記録者達が異世界から来るそうですよ?【削除&改訂予定】 作:白結雪羽
白結Q.2:
絵錬の出身世界は?
ヒント:
とある小説世界。
答えは……雪羽同様気が向いたら!
視点:雪羽
時が過ぎるのは早いもので、私と影禍お姉ちゃんがあの大きな巨龍を倒しちゃってから一週間と数日。
各地のコミュニティーの支援もありまして、収穫祭も無事開くことができるようになりました。今はその収穫祭開始から3日前の前夜祭です。
まだ、所々にゲームの痕は残ってますけど……それでも皆さん、大分賑わってますね~。斯く言う私もその中の一人として楽しませてもらってますっ。
「はむっ……(ぽりぽりッ)。ふあ~、やっぱりお祭りの食べ物は特別美味しいものが多いなぁ~」
実際そう思いませんか?普段食べ慣れてるものやありふれたものでも、こういうお祭りの時は全く違った楽しみが出来ますよね。
……あっ、そうでした。因みに私は今、普段通りの外套・ノースリーブ・スカートといった格好です。二日前まではお姉ちゃんたちに強制という強制のもとアノ……は、恥ずかしい服を着せられていたんですけど、漸く元の服に戻してくれたんですよ!…………それまでに私の印象が変な方向に倒れこんでるかもしれませんけど。それは無いと願いたいです……。
「ん…ん……ふぅ。あぁ、収穫祭が待ち遠しいですね~」
『前夜祭を既に満喫してるくせに何を言うやら』
「前夜祭は前夜祭。収穫祭は収穫祭だよ闇邪?」
私は、自分は楽しめないからと不貞腐れ気味の闇邪にそう返す。
さっきは、言い忘れてしまいましたが、闇邪も無事に回復しました。実際はゲームが終わって次の日には目を覚ましてたんですけど、思いのほかレティさんの一撃が効いたみたい。
『誰が不貞腐れてるって?むしろ気分は良いけど?何てったって、雪羽の艶姿を残せた──』
「んぐッ!?……ケホッケホッ!あ、闇邪……!まさか残したの!?」
『勿論、記録はちゃんと残さないとねぇ?私達の本業じゃん。あぁ……ハハハ、天記に見せるのが楽しみだなぁ』
「や、止めてよ!?絶対消すからねッ!」
な、何て恐ろしいことするの……!?あんな姿をお父さんに見られでもしたら……っ!
『いいじゃん別に。天記は気にしないでしょ。それに、雪羽の艶姿なんていまさr────(ブツンッ)』
闇邪の声が途絶える。これ以上は聞くつもりもないし、言わせるつもりもないから切りました。
な、何度も言われるのはもう嫌なんですよ……。私の恥ずかしい思い出です。黒歴史とまでは言いませんけど(言ってしまったらお父さんに失礼になっちゃいます)、出来れば思い出したくない記憶です。と、とにかく恥ずかしいんです!
私は赤くなった頬と気恥ずかしさを隠す為に、右手のクレープに齧りつきました。
「まったくもぅ…………ん?あ、あれ?」
ふと、私は周りを確認したのですが……何時の間に売店ゾーンから離れてしまったみたいです。四季多種多様、選り取り見取りの食材があるところから……食材置き場かな?
確か、この食材は自由に使ってよかったんだっけ?これだけ、あるときっと色々なものが作れるよね……私は料理あまり上手くないからよく分からないけど。
因みに、影禍お姉ちゃんは料理はからっきしで、絵錬お姉ちゃんは私達家族の中だとお父さんの次に上手なんだ~。当然ながらお父さんは一番だよ!……はあー、お父さんの料理が恋しくなってきたなぁ~。
「へ、えへへぇ~――」
「………。何してんの、お前?」
「えっ、わひゃぁっ!?い、いい十六夜君!?」
唐突に声を掛けられた私は、それはもう吃驚して後ろを振り向いたら。
すると、そこには少し引いた視線を向けている十六夜君と、どう反応していいのか分からないといった困り顔をしたリリちゃんが立ってました。
な、何で二人が此処に……!?ってそれよりも、
「ぁ、あのぉ……」
「おう、バッチリ見たぞ。雪羽もあんな笑い方するんだなっ(笑)」
「まだ何も言ってないですよ!?」
うぅ、油断したよぉ。私、こんな風だから食い意地がどうとかいわれるんだよぉ~……。今度からちゃんと気を付けないと。
『(クク。雪羽、それ何百回目の暗示?随分と安くなっちゃってまぁまぁ……無駄なことはよしたらいいのに)』
……煩い。思ってるだけでも私には筒抜けだよ。
はぁあ……それにしても、本当になんでこんな所に十六夜君が?リリちゃんは収穫祭の手伝いだと思うけど……?
「十六夜君、どうして此処にいるんですか?」
「何、これだけの食材を自由に使っていいらしいし。丁度暇だし、何か作ろうと思ってな」
「……え?十六夜君料理出来たの?」
あっ、でも。以外といけたりするのかな?
「はぁ、お前もリリと同じ反応なのな」
「あ、いや……少し以外だなあと思っただけだから……。料理が得意な男の人も珍しくないよね。私のお父さんもそうだし」
「へぇ。雪羽の親父さんは料理も出来るのか」
「う、うん。……逆に私はそんなに得意じゃないんだけどね……」
お父さんの料理は確かに美味しい、他の人にも自慢できるくらい。でも……やっぱり一人の女性として嫉妬もしちゃう。
今の話で十六夜君にも似たような気持ちが巡っちゃった。
「ははっ、そんな気落ちすることねえって。誰にだって得意不得意はあるんだ。あれもこれも出来てたら、そんな奴いつか人生に飽きが差すぞ」
「………。う、ん。そう…ですね」
すみません十六夜君。世の中には例外というものがやっぱりあって、それが私のお父さんとお母さんなんです。
本当に、素直に頷けなくてすみません……。
『(なんで心の中で謝るのか……そこは永年一緒にいても分からないものだねぇ……)』
「…………あっ。二人とも買い物途中だったよね。その…私も手伝っていいですか?」
「ん?あぁ、別にいいぞー」
「ありがとう。…リリちゃん、荷物持ちは任せてね?」
「は、はい!ありがとうございます」
そろそろね、一人で楽しむより皆と一緒の方がきっと楽しいだろうし。あとそのぉ…………十六夜君の料理も食べてみたいなぁ~、なんて。
『(まだ食べるの……?相変わらずよくるねぇ……)』
……いいでしょ、お腹すいてるんだもん。今の私はまだ燃費が良い方なんだからね?昔の私なら……それこそ此処の食料くらいは普通に収まるんだから…………?何で私自慢気に言ってるんだろ……。
自分でもよく分からない自問自答を頭の中でしながら、私は残りの食べ物を両手に十六夜君とリリちゃんに並んで歩き出しました。
────と、その時。
「(ゾワリッ)っ!…………?」
「?雪羽様?どうかしましたか?」
「え、ぁ、うん……す、少し、嫌な視線を感じて……」
な、何か来たんです……!こ、こう……ゾワッ!って全身鳥肌が立つような……。感覚としては、蛇に睨まれた蛙に近いものでした…………でも、もう消えた?あれ?私の気のせい?
「おい、何してんだ二人とも?」
「あ、すみません。リリちゃんごめんね?私の気のせいだったみたい……」
「えっ、あ、いいえ!大丈夫ですよ!」
はぁ……ごめんねリリちゃん。でも、本当になんだったんだろ……?
そうして、私は頭の端に僅かな蟠りを追いやりつつ、三人で食材探しに向かいました。
視点OUT
ズズズゥ……
「……ミツケタ」
「ふふふ。随分と楽しそうでしたねぇ……」
雪羽達が去り行く時────屋台の影から三人を覗く二人の人影があった。
一人は新緑のラインの入った黄色の外套を羽織った女性。もう一人は、焦げ茶色のローブを羽織った少女。しかし、両者ともフードを被っているため顔は確認できない。
「ドウスル……?」
「そうですねぇ……。取り敢えずはぁ……他の子達も見ておきましょうかぁ」
「………。デモ、アノフタリ……シンシュツキボツ」
「そこはぁほら。折角のお祭りなんですから、楽しみながら探しましょう?」
女性は優しく、冷たく微笑みながらゆったりとそう言う。そして、ふと気付くと……二人はその場から姿を消してしまっていた。