記録者達が異世界から来るそうですよ?【削除&改訂予定】   作:白結雪羽

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はい、どうも。最近ノリと勢いで連投してる白です。
一応前話から遊楽編に入っているのですけど、最初は八巻の短編を入れていく事にしました。多分早く終わる筈……いや、終わらせる!

ということで、どうぞっ。



大樹の都市に這い寄るフラグ

 

 

 

「絵錬、雪羽……」

 

 

アンダーウッドを一望出来る満天の星空の下、影禍は雪羽と絵錬を呼び出していた。

 

 

「うぅ……ど、どうしたの、影禍お姉ちゃん?」

 

「雪羽~いつまでに恥ずかしがってるの?もう一週間も着てるんだから、そろそろ慣れたでしょぉ?」

 

「っ、慣れるわけないでしょ!?それにここだと下の人に……」

 

 

そう言って雪羽はあの際どいメイド服のスカートを押さえる。

実は彼女、罰ゲームという建前でかれこれ一週間そのメイド服を着させられているのだ。もう羞恥心にさいなまれ過ぎて精神的にきついのだ。

 

 

「だから、私お手製の〝絶対領域広域.ver〟が有る限り雪羽(乙女)の楽園は無事だって~」

 

「意味が分からないよ!それは本当に信用していいの!?」

 

「………………う、うん……?」

 

「間云々以上に曖昧なのが酷いっ!?」

 

 

雪羽は途端に顔面蒼白になった。何せこの一週間、それなりに恥ずかしい場面に出くわしているから、もし絵錬の言う〝絶対領域広域.ver〟が適用されていなかったら雪羽はただの痴女になってしまう。

既に格好からして手遅れな気もするがそれを言っては黒ウサギも同列なので気にしてはいけない。

 

 

「…………」

 

「「…………影禍(お姉ちゃん)?」」

 

 

さっきの緩い空気は何処へ、珍しく沈黙を通している影禍に二人は何事かと声を掛けた。

 

 

「二人とも……感じない?」

 

「「何が?」」

 

「……何かね?この先凄く嫌な事が起こる予感がするのよ……。感覚で言うなら……天敵に会う前の被食者の気持ちかしら?」

 

「「ん、んん?」」

 

 

疑問と訝しの声をあげる二人。

それもそうであろう。本来なら影禍の例えで言うなら影禍は捕食者…は、つまり弄る側。そんな彼女が後ろ向き、完全な逃げ腰の意を唱えたのだから。

 

 

「……はぁ、ごめんなさい。何でもないわ、気にしないで。一々呼び出して悪かったわ……」

 

「えっ?あ、うん……〈え、絵錬お姉ちゃん!影禍お姉ちゃん、何か変だよ!?〉」

 

「そ、そぅ……?〈あ、謝ったね……。熱でもあるのかな?あ、いや、でも……これも普通か、な?〉」

 

「〈どこが!?影禍お姉ちゃんが自分から素直に謝るなんて……気が狂っても有り得な……あっ〉」

 

 

そこまで言って雪羽は思い出す。影禍は一体何に長けているか……、

 

 

「へぇ~……ゆ・き・は?今の会話、全て筒抜けなのだけれど……」

 

「ぁ、ぇ、えぇと……(ガチャリガチャリ)へ?」

 

 

雪羽は聞き覚えのある音に声をあげ、手と足を見た。

率直におかしいと思った。何故私の手首と足首に錠が掛けられているのだろう?かと。

 

 

「影禍~、何処に跳ばす~?」

 

「うーんそうねぇ……十六夜君の部屋に跳ばしてみたら?」

 

「オーケ~」

 

 

そして、目の前の二人は何を言ってるのだろう?かと。一体全体どうして……と、そこで漸く思考が回復した雪羽は猛抵抗をしだす。

 

 

「ちょ、ちょっとぉ!?何しようとしてるの!?というより何で錠なんて持ってるの!?って絵錬お姉ちゃんっ!ま、待ってよ!」

 

「うぅむ……十六夜は…………ここかぁ~。お、飛鳥と耀もいる。折角だし

上に落としてみよっと」

 

「それは名案ね」

 

「没案だよ!え、や、やめっ!?ま、待ってよ!何で私だけ!?絵錬お姉ちゃんは!?絵錬お姉ちゃんだって――」

 

 

雪羽は最後の悪足掻きで、絵錬をせめて巻き沿いにしようとする。だがしかし、

 

 

「ふむ……絵錬。貴女、何て言ったの?」

 

「『普通か、な?』って言った」

 

「そう……。雪羽、人を陥れようとするのはいけないのよ?」

 

「削った!問題は前半!あと、お姉ちゃんに人を陥れるちゃ駄目なんて説かれたくない!」

 

 

全くもってそうだ。なにせ、この三人のなかで一番人を陥れたことがあるのは影禍だ。恐らくそれは、年を差し引いても性格的にダントツだろう。

とまぁ、何はともあれ雪羽の退路は完全に消え失せた(元々在りなどしなかったが)。

 

 

「さ、雪羽。仕上げに~、この犬の耳・尻尾セット。コスプレ用(子供の玩具)紳士用(大人の玩具)、どっちがいい?」

 

「だからっ、何処から出したのそれ!?どっちも嫌だよ!後者なんて以ての外ッ!」

 

 

雪羽は絵錬が取り出したブツを見て、顔を真っ赤にして叫ぶ。

前者はまだいい。だが後者は……見るからに〝アレ〟過ぎてアウトだった。〝アレ〟が一体何なのかは、察して欲しい。

 

 

「ん、じゃあ私の独断でこっちで~」

 

 

絵錬はそう言って紳士用の犬耳・犬尻尾を持って雪羽にニジリ寄る。

今この瞬間、雪羽は今まで生きてきた中でトップクラスの危機感を覚えるのだった。雪羽は思わず空中で後ずさるという器用な事をした。

 

 

「へ、変態……!?やっ!は、放し──────へっ?」

 

 

──突然感じる浮遊感。いや、そもそも浮いてるのだからその表現はおかしいのだけど……。そう、まるで落とし穴に嵌められたような…………

 

 

「き、きゃあぁああ──────ッ!?」

 

 

ヒュゥン。

 

 

奇妙な音と共に、空中に生まれた裂け目が閉じる。絵錬は一仕事したなぁ~といった風に伸びを一つした。

 

「あはは~。雪羽、この世界に来てから弄られっぱなしだねぇ~」

 

「ふふ、そうね。…………」

 

「…………影禍。本当に大丈夫?」

 

「……えぇ、本当に大丈夫だから。貴女はペストの所にでも戻ってなさい」

 

「……そう。んっじゃ~私は戻ってるねぇ~」

 

 

バイバ~イと手を振りながら、絵錬はその場から転移した。

 

そして、ただ一人残った影禍は、その場所から目を移し御旗の星々と一緒に夜を煌々と照らす月を見上げた。

その表情は、先程一瞬だけ見せた不安そうなものであった。

 

 

「嫌な胸騒ぎね……危険、そうではないけれど(あぁ、この感覚。砂羅と一度殺り合った時のモノと似ているわね……。不吉だわ)」

 

 

この姉妹は毎回殺り合っているのか?とか、気になる事はあるが。そんな事よりも、影禍がここまで思う砂羅とは一体どのような人物なのか……まぁ時期に出会う日が来るかもしれない。

 

 

「はぁ……やめやめ。ネガティブは嫌いじゃないけど、私が陥ってもつまらないわ(折角の良い天気だし、ゆっくり情報整理でもしてましょうか)」

 

 

こうして影禍過ごす夜は更けていく。彼女にとって何よりも、暗く静かなこの時間が安らぎなのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~ちょっと戻り、アンダーウッド主賓室・十六夜の個室にて~

 

 

 

そこでは、異世界組み三人による、第一回異邦人親睦会が開かれ……

 

 

「────ハハハハ!はぁ笑った笑った。ったく、締めとしては良かったじゃねえか」

 

「────ふふ、ふふふ……え、ええ。私、こんなに笑ったの初めてかもしれないわ」

 

「うん。満足いって何より」

 

 

──夜も更けてきたということでもうお開きになるところ

 

 

「んじゃ。今日はもう御開きにするか」

 

「そうね。次の機会には雪羽ちゃん達も呼びましょうか」

 

「ん?そう言えば……あの三姉妹は呼ばなかったのか?」

 

「うぅん……。最初は呼ぼうと思ってたけど、三人とも見つからなくて……」

 

 

実のところ、耀は飛鳥にも頼み復興の手伝い中雪羽、絵錬、影禍の三人を探していたのだが、巡り会わせが悪かったのか出会う事が出来なかったのだ。

まぁ、雪羽は本当の入れ違い、絵錬は次元間でサボリ寝、影禍は影の中でレティ()の健診をしていたので、実質会う確立があったのは雪羽だけ。これはツキが無かったと言わざる終えないと思える。

 

 

「ま、時間的にも今回は俺達で丁度良かったろ。正直聞いてみたい事は多々とあるんだがな」

 

「そうよね……。次はもう少し余裕を持って開きましょうか」

 

「そうだね。それじゃあ十六夜、また明日」

 

「おう」

 

 

そうして飛鳥と耀は席を立つ。

次にいつ異邦人の会を開くかは分からないが。その時は今以上に楽しく、興味深い会になるだろう。いや、六人が揃うと一層とカオスになるかもしれない、それも一考だろうが……。

 

すると、飛鳥と耀が扉に向かおうとする……──────その時、

 

 

「────……き、きゃあぁぁあああああッ!?」

 

「「えっ!?」」

 

「っ、おっと!」

 

 

十六夜!(そら)から女の子が!……みたいな感じで、突然と空中から────雪羽が落ちてきた。

そんな突然の事に、飛鳥と耀の二人は驚き、十六夜は自分の真上に現れた雪羽を驚きながらも無難にキャッチした。

 

 

「ゆ、雪羽ちゃん……?どこから降ってきて……」

 

「というより……まだそのメイド服着てたんだね」

 

「あぅ~………………へ?ぁ、な、な、ななな何で飛鳥さんと耀さんが居るんですか!?」

 

 

落下のショックから回復した雪羽は、飛鳥と耀がこちらを見ていることに……というより跳ばされた筈の十六夜の部屋に居るのかと慌てふためく。

 

 

「あ、いえ……私達、ここで少し親睦会を開いてたのよ。雪羽ちゃん達も呼ぼうとしたのだけど、上手く会えなくてね」

 

「ぁ、そ、そうだったんd…………」

 

 

あれ?と雪羽は思った。

親睦会で自分も呼ばれる筈ってことは、異世界組みの親睦会。そして、その為に十六夜の部屋に集まってると……。

自分達姉妹以外の三人の内、飛鳥と耀は目の前に居る。なら…………十六夜は?そして、心なしか視点が高い気がする……。

雪羽はまさか……と視線をゆっくりと前に戻した。

 

 

「よっ。なかなか粋な登場だな、メイドさん?」

 

「………………」

 

 

思考停止…………。一旦目を閉じて、再び開く。さっきと変わらず十六夜の顔がそこにあった。

恐らく、自分は抱えられているのだろう……あのメイド服のまま、お姫様抱っこで。前にも似たようなことがあったような、なかった……よう……な…………

 

 

「ぁ、ぃ、いぁ……き、き……キャアアアアァアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアッッッ!!?!?」

 

 

此処最近で一番の彼女の悲鳴が、夜も更けてきた大樹に響き渡った。言っちゃ悪いが煩い。

 

────その悲鳴を聞きつけてサラ達が何事かと駆けつけて雪羽の羞恥心をオーバーキルしたのは……また別の話。

 

 

 

 




いやぁ、異邦人のお茶会……申し訳程度しか入れませんでしたね……。
ま、まぁ?次の〝人類最終試練(ラスト・エンプリオ)〟はまだ何とかなる、筈だと思い……たいです。
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