記録者達が異世界から来るそうですよ?【削除&改訂予定】 作:白結雪羽
辺りを砂塵が覆い爆音が響く。
その衝撃に意識の残っていた十六夜、黒ウサギ、レティシアは視界を庇う。
彼らが薄れいく意識の中、最後に垣間見たものは────────闇色の髪を靡かせ佇む見知った少女だった……
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
『あは……ハハハ……。やりすぎじゃない、
突然振り下ろされたバールを避けた絵錬は、口元を引き攣らせながら目の前の少女に言う。
「アハハハっ!そう言わないでよ絵錬。ちゃんと参加者には障壁張ってあるから」
対する少女はケラケラ笑いながら地面にめり込んだバールを消す。
奇跡的にもそこには誰もおらず、十六夜ら含めた参加者はいつの間にか端の方に移動させられていた(吹き飛ばされた)。因みに、少女の張った障壁のおかげか大事は無いようだ。
『(ちょっと……あの子。もしかしてあの白い子?)』
『(うん。そうだよ~。正真正銘にうちの妹)』
『(…………はぁ)』
『(どうしたのリーダ~?溜め息ついてると幸せ逃げて勝てるものも勝てなくなっちゃうよ?)』
『(その時は殺すわ)』
「ハハ♪雪羽の中から見てたけど……その子随分と面白いね?」
『そうでしょ~?真剣な子を騒がせるって、結構いいよね?』
『おい待て……!それはどうい【プツンッ】』
ペストが講義しようとすると、そろそろ面倒に感じてきた絵錬は会話を前回同様切る。
今此処に立っているのは同じ姓を持つ二人の少女。今まではゲームの雰囲気を忘れさせるほどの日常会話を繰り広げた彼女らだが、ペストとの会話を切った途端その気配は一変した。
絵錬は表情はあまり変わらないがいつに無く真剣に、闇邪は嬉々とした笑みを浮かべながらそれに向き合う。
「と、そっちの子も閲覧者の方々も、私が誰か分からないだろうから説明しとくね?」
『うん。聞く人が居なかったからつい流しちゃってたね~……。まぁいいや、待っといてあげる』
「ありがとね。えーと……コホンッ、私の名前は
『う~ん、いいんじゃな~ぃ?これ以上は読者が離れちゃう』
「そっか」
二人の会話は支離滅裂としたもの、正直言ってなにを言ってるのか解らない。尚且つ、突っ込むべき者、止めるべき者が皆、絵錬とペストに沈められてるのだから無理も無い。
「で、どうする?これっていちよ決着戦だよね?私は雪羽含め皆の背中を背負ってる訳だけど……」
『如何するも何も、リーダーが勝てっていてるしね~。何より、ここまで引っ掻き回しちゃったんだから、ケジメはつけないとね~』
絵錬はパチンッと指を鳴らす。すると、辺りに居た参加者が皆一様に消えた。
「ふーん……。魔王サイドについてるのに随分と優しいね?」
『ダークに就いてるからってそこまで酷くは無いよ。闇邪とは違ってね~』
「残念。私、今回も雪羽にきつ~~~く念を押されちゃってるから、殺生事が出来ないんだ」
二人の会話だと良く分からないが、要は絵錬が他の参加者を巻き込まれないように転移させた────────否。実際は、
『じゃ、やる~?此処ならいくら暴れても問題ないし』
「
『おぉ、お褒めに預かり光栄ですぅッ!?』
絵錬は突然下から生えてきた無数の刃をギリギリのところで回避する。絵錬の頬につめたい汗が伝う。
「アハっ♪ふざけた事してるとザクッ!っていっちゃうよ?」
『私達がふざけてない時なんてあったけかな~……?』
絵錬はそう言いつつも袖からペストの時とは比べ物にならないくらいの風を吐き出す。その、あまりの量にあっという間に空は埋められ、街も同じように埋め尽くされた。
「絶対的死を運ぶ風、ね……。何か前見た時より弱い気がする……」
『ハーメルンの魔書が消滅したからね~。今は私と同調してるおかげでこの規模、威力が出せてる。正直言っちゃうと、神霊状態のペストとやってたらこれの5倍は覚悟した方がいいよ?』
「5倍程度?まだまだ貧相だよね、それ。とりあえず、リミッターを外している私にはまだ足りない」
『(………………)』
『闇邪ぁ~、リーダーが可哀相だからそういう事言うのは本人が居ないときにしてよ~』
『(……絶対殺してやる…………!!)』
二人の出鱈目さに愕然としながらも、ペストはいつか本気で殺してやると、己が霊格に誓うのだった。
その間に、絵錬は死の風を一斉に闇邪へと叩きつけた。境界壁全土にも及ぶだろう死の風だ。普通なら、絶望的。死を確実に覚悟しなければならない………………それが普通ならば、だが。
「アハハっ!!いくら量でせめても───────所詮は見掛け倒しだよッ!!」
闇邪は右手と左手それぞれに扇を出現させ、それをその場で舞うように全方位を煽ぐ。
すると、扇を煽いだ先から風が発生し、爆風宛らの勢いで死の風を散らせていく。ただ、その勢いはあまりに強すぎ、闇邪を中心に2、300m間の全てのものが吹き飛び更地同然となっていた。
その光景にペストは冷や汗を流す。
『(な、なんて……出鱈目な……)』
『まぁ、あれは闇邪……って言うよりはあの子が創り出した扇の性能だけどね』
絵錬はそう言うが、それでもペストの冷や汗は止まらない。なにせ、それほどの威力を持つ武具────ギフトを創造できるのだ。彼女が相対していたらいくら神霊の状態でも危険だっただろう。
「ふぅ……随分とまぁ、視界が広がったねー……っ!!」
闇邪は突然襲ってきた重圧に思わず膝をつく。周りには闇邪を中心にクレーターが出来ている。
闇邪はその重圧をかけている張本人を見上げる……が、その顔に焦りは見られなかった。
「は、はは……。やっぱり絵錬が相手だと……少し、キツイかな……?」
『だったら降参する~?今なら雪羽と闇邪を迎えてあげるけど?』
「ハハッ……やだね。雪羽を本気で怒らせるき?あの雪羽は私でも手は負えないけど」
『じゃぁ却下で。大人しく死んでね~』
絵錬はそう言うと更地となった場所を余裕で埋めるほどのピンクパールカラーの光弾を顕現させる。その数は──────────────ざっと5000。
『ごぉ~』
それが先の風と同様に一気に闇邪へと押し寄せる。また、絵錬もそれに追随する形で闇邪へと飛んだ。
「くっ……!」
闇邪は障壁を5重展開し光弾を防ごうとする。本来ならまた扇で吹っ飛せばいいのだが、今は絵錬の重圧が今までに類を見ないほど強く掛かっている。そのため思うように動けないのだ。
─ガガガガガガガガガガガガ─パリンッ─ガガガガガガガ────────────ッ!!!!!
5000にも亘る光の暴力が障壁を一枚一枚確実に落としていく。だが、その間に闇邪はもう一つ、
「この…………しつこい!!────【アワリティア】!!」
彼女が叫んだ刹那、辺りを閃光が包む。暫くして光が治まると、そこはもはや街の原形を留めていなかった。高く、長く聳えていた境界壁は崩れ、広がっていた黄昏の街も1km以上に亘り焦土と化していた。
『あ、危なかった~……。……うん、場所移しといてよかったね~……』
『(…………)』
絵錬は心の底から安堵したように呟き、下方の闇邪を見た。彼女は追撃を図ろうとしたのだが、危険を察知しすぐに非難していた。実際それは正しかったのだ。
因みにペストはと言うと、二人の戦いの規模に今だ軽く放心状態となっている。
「……っと。解けたかな?」
闇邪は絵錬からの重圧が解けたのを確認し、肩を鳴らす。
「うーん……何かパッとしない……。…………あ、そっか。高速軌道戦闘をやってないからかなー」
そこから闇邪の行動は早かった。そして速かった。
彼女は空気摩擦?なにそれ?と言わんばかりのスピードで空を翔け、両手にそれぞれ取り出した、彼女の身長くらいはあろうかという大剣で絵錬に斬りかかる。
ガキンッ!!
『っ!?重……!!』
絵錬は驚異的なスピードで向かってきた刃を〝カーテナ・ゼロ〟で受け止める。しかし、相手は二刀。しかも規格外の大きさ。絵錬は自然と押されていった。
『ぐっ…………このッ!!』
絵錬は重心をわざと崩し、その間に出来た隙を突き斬りかかる。
だが、闇邪はそれを避け再び高速で近づき斬る。
絵錬も負けじとそれに合わせる。
そこからの戦闘は圧巻の一言に尽きた。二人は目に捉えられるギリギリの速度を以って空中で何度も交差する。
その度にガッやらガキンッなどの剣身がぶつかり合う音を響かせた。
闇邪は楽しそうに、絵錬は闇邪程ではないがその顔に笑みを浮かべて(ただ、目はそのまま)ただただ交差する。
「アハハっ!よくその身体で付いてこれるね!?」
『ま、正直言うと…やりづらいけどね~!』
「だろうねッ!!」
バキンッ!!!
「あ、」
『悪くなかったけど……流石に本体使ってまで剣で負ける気は無いよぉ~……!』
絵錬のカーテナによって折られた二つの剣先がそれを舞う中、絵錬はカーテナの本領を以って斬りかかる。
「チィっ!!」
闇邪は身を捻って何とか回避する。彼女が再び其処を見ると、カーテナの通ったラインがごっそりと削られていたいた。
絵錬がした事は単純、文字通り削ったのだった。詳しくは省くとする。
「危ないなー……。流石に私までそれを受けてやるつもりは無いよっ」
『だろうね~。というより、好きこのんで受けたがる人なんて普通はいないでしょ?』
「アハハ、違いないねっ!!」
闇邪は、今度は見た目ただの刀を取り出して斬りかかる。
絵錬は同じように打ち合おうとするが、
『!?よっと……!』
「ありゃ、バレタ?」
絵錬は受け止めようとせず軽く受け流してカーテナをしまい込んだ。彼女の背を冷や汗が伝う。
『ばれたじゃないよ~!何折ろうとしてるの!?』
「だって、それって厄介だし。何より折ったらそこで決着だし?」
『だし?じゃないよぉっ!あれって結構辛いんだから!?』
「じゃあ出さなければいい気が…………いや、それは言ってても意味ないかな」
二人は膠着状態に入り、お互い地に戻って向かい合う。既に周りは廃墟すら残って居ない焦土。そして、本来なら境界壁に阻まれていた銀世界の冷気が、辺りを覆ってきていた。
大地は刻々と白に染まって行き、やがて雪の嵐が二人の居る場所に吹き荒れた。
『…………』
「…………」
それでも尚二人は沈黙し向かい合うまま。だが、それも絵錬が口を静かに開ける事によって均衡は解かれた。
『……はぁ。…………飽きた』
『(……………………は?)』
ペストは絵錬の言葉に唖然とした。今思うと久しぶりに感じてしまう。
「まぁ……分かる。同じ事ばっかで……ちょっとつまんない」
『(は、はぁ!?貴女達……何言って……!)』
ペストは二人の投げやりな様子に思わず声を上げた。彼女からしてみれば訳が分からない。一応今はまだ、自分の始めたギフトゲームの最中。そして、絵錬と
何が何でも自分の─────自分達8000万人もの太陽への復讐を、彼女は果たさなければならないのだ。その為に彼女はいまこうして絵錬に全てを任せている。彼女としても不安でならなかったのだが、なまじその実力は既にその身に教えられている。だからこそ、だったのだ。
だが今、当の彼女はハッキリと、嘘でも冗談でもなく、本気で「飽きた」と、そう言ったのだ。
それはつまり、絵錬の性格上降参で幕引きなんていう最悪の結果も予想できてしまう。
だが、ペストの考えは多少だが、いい意味で裏切られる。
『どお?最後に一撃決着でやらない?』
「うーん…………(ニヤッ)いいかも」
『じゃ、決て~い。……あ、それと序に何か賭けてみる?』
「アハハっ!いいねいいねー!じゃぁね…………私が負けたら大人しくそっちに降ってあげる」
『それって本来の結果と変わらないよね~?ま、いいか。じゃぁ私は…………負けたらペスト共々そっちに降ってあげるよ~』
絵錬の勝手な賭けに流石のペストもこれ以上は大人しくするつもりはなかった。いや、既にしてはいなかったが……
『(ちょっと絵錬!?何勝手に決めてるのよ!!私に隷属下になれって、冗談じゃないわ!)』
「あ、別に隷属じゃなくても…………ん?そっちの方が面白い、かも?」
『あ~あ。リーダーが余計なこと言うからぁ~』
『(貴女のせいでしょう!?とにかく、さっさと、)』
『さぁ~始めよぉ~。闇邪、契約書創って~』
「もう承認済みで創ったよ。じゃ、最後にデカイの、一発いこうかな!」
『(なぁ!?ちょ、ちょっと待ちなさ────────────!!?)』
ペストの叫びも空しく、二人は話を進めてしまい、今まで以上の闘気をその身から放つ。
それにペストは喉元を絞められているような息苦しさと、絶対強者に感じる覇気をその身に感じ、黙るほかなかった。
彼女の霊格としての…………否、生ける存在としての本能が危険信号をけたたましく鳴らしていた。
あの輪に入っていったら死ぬ程度じゃ済まない、と。
絵錬は上空2000mほどの位置で、闇邪は雪景色に染まった地の上で向かい合う。
そして、一瞬の間をおき、二人の周りに変化が起こる。
絵錬の方は周りの空間に亀裂が入り、徐々にその数を増していき、やがて空間が揺れ始めた。さらに空は暗雲に覆われ雷鳴を轟かせ、吹雪は二人を中心に逆巻き、天へと昇っていく。
一方、闇邪は絵錬とは違う意味で凄いことになっている。
彼女を中心に大地は光り、円状に幾何学模様を描いてゆく。そして、空中に点在している無数の光りへと線を伸ばして行き、その大きさはもう絵錬の視界に収まりきらないほどとなっている。その上、闇邪を原点とした放物線を描く形で、又等間隔の位置に、大地に広がる円を小型化した陣が三桁に上る程現れる。
お互いにその規模、過激さは増して行き、最早災厄といっても過言でないくらいの光景を作り出した。
唯一立ち合ったペストは、その光景を後にこう語る、
〝あれは……そう。まるで世界の終わりを見ているようだったわ〟
と。
「アハハハハハハハハハハハ、アーハッハハハハハハハハハハハハハハハ!!!行くよォ絵錬!!!!」
『アハハっ……うん!!そうだね、闇邪ァっ!!!!!』
地が、天が震える中、二人の白は楽しそうに言葉を交わす。彼女らが起すは荒れ狂う災厄そのもの。そんな中でも笑い合う二人に、ペストは恐怖を通り越して逆に冷静にこう思っていた。
『〔あぁ…………私……ここで……消えるのかな…………〕』
そんなペストの心境は露知らず、二人のボルテージは、とうとう最大まで達した。
そして二人は、お互いの持てる一撃を全力全開でぶつけた。
「滅せよ───────【ラグナロク】──────!!!!!」
『消えちゃえ~───────【ハーマゲドン】──────!!!!!』
二つの終焉の名を冠した一撃はぶつかり合い音にならないほどの爆音を轟かせる。
ペストが覚えているのは此処までの事だった。
…………うん。やりすぎた感が否めない。っていうかいたちごっこになりかけた(というかなった)ので無理やりだと思いますが切りました。
最後のは……あれです。二人ともはっちゃけて貰いました。ペストは本気でトラウマ物でしょうね。
とまぁ、今回はここまで。
誤字脱字・感想等有りましたらご指摘御願いします。
ではっ、