記録者達が異世界から来るそうですよ?【削除&改訂予定】 作:白結雪羽
視点:影禍
あの後、私とレティはリリちゃんと一緒に黒ウサギへのプレゼントを暫く探したのだけど、御気に召すものは無かったらしいわ。やっぱりあの店にあったブローチが気になるみたいね。まぁ元よりあそこはもう一度行く予定だし、別にいいんだけどね?
──時間は移って宵の時。何やら厨房で十六夜君、飛鳥さん、春日部さん、雪羽がいたけれど、どうにも料理対決をしてるらしく……──今は、噂を聞きつけてやってきたサラと、〝六本傷〟(だったかしら?)のガロロって……猫?虎?……まぁヒトも加わって軽い晩餐を開くことになったわ。
……そういえば、あの三人は知らないけれど、雪羽って料理できなかったわよね……?というか、以前に一度あの子の料理と対峙したことがあるんだけど……あれは料理?ってものだった。見た目は普通なのよ、見た目は。その……味がね?未知の感覚に襲われたわ。味覚のどれにも当てはまらず、かといって辛味のような痛覚に訴えるものでもない……そう、正に新感覚の境地だったわね。
「それで十六夜君。春日部さんはどうしたの?さっきまで一緒に居たわよね?」
「(ビクッ)……」
「……あぁ。ま、まぁそのうち起きるんじゃねえか?」
「え、えぇ。き、きっと春日部さんは疲れていたのよ……」
………。雪羽の
「そう。彼女が起きるまで待っているのもいいけど、それだと折角の料理が冷えてしまうわね……。春日部さんには申し訳ないけど先に頂きましょうか」
「……そうだな、春日部にはすまないが」
「そ、そうね、春日部さんには申し訳ないけど」
「う、うぅ……」
今敢えて雪羽を見ながら言ったわね。ほらもう、涙目になってきてるじゃない。
因みに、サラとガロロさんは今一状況が掴めていないようで終始疑問を浮かべていた。……ま、知らないほうが良い事もあるし、そのまま聞いてくれない方が雪羽と
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「──……何?変わった店があった?」
「えぇ。リリちゃんと偶然見つけてね。随分隠匿した場所にあったのだけど、品揃えも売り方も相応なものだったわ。どうにもギフトゲームをクリアしないと買い物できないらしいのよ」
「何それ?随分と商売っ気のない店なのね?」
始まる前から軽い犠牲を出してしまった晩餐会だけど、気を持ち直して各々が並べられた料理に舌鼓を打つ。特に美味しかったのはさっき冥福を祈らせてもらった春日部さんのポトフ、次点で十六夜君の南瓜のキッシュね。雪羽の料理は……当たり前だけど、ある筈無い。もし食べたい人が居れば雪羽に頼むことね。きっと意識の飛ぶような楽しい旅が出来るわよ?
と、それで今は数時間前に私とレティ、リリちゃんが訪れた豪奢な店の話を切り出させてもらったの。まぁ、案の定興味を示してくれたわ。
「無い話では無いぞ。己のコミュニティブランドを高く意識している店は、条件を付けてくる事も珍しくはないよ」
「まぁそうだなあ。〝六本傷〟の本店も一見客にはゲームをクリアしてもらうようにしているが………こういう開けた場所でそれをやるのは珍しいな」
あらそうなの?でも、確かあの店には……
「二人とも悪いけど、あの店は多分違うわよ?だって店主が居なかったんだもの(化け物は奥の方に居たけど)」
「何だと?それは本当か?」
「勿論。リリちゃんとレティも一緒だったんだから、普通居たら気付くでしょう?」
化け物は私とレティは気付いたけどね。面白うだから言うのはよしときましょう。
その後、大層驚いた様子のガロロさんにリリちゃんが店の詳細について説明した。それを聞いた皆は、少し警戒色を見せ考え出した。
「ふぅん。豪華な扉に、豪華な展示品の数々。そして店長不在ときたら………普通は賊対策のトラップってのが打倒じゃねえか?」
「そうよね」
「まぁそうかもね。リリちゃん、やっぱり一つくらい品物取ってきて様子を見た方が良かったんじゃない?」
「嘘ですよね!?影禍さん私が止めなかったら本当に全部取ってましたよね!?」
あ、リリちゃんまだ本気にしてたのね?せいぜい6割方しか本気じゃないかったのに。
「それでお姉ちゃん。そのお店にあった〝契約書類〟には何て書いてあったの?」
「ん、口頭で言うより直接見たほうが多分早いわよ。私は読み辛かったから流し読みしただけだし」
「読み辛かった?暗号だらけの文章だったとかか?」
「あ、いいえ。単純に平仮名だけでしたよ?」
「……仮名くらい読みなさいよ」
……別にいいでしょ。だって、実際に平仮名だけの文章なんて読み難いと思わない?平仮名だけで読みやすく感じるのなんて小学生か幼稚園児くらいよ?文としてはバランスよく平、カナ、漢が混じってる方が丁度良いの……分かるでしょ?
「ま、何にしても、そんなブービートラップ紛いな店があるのは物騒だ」
「そうね、この目で見てみない事には何とも言えないわ」
「そうですね……(お姉ちゃん、絶対に何か隠してるよね……)」
「そ。そう言ってくれると思って話してみたけど……まぁ杞憂だったかしら?」
そうして、私を含め雪羽と十六夜君、飛鳥さん、リリちゃんは(レティには春日部さんを連れて来てもらうよう行ってもらった)、これからその店に向かうことにした。一応、危険を孕んでる可能性も示唆してサラも主催の一人として来る事になった。もしも万が一あった場合は取り壊すことにもなるらしいわ。……その時は一つくらい掠めても問題ないかし────
「お姉ちゃん……盗みは犯罪だよ?」
「………分かってるわよ」
チッ、こういう時は変に鋭いんだからこの子。……ふふ、でもね雪羽?ばれなければいいのよ、ばれなければね?
そんな事を胸中で考えつつ、私達は主賓室を後にした。さぁ、今度はまた別の趣向を見せてくれるかしらね……?
視点OUT
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「──はあぁ、美味しいですね。流石は収穫祭の出店品でしょうかぁ、良く育てられてます。それにこの地の遍く薫風はもう最高~……リンネ、いっそのこと此処に住みませんかぁ?」
「……ダメ。アヤカニ、オコラレル」
「まぁっ、そうでしたねぇ……残念です」
夜の帳が下りて尚、喧騒の止まない収穫祭の市場。否、前夜祭故に文字通りの賑わいを見せているというべきだろうか。
そして、その喧騒の中を、以前雪羽を捉えていたフードの女性と少女が────焼き玉蜀黍を両手、小脇に歩いていた。傍から誰が如何見ても満喫している。
「…………ん?」
そんな彼女らだが、ふと前方の隅っこに見覚えのある姿を捉えた。喧騒の群れの隙間から垣間見えるその者は、雪羽達であった。何やら断崖の横穴?の近くで何か話している。
距離と阻む者の数ゆえそうそう見つかる事は無さそうだが、二人は咄嗟に店の陰に隠れる────ような事はせずに、堂々と人混みを避けつつ一行のすぐ後ろまで近づいた。だが、如何してか二人の存在は彼らに気付かれていないようだ。まるで其処に何もいないかのように──雪羽と影禍が居るのにも関わらず──振り向くこともしない。そして、そんな彼らの話に二人は聞き耳を立てる。
「────お姉ちゃん、此処がその横穴?というより……亀裂?」
「そ。如何してかしらねえ、誰も気にも留めないのよ、こんなにあからさまなのに」
「どうやら、そう簡単には入れさせて貰えないみたいだな」
「……もしかしたら、人払いの類の
「あら。じゃあ貴女達は如何してこの亀裂を見つけられたの?」
「そ、それは…ですね……あ、暴れ牛に撥ね飛ばされて………」
「「「「…………はい?」」」」
皆が皆、リリの言葉に声を上げた。後ろで聞いていた二人も、「……まるでマンガですね」「ウン、マンガ」と率直な感想を漏らしていた。
確かに、十六夜達の反応は分かる。道を歩いてて、偶然暴れ牛が後方から猛突してきて、偶然避けること叶わず撥ね飛ばされ、偶然近くにあったこの隙間に入り込み、店を見つけた。まさに出来すぎ、偶然の安売りだ。そんな事現実で早々起こりえるはずは無い。
「おいおい……暴れ牛って、何だそりゃ闘牛でもやってたのか?」
「そうね。暴れ牛に撥ね飛ばされて隙間に……というのは、少し出来過ぎてるわ」
「うん。暴れ牛が偶然やって来て、偶然にもリリを撥ね飛ばすなんて。そんな偶然があるわけ無いよ」←耀、ついさっき復活した
「う、うん。お姉ちゃんが(無理矢理)引き込んだ…とか────」
と、その時っ、
「うわああああ!暴れ馬だあああああああ!!」
「……えっ?ッ、あっ、ひゃーーー……!?」
〝偶然〟にも、後方から暴れう……まがやってきた。そしてそのまま一行の最後尾を歩いていたリリは、物の見事に亀裂の中へと弾き飛ばされてしまった。
「「「「────…………、」」」」
「わ、私が…フフっ…な、何です、って?フフフ……っ」
不敵な視線を4人へ向ける影禍。しかし、口元を袖で隠しており、方が小刻みに震えて────明らかに笑を堪えていた。
「おい、何をしてる!早くあの子を追うぞ!」
と、そこで唖然とする四人にサラからの一喝が入り、一同ハッ!?となって慌ててリリを追いかけた。それを後ろで控えて見ていた二人のフードは、そのままある〝
因みにだが、女性の方は影禍同様に笑いを堪えており、少女の方は退屈そうに玉蜀黍を齧っていた。
すまん。〝アレ〟を出すつもりでいたが、一旦切らせてもらう。
最近3000文字前後の投稿が多くなってきた気がする。というのも、余り長いと丁度良い切れのタイミングを見逃してしまうからなのだが……酷い時が9000文字とか?
まぁ、そんな理由です。
と、くだらない個人的な悩みはさておき。次話こそ〝アレ〟が出せる、筈!
てな訳でまた次回~