記録者達が異世界から来るそうですよ?【削除&改訂予定】   作:白結雪羽

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さあやって来た! 問題児の中でも(多分)最凶の一つ!
原作では上手く退けられたが、此処では……

ってなわけで、どうぞっ!


約束します、貴女が求めた永久を

「うーん……」

 

 

 マッチョ人形の大群に追われるという悪夢から数刻。夜も遅くなりつつある中、収穫祭を直前に控えている前夜祭はその賑わいを治めることはなかった。寧ろ、夜は夜の活気というものに道溢れている。

 

 

「やっぱり、あのブローチが一番可愛かったなぁ……」

 

 

 だがその一角。そこには立ち入り禁止との立看板があり、その前でリリは妙に覚悟を決めた目でその奥を見つめていた。

 そう。彼女は翌日の晩。つまり今、再びあの店へと行こうとしているのだ。というのも、あの後黒ウサギへのプレゼントを必死に探したが、中々見合ったものが無かったためこうして戻ってきてしまった、という訳だ。

 

 しかし、彼女は後一歩の決意が足りていない。なにせ、何度も言うがあの悪夢の様な光景に遭遇してしまうかもしれない……しかも今回は影禍達は居ない。

 

 

「せめてあのブローチだけでも買えないかなぁ……」

 

 

 そう呟き腕を組んでみるリリ。そうして何が変わるのかというと……まぁ変わるはずもない。彼女に足りないもの……それは後一押しでどうにかなりそう…………

 

 

――それはフラグ――

 

 

「「暴れ牛(馬)だああああああああああああ!!!」」

 

「――――え?」

 

 

 正にフラグ。そして二度ある事は三度あるとは言う。

 リリは前々、前回同様見事に吹っ飛ばされ、亀裂の中へと入り込んだ。

 何はともあれ、無事? に一押しは、神様の悪戯によって為されたのだった。

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

「あらぁ? この前の狐ちゃんね……まさか、一人で来たの?」

 

 

 先程……と言っても丸一日経ちますけどね。私達は結局、お店で一朝一昼を過ごしました。あ、連れの子にはご飯の買い出しに行って貰いましたから空腹については問題ないです。

 ……いい加減正体を明かしたら? なんて苦言が呟かれてそうですけれど、私達は私達の都合で動きますので~。

 

 

「……イマハ、キケン。オイカエス?」

 

「まぁ……良いでしょう。いざという時は私が()()()()から」

 

「カテルノ……?」

 

「……ふふ……。倒せないなら倒せるようにする。触れられないのなら触れられるように、見えないのなら見えるように――――()()()()()()()()()()ですよぉ?」

 

「ソウダッタ」

 

 

 む、何故呆れたように投げやりに……。

 

 私達がそのような事をしているうちに、狐ちゃんは例のお人形さんが座っている椅子……その横にあるテーブルの近くまで移動していました。腰の二尾が忙しなく動いていてとても微笑ましいのですねぇ……ではなく。恐らく目的の物が見付かったのでしょう。ただ何やら考え込んでいる様子。きっと、お金が足りないのですね~。

 

 ――――すると突然、狐ちゃんの横に座っている人形が、動き出しました。それは先程の無機質とは違い有機的、生きているという胎動がよく感じられます。

 

 ふぅむ……少し傍観してましょうか。

 

 

「――――ええと……貴女がこのゲームの主催者ですか?」

 

 

 違いますねぇ。強いて言うなら〝鍵〟ですか……

 

 

「違います。私はゲームの進行役であり、この館の主。名を〝コッペリア〟と申します。お客様を歓待する為に此方の席でお待ちしておりました。……あと、館の中ではお静かにお願いします」

 

 

 昨日はあれだけ騒がしかったのに……それで良いのですか館主さん?

 

 

「……! ……お人形さん?」

 

「はい。その通りですよ、フォックス」

 

「わぁ……! こんな綺麗なお人形さん、初めて見ました!」

 

 

 うーん……あの筋骨隆々とした人形達も芸術面では負けていない気も…………いや、止めておきましょう。あのお人形さんが可哀想です。

 

 その時、ふと私の裾をが引かれました。そっちを振り返ってみると、連れが深刻な顔で……

 

 

「……オナカスイタ……」

 

「空気を読んでください。厭に深刻な表情をしているものですから、私が察知できない危険事でもあったものだと思いましたよ……」

 

「ダイショウブ。キケン、ナノハ……オクノ〝アレ〟。ダカラ、ゴハン……」

 

「空腹はあと五年程お待ちくださーい」

 

「……ゴ、ゴハン……」

 

「あと十年」

 

「…………オニ、キチク……」

 

「ん~? 何か言いましたかぁ?」

 

「ッ……キ、キノセイ……」

 

 

 全くもぅ…………お腹が空いてるのなら、外の土塊でもあげましょうか~? 以外と栄養あるんですよ? それが嫌ならぁ、あの時に還してあげたマッチョさん達を詰め込んであげましょうかぁ……お肉じゃないですけれど~……ふふふっ。

 

 私は視線を狐ちゃんとお人形さんに戻しました。すると、どうにも様子が変です。

 お人形さんが人造の体を抱きしめて顔を真っ青にしてます。少し話を聞きそびれている間に一体何が……?

 

 

「――――棄てられたから…………です。他ならぬ、私を作ろうとした父に」

 

「…………え?」

 

 

 悲愴に顔を歪めてお人形さんはそう言いました。狐ちゃんも不意を衝かれてしまったようです。

 父親に棄てられた……私には一生分からない感覚ですねぇ。それでいて……随分とまぁ……愁傷な(嬉々たる)事です。

 

 それにしても、この世界はとても異世界チックですねぇ、今更ですけど。

 外には妖精っぽい小さい子共、人型の獣、はたまた獣の特徴を宿した人、動く人形。他にも沢山居ました。その上彼らの一部、その正体というのも……面白いです。

 伝説・伝承、逸話、夢幻…………差し詰め、お伽の庭ですかぁ? 中々如何して、愉快ではないですかぁ~。

 

 ……コホンッ、すみません。少し浮かれてしまいました。反省です……。

 

 

「―――父の愛が、私の唯一の存在理由でした。しかしその愛を失ったのです。……いいえ、そんなものはきっと初めから無かったのでしょう。私に群がった父が本当に欲しかったのは、そこにある付加価値でしかなかった。なのに逆上せ上がった私は人類に求められていると錯覚を抱いたまま、私を完成してくれる人を待ち続けています。

そ?な運命の人など――――来る筈も、ないのに…………!!」

 

 

 打ち明ける人も居なかったであろうお人形さんは、溜まっていた思いを吐き出すように叫びました。涙を流し、信じた父を、自分に向かってくれる人を、一心に願って尚、待ち続けている、と…………

 

 

「ここまで来ると同情もしますねぇ…………同情できる心は持ち合わせていませんが」

 

「「っ!?」」

 

「アッ。エッ? ……ナンデ?」

 

 

 私は適用していました力を解き、二人の前に姿を現しました。当然ながら二人は大層驚かれました。

 あのですねぇ、私もあのような表情で哀しい素性を語られてしまっては、どうにかしたくなってしまうのですよぉ。ですので、ついつい出てきちゃいましたっ。

 

 

「突然とすみません。それと、こんばんわ」

 

「ぁ、え? あ、は、はい! こ、こんばんわ……?」

 

「貴女は……!」

 

「? ……あぁ。あの時はお店を荒らしてしまってすみません。その点は確りと元に戻しましたので、お咎めは無しにしてもらえませんかぁ?」

 

 

 律儀に挨拶を返す狐ちゃんはいいとして、お人形さんは私の登場と雰囲気に困惑気味の様子です。

 

 

「……何時からそこに?」

 

「ん、ずぅっと。昨日から居ましたよぉ?」

 

「っ、そんな筈はッ…………いえ。それが貴女の恩恵(ギフト)ですか……」

 

「(ギフト? ……力の事でしょうか?)まぁそれはそうと……狐ちゃん」

 

「……へ? 狐ちゃんって……わ、私ですか?」

 

 

 キョトンとする狐ちゃん……可愛いです。

 

 

「そうです。一つ聞きたいのですが……あ。私、先程の話は全て聞かせて貰いましたので……そこから。狐ちゃんは……このお人形さんの話、如何思いましたかぁ?」

 

「えっ。…………可哀想」

 

「それは如何して? ただの同情?」

 

「……分かり、ません……。でも、ほっとくなんて出来ない……!」

 

「解放してあげたい? 彼女を」

 

「――――え?」

 

「っ。は、はいっ……!」

 

 

 うん。子供らしくて宜しい。素直で純粋な気持ちは、拙いながらもちゃんと聞き入れました。

 

 

「ま、待ってくださいフォックス! 貴女も……! 私を解放するなんて……つまりは私を完成させるということ! そんな事…………っ!」

 

「不可能? いいえ。出来ますよ。絶対に、断言しても良いですよぉ? 人類が諦めた〝永久〟、少しズルしちゃいますけど、必ず完成させてあげます」

 

「っ……」

 

 

 私は少々真剣な表情で言わせてもらう。お人形さんはこの気迫に言葉を飲み込んでしまったようです。ですけど、その目はまだ悲哀に満ちてますね…………なるほど。奥にいる方が邪魔なのですね? それならぁ――――

 

 

「――――わっ……!」

 

「――――きゃっ……! な、何をするのですか!?」

 

 

 私は連れに目配せをしました。すると、意図を察してくれたのか(溜め息を疲れましたけれど)、外套の隙間から紺色の触手を伸ばし二人を持ち上げました。

突然の事に驚く二人ですが、そんな二人を余所に私達は出口へと歩き始めます。

 すると、思っていた通り、お人形さんは血相を変えて、

 

 

「だ、駄目です! 私を外へ連れ出しては……!! アレが……アレが来てしまう!!」

 

「……コッペちゃん?」

 

 

――風が。可視出来る不自然な風が、店内を……お人形さんの側を翔けた――

 

 

「ッ!! 貴女ッ、フォックスを連れて早く逃げてください!」

 

「え……?」

 

「奴が…………〝退廃の風〟が来る――――!!!」

 

 

 次の刹那。煌々と、黄金に輝くこの館に――――鈍色の災厄(哀れな獲物)が、その姿を現しました。

そして、それをを捉えた私は……薄く、愉しそうに、ゆったりと、冷酷に……笑みを浮かべました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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