記録者達が異世界から来るそうですよ?【削除&改訂予定】   作:白結雪羽

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久しぶりの投稿! は良いものも! その代償はデカかった!(主に他の作品……自分でやったんですけどね)

今度こそこちらに集中していきたいと思ってます。早くも別のを描きたい欲求に駈られてますが……気力全開で耐えなければなりませぬ……!

ではどうぞっ、



マッチョ! ……憐れ

 本日二度目の災難に見事、同じ断崖の隙間に吹っ飛ばされたリリちゃん。彼女は前回同様殆ど同じ位置で目を回していた。……本当、よく怪我をしないわね…… 何かに憑かれてるのかしら?

 

 

「だ、大丈夫だったリリちゃん!?」

 

「は、はぃ~……目の前が少しクルクル~てしてるくらいですぅ……」

 

「ふふ。リリちゃんも、夢物なんて比じゃないくらいの飛びっぷりだったわよ? 本当にご愁傷様ね」

 

 

 止める事も出来たのだけどね、敢えてしなかった。だって、そっちの方が……ねぇ?

 

 リリちゃんの無事を確認した私達は、そのまま隙間道を進み、あのキラッキラッとした豪奢な扉の前まで来、中へとお邪魔した。

 中は前来た時と寸分も変わってなく、眩い輝きが厭でも瞳を刺してくる。最初はあまりものきらびやかさに目を奪われちゃったけど、二回目でも中々ね……

 

 

「ほわぁ……。凄い……! 凄いよお姉ちゃん! ねぇ見て見てっ!」

 

「はいはい、少しは落ち着きなさい雪羽」

 

 

 まるで子供ね。……いや、子供も同然か。

 

 

「これはまた……店というより博物館だな」

 

「私も最初はそう思った。……ほら、これ」

 

 

 私は近くにあった宝石の鏤められたネックレスを引き寄せて、そこに貼られている値札を指した。そこには……まぁ途方もない金額が記されてる。だいたい現〝ノーネーム〟の生活費の……凡そ数年分程の値が……。貧乏人には目が眩むどころか目に毒ね、きっと。

 

 

「た、高い…………」

 

「堪らねえな、こりゃ……」

 

「此処にある物は全てこんな感じよ。VIP以外はお断り、って具合にね」

 

 

 と、私達が感嘆と茫然自失してる間に、興味がないのか春日部さんとサラは真っ直ぐに契約書類を持つ人形に向かっていった。

 そして、契約書類を確認……するも、二人とも首をかしげた。それはまああの内容だもの、不思議ではない。

 

 

「………。これが……契約書類?」

 

「ふむ……聞いていた通り中々に変則的だな……」

 

「それでも箱庭らしいじゃない。私は却下だけど」

 

 

 改めてみても面倒な書面ね。思わず破りたくなるわ。…………冗談よ。

 

 

「悪いが、私にはさっぱりだ。お前たちに任せるよ」

 

「おいおい、新しい〝階層支配者〟がそれでどうする」

 

「……こういう頭を使うゲームは苦手なんだ。サラマンドラの時は謎解き専用の機関を設けていたんだが……」

 

「つまりは脳筋って事ね。脳筋」

 

 

 グサッと何かが刺さった音がした気がする。関係無いけど。サラはどうやら言い返す言葉もないようね……

 

 

「え、え、と……使えない人?」

 

 

 ザシュッ。

 

 雪羽……恐ろしい子。悪びれも無く、寧ろ純真無垢な顔でサラの何かを切り裂いていったわ……

 ま、脳筋さんは置いておきましょうか。

 

 

「それで十六夜君。これ、如何思う? 私としてはとても酷いものとしか思えないのだけれど……」

 

「同感だ。真実が答えでも……か。随分と残酷だな」

 

「「「え?」」」

 

 

 私と十六夜君はゲームの真相にお互い軽く納得し合った…………直後だった。

 店全体に突如として地鳴りが響き始めたのは。地震……にしては底からの揺れは感じられない。そしてさっきから触れないでいたけれど、何かが店の奥から来てるのよねぇ……。前に感じた規格外ではないのだけれど、厭に警報が頭の中に響く。

 

 

「リリちゃんッ」

 

「えっ? きゃ、きゃっ!!」

 

 

 私は念のためこの中で唯一万が一の対抗手段を持たないリリちゃんを、影で担ぎ上げた。同時に、店の奥の扉を充分に警戒する。

 

 

「な、何なんですか、一体……!」

 

「一つ、二つ……いや。もっとそれ以上……!」

 

 

 ……既視感かしら? いや、でも……永く生きていれば同じ事の一度や二度程度はザラにある。然ればこの感覚も不思議ではないかな?

 

 

「────来るわ!」

 

 

 ドゴンッ! と奥の扉が吹き飛ばされる。そして、そこには………………

 

 

「「「「────うわお」」」」

 

 

 思わず声が出たわ。あっ、阿吽の呼吸って正にこの事ね……

 

 ……うん。誰が、如何見ても。こげ艶やかな剛腕に脚。鍛え上げられ、その存在を大きく主張する胸筋、腹筋。極め付けは、その肌、鼠蹊部にピッチリと着こなされたブーメランパンツ。

…………〝マッチョ〟がそこには居た。

 よくよく見てみれば、球体関節が見受けられるから、きっと人形なのだろう。しかし、完成されたその造形美は、厭が応にも現物と作り物の差を曖昧にする。それ程の出来だった。

 私は思わず後座すった。。

 

 

「…………ムキッ!」

 

「ムキ!?」

 

「ムキ!!?」

 

「ムキって鳴いた!!? 今ムキって鳴いた!??」

 

「ちょっと落ち着きなさい貴女達。世界広しと言えど『マッチョ!』なんて鳴く生物は…………居るわね……」

 

「って居るのかよ!」

 

 

 居たわね確かに、詳細は省くけど。思えば、世界広しと言えどじゃなくて、世界広しと言えるからこそだったわ。

 因みに私は落ち着いてるわ。別段裸体や男の肉体美で赤面する質ではないもの。此処には居ないけど絵錬もね。まぁあの子は私以上に大丈夫だけれど。

 

 それであの暑苦しい人形共、さっきから鬱陶しいポーズをきめて――――

 

 

「…………マッチョ!」

 

「マッチョ!?」

 

「マッチョ!!?」

 

「マッチョって鳴いた!!? 今のは絶対にマッチョって鳴いた!!」

 

「……そうだな。今のは『マッチョ』って鳴いたな」

 

「こら。何匙投げてるのよ」

 

 

 十六夜君は対応を捨てた。私以外の女性陣は驚愕し慄いてる。そういえば雪羽は……器用ね、立ったまま気絶してるわ。まぁこの子には刺激が強すぎたかしらね。…………いっそこのまま置いていくというのも面白いかしら?

 

 マッチョ共と暫しの膠着状態。女性陣は宛にならないし(取り敢えず雪羽はリリちゃんと一緒に担いどく)……どうしたものか。と考えている直後、先に動いたのは――――マッチョ共だった。

 

 

「――――雄々オオオオオオオオオォォォォォォ!!!」

 

『きゃあああああああああああああああッッッ!!?』

 

 

 これぞ雄叫び! を上げて猛然と駆け出すマッチョ共。同時にそれに伴い負けじと響く女性陣の叫び声。サラに至っては既に店外へと逃げ果せていた。全くあの脳筋ったら……こういう時こそ貴女の出番でしょうが。

 

 私達は扉へ向かって走り出した。正直なところ、此処でまとめて(勿体ないけれど)消した方が楽。だけど……

 

 

「キ、キモイ!キモイわ!!」

 

「ない、アレはないっ」

 

「え、影禍様ぁ! 早く、早く逃げてくださああああい!!?」

 

「…………」

 

 

 ……見ての通り、うちの女性陣は見事に気圧されてる。春日部さんですら軽く取り乱してる程だから、分かるわよね? という訳で、私達は入ってきた扉へと全力で駆け出した。

 すると十六夜君がボソリと、

 

 

「……一体欲しいな」

 

何て呟くものだから、

 

 

「あら、それも一考ね」

 

 

私も同意────

 

 

「やめて!」

 

「ヤメテっ」

 

「い、十六夜様! 影禍様も! やめて下さい! お願いですからぁ!?」

 

 

 ────どうあっても断固拒否らしい。

 

 私達はそのまま断崖の入り口まで戻ることとなった。途中で影も引かせたけれど、どうやら此処までは追って来ないようね……出てこられたら大騒ぎになるけど。

 結局、ゲームはそのまま……と言っても、解答は既に見えてる。その点は雪羽が起きれば万事解決する。

 しかし、以前奥に居た筈の強大な存在。これが唯一の懸念事項となっている以上は、そう易々と通る事も出来ないかもしれないわね。ま、やっぱり私達には関係ないかしら、慢心してる訳じゃなくて、本当に…………フフフ────

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 バタンッ! と、閉まる扉を背に私は目の前に聳える影を見つめてます。

 そして、次の瞬間にはその影は床に這い戻るかの如く消えていきまして、先程現れました品に欠ける人形達が一斉に向かってきました。

 

 うん? どうやら能力を解いてしまったせいで標的にされてしまったみたいですねぇ。

 

 

「キ、キモッ……!」

 

「あらあらぁ? いくら肉体美を追究した作り物と言えど、品性を疑いますよぉ?」

 

 

 人形達との距離はもう残り数m。まず逃げられる距離ではありませんし、巻き込まれれば私も辺りの展示品同様、悲惨な目に会うのでしょう――――

 

 

「まぁ~……それが私ではなければの話、ですけれど」

 

 

 ――グシャッ! バキッ! ――

 

 

 混沌と荒れに荒れた店内に、何かが潰れた、折れた、ひしゃげた音が複数響き渡る。私はただ、歩いているだけ。ですけど、私に触れようと、または掠りでもした人形の皆さんは例外なく……腕が吹き飛び、胴が弾け、頭部が吹き飛び、足が弾け……

 

気付けば、そこに広がるのは無惨な姿をしたガラクタだけでした。

 

 

「ふふっ、なんて脆いのでしょうか。張り合いが無いですねぇ」

 

「……ヨウシャ、ナイ」

 

「んー? ……何一人だけ安全な場所に避難しているのですかぁ?」

 

 

 私の連れは、どうやら何時の間にか天井に避難していたようで。全く……私は猛り迫る獣共に囲まれていたというのに……

 

 

「シンパイスルダケ、ソン」

 

「むぅ……酷いですね。私だって女性としての尊厳は有るのですよぉ?」

 

「……プフッ…………アッ……」

 

 

 ………。笑いました? 今この子笑いましたよね? ふふ、少しコロs……捻ってあげないといけませんね。

 

 

「ァ……ソ、ソノッ……」

 

「……ふふ。頭だけは勘弁してあげます」

 

「シンジャウ!?」

 

「さぁ、さてと。そんな事「ソンナコト?!」は置いておき……」

 

 

 流石に此処をこのままにしておくのも可哀想ですし――――私は辺りを一瞥し、一度だけ、軽く指を鳴らす。

 すると如何でしょう。荒廃と荒れ果てていた店内は、時間が巻き戻されたかのようにその姿を最初の、きらびやかで豪華な光景へと徐々に戻していきました。

 因みに人形は消しました……というよりは還って貰いました。また出てこられては面倒ですから。

 

 

「ふぅ。それでは、此処には暫く用はないですし……暫し――――てもらいましょうか」

 

「ウゥ……グスンッ……」

 

 

 そのまま、私は能力を行使。二人とも姿を消しました。

 

 えぇ。姿()()消しました。

 だから、店主さんの席に座っていた金髪のお人形さんが、驚愕に顔色を変えるのもバッチリなのですよぉ。

 

 さ、次は誰が此処を訪れるでしょうかぁ? ふふふ……――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




因みにこの回、さっさと終わらせるつもり。
ディーンの強化とかは……多分影禍達が何とかしてくれます、多分!
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