、刃の部分もそこまで鋭くは無い。
「さぁってと。私もクリアに臨みますかね~……。たしか……相手の降伏か殺害、でしたっけ?少し人材が減ってペストには申し訳ないけど……」
ウサ耳少女は私が武器を取り出したことで焦りだした。なんと言うか……完全に悪役だね。ま、最初からか。
「それじゃ、残念だけど……お別れかな?そこそこ楽しかったよ~」
「(っ!マズイです!この方は本気で……!!)」
「こ、こんな所で……などっ……!!」
「ふふ、じゃあn─────────」
ガキンッ!!
……おろ?
「させないよ……お姉ちゃんッ!!」
いつの間にか雪羽が近くまで来て、私の大剣を受け止めた。ペストとやり合ってたのにも拘らず……
「余所に構えるなんて……随分余裕そうね?」
「ッ!!くっ……!?」
「あっ」
雪羽はペストの風を避けつつ二人を連れてその場から素早く移動した。あ~、あの一瞬で解かれちゃったか~……
「……ちょっと。何私の駒を減らそうとしてるの?」
「いや~、ね?後で厄介になりそうかなぁと……。っていうか講義したいのは私もだよ?さっきの風、もう少しで当たってたよ?」
「当たってもどうせ死なないでしょ?……それにしても、あの子しぶといんだけど?」
「アハハっ。だって、私の妹だよ?そんな簡単にやられる訳ないじゃん。ましてやペストの攻撃方法は一択、対して雪羽は無限大とも言える戦法があるんだよ?手数で既に負けてる。力は別としてね」
「…………もっと早く言ってくれるかしら、そういう事は」
「だって聞かれなかったんだも~ん」
私はいつも通り返し、ペストはそれに肩を震わす……が、今は最優先事項というものがある為、すぐに落ち着く。
「まぁいいわ。これが終わったらじっくりお話ししましょうね?」
「うん、目どころか顔も笑ってないね……。で、あの子ら隠れちゃったけど……どうする?私も加わろっか?」
「……正直嫌だけど、いいわ。許可してあげる」
と、私とペストがいつもの調子で話している────────その時だった。河川の方で轟音が響き街が揺れた。そして、それに続くように見えていたシュトロムが崩れ落ちるのも確認できた。出来てしまった……。それはつまり─────
視点OUT
視点~雪羽~
「!今の揺れって、」
「どうやら十六夜さん達の決着がついたようです!」
「それでは……!!」
「Yes!ここから巻き返していきますよ!」
私達は一旦お姉ちゃんと魔王さんから離れ、街に聳える塔の陰に身を隠していた時でした。
街に一際大きなゆれが起こったのです。そして、それに続くようにシュトロムという悪魔も崩れ去っていくのが遠目ながらも確認できました。
─これで残るはあの魔王さんとお姉ちゃんだけ─
「…………ウェーザーとラッテン、倒されちゃったね」
「………………そうね」
「ごめんね、リーダー…………少しふざけすぎた」
「…………いいわ、もう」
二人はポツリポツリと呟き始めた。その時の二人の顔にどこか憂い念を感じたけど、それはホンの一瞬、それから少しの沈黙が一帯を支配する。そして、
「──────────…………はぁ…………止めた」
「だね~……。これ以上は……もう意味もないか」
「え?」
今、なんて……。
私は……いや、私達は二人の言葉に嫌な予感を感じた。
「時間稼ぎはもう終わり。白夜叉だけを手に入れて──────皆殺しよ」
「ふふ……極めて了解しました、リーダー」
「ッ!?」
それは突然、唐突にだった。街一帯を、これまで以上の重圧が襲った。もはや飛んでいる事はおろか、立っていることも儘ならない程に。
そして、魔王──────ペストさんはその袖口から吐き出した黒い風を天へと打ち出した。そして、それは街に降り注ぎ地上を────
「言っとくけど、これは今までの風とは違うわよ。触れただけで死を運ぶわ……」
「なっ」
「ま、マズイです……!!今、それを……放たれたら…………!?」
今はお姉ちゃんが街全体を押さえつけている。私達でも喋るのですらやっとで立っていられません。つまり、今街にいる参加者達は皆動けずにいて、そこには絶対的な死の風が迫ってきている。
「……これでは……参加してる、者達が……!!」
「!そんな…………くっ!……黒ウサギさん…サンドラさん……先に、言っておきます…………すいません」
「ゆ、雪羽さんっ……それはどういう──────!?」
私は二人の重圧を軽めさせ、後方の参加者の皆が居る位置に
「なっ──────!?」
「雪羽さ───────!?」
その後、私は風を遮るように障壁を創り、風の進行をギリギリ抑えた。
「へえ~……これまた、勝負に出たね~」
「……はぁ…………無駄な手間が増えたわね」
「勝手に……言っててください。お二人は…………私が相手します!!」
私はそう言うと、自身の
「っ……」
「おぉ、雪羽もやる気だね~……。でも、私達に何時まで持つかな?」
「ペストさんッ!!お姉ちゃんッ!!──────覚悟してください!!」
「アハハっ。久しぶりだね~、こういうのは。リーダー、ビビッてないで行くよ!」
「!ビビッてなんかないわッ!」
「ハハハハ!じゃ、行っくよー……!」
私は二人の許へ全力で飛び込む。後にいる皆を、守るためにも。誰も、死なない為にも……
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
障壁の外側。そこでは突然現れ自分達を死の風から救った障壁に唖然とする参加者がいた。
ただ、その内のレティシア、ジン。そして、いつの間にか戻ってきていた飛鳥は違かった。
「これって……確か、雪羽ちゃんの」
「ああ。これは雪羽が張っていた障壁と同じものだろう。恐らく中で─────」
「レティシア様!!」
レティシアは突然聞こえてきた声に振り向く。そこには少し疲弊した黒ウサギとサンドラがただならぬ様子で立っていた。黒ウサギは視界に飛鳥あの無事を捉えて少し驚いたが、今はそれ以上に不味いことになっているのだ。
さらに、そこに十六夜も丁度加わり、黒ウサギに問った。
「おい、黒ウサギ……。これは雪羽が張ったんだよな?」
「は、はい!それで、私達を逃す為に雪羽さんが今は一人で……!!」
「なっ!?なら雪羽は今、一人で魔王程の者を二人も相手をしているのか!?」
「そうなんです!だから早く救援に行かないと、」
「少し落ち着けこの駄ウサギ」
「ア痛ッ!?」
焦る黒ウサギを十六夜は(物理的に)宥めた。
「何をするのですか、十六夜さん!今は一刻の猶予も、」
「だから落ち着け。とりあえず戦えねえ参加者を全員屋内に非難させろ。その後俺がこれを打っ壊す」
「!は、はい」
「それなら私とジンが請け負う。そっちの事は任せたぞ」
「……レティシア様」
「む、何だ?」
行こうとするレティシアを黒ウサギは呼びとめ何かを伝えた。その黒ウサギの言葉にレティシアは確りと頷きジンとサラマンドラの一行と共に参加者を一時避難させた。
今、こうしてこの場に残ったのは、黒ウサギ、十六夜、飛鳥、サンドラだけとなった。
「それにしても、お嬢様。随分と面白いもんにのってるじゃねえかよ、オイ」
「十六夜君、気になるのは分かるけど、」
「はいはい、わーってるよ。んじゃ──────一気に打ち抜くぞッ!!」
十六夜は喝と共に拳を障壁に叩きつけ、その馬鹿げた威力に障壁は粉々に砕け散った。中からはそこに溜まっていた死の風が迫ってきたが、これまた十六夜がそれを蹴りで砕き霧散させた。
「……黒ウサギ。あの人……ギフトを砕いたように見えたんだけど、」
「さ、さあ?私も十六夜さんについてはまだ良く分からない事だらけなので……」
箱庭出身の二人はその馬鹿げた力技に少々呆気に取られた。が、すぐに気を引き締めなおし急いで移動し始める。
外側は黒い風のせいで中の様子が窺い知れなかった為、現状が分からない。黒ウサギは雪羽の無事を祈った。
「ッ!!」
だが、次の瞬間何かが十六夜の許に物凄い勢いで飛んできた。そして、十六夜はそれを受け止める。黒ウサギは突然の事に十六夜の安否を問う───────が、
「十六夜さん!大丈夫で──ッ!!?」
「え…………雪羽…ちゃん?」
十六夜が受け止めたのは雪羽だった。
だが、その姿はとても変わり果てている。頭部からは夥しい量の血が流れ、あるはずの右腕は肘と肩の間で途切れており、腹部の三割ほどが消し飛んでいる。また、ボロボロになった服の間からは所々内出血を起しており、痣だらけであった。
力無く開けられた瞳は瞬きする事も無くただ十六夜の腕の中で虚空を見つめていた。
「そん…な……。うそ……でしょ……?」
「……だめだ。完全に息してねえ……。助かる見込みは殆どゼロだな」
「!……くッ!!」
「こんな……こんな事…………!」
十六夜は冷静に見極め、飛鳥は現実をまだ認識しきれておらず、黒ウサギとサンドラは自分達の無力さに歯噛みした。
「あら、戻ってきたの。まぁ、戻って来なくても逃がさないけど……」
「早く終わらせる?どうやら皆屋内に非難しちゃったみたいだし……(潰せるとは言ったけど、芸が無いしね)」
十六夜たちの正面から二人の声が聞こえた。それは、雪羽をやった張本人の絵錬とペストだった。彼女らの後方は、あの短い間で起こったとは思えないほど完膚なきまでに壊れている。
「や、ウサ耳少女。さっきぶり」
「ッ!!!」
「やめろ黒ウサギ、感情的になるな」
「!!十六夜さんは──!?」
黒ウサギは十六夜に怒りの言葉を向けようとしたが、それは止めざるえなかった。なぜなら、十六夜はいつも通り軽薄な笑みを浮かべていた……が、目は決して笑ってなどいなかった。
「黒ウサギ。俺もな、仲間をこんなにされて黙ってられるほど非道でも冷酷でもねえんだ……。できれば今すぐにでもあいつらを殴り飛ばし……いや、完膚なきまでに潰してえんだよ。でもあいつら二人とは、正直言って単独で勝てる気なんてしねえんだ。しかもこの状態じゃな……」
十六夜はそう言って負傷した腕を見る。そこにはウェーザーとの戦闘でついた傷があり、そこから血を流している。
「うんうん、そうだよね~。君達じゃ、いくら4人がかりとはいっても私達に勝てると思う?君達の主戦力の一人だったんでしょ?雪羽は。……無理だよね?もう諦めちゃえば?いまなら、大サービスで私がペストに取り合ってあげるよ~」
「それ、私が横に居るのによく言えたものね」
「でも、いい話ではあるでしょ?」
「まあね」
黒ウサギ達はどこまでも自分達のペースで話す二人に隠しきれないほどの憤怒の念を出していた。しかし、それでは何も解決しないので、すぐに落ち着きを取り戻す。
「……黒ウサギ。策はあるのか?」
「は、はい。あるには有りますけど……。対処できるのはあちらの魔王のみです」
「って事は、どうにかしてもう一人の寝ぼすけを止めとかなきゃいけねえのか……」
「……でも……その前に、三番目の勝利条件はどうするの?あれをクリアできるのは……」
「ああ、雪羽だけだ。だが、それはさして
十六夜の言葉に黒ウサギ、飛鳥、サンドラは疑問を感じた。
因みに彼らがこうも無事に話していられるのは……まぁ、敵さんの余裕とでも思ってくれるとありがたい。
「……長いね~……」
「だいたい何で待ってるのよ?」
「それは……あれだよ、あれ。よくある、強者の余裕ってやつ?」
「……それって私たち負けるわよね?────っ!」
ペストのツッコミに絵錬はいつもの調子で聞き流す。
その時、突然にペストは黒い風を周りに展開した。その直後十六夜の蹴りがそこに入った。さらに、その蹴りは風を霧散させ、残りの勢いで十六夜はペストを後方へ蹴り飛ばし、自分はその反動で後ろに下がる。
ペストは不安定な位置ながらもそれなりに強い威力で蹴られた為、後ろのかろうじて残っていた塔に突っ込んだ。
「わぁお。ペストの風を弾き飛ばし……いや、砕いたかな、この場合は。やっぱ凄いね~ヘッドフォン少年」
「ハッ!そりゃどうも」
「それにしても、君は動じないの?雪羽がアンナになったというのに……?」
「何、いつまでも引きずっててもしょうがねえだろ?今俺らがするべきことはこのゲームをクリアする事、ただそれだけだ」
「冷たいんだね~君」
「その言葉、そのまま返してやんよッ!!」
十六夜は勢いよく跳び、絵錬めがけて蹴りを放つ。が、横からは戻ってきたペストがイラついた顔で死の風を放っていた。だが
「なっ」
「うわっ、でか!って!?」
死の風は十六夜の後方から伸びてきた腕によって遮られた。その間に十六夜は絵錬に仮を叩き込む。
絵錬は多少吃驚したもののすぐに反応し右手に持つ大剣で迎え撃とうとするが、
「んっ!?」
腕にサンドラの炎が纏わりつき動きを一瞬止めた。
その間に蹴りを喰らい、思いっきり街に叩き落された。
「ちっ、完全に油断ね……私もどこかで慢心してたのかしら……」
「ギフトゲームにおいてそれは何よりも捨てなければならない物の一つですッ!!」
一方ペストは自身(と絵錬)の行動に毒づきながら黒ウサギの雷撃を防ぐ。
「ふん……、さっきの人間ならともかくその程度、何度試そうと、」
「なら、これはどうかしら。ディーンッ!!」
「Deeeeeeen!!」
「っ!」
ペストは視界の外から自らを捕らえようとする紅の巨腕に風を吹き荒べながら腕で弾く。
その際、腕が少し負傷するがすぐに回復した。
「……あの時の鉄人形……面倒ね。でも、それだけだわッ!」
「くっ!」
しつこく雷を放ってくる黒ウサギに鬱陶しそうな視線を送る。そして、ペストは飛鳥と黒ウサギに向けて荒れ狂う死の暴風を襲わせる。
だが、黒ウサギはそれを避け、飛鳥はディーンによってそれを防ぐ。
「本当に面dアダッ!?」
「痛てて……ごめんペスト。思いっきり吹っ飛ばされちゃって」
「あ、貴女ね~~~~~~ッ!!!!」
ペストは十六夜によって殴り飛ばされてきた絵錬が衝突したことで少し怯む。
少し、茶番臭がしなくもないがそこは気にしてはいけないのだろう。
「どうする……いっその事街ごと潰す?」
「……そういうことが出来て何で吹っ飛ばされてくるのよ」
「片方が補助、片方が馬鹿火力。後者は捌くのが面倒なくらい強いんだもん、力が」
「あの時の力は一体どうし────くっ、鬱陶しい!!」
二人の会話中もお構い無しに攻撃を繰り出す十六夜たち。逆に言うなら、上の会話が成り立つほど攻撃を捌き、しているのだ。
「っ、これで終わらせるッ!!」
ペストはこれ以上付き合うのは本格的に面倒と考え、一際大きい黒い風を空へと、地上へと、そして十六夜たちへと、全方位に荒れ狂わせた。これは受け止めるはおろか避ける事も儘ならないだろう。
だが、ここで十六夜は黒ウサギに最後の手をきらせた。
「黒ウサギ!!」
「はい!!」
十六夜の呼びかけに対し黒ウサギはギフトカードの中から取り出していた紙片を起動させようとする。
絵錬はすぐさまそれを危険と判断し阻止しようとするが、十六夜がそれを許さない。
その間に黒ウサギはギフトを発動させた。
「────それでは、皆様を月へとご招待します!────」
次の瞬間、ペスト達の視界は一瞬の内にその変貌を大きく変えた。
「ッ!チャ……〝
「マズ!ここだと…………!」
ペストと絵錬の驚きを余所に、ペストの放った死の風はその環境に適応できず、薄れるように消えたいった。
「Yes!いくら死を与える黒死の風と言えど、気圏のない月ではその本領も極限まで薄れてしまいます」
「ま、待ちなさい……!ルールではゲーム盤から出ることは、」
「駄目だよペスト。たぶん……」
「ええ、ちゃんとゲーム盤の中ですよ?ただ、高度が物凄く高いだけです」
「っ…………!?なんて出鱈目な……!」
ペストからはもう余裕という物が完全に消えていた。後悔とはした後でなければ出来ないが、まさにその通りだった。此処で初めてペストは隣に居る絵錬を本気で恨んだ。
「これで、下の奴らの心配は無用になった訳だ」
「はい。サンドラ様、十六夜さん、行きますよ!(飛鳥さん、後はお願いします)」
黒ウサギはサンドラと十六夜と共に二人へと突撃する。その際、黒ウサギは飛鳥に目配せをして。
そして、当の飛鳥はそれに頷き手に持つ紙片を確かめる。
「(大丈夫、必ず決める。此処で決めなかったら、私たちのために頑張ってくれた雪羽ちゃんにも申し訳が立たないもの)」
飛鳥は意思を固め、紙片を発現させる。
一方、十六夜と絵錬は
「オラァッ!!」
「おっと。……君、やっぱり凄いね~。そんな怪我でここまで出来るなんて」
「ハッ、あからさまに
「ふふ、なにを言うかと思えば……。
絵錬は十六夜の蹴りと左の拳を大剣でいなし、光弾を向かわせる。だが、それは十六夜の拳によって弾かれる。
「……左手と足だけでよくやるねぇ~……。でも、これ以上ないんでしょ?さっさと諦めれば────」
「いや、アンタの目を少しでも逸らせただけで充分だ」
「?それはどういう────うっ!?」
絵錬は横からの唐突な輝きに目を覆う。その隙に十六夜は絵錬を蹴りで月の表面へと叩き落す。
「っつつ……。一体何が……!?ペスト!」
絵錬が光が放たれている方向を見ると、そこには太陽の如き輝きを放つ鎧を纏った黒ウサギと、唯でさえ弱まっていた黒死の風を完全に霧散させられていたペストが対峙していた。
黒ウサギが纏っているのは
太陽の寒冷期に猛威を振るった黒死病にしてみれば、これ以上の天敵も居ないだろう。
「今です飛鳥さん!」
「何ッ……!?」
ここで、ペストは下に居た飛鳥の使役するディーンの腕に一振りの槍が握られることに気付いた。
「撃ちなさい、ディーン!」
「DEEEEeeeEEEEEN!!」
飛鳥の威光に従いその槍、
「くっ!そんなの当たるわけ、」
「させないっ!!」
「ッ!?小癪な…………!!」
ペストは勝利の槍の射線上から逃れようとしたが、サンドラに炎に両手両足を拘束されそれは叶わなかった。今の尚輝き続ける太陽神の鎧がペストの力を弱体化させてしまっているからだ。
「!ペスト、」
「させかっよ!!」
「くっ…………!」
ペストに放たれたインドラの槍へ重圧を向けようとした絵錬だったが、十六夜に妨害される。
その間にインドラの槍は、もうペストの目前に迫っていた。
「(間に合わない……。だったらっ)」
もう止められないと覚り、最後の手段に出た。それは簡単で、ペストの前に自身を転移させる事だった。その行動に黒ウサギ達は目を見張る。
そして、滑り込んだ絵錬は両手を前に掲げる。その顔はいつもの眠そうな顔ではなく、真剣、必死そのものだった。
「っ!」
「ぐッ!?ぅぅぅ……ぁぁぁあああああああああああああぁぁぁぁぁぁあああああああッ!!!!!」
絵錬は勝利の槍を空間を壁にし受け止める。だが、その威力は桁違い。防いだことにより、勢いを止める処か、徐々にその力を、天雷の勢いを上げていく。
そして、その均衡はインドラの槍が崩した。
「うッ……かはッ!!?」
絵錬はペスト共々インドラの槍に貫かれた。
「……ハ、ハハっ……ペスト…ごめん……ね……」
「くぅッ……!!(消えるの?私が?いや……いやよ……!だって、まだ……私は……)」
勢いを殺すことなく天雷を放ちその威力を発揮し続けたインドラの槍は、天高く打ちあがり、轟音と圧倒的熱量を放ちペストと絵錬ごと大きく爆ぜた。
「…………ふふ、な~んてねっ。────────────
まだまだ終わらせないです、火龍誕生祭。といっても後二話程度ですけど……
誤字脱字・感想等ありましたらお申し付け下さい。ではっ、