記録者達が異世界から来るそうですよ?【削除&改訂予定】 作:白結雪羽
……取り合えずどうぞっ。
視点~闇邪~
アンダーウッド地下都市の一角。周りとは比較的高い場所で私は壁に寄りかかり、愚痴を零していた。
「ねえ雪羽…………ゲームが始まってすぐ休戦って何なの?」
『え、えーと……戦略的撤退?』
「要は時間稼ぎと。まぁ、あの龍とか魔獣とか見れば分からなくは無いけど…………凄い出鼻をくじかれたなぁー」
そう言いつつ私は下の町を見下ろす。戦いによって色々壊れている街並みは、さっきとは違い明かりが転々と見て取れる。そこには忙しなく負傷者の手当てをしたり、はたまた少しでも復興をしようとする者が居り、もう夜の静けさなんてあったものじゃない位騒がしかった。
「はぁあ…………取り合えず、絵錬達のとこに行こっか……」
『そ、そうだね(此処で下手に暴れなくて良かったよ……)』
私は今居る建物から飛び、負傷者を集めている治療所まで飛ぶことにした。あそこなら誰かしらは居ると思うし、色々話しも聞ける…………聞く必要があるかは分からないけど。
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と言う訳で着きましたー。着いたわいいんだけど、辺り怪我人だらけで居心地悪い!この治療所には今の所すべての負傷者が詰め込まれている状態。というのも、あのでかい龍とか、巨人やらが荒らしてくれたおかげで場所が無かったらしく、急遽設けられた為だ。
「うわー……多っ。言っちゃなんだけど、皆貧弱だね……」
『そもそも私達と比べる事が間違ってる気がするよ?』
「それもそっか。さてと、皆は…………お、いたいた」
人が多くて見えづらかったが、少し離れた所に十六夜、飛鳥の二人を見つける。絵錬や黒ウサギ達が居ないけど、恐らくジンの方にいると思われる。
取り合えず私は彼らに姿はそのままで近づく。姿を戻さないのは……まぁ、面白そうだからかな?
「──────……レティシアが連れて行かれたというのは本当なの?」
…………はい?
「ああ。そしてこのゲームがレティシア──────〝魔王ドラキュラ〟の主催するゲームだってこともな」
「その話、詳しく聞かせてもらってよろしいでしょうか」
私が声をかけると皆は一斉に振り返った。そして、飛鳥は驚愕を、十六夜はやや睨みを利かせて私を見た。
「あ、貴女は……!」
「……あぁ、お前か。手紙にあった着物の少女ってのは。その細身の割りに随分と強いらしいじゃねえか」
「質問に答えてくれませんか?先程の言葉、真と受け取っても宜しいので?」
私は淡々と姿に沿った話し方で十六夜たちに問う。本当は普通に聞いた方が早いけど、一度通してしまった手前、これで行くしかない。
十六夜は面倒な奴に聞かれたと言った風に顔を顰めた。だが、大人しく知りもしない奴に打ち明けるほど十六夜は単純で軽くは無かった。
「おいおい、いきなり入り込んできてその態度は無いだろ。素詳も知れない奴に、まして名も名乗らないような奴に教えると思うか?」
「今はそのような事を言っている場合ではないのですが…………分かりました。名乗らなかった私にも非は有ります」
うん、私何してるんだろうね。……ま、いいか。私は言葉を一度きり、改めて今名乗るべき名を口にした。
「申し遅れてすみません────────
「そうかい。アンタは何所の所属なんだ?」
「私は無所属です。此処にいるのは偶然、巡り会わせですよ」
「む、無所属!?あなたが!?」
「ええ。少なくとも、私以上の実力者でもない限り、どこかのコミュニティに所属する気はありませんのであしからず」
一応、釘はさしておかないと……って、これじゃますます打ち明けづらくなったような…………
『自業自得だよ。私は手伝わないからね?』
『うぅ……』
今更ながら後悔したよ……。
「それで、私の質問に────」
「十六夜さん、飛鳥さん!耀さんの行方が分かりました!」
「本当!?」
「Yes、って貴女は……!?どうして此処にっ……」
「…………いえ、お気になさらず。どうぞ、話を続けてくださって構わないですよ」
もういいよ……つくづく間が悪いというか何と言うか…………私暴れちゃうよ?ホントのホントに暴れちゃうよ?
黒ウサギは私の事を少々警戒したが、急を要する内容なようだったのですぐに視線を外した。彼女の腕の中では耀と一緒に居たはずの三毛猫が傷だらけで抱かれており、黒ウサギと、共に来たジンの顔色から伺うに事態は深刻なんだろうね。
「……黒ウサギ、春日部に何があった?」
「目撃者によると……耀さんは、魔獣に襲われた子供を助けようとして……」
「魔獣と共に回収された子供を追いかけ、空に上っていったということです」
「なっ……!?あの城に……春日部さん一人で乗り込んでいったというの!?」
「…………はい」
皆は思いのほか深刻だった現実に、あの十六夜でさえ普段は見せないような感情を露にした。そして、暫く悩むようなそぶりを見せ、黒ウサギに……彼女達にとって驚愕を齎すことになる名を告げた。
「……影禍は……」
「え?十六夜さん、今なんて、」
「影禍だよ。アイツを見たやつはいねえのか?」
「い、十六夜君?な、何を言ってるの……?」
愕然とした表情で十六夜の言葉に耳を疑う飛鳥達。それに、十六夜は此処に来るまでの経緯を手短に話っていった。
というか、帰ってきてたんだね影禍。真っ先に会いに来ればよかったのに。
『あ、影禍お姉ちゃんやっと帰ってきたんだね。本当、皆に心配かけすぎだよ……』
『まぁ、影禍だしねー……、しょうがない』
「────そう……。それじゃあ、雪羽ちゃんの言ってた事は……っ。そうだ、雪羽ちゃんは!?」
飛鳥が思い出したように雪羽の所在を聞く。……このままだと面倒そうだから誤魔化しとこっか。
「もしかして、その方は髪の白い少女ですか?」
「そうよ。貴女知ってるの?」
「ええ、その少女ならあの城に飛んでいっていましたよ」
「ゆ、雪羽さんもですか!?」
「チッ……、まぁアイツがいるなら万が一にも上の奴らは大丈夫だとは思うが、」
口ではそう言うが十六夜の表情は険しい。たぶん、ノーネーム内でも飛行能力を持つ者が二人も減ったというのは痛手なんだろうね。
残っているのはペストと絵錬、それと、今は無理だけど私。…………あれ?絵錬が居れば充分じゃない?絵錬なら地上から纏めて皆を連れていけるけど……うん、多分しないね。疲れるとか面倒とかそんな理由で。
さてと、私なんか少し空気だし、絵錬でも探そうかな。影禍は…………勝手に動いてるんだろうなぁ。
そんな思考を片隅に、私はその場から自然と姿を消した。
視点OUT
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視点~影禍~
ザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュスザシュザシュザシュザシュザシュザシュッ──────。
「全く……この下手物、多いなー。ま、脅威にはなりえないからいいか」
やあやあ久しぶり……そうでもないかな?……別にいっか。
僕は現在、空に浮遊するやたらでかい古城の中に居るんだけど、変なのが沢山いるんだよねぇ。因みに上の音は切り捨ててる音だよ。影が多いおかげで作業工程が捗って助かるもんだ。
「さってと。何所に行けば良いのかな……、ゲームはどうやら一時中断になったらしいけど…………ん?」
僕は今は古城の中でも城下町っぽい所にいるんだけど、其処から少し遠くのほうで交戦中なのかやや剣呑な雰囲気を感じた。此処らへんのゴミは片付け終わったけど…………僕のほかに誰か来てるのかな?
「まぁそっちはそっちに任せようかな。僕は探索の続きーっと」
というわけで─────
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タンッ。
と、いわけでもっとおくまで来て見ました。周りは如何にもラスボスのダンジョンと言った風に変わり、序にそこにいた下手物も殲滅する。あ、下手物は全部綺麗に掃除してるから。見つかったら厄介だしね。
「うーん……、此処まで来るのに誰も居なかったけど……。っと、」
色々懸念はあるけど、そんなこんなの内になんか謁見の間みたいなところに着いた。此処にも誰も居ない……まぁ居たとしても早々気づかせやしないけど。
それにしても…………本当に、西欧風の城だね…………。いや、城下町も含めるなら一つの小国家ってところか……。ホント、故郷を思い出すね。
「ヒトって何かしらの過去があるよね。特に、重要人物達ならとびきりに面白いものが…………君はどうかな──────────レティシア?」
僕は目の前の玉座に座り、鎖に縛られた少女──────レティシア=ドラクレアへと語りかけた。どうやら意識が無いらしく、反応は示さなかったが。そして、今見ている彼女はおそらく本物じゃない。形から見て囮か何かかな?
「ふふ…………それじゃ、ドラキュラ公。失礼ながら此処に暫く居座らせてもらうね」
そう言い、私はその場から影に沈み込み、同時に城全体の影を支配下に置いた。
ふふふ。さあさあ、ここはもう敵さんの本陣じゃない。私の手の上……いや、中だよ。せいぜい頑張ることだね……こちらは存分に楽しませてもらうから♪
さぁて、ここからどうなることか……