記録者達が異世界から来るそうですよ?【削除&改訂予定】   作:白結雪羽

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無双を書くはずだったのに…………


それは一瞬、

 

 

~~ノーネーム本拠~~

 

 

夜の帳が下り、星が煌く夜。レティシアはメイドとしての仕事も終わり、休憩所で本を読んでいた。隣では絵錬がぐっすりと寝ている。

因みに十六夜は自室で寛ぎ、影禍とペストは厨房で何かを言い合っていた。レティシアはもうそれに諦めが付いたのか、余程の事がない限りは出張らなくなった。

 

ノーネームは珍しくも静かだった。のだが、

 

 

「ん?」

 

「どうかしたのだ、絵錬?」

 

 

レティシアは、突然目を覚ました絵錬に驚く。絵錬はというと、いつもと変わらない表情だが南側、ちょうど遠く離れたアンダーウッドの方を見て停止していた。

 

 

「う~ん…………何か雪羽──────いや、闇邪かな?の殺気を感じて……。」

 

「殺気?闇邪のか?私はそのようなモノは感じなかったが…………」

 

「う~ん?…………気のせいかな~?」

 

「まぁ、何かあったとしても、あちらには数多くの手練が居る。まして、雪羽たちも居るのだ。そうそう心配することは無いと思うが……」

 

「まぁ、明日には手紙が来るって言ってたよね?その時にでも分かるからいいかな~……。ところでさ~レティシア」

 

「む?どうかしたか絵れ─────」

 

「金糸雀ってさ~、此処(ノーネーム)の人だったの?」

 

 

ピシッ!

 

 

レティシアは絵錬の言葉に固まった。それは明らかな動揺。絵錬はそれだけである程度察した。

 

 

「やっぱり、そうなんだね~……。さしずめ、その金糸雀って人は三年前に離れ離れになったコミュニティのメンバー…………かな?」

 

「………………、」

 

「んっ。まぁそれでもいいよ、今はね。来る時にでも聞くとするよ~」

 

「…………すまない」

 

 

レティシアは顔を俯け謝罪する。今は絵錬の対応がとても助かったのだ。

 

 

「じゃ、また寝るね~?」

 

「ああ………………ひゃっ!?」

 

 

絵錬に返答したレティシアだが、不意打ちで後ろから抱きつかれた為、普段は上げないような声を出してしまった。と言うよりは絵錬の手の位置にも問題があると思うのだが、本人は分かってか分かってないのか、そのまま横になる。

 

 

「なっ、ちょっと……絵錬!?」

 

「あはは…………これは話してくれなかった代わりって事で~…………ZZZ~……」

 

「…………はぁ……」

 

 

絵錬はあっという間に眠りについてしまう。レティシアは溜め息をつきながらも抜け出そうとはせず、仕方なくそのまま一緒に眠りに付くのだった。

その時、レティシアは、絵錬と眠ると不思議と蟠りが解けていくそんな感覚を薄れる意識の中感じていた。

 

 

「おい。レティシア、…………」

 

「あ、十六夜君どうしたの、………………これは……ふふ」

 

「ったく、こいつって、何か役得だな。俺もこのキャラに転職でもするか?」

 

「やめといたほうがいいよ。違和感しかないし、何より危ない」

 

「ハハッ、そうかよ。しっかし……なんかこいつと寝てる奴って皆幸せそうな顔して寝るんだな」

 

「まぁ、一回体験してみれば分かるけど。結構すごいよ?なんかこう……溜め込んでいた物が浄化されると言うか、何と言うか……とにかく、起きた後すっきりするんだよね」

 

「へえ、そりゃまた…………それも恩恵なのか?」

 

「さぁ?これは家族内でも謎だからね。本当、僕達の中で一番分からない子っていうのは伊達じゃないんだよね」

 

「いや、お前も雪羽も相当だぞ?さらに言うなら、お前ら全員意味不明だ」

 

「ふふ、確かにそうかもね」

 

 

ズズズッ。

 

影禍は影を伸ばすと静かに眠っている二人を包み込んだ。そして、そのまま絵錬の部屋へと向かおうとする。

 

 

「じゃあ、僕は二人を運んどくね」

 

「それを俺に言ってどうするんだよ」

 

「いや?何となくだよ。形式上でも誰かに言った方が良いでしょ?」

 

「おうおう、俺は踏み台ってか?」

 

「踏み台では無いよ…………っと、じゃあね」

 

「ああ」

 

 

その日のノーネームは夜も平和だった。そう、まるで嵐の前の静けさのように…………

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

一方、平和とは言いがたい、寧ろ最悪の光景がアンダーウッドでは起こっていた。

 

〝龍角を持つ鷲獅子《ドラコ・クライフ》〟に所属するコミュニティのうち〝一本角〟と〝五爪〟は壊滅状態に近くなっている。それも警鐘が鳴ってそれほど間もないのにも関わらず。

 

そして、地下から地上に出てきた耀達はその光景に唖然としていた。すると、上空から血相を変えたグリーが舞い降りてき、耀たちに強く訴えた。

 

 

『耀……!丁度いい、今すぐ仲間を連れて逃げろッ!』

 

「え?」

 

『彼奴らの主力の中に化け物がいる!!先日の奴らとは比べ物にならん!!このままでは全滅だ!お前達だけでも東へ逃げ、白夜叉殿に救援を───────!』

 

 

グリーが叫ぶ中、それは聞こえてきた。春日部が以前の交戦時に聞いた琴、その琴線をはじく音が。

その音は離れている為かギリギリ耐えられたが、それでも耀達は意識を持っていかれそうになった。その効果は相当のもので前線の者達は次々と倒れていた。

 

 

『奴だ…………!あの音で見張りの奴の意識が奪われ、二度の急襲を許してしまった。今は仮面の騎士が戦線を支えているが、それも何時まで持つか…………!』

 

「仮面の騎士……って、あの時の?」

 

「仮面の騎士…………!?ま、まさかフェイス・レスが参戦しているのですか!?」

 

「ま、まずいぜジャックさん!!もしアイツにもしもの事があったら、〝クイーン・ハロウィン〟が黙ってねえよッ!!すぐ助けに行こうッ!!」

 

 

耀の言葉を聞いた途端血相を変えたジャックとアーシャは急いで最前線へと向かっていった。

 

 

「ねえ、グリー。前線に…………和服を着た女の人っていなかった?」

 

『いや、私は見ていないが…………!』

 

 

その時、また先程の音が響いた。

 

 

「うっ…………!ね、ねえ。その竪琴を引いてる巨人って、仮面の人でも勝てないの?」

 

『いや、それよりも攻めあぐねている。あの音色は近くで聞くほど効力が高い。それで、昨日サラ殿も力を抑えられていたそうだ。となれば、神格級のギフトと見てまず間違いない』

 

「神格…………、」

 

 

耀が続いて前線の用を聞こうとした、その時飛鳥と黒ウサギの会話が聞こえてきた。

 

 

「ねえ黒ウサギ!雪羽ちゃんは何処!」

 

「そ、そう言えば、最初の襲撃の時には既に姿が見えませんでした………………!」

 

「!それって……いや、でも、雪羽ちゃんに限ってそんな……!」

 

 

その会話に耀は顔色を変えて急いで雪羽の事をグリーに聞いた。

 

 

「グリー!あの中に雪羽はいた……!?」

 

『い、いや。それ以前に最初の襲撃の時も姿は…………』

 

「っ……!」

 

 

耀達は最悪の場合を想像してしまった。皆一様に手短にグリーに詳細を聞き、急いで戦線に加わろうとした………………まさにその時、

 

 

 

ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッッッッ!!!!!!!!!!

 

 

「わっ、…………!?」

 

「な、何…………!?」

 

「っ!?く、黒ウサギ…………!!?」

 

「う、嘘…………!!?」

 

 

突然響き渡った爆音に耀と飛鳥は危うく倒れそうになり、ジンと黒ウサギは戦線の場所を見て驚殺の声を上げた。

耀と飛鳥もなんとかバランスを取り戻し、音源の方を見た。そして、その光景に言葉を失う。

 

目の前には先の戦いの光景が再現されているようだった。味方陣営の者達は皆一様に後方に吹き飛ばされ、空高くまで覆い隠していた濃霧は、夥しい数の巨人族の群れと共に跡形も残らずに消し飛んでいた。

 

そして、最前線であった場所のさらに奥に、フードを被った人影と、その者の首根っこを締め上げる女性を耀は鷹の目で捉えた。

 

よくよく見るとその女性は最初の襲撃の時に、間接的にも助けてもらい、自分に喝?を入れてくれた女性、その人だった。

 

場を支配していた戦いの音は全て止み、皆がその女性を見据えていた。

 

 

「あれって…………あの時の……!!」

 

「あ、飛鳥さん!あの方をご存知なので!?」

 

「え、ええ。最初の襲撃の時に巨人族を一瞬で葬ってた……」

 

「っ!一体、何者なのですか…………!」

 

 

黒ウサギは勝敗が決まった云々よりも、その圧倒的で魔王にも引けを取らないようなその実力者に言い知れない危機感を覚えていた。

そして、それはここにいるもの全てに共通した見解でもあった。あれは正真正銘の────────化物だと。

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

視点~闇邪~

 

 

ん?あー、何か久しぶりだね、視点が出てくるの。ま、いっか。それよりねー……私、今非常に愉快なんだよねー。

ほらあれあれ、○○無双系のゲームをやってる時の爽快感?とかそんな感じの。

 

 

「ねぇ、そこらへんはどう思う…………って、喋れないですよね」

 

「あ…………ぁぐ…………!!」

 

 

と言う訳で今は絶賛親玉っぽいのに死刑執行中。変な琴持って耳障りな音出してたから、簡単に見つけられたよ。そういえば、あの琴の音って、聞いたらまずそうなものらしかったみたいだけど……

 

 

「もしかして、あの程度の効力が私に聞くとでも?それでしたら、随分と見くびられていましたね、私も。……あ、貴女は私とは初対面でしたね。すいません、訂正します。貴女の限界は其処までなのでしょうかね?」

 

「ッ!?……ぎぃ…………がぁ……ぁ………!!!?!?」

 

 

…………会話が成り立たないって虚しいね。っと、そうそう。この人、結構強い、それこそこの箱庭に来て見てきた中ではトップクラス何だけどね…………そういうのって此処で潰しちゃって良いのかな?

 

 

「うーん………………って、あれ?…………消えた?」

 

 

何と、突然フードの女性は消えてしまった。私は隙を見せた覚えも有りませんし、もし彼女が抜け出せる術を持っていたのなら、すぐに使う。それで無くとも私は普通に気付く……はず。…………と、いう事は、

 

 

「ふふふ、これは……随分楽しそうなお仲間さんが居ると考えて良いのですかね?」

 

 

まぁ、これで一先ずは一件落着ですか……。そう言えば、あのフードが残していったこの竪琴、どうしよっか………………、とりあえず持って帰るか。

私は竪琴を拾い上げる。直に触れてみて改めてその性質を見に感じた。

 

 

「さてと、残るは…………うん。どうしよっかなー……これ」

 

 

私は未だに音の無い戦場(だった所)に立ちつくす、面々を見渡し頭を掻いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




うん、すみません。次はちゃんとゲームは始めますので……


───────

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