記録者達が異世界から来るそうですよ?【削除&改訂予定】   作:白結雪羽

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な、長い……約8000文字って……。
……削るべき所も把握しきれず……うちのキャラ都合上あまり削りすぎるのも…………

まぁ……とりあえずどうぞっ




──アンダーウッド訪問編──
招待状


 

絵錬(とペスト)が暴れた火龍誕生祭から一ヶ月。この間にも色々あったのだが、それはまたどこか別の場所で語るとしよう。

それで、改めて一ヵ月。ノーネーム御一行は、今後の活動方針をきめる為、広間に集まっていた。

 

集まっているのはジン、十六夜、飛鳥、耀、雪羽、黒ウサギ。メイドであるレティシアに同じく何故かメイド服を着ているペスト、そして年長組みの代表の狐っ子リリだ。

 

因みになんでペストがメイド服を着ているのか…………簡潔に言うと絵錬と十六夜と白夜叉のせいなのだがこれまた長くなる為今は割愛する。彼女も今では諦めがついたのか大人しくしている。

 

 

「あのぉ……雪羽さん。絵錬さんは……?」

 

「絵錬お姉ちゃんならまだ寝てると思いますよ?」

 

「あの馬鹿はいっつも寝てるからね。もし起しに行けっていうなら私はパスよ」

 

 

ペストは以前、絵錬に抱き枕にされたという苦い思い出があるため予め選択肢を潰した。

実際、絵錬が居なくても始められるのだが、一応は彼女もノーネーム主力メンバーの一人。今後の活動方針を組織的にも知っておかねばならない立ち位置に居るのだ。

 

 

「あ、あの!わ、私がお呼びしてきます!」

 

 

このままでは、と思ったリリは自分が絵錬を呼びに行くと名乗り出る。

別に人一人起すことなどそんな大変な事でもないのだが、絵錬の場合は違う。彼女は寝相は比較的良い方なのだが、起し方を間違えるとなぜか起しに行った本人も一緒に寝てしまっているということがちょくちょくある。現にペストが一番それに会っているのだ。

 

 

「ったく。いっその事呼ばねえって選択は無いのか……?っていうか雪羽が行けよ」

 

「方針を決めるというのに、皆が集まらないと意味がないですよ?それと私も捕まったことあるので嫌です。此処に来る前は捕まって一週間出れなかった時だってあるんですから」

 

「い、一週間って……その間どうしてたの?」

 

「大人しく起きてくれるのを待ってました。絵錬お姉ちゃん力は強いし、刺激して起しちゃうと……」

 

 

雪羽は其処まで言うと少し遠い目をして黙る。飛鳥はその様子にこれ以上追求はしなかった。

雪羽の顔が何か嫌な事を思い出したように少し青くなったからだ。

 

 

「……リリに行かせて良かったの?」

 

 

耀は今の話を聞いてポツリと呟く。

 

 

「た、多分大丈夫ですよ……。リリちゃんもお姉ちゃんのそれ、見たこと有りますから」

 

「此処にいる奴は皆見たことあるだろ。大抵捕まってんのは其処のメイドだが」

 

「そうよね。学習能力がないのかしらね?」

 

「貴方達ね~~~~……!!」

 

 

これについてはペストが学習能力が低い訳ではなく、ただ絵錬がペスト限定で手法を変えているのからだ……寝ながらにして。

 

ペストの憤りを十六夜は笑って受け流す。するとそこで、彼は隣に座るノーネームのリーダー・ジンが緊張の面持ちで座ってることに気付いた。

 

 

「おいおいどうした御チビ?俺より良い位置に座ってるってのに、随分気分が悪そうじゃねえか」

 

「い、十六夜さん……。だ、だって、旗本の席ですよ?緊張して当たり前じゃないですかっ」

 

 

どうしても控えめなジンに、雪羽はフォローをした。

 

 

「ジン君、もっと自分に自信を持っててもいいんですよ?私達は個人個人で競ってる訳じゃないんですから。コミュニティのメンバーで勝ち取ってきた実績は同時にそのコミュニティ、ひいてはリーダーの名前と一緒に配信されていく、前にジン君が教えてくれたことですよ?」

 

「そうだぜ御チビ。この〝ノーネーム〟の旗頭はお前だ。その頭が上座に座らんで誰が座るって言うんだ?」

 

「Yes!そうでございますよ!事実、この一ヶ月で届いたギフトゲームの招待状、全部ジン坊っちゃんあてに届いているのですから!」

 

「思ってみると破格の待遇もいいところよねー……」

 

「だがまぁ、それだけの事を〝ノーネーム〟にも拘らずに成し遂げてきたのだ、ジンや主殿たちは……」

 

 

本来〝ノーネーム〟とは箱庭に属するコミュニティにおいて、最底辺として見られている。旗印を持たない、持てもしない哀れな衆として。

ジン達のコミュニティはその中でも特殊例の方だが、それでも諦めないという姿勢は様々な結果を残してきた。努力は良くも悪くも何かしらは齎してくれる。今回はそれが良い方向に行ってくれた、唯それだけなのだ。

 

黒ウサギは嬉しそうに招待状を抱える。すると、

 

 

「……─────きゃあああああああああああああ!!?」

 

 

突然本拠内に悲鳴が響き渡った。

 

 

「今のって……リリちゃん!?」

 

「はぁ…………私は悪くないわよね……」

 

 

リリの悲鳴に雪羽はガタッと椅子から立つ。他のメンバーも立ち上がりこそはしなかったものの、突然の悲鳴に多少驚いていた。まぁ、ペストは安堵と共に溜め息を吐き、呆れていたが。

 

 

「リリ。どんな捕まり方をしたのかな?」

 

「さぁ?部屋に入った途端抱きついてきたとか?」

 

「いえ、飛鳥さん!それはいくらなんでもないですよ!……ですよね、雪羽さん?」

 

「え?えぇっと……………………うん。大丈夫だと思います……多分」

 

「信憑性ナシ!?」

 

「そ、それはそうと黒ウサギさん。早く助けに行きましょう!」

 

「そ、そうですね」

 

 

そう言うなり雪羽は急いで絵錬が寝ている部屋に向かった。その後に黒ウサギも続く。

 

 

「……なんというか……マイペースなのだな、絵錬は……」

 

「それ、今更?」

 

 

レティシアはなんともいえない顔で、二人が飛び出していった方を見ながらポツリと呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

それから数分。途中、黒ウサギの叫びや、雪羽?の怒号が聞こえたりとしたりはしたが、ようやく二人は少し涙目のリリと絵錬を連れてきた(引きずってきた)。

 

 

「や、お待たせ。連れて来たよ」

 

「……どうして闇邪ちゃんが出てきてるの?それと黒ウサギ、大分やつれてるわね」

 

「前にも言ったけど、ちゃんはやめて。ちょっと背中がムズかゆい。それで私が何で出てきてるかだけど、雪羽がやれって言ったから」

 

 

そう言い闇邪はドサッと引きずっていた絵錬を前に放り投げた。まだ目を閉じていて寝てるようにも見えるが、どちらかというと気絶している方が合っている。

そして、そんな絵錬に闇邪は、その手に大槌を取り出し躊躇なく振り下ろした。

 

だが、それは絵錬に届く数cmの所で弾かれる。

 

 

「……闇邪……それ……私、死んじゃう……」

 

 

目を開けた絵錬はダラダラと冷や汗を流しながら闇邪を見る。発した声が少し苦しそうなのは、恐らく気絶させられた際のものだろう。

 

 

「絵錬。仏教には輪廻転生っていうのがあるんだってー」

 

「…………」

 

 

闇邪の無慈悲な言葉に絵錬は無言で立ち上がり、ペストの横の席についた。欠伸をしているのでまだ寝てたいんだろうが、そこは諦めるしかなかった。

 

 

「じゃ雪羽、交代」

 

 

闇邪がそう言うと、彼女の黒くなっていた瞳と髪は元のシアンブルーと白に戻った。またその身に纏う雰囲気も。

普通なら驚くべき事だろうが、此処にいる者は皆一度立ち会っているのでコレといった反応は無い。

 

 

「はぁ……皆、すいません。少し騒がしかったですよね……」

 

「まあな。……にしてもリリ、一体お前何されたんだ?」

 

 

十六夜は今も涙目でレティシアの横に縮こまって座るリリに問う。リリはビクッと反応をして、絵錬を一瞥するが、すぐに顔を真っ青にして俯いてしまった。

 

 

「……黒ウサギ本当に何があった……」

 

 

今度は黒ウサギに問うが、当の彼女は机に突っ伏し、ウサ耳もいつもと違いヘニャッと垂れている。反応らしい反応を示さなかった。

 

 

「十六夜君、聞かないであげてください。本当に……大変だったんです……」

 

 

あの数分間で何があったのかと気になる彼らだったが、雪羽のマジな言葉に誰も追求はしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「えーと~……それじゃぁ報告だっけ?をはじめよ(ドスッ!ガタンッ!ゴンッ!)

 

 

我関せず、いつものペースで始めようとする絵錬の頭に先程の大槌が命中。そのまま椅子から落ちて頭を打った。

 

 

「雪羽、どんどん過激になってくるな……」

 

「……コホンッ……ジン君、進めてください」

 

「は、はい……」

 

 

3コンボ与えた雪羽は気にせず、ジンに進行を促す。

 

 

「えっと……じゃ、じゃあリリ、黒ウサギ。報告を」

 

「は、はい。分かりました……」

 

「う、うん……」

 

 

皆は絵錬を気にしないことにした。因みに、彼女はもう大人しく椅子に座っている。

 

 

「えっと、備蓄に関しては問題ありません。最低限の生活を営むだけなら一年は問題ないかと思います」

 

「へえ?何で急に?」

 

「一ヶ月前の戦いでのペストさんが五桁の魔王に相当すると認定がなされたからです。階層支配者(フロアマスター)に依頼されたということもあって、規定報酬の桁が跳ね上がったと白夜叉様からご報告がありました。これで暫くは、皆お腹いっぱい食べられますっ」

 

「こらリリ。はしたない事を言うのはやめなさい」

 

「え……あ、その……す、すみませんっ」

 

 

レティシアに窘められたリリは顔を真っ赤にして俯く。その間、報告に上がったペスト本人は面白く無さそうな顔をしていた。

自分の敗北を目の前で報告とは言え言われたのだ。気分はいいものではないのだろう。

 

 

「推定5桁、ね……」

 

「ペストが五桁の魔お────元魔王ね~……こふッ!」

 

「五月蝿い。それ以上言うと殺すわよ」

 

「こ、殺すって……それ何回目痛イッ!?」

 

 

ペストは最後に絵錬の頭を殴った後、フンッと完全に機嫌を悪くしてしまった。

 

 

「推定5桁って事は、ペストって本拠を持ってなかったんだ?」

 

「ええええそうですけどそれが何か悪かったわね」

 

「でも凄くありません?たった4人で5桁に認定されるって。神霊だったということもそうですけど、そこにゲームの難易度も加わったりするんですか?」

 

「Yes!ギフトゲームとは本来、神仏が恩恵を与える試練そのもの。箱庭ではそれを分かりやすく形式化したものをギフトゲームと呼び、ゲーム難易度はそのまま己を格を表すのです」

 

 

黒ウサギの説明に雪羽は純粋に凄いと思った。例え敵だったとしても素直に感想を持てるのは彼女のいいところだ。

 

 

「良かったね~ペスト、褒められてるよ?」

 

「フンッ。煽てたくらいで私が素直に喜ぶと思ってんの?」

 

「ううん、全く。結局の所は負けちゃったし?基本私のおかげでいいとこまでいけ、」

 

「ええそうね。絵錬が来たせいで滅茶苦茶になったわねぇ…………ジン。私とこれ、少し抜けるわ」

 

「え……?」

 

 

ペストはそう言うと了承を貰おうともせず絵錬を連れて部屋を出て行く。その後、物凄い音と共にペストの怒声と絵錬のなんとも言えない悲鳴?が聞こえてきた。

 

 

「…………黒ウサギさん。その話はまた後日でおねがいします……」

 

「分かりました……」

 

「え、えーっと……あ、そ、それでですねっ。先の依頼に成果を挙げたので十六夜様達には金銭とは別途に恩恵が贈られるそうです」

 

 

また空気が台無しになった中、リリは慌てて話を戻した。そして、その内容に本人たちは喜色の声を上げた。

 

 

「あら、本当なのそれ?

 

「Yes!これについては後ほど通達があるので、皆さん楽しみにしててください」

 

「へぇ。じゃ、期待して待たせてもらいますか」

 

「でも、少しペストさんに申し訳ないですね……」

 

「気にする事はないだろ。何も非道な方法って訳じゃねえ、ちゃんとした正当な報酬。あちとらそれくらい分かってるだろうさ」

 

「そうよ。結局の所私たちが負けて、貴女達が勝った。唯それだけ…………納得できるものじゃないけどね」

 

 

十六夜の言葉に不本意ながらも同意しながらペストは戻ってきた。右手に絵錬のフードを掴んで。今日はよく引き摺られる日のようだ。

 

 

「途中で抜けてごめんなさいね。以降は(あれば)気をつけるわ」

 

「あ、うん……分かった。…………そ、それではリリ。最後に農園区の復興状態をお願い」

 

 

ペストの一応の謝罪にぎこちなく返したジンは、とりあえず進行重視にいくことにした。

 

「は、はい!農園区の土壌はメルンとディーンが毎日頑張ってくれたおかげで、全体の4分の1は既に使える状態です!これでコミュニティ内のご飯を確保するには一二分の土地が用意できました!田園に整備するにはもうちょっとかかりますけど、葉菜類、根菜類、果菜類を優先して植えれば、数ヵ月後には期待が出来ると思います!」

 

「ふふ、当然よ。メルンとディーンが頑張ってくれたんだもの。復興なんてあっという間よ」

 

「(雪羽がやったら数分で終わるんだけどね~。まぁ、それじゃ意味が無いかな?)

 

「その中でも特にディーンは本当に働き者です。毎夜毎晩、飛鳥様がゲームに参加する時以外はずっと土地の整備をしてくれてて……!メルンが分解した若木や廃材なんかも休まず混ぜてくれて、本当に助かりました」

 

「喜んでもらえたようで何よりよ」

 

「人使いが荒いとも言うけどな」

 

「十六夜君、言い方を考えてくださいよ……。まあ、言ってる事は正しいです。飛鳥さん、たまにはディーンも休ませて上げてくださいね」

 

「うっ、分かってるわよ……」

 

 

雪羽の少々棘の孕んだ言葉に飛鳥はばつが悪そうに答える。彼女の反応から少し酷使しすぎていると思ったのだろう。

 

 

「ま、まあまあ……。それより皆さん、此処からが本題でございます!復興が進んだ農園区に、特殊栽培の特区を設けようと思うのです」

 

「特区ですか?」

 

「Yes!有体に言うと霊草・霊樹を栽培する土地、ですかね」

 

「え、何?聖○戦争でも始めるの……?」

 

「それは〝レイジュ〟違いです!!そうではなくて……例えばですね、」

 

「トゥルシーとかですか?」

 

「マンドラゴラとか?」

 

「マンドレイクとか?」

 

「マンイーターとか?」

 

「Yes♪っていやいや最後のはおかしいですよ!?人食い華(マンイーター)なんて物騒な物、子供達に任せる事は出来ません!!それにマンドラゴラやマンドレイクみいたいな超危険即死植物も黒ウサギ的にアウトです!」

 

「あ、だったら〝ラビットイーター〟なんてどうかな?種なら持ってるけど~……」

 

「「「それだっ!!」

 

「それだっ!!じゃないですよ!?何ですかそれ!黒ウサギに対する嫌がらせですか!っていうか持ってるんですか!?」

 

「おぉ~、何とゆうツッコミとノリツッコミの高等テク……。お主、やるな~」

 

「黙らっしゃいッ!!」

 

 

パシッ!ガコンッ!ガコンッ!ズガゴンッ!!ガンッ!

 

 

悪乗りする問題児御一行+絵錬に怒る黒ウサギ。そして、ふざける4人に盥を落とす雪羽。

もう、あまり手を出さなかった雪羽はいなくなってしまったようだ…………まぁ、唯の適応だが。

因みに、十六夜は盥をキャッチ、飛鳥と耀は小さめだったためそこまで痛くは無い。ただ、絵錬は通常の物の三倍のものを喰らい、横にいたペストも巻き添えを喰らった。

あと、盥はすぐに雪羽が消しました。

 

 

「消しましたじゃないわよ!!こっちにまで被害が来たじゃない!?」

 

「ゴメンナサイデス~」

 

「絵錬!貴女の妹は反抗期か何かなの!?」

 

「痛ててて…………反抗期というよりは、私達への適応かな~?」

 

「私関係ないでしょそれ!?」

 

 

ペストが理不尽な被害に喚く中、レティシアは話が一行に進まないため、十六夜達に事の要件を告げる。

 

 

「はぁ。つまり主達には、農園のとっくに相応しい苗や牧畜を手に入れて欲しいのだ」

 

「牧畜って、山羊や牛のような?」

 

「そうだ。それに今は都合が良くてな、南側の〝龍角を持つ鷲獅子(ドラゴ・グライフ)〟連盟から収穫祭の招待状が届いている。連盟主催という事もあって、収穫物の持ち寄りやギフトゲームが多く開かれるだろう。中には種牛や希少種の苗をかける者もでてくるだろう。つまり、コミュニティの組織力向上の為にこれ以上の機会はそうそう無い訳だ」

 

 

レティシアの説明に大人しくなった面々は成る程と理解した。

 

 

「今回の招待状というのは前夜祭からの参加を求められてます。しかも旅費と宿泊費は主催者請負い!これは〝ノーネーム〟にとっては破格のVIP待遇なんです!」

 

「は~、随分気前がいいじゃねえか。それで、その場所ってのは何処なんだ?」

 

「場所はですね、南側屈指の景観を持つという〝アンダーウッドの大瀑布〟です!先の境界壁にも引けを取らないほどの迫力ある大樹と美しい河川の舞台!皆さんが喜ぶ事間違い有りません!」

 

 

黒ウサギは今までにみないほどの絶賛をしてみせた。それに十六夜達は悪乗りで返す。

 

 

「へえ…………?〝箱庭の貴族〟様の太鼓判付きとは凄い。さぞかし壮大な舞台なんだろうな…………お嬢様はどう思う?」

 

「あら、そんなの当たり前じゃない。だってあの〝箱庭の貴族〟がこれほど推している場所なのよ?それはそれは目も眩むほどの神秘的な場所に違いないわ…………そうよね、春日部さん?」

 

「うん。これでもしガッカリな場所なら…………黒ウサギはこれから〝箱庭の貴族(笑)〟だね」

 

「〝箱庭の貴族(笑)〟!?な、何ですかそのお馬鹿っぽいボンボン貴族のネーミングは!?我々〝月の兎〟は、由緒正しい締結で献身的な貴族でございますっ!」

 

「献身的…………黒ウサギが言うと何だか卑猥な響きだね~……〝箱庭の貴族(淫)〟も追加しと、」

 

「きませんからね!?っていうかなんて事言うんですかこのお馬鹿様っ!!」

 

「ふむ……一理あるな。それ採用」

 

「いい加減にしてくださあああああああい!!!!」

 

 

スパンッッッ!!パシッ!

 

黒ウサギは十六夜のをおなじみのハリセンで引っ叩く。後ろでは雪羽が鏃を絵錬に飛ばしていたが、絵錬はそれをギリギリキャッチする。

雪羽は無表情で淡々と顔を狙った為、絵錬の口元は少し引き攣っていた。

 

場が再三と収拾がつかなくなりそうな中、ジンは皆に聞こえるようにコホンと咳払いを一つする。

 

 

「方針については以上です。…………ただ、一つだけ問題が有ります」

 

「問題?」

 

「はい。実はこの収穫祭ですが、20日ほど開催される予定で、前夜祭を入れれば25日────約一ヶ月となります。このような規模のゲームはそうは無いので最後まで参加したいのですが、長期間コミュニティに主力が居ないのはよくありません。そこでレティシアさんとペストさんとあと二人誰かに残って欲し、」

 

 

「「「嫌だ」」」

 

 

ジンの言葉を遮り問題児三名は即答した。まぁ、当たり前のことだ。

 

 

「……。雪羽さんと絵錬さんは……」

 

「正直言うと……私も行きたいです。でも、コミュニティを空けるわけにはいきませんし……」

 

「私は………………うん。私も楽しみたいかな~?」

 

「そうですか……」

 

 

白結姉妹は三人ほどキッパリとは言わなかったが、それでも一ヶ月何もしないで残るというのは考えるものがあるのだろう。

まぁ、絵錬だったら防衛面、かなり心配なのだが……

 

 

「でしたら、せめて日数を絞らせてくれませんか?」

 

「というと?」

 

「前夜祭を三人、オープニングセレモニーからの一週間を四人。残りの日数を三人。これを上手く回す…………これでどうでしょうか?」

 

「ジン~?上手く回すといっても、もし上手く回せなかったら一人確実に参加できないよね~?まして、雪羽ならともかくこの面子だと……」

 

 

珍しくまともな事を言う絵錬。彼女の言う通り、この面子だと雪羽以外に上手く回せる根拠が見当たらない…………というのは言いすぎだが、それでも少しきついだろう。

 

 

「なら、前夜祭までの期間で誰が何日行くかゲームで決めないか?」

 

「ゲーム?」

 

「ゲームですか……」

 

「いいんじゃない?とても面白そうだわ。それで、どんなゲームをするの?」

 

「そうだな…………〝前夜祭までに、最も多くの戦果を挙げたものが勝者〟ってのはどうだ?期日までの実績で収穫祭での成果を最も期待できる奴を優先する…………これなら不平不満はないし、何より箱庭らしいだろ?」

 

 

十六夜の提示する無いように三人は頷いた。絵錬は…………考えるそぶりも無い。完全に流れに沿う姿勢だった。

 

 

「分かったわ。それで行きましょう」

 

「うん。…………絶対に譲れない」

 

「私も、やるからには本気で行きますよっ」

 

「皆乗り気だね~……。ま、私も私なりにやろっかな~」

 

「(これって、確実に絵錬が不利よね……)

 

 

いつもと変わらない眠そうな目のままやる気があるのか無いのか分からないような声ではりきる絵錬。そんな絵錬をペストは呆れながら見る。

 

 

「(はぁ…………でも、絵錬が残ったら私の気苦労が長続きするのよね…………はぁ、鬱だわ)」

 

 

ペストは絵錬が居残りになった時の考えうるリスクに、また溜め息を零すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 




結局の所最後辺りさえ言えればよかったんですが……。やっぱり難しいですね文章書くのって。

……誤字脱字・感想等ありましたらよろしく御願いします。では……
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