記録者達が異世界から来るそうですよ?【削除&改訂予定】   作:白結雪羽

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早く無双がしたい……


懲りない奴

 

「……ずず…………ふはぁ~…………うん。お茶ってやっぱり良いね~、何か眠くなる」

 

「……貴女、こんなとこでゆっくりしてて良いの?」

 

「ずず…………ふぅ~……ん?あぁ。何かね……めんどくさくなった」

 

「…………まぁ貴女なら、そうよね……」

 

 

十六夜がアンダーウッドでの滞在期間を賭けてのゲーム開始から数日。絵錬は子供たちが田畑でせっせと復活に勤しむ傍らお茶を飲んで寛いでいた。本来なら勝負内容の実績の為奔走しているべき時なのだが、どうやら面倒を理由に投げたらしい。

 

 

「というかね~。いちよ二三箇所は私だって行ったよ?でもさ~私達って、前のお祭りの時大分暴れたじゃん?そのせいもあって全部断られたんだよね~……」

 

「……よくよく思えばそうね……」

 

 

絵錬は一応火龍誕生際の時、魔王側についていた。今ではペストとノーネーム所属にはなっているが、それでもその実力はある程度伝わってしまっていたのだ。

つまり、今現在ギフトゲームで稼げる所は殆どが下層である為、実力が高すぎ、尚且つ魔王陣営という肩書きがあった絵錬は門前払いを受けたのだった。

 

 

「ん~~…………ふぅぅ……。そういえば十六夜と雪羽も駄目だったみたいだけど……。あれ?これって飛鳥と耀が勝つるかも?」

 

「あの二人も……って当然か。ま、いい気味ね」

 

「こらペスト~そういうこと言わないの。もっと際どいの着せちゃうよ~?」

 

「!?ふ、ふざけないで!これ以上辱めを受けるつもりは、って私って元とはいえ貴女のリーダーよね!?」

 

「その通~り。〝元〟リーダーだよ?それにペストが今こうして生きてるのって……誰のおかげかな~?」

 

「う…………くっ!」

 

 

ペストは悔しそうに顔を俯ける。絵錬はその様子を楽しそうに眺めた。

ペストは雪羽との契約適用以降、絵錬に時たま弄られている。出会った時からそうだったかもしれないが、今ではメイド服まで着せられている訳だ。幾分かグレードが上がっている。しかも、ペストはこの事についてあまり強くは言えない。今こうして隷属でない状態いられるのは一概に絵錬のおかげなのだから。

ただ、立場が逆転しつつあるというのはやはり気に入らないだろう。

 

 

「はぁ~~……お金で人を強請る借金取りの気持ちってこんな感じなのかな~……?」

 

 

チラッとペストを見る絵錬。その瞳は怪しげに光っている…………様に見えなくも無い。とまぁ、なかなかに思考が危ない事になってきているが、全て冗談である。

 

 

「…………変態」

 

「あんな短いスカートで飛び回ってたペストに言われたくない」

 

「なっ!?あ、あれはインナーよ!だから問題ないわ!」

 

「今思えばラッテンも結構際どかったな~……」

 

「〝も〟って何、〝も〟って!私をあれと同種にしないで!」

 

「アレって……。まぁいいや。でもな…………っと、それよりペスト仕事しなくて良いの?」

 

「貴女のせいでしょう!?…………はぁ…………貴女も手伝いなさいよ」

 

 

ペストは一問答の末、溜め息を吐きながら自分の仕事に戻ろうとする。その際、何もしてない絵錬を引き込もうとするが、

 

 

「いいよ?」

 

「拒否しても無駄よ。無理やりにでも…………って、はい?」

 

「だから、いいよ~?」

 

 

まさかのOKだった。これにはペストも驚く。絵錬なら「寝たい」とか「面倒」の一言で逃げると思ったからだ。

 

 

「…………何を企んでるの?」

 

「そんなこと言われるほど珍しいかな~…………」

 

「貴女と行動してれば嫌でも覚えるわ……」

 

「そっかな~…………そうかも。ま、今回は気まぐれだよ。それに寝てても雪羽に怒やされるんだからさ~」

 

「そ、そう……?」

 

 

ペストは釈然としないながらも作業に戻っていった。絵錬はというと、本当に自分や子供たちの作業を手伝い始めた……しかも、割と効率よく。

 

朝方の農園区。そこでは子供達と黒死斑の魔王……もとい黒死斑の御子と怠惰な少女が勤しんでいるという、知人なら奇妙に感じる光景が出来上がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

その頃、

 

 

「すまないけど……」

 

「そうか……こちらもすまない、邪魔したな」

 

「……本当にすいません……」

 

「何、気に病む事じゃないぞ?それだけその実力を認められてるというわけだからな」

 

「そう、ですか…………」

 

「……さて、どうしたものか…………」

 

 

雪羽とレティシアは参加できるゲームを探していた。

 

 

 

 

そもそもの話し。今ジンが率いる〝ノーネーム〟はその評判を徐々に上げてきている。誕生際にて黒死斑の魔王をサンドラ勢と共に退けた、その功績の一旦は〝ノーネーム〟にあるなど、色々と情報が巡りつつあるからだ。

その中心はやはりリーダーであるジンなのだが、それ以外にも十六夜、そして雪羽もその戦歴が知れ渡ってしまった。そのせいもあり、十六夜及び雪羽はゲームにおいて参加制限を掛けられてしまったのだ。

方や蛇神、元魔王の星霊、神格を得た悪魔。方や同じく元魔王の星霊、そして黒死斑の魔王を打ち倒した。まぁ、当然といえば当然。主催者側も一方的な敗北が決まったも同然の勝負はしないだろう。

 

まあそういうわけで、雪羽はレティシアにも協力してもらい何とか参加を図れる所を探している……のだが、やはりというか芳しくは無かった。

 

 

「雪羽。すまないが私もそろそろ持ち場に戻らなければならないのだが……」

 

「あ……そ、そうですか。それじゃあ、もう戻りましょうか……。お手数掛けてすいません……」

 

「いや、同士が困っているのにそれを無下に見捨てる訳にはいかないからな。……だがまぁ、しかし……これではどうしようもないな……」

 

「そうですね。十六夜君は白夜叉さんに取り合って貰ったらしいんですけど……私まで頼む訳にも行きませんし…………はぁ。もう素直に残る事にするかな……」

 

 

雪羽は溜め息と共に諦めの言葉を漏らす。本来ならレティシアは否定してあげなければならないのだが、いかんせ事実なのだから下手な事は言えない。

だからと言って、何も言わないというのも解決にはならないのだが……

 

 

「……そういえば雪羽。君の恩恵(ギフト)はどの範囲まで応用が利く?」

 

「え?そうですね……基本対象は選びませんけど……」

 

「そうか。なら、本拠に戻ったら少しその力を貸してくれないか?もしそれが出来たら私からジンに取り合ってみる。何、元々評価を下すのは私とジンなのだ。贔屓は出来ないが、結果に応じてそれ相応の評価は下すぞ?」

 

「え、ほ、本当ですか!ありがとうございます!!」

 

「わ、ちょ……!?」

 

 

雪羽はレティシアの提案に思わず抱きつく。周りの目を憚らずに……

その後、我に返った雪羽は周りの暖かな視線に顔を真っ赤にして、レティシアを置いて本拠に走っていってしまった。そして、後に残ったレティシアはなんとも言えない表情で困りながらもその後を追いかけるのだった。

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

そしてとうとう迎えた結果報告の日。といっても次の日だが……、十六夜、飛鳥、耀、雪羽、絵錬の5人は審査員のジンとレティシアと共に本拠の大広間に集まっていた。因みにペストはリリと共に家事の方に回っている。

 

 

「あのー、黒ウサギさんは?」

 

「ああ、先程〝サウザンドアイズ〟に向かったところだ」

 

「審査基準は聞いてますから、僕らだけでも充分です。それに後は十六夜さんの報告を聞くだけですから」

 

「そうか」

 

 

雪羽と十六夜が納得したところで、ジンは一つ咳払いをし結果を述べ始める。

 

 

「まずは皆さんが挙げた戦果から報告します」

 

 

ジンが述べた戦果、飛鳥と耀のものは以下の通り。

 

・飛鳥は牧畜の為の施設の整備、山羊十頭。

 

・耀はジャック・オ・ランタン特製の炎を蓄積できる巨大キャンドルホルダー。

 

 

最後に雪羽と絵錬だが、

 

 

「それで次に雪羽さんですが、先程耀さんの報告時にあった、竈・燭台・ランプの他にもコミュニティ内における一部施設の増築・調整を特例ですが認めさせてもらいました」

 

「特例?どういうことだ?」

 

「ああ。雪羽は十六夜と同じでギフトゲームに参加制限が掛けられてな。特別に身内からの依頼を戦果とさせてもらった」

 

「ちょっと待って。それは少しずるくないかしら?」

 

「だからこその特例だ。その点も踏まえ減点をして平等審査をした。君達の戦果しだいでは雪羽が勝つこともありえるただそれだけだ。まぁ、このままでは少し厳しいかもしれないが」

 

「私もあまりこういう手段はとりたくなかったんですけど……、やっぱり皆が頑張ってるのに自分だけ何もしないのは少し後ろめたくて……」

 

 

雪羽の本当に申し訳無さそうな顔に飛鳥他十六夜と耀もそれ以上は言わない。彼女自身自覚はしているので許す事にしたのだ。

 

 

「まぁいいか。それで絵錬は?」

 

「はい…………絵錬さん、なんですけど…………無いです」

 

 

「「「「…………はい?」」」」

 

 

「あはは~…………その何と言うか、ね?私も十六夜と雪羽と同じ理由でしてね~…………ってうわぁ!?」

 

 

パァンッ!!

 

 

絵錬が言い訳をしだすが、それに雪羽は発砲で答える。絵錬はそれを声を上げながらも余裕で避ける。

 

 

「あ、危ないよゆ……きは……?」

 

「……頑張ったのに…………必死に探し回って…………レティシアさんとジン君にも助けてもらって、頑張ったのに……お姉ちゃんは何?遊んでたの?それとも寝てたの?皆が頑張ってるのに、一生懸命頑張ってたのに一人だけ?…………」

 

「ゆ、雪羽?な、なんかちょっと……というか、け、結構怖いよ?え、ちょっと、雪羽~……?」

 

「…………ジン君。後は十六夜君だけですよね?……先にいっておいてください。私は後で追いつきますから…………」

 

「わ、分かりました」

 

「あ、それ、私も行、」

 

 

ガシッ!ギリギリピシッギリギリピシピシッ!

 

 

「ッ!?イタイイタイイタイイタイ!?ゆ、雪羽!?ちょっと本気で痛、かふッ!?」

 

「オ姉チャンハコッチダヨ?」

 

「ゆ、ゆき…は~……最近、沸点が……大分……低くなって、ない……?」

 

「ソンナコトナイヨー?ワタシガリフジンニオコルノハオネエチャンタチダケダヨー…………タブン?」

 

「そ、それっ……多分つけなくても…理不尽……だよ~……」

 

 

バタンッ。

 

雪羽は顔を青くした絵錬を連れて部屋を出て行った。それを呆然と見ていた一行は、

 

 

「…………行くか」

 

「「「「うん……」」」」

 

 

静かに〝サイザンドアイズ〟の、白夜叉の許へ向かう事にした。

途中、気の抜けた、でもどこか悲痛で必死な悲鳴が聞こえたが、それを構う者は誰も居なかった。

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

十六夜たち一行はもう見慣れたであろう噴水広場を抜け、〝サウザンドアイズ〟支店まで来ていた。途中で雪羽と絵錬も追いついたが、絵錬は某ボクサーとは違った意味で白くなっていた。

当然だが、皆はそれをスルーした。

それで今は、

 

 

「…………また貴方達ですか」

 

「おう、そういうお前はまた店前の掃除か。飽きないもんだな」

 

「ふん。仕事に飽きを感じるなど贅沢者のすることです。私はこれでも新参ですが、今は二一〇五三八〇外門支店を預かる立場です。別に掃除だけでなく、入店基準を満たすお客様の選別もしています」

 

「へえ?そいつは知らなかったな。うん、実に立派な仕事だな。感心した。それじゃ、お邪魔します」

 

「帰れッ!!」

 

「十六夜君がどうもすいません。でも、私達は白夜叉さんに呼ばれてるはずなんですけど……?」

 

「生憎ですが、そのような事は聞き及んでませ、」

 

「おお、来たか!スマンスマン、小僧達が来ると伝え忘れていた。ちょいと重要な案件がある故な、急いで通してやってくれ」

 

 

女性店員が雪羽の言葉を否定しようとしたその時、店内から白夜叉の声がかかった。

それに女性店員は暫し沈黙をし、嫌そうな顔をしながらも、道をあける。

 

 

「………………………………いらっしゃいませ。どうぞお入り下さい」

 

「おう」

 

 

ぞろぞろと入っていく一行。その中雪羽は女性店員に、

 

 

「本当にすいません……」

 

「いえ…………お心遣い感謝します……」

 

 

なんともしんみりとした空気が流れるが、雪羽は一礼して十六夜たちの後を追った。

 

…………だがそこでは、

 

 

「?十六夜く────」

 

「ふふふ、初心な奴らよ。おんしらは何も分かっておらん。清く正しく美しく、尊いが故に、穢し堕とし辱めたいと人は強く望むもの。おんしらのような高嶺の花などまさにそうッ!このままではいずれ、我をなくしたエロイ暴徒共がそのエロク豊満なエロイ身体にエロイ事をしたいというエロイ欲求を爆発させてしまうッ!そうッ!!まるで今の私の様にッ!!」

 

 

「「黙れこの駄神ッ!!!」」

 

 

次の瞬間、障子の内から水流と轟雷共に白夜叉が吹っ飛んできた。

丁度その先に居た十六夜は前と同じく、足でそれを受け止める。

 

 

「てい」

 

「ゴバァ!!これおんしっ!いい加減にせよ!?足で受け止めるなといってグボァッ!!?」

 

「アダッ!!?」

 

 

白夜叉が文句を言い切る前に雪羽はその手に引き摺ってた絵錬を白夜叉へ思いっきり投げた。それは物の見事にクリーンヒットし二人を中庭へ吹っ飛ばした。十六夜達はもう見慣れた光景なので、それを無視する。

 

 

「ったく、黒ウサギに金剛杵使わせるって───────────」

 

 

座敷の中を見た十六夜は硬直する。それは他の皆も同様だった。

 

 

「……黒ウサギ?どうした、その格好」

 

 

十六夜の疑問は最も。今の黒ウサギはなんとも露出度の高い着物のようなものを着ていた。傍らの見覚えの無い女性も同様の格好をしている。

 

 

「え?ゃ、やだ、何で十六夜さんが此処に…………!?」

 

「いや、その台詞は寧ろ俺の方だと思うんだが…………ふむ」

 

「……って、何マジマジと見てるんですか!!」

 

 

雪羽は顔をリンゴの様に真っ赤にして十六夜の視界を遮る。だがまぁ、十六夜の頭にはすでにその姿はインプットされた。

 

 

「く、黒ウサギさんとそこの方も、早く着替えてくださいッ!!」

 

「はぁ……黒ウサギ、そうしなさい。そんな格好で全身濡らしては、」

 

「ぬぁにィッ!?黒ウサギが濡れ濡れだとッ!!?」

 

 

レティシアの言葉に過剰反応する白夜叉。その後当然だが、雪羽の剣嵐と黒ウサギの轟雷が飛んだのはいうまでも無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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