記録者達が異世界から来るそうですよ?【削除&改訂予定】   作:白結雪羽

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ちょっと無理矢理、駆け足ですが、これにてリリのお使い編終了。
自分で考えといてなんですが、雪羽が万能すぎて色々原作フラグを圧し折ってしますね……


あっけない幕引き

 

 

 

――嫌な予感がするわ――

 

 物騒な世界に身を投じている以上は必ずと言って良い程感じてきたこの感覚。今回に限っては……ベクトルが少々違う。

具体的に言うのなら…………私達(私と雪羽、絵錬)にだけ厄が回ってくるような、そんな感じ。十六夜君達には一切、とまではいかないにしても殆ど回ってこないであろう厄。

 

 急にごめんなさいね、こんな話を切り出して。と言うのも……

 

 

「雪羽……何時までも怯えてるんじゃないの。逝くわよ」

 

「ゃ、やだっ! って今の字が違うと思うのは私の気のせい!?」

 

「…………気のせいよ」

 

「不自然に間があった! っ、いやあぁあああ!!?」

 

「五月蝿いぞ白黒姉妹。……行かなくて良いのか?

 

「そう言うならっ、この頑固者を動かすのを手伝いなさいッ」

 

 

 この通り、今回のゲームをクリアする為のキーウーマンである雪羽が頑なに動こうとしないの。昨日は〝アレ〟に遭遇して気持ちは同じ女系観点から言えば分からなくもない。その点は十六夜君もいるし、安心しなさいと諭してあげた。

 けれど、雪羽の懸念はそれだけではないみたい。そして、その懸念は私もさっきから感じてる。これが嫌な予感って事。

今あそこにいったら悲惨で面倒な目に遭う、そう私の予感は告げているの。

 

 

「ったく。お嬢様と春日部に任せたはいいが、鍵が無いんじゃ……すぐにでも戻ってくるか?」

 

「……貴方、それを分かってて白雪も含めて行かせたの……?」

 

「いんや。あいつら自身で出した解を邪魔するのは、無粋だろ?」

 

「敢えて解を教えてない時点で無粋も何もあったものじゃないわよ」

 

 

 まぁ……私も、奥にいた〝アレ〟につては話してないのだけれど……飛鳥さん達、大丈夫かしら?…………仕方ないわね、

 

 

「ん? 行くのか?」

 

「えぇ。――――十六夜君、貴方も来なさい。もしかしたら、面白いものが見れるかもしれないわ」

 

「へぇ……? そう言うからには、それなりのものを期待して良いんだな?」

 

「それはもう。序でに、見てみたいでしょう? 人類が辿り着けなかった〝永久機関〟、その誕生の瞬間に」

 

「あぁ、是非立ち合いたいな」

 

「それじゃぁ……この子の事、宜しくねぇ。抵抗するようなら服を引ん剥いてでも連れ出して」

 

「…………ふぇ?」

 

 

 雪羽がビクッと方を揺らし、ギギギと後ろをゆっくり振り向いた。そこには勿論……不気味に笑う私と、軽快そうに笑みを浮かべた十六夜君。

 

 

「ひ、ひぃ!? ま、待ってよ!! 私はッ……って、キャッ!? い、嫌ッ! 嫌ですぅッ!!あ、あぁあああッ……い、い、嫌だあああぁぁぁ!! 下ろしてーーーー!!?」

 

 

 バタバタ暴れ、ギャーギャー悲鳴を上げる雪羽は無視。私達はそのまま間借りしていた主賓室を後にして、黄金の館へと向かうのだった。

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 黄金の館は、その成りを大きく変貌させ、まさに退廃してしまいました。彼の鈍色の風が吹き荒れれば、輝きは瞬く間に喰われてしまってます。

 

――退廃の風――

 

 成る程。あらゆる有形無形を……それこそ神、概念すら喰らい尽くす無貌の天災。……ふふ、良いですねぇ、愉快ですねぇ~。

 

 

「は、早く! 逃げてください!」

 

 

 お人形さんが再び、私達に逃げるよう促しました。しかし、相手は不定形の風を姿に持つ天災。その上、それはすでに目の前にまで迫ってきています。まず避けられませんね……

 私はスッ、と体を三人を背にする形で退廃に対峙し――――

 

 

「――――伏せて!!」

 

「……あらぁ?」

 

 

 ────出来ませんでした。

 私と退廃を遮るように入ってきたものは閃光を放つ光翼。そして、それを奏します素朴な少女。よぉく見てみると、影禍達と一緒に居た女の子でした。

 

 

「な……〝退廃の風〟を……!? 一体誰が……?!」

 

「飛鳥、四人をお願い! 白雪さんは援護して!」

 

「心得た!」

 

 

 あらぁ? 淡々と見せ場が取られてしまいましたねぇ…………全く、

 

 

「飛鳥様! 耀様! それに白雪姫様まで! どうしてこの館に、」

 

「それは私達の台詞よ! どうしてリリがこの館に居るの!? 危ないから近づいては駄目と────」

 

「キャッ!?」

 

「ぬぁッ!?」

 

「「────え?」」

 

「〝リンネ〟、ナイスです~」

 

 

 連れ────リンネの触手に足を掴まれた二人の女の子を後ろの三人へと投げ飛ばしてもらい、私達は今度こそ退廃と対峙しました。人の邪魔をするなんて、頂けたものでは有りませんからねぇ?

 案の定ですが、新しく訪れた三人はこちらを見て目を丸くし……同時に警戒をしてくれました。まぁ、いきなり投げ飛ばされればその反応も当然と言えましょう。

 と、そんな事よりも。今はこっちです。

 

 

「リンネ、序です。ちょっとアレを拘束できませんかぁ?」

 

「…………ワカッタ」

 

 

 私の指示に従って、リンネは懐から各側面に連結部の形状の様な物の付いた手を無数に、目の前の災厄へと伸ばしていった。その手は、縦横無尽に空中に球を描き、やがて退廃を囲うように連結部が噛みあい、一寸の隙間も無く閉じこめた。

 しかし、流石は退廃の名を冠するソレ。見る見るうちに拘束は脆く崩れていきまして、リンネは慌ててその部分を切り離しました。が、反撃を止める為にも次から次へ、多種多様な形状の手を伸ばしては切り離してます……

 

 ふと、後ろからその光景をみていた一人の女の子が、先程のお人形さん同様血相を変えて叫びました。

 

 

「なっ…… あれは、〝退廃の風〟か!? くッ、何故このような場所に奴が巣食っておるのだ?!」

 

「……〝退廃の風〟?」

 

「あの化け物の名だ! この箱庭で数多の名を持つ天災の代名詞! 〝徘徊する終末論(ラスト・デカダンス)〟! 〝最果ての暴君(グリード・クラウン)〟! 〝共食いの魔王〟! 神仏の、生命の、星々の輝きを喰らう生粋の魔王……それがあの風の正体だッ!!」

 

 

 はい、説明ありがとうございますねぇ~。別にそういう事は関係ないですからぁ。私の……私()にとっての脅威は────〝   (■■■■)〟を脅かせるか如何かですから…………あの程度の暴虐、恐るるに足りません。

 私は一歩と、足を踏み出す。

 

 

「ッ、ば、馬鹿者!! 自ら向かっていくとは正気か!? あれに触れれば最期、恩恵、霊格問わずに磨り潰されるぞ!!?」

 

 

 私の歩みと同時、リンネは最後の触手を切り離すと共に後方……女の子達の目の前まで飛び退く。そして、私と後ろの方々諸共飲み込もうと鈍の風が猛り襲い────

 

 

「ふふ。アナタの悲鳴は…………如何かしらぁッ!」

 

 

────来る間も与えられず、館の壁に()()()()()()()()()。心なしか苦悶の様子が垣間見えた気がしましたねぇ。

 

 

「「な……!? 退廃の風を、退けた……!?」」

 

 

 ……貴女達、驚いてばかりですねぇ。そろそろ表現が一辺倒になってきてるんですからぁ、もう少し適当な反応というものを……

 

 

「っと。危ない」

 

 

 退廃が狙いを完全に私に絞りましたね。それと動きに憤りが混ざってきました……まぁアナタのような存在、触れられる事はおろか、弾き飛ばされるなんて経験は無いでしょうから。

 

 トンッと軽く床を蹴る。たったそれだけで私は退廃との距離を一瞬で詰め寄り、そして、

 

 

「急いでいますのでぇ……コレでお終いです」

 

 

触れれば滅びを与える鈍の風にそっと、撫でるように触れる。ただそれだけ。それだけの動作で〝退廃の風〟は、目の前の輝きを、もしかしたら臨めたであろう未知の輝きを拝むことも出来ずに────跡形も無く、この館……否、この世界から音も無く消滅しました。

 

 私は、静かに床に降り立ち、唖然とこちらを見ているお人形さんに歩み寄りました。

 

 

「ふふ……お人形さん。貴女を縛る災厄は消えましたよ? さ、今度は貴女と、狐ちゃんの意思を叶える番です」

 

「そんな……まさかッ……退廃の風を…………天災と名を馳せる魔王を、本当に屠ったのか……!?」

 

「ん~? えぇ。えぇと……蛇さん? 本当ですよぉ。ちょこっと世界に顕在するための因子を弄れば造作も無いですから」

 

 

 因子。世界に存在するあらゆる森羅万象を構成する情報体。分かりやすく言うのであれば、〝設定〟でしょうかねぇ~。まぁ直に分かる時が来ますよ。

 

 私は爪先で軽くタップをし、以前と同じように荒れ果てた店内を元通りにしました。最早彼女達は驚きで声も出ない様子。

 その時不図、此処へ近づくよく知る気配を二つ、感じました。丁度良かったです、これから向かおうとしていましたから……

 そして、ゆっくりと開かれる扉。そこには私の────

 

 

「あら? ……ごめんなさいね十六夜君。どうやら終わってしまったみたい」

 

「おい。それじゃあ一つ損してるじゃねえか」

 

「まあそんなに不機嫌にならないで」

 

 

 入ってきたのは昨日の乱暴そうな少年と影禍。それと如何したのか涙目で担がれてる雪羽。そんな彼らに私は、

 

 

「あらぁ久しぶりですね~。影禍、雪羽」

 

「…………えぇ、久しぶりね。〝砂羅〟姉さん」

 

「うぅ……ひ、久しぶりです……砂羅お姉ちゃん」

 

 

 被っていたフードを上げ、微笑みかけながら数十年ぶりの挨拶。影禍は不機嫌極まりない表情で、雪羽も変わらずの嗜虐心くすぐる表情で、それぞれ返事をした。

 

 

「「…………はい?」」

 

「またか……とんでも姉妹だなお前ら。何だ、あと4人くらい出てきても驚かないぞ?」

 

「大丈夫よ……あと一人だから」

 

「ナニガダイジョウブナノカ……」

 

 

 さて、先ずは他の皆さんへの挨拶・事情説明からですね。

 

「────ではぁ、改めて。初めまして皆さん。〝白結(しらゆい) 砂羅(さら)〟と申します。妹達が大変お世話になってます~」

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

「詰まりなんだ? 俺達はまた良いとこ取りされた訳だ」

 

「不完全燃焼とはよく言ったものね」

 

「……見返りを要求する」

 

 

 口々に不平不満を示す問題児三人組。それはそうだ。何せ〝火龍誕生祭〟、〝アンダーウッドの古龍〟、そして今回の退廃とコッペリア。最後は全て彼女ら姉妹が解決してしまったのだから。

 無論、箱庭の則りで言えば、彼女らを勝る事の出来ない三人の役不足。ややお門違いも否めない……のだが、則りと感情は全くの別物。彼らが納得できるはずも無い。

 

 

「随分と滅茶苦茶ね。そんなに見返りが欲しいのなら、うちの雪羽をあげるわよ?」

 

「影禍お姉ちゃん!? それはおかしいと思うよ!?」

 

「もしくはぁ~、何か規制でも設けますかぁ? 例えばぁ……能力。えぇと、ここでは恩恵(ギフト)でしたか? を制限するとか~……枷を外さないとか~」

 

「要は手加減されるって事ね? そんなの御免よ。手抜きされて得る勝利なんて情けない、惨めにも程があるわ」

 

「「同感」」

 

 

 分かってはいたがこれにも納得はしない。

 

 と、そこでやや忘れ去られていたリリが慌てたように話しに割ってきた。

 

 

「あ、あの! 砂羅……様。その、コッペちゃんは……」

 

「ん~? あぁ、すみません────雪羽~」

 

「(ビクッ)わ、分かった……!」

 

 

 先に砂羅に指示されていた雪羽と砂羅は、疑問符を浮かべるコッペリアに近づいて、雪羽は手を彼女に翳し、砂羅は彼女の頭に手を置く。すると、二人の手に白い光が淡く照り出した。

 そして、皆が固唾を呑んで見守る…………事も無く。ほんの2、3秒で二人は力を抜いて告げた。

 

 

「はい、終わりました。これでギフトゲームはクリアになった筈です」

 

「…………は?」

 

「「…………?」」

 

「……おい影禍。変わったって事は分かるが……地味だ」

 

「我慢なさい。派手に創っても仕方が無いでしょう? 」

 

 

 コッペリアは思わず呆け、飛鳥と耀は首をかしげ、十六夜は不満を洩らした。それ程に、地味であっさりとっしていた。そして、次の瞬間。コッペリアの手に持たれた契約書類が眩く輝き、一枚の大きな旗となった。 

 真っ赤な生地に、重なり合った歯車と幻想を孕んだ蕾の刻印。今此処に、コミュニティ〝ラスト・エンブリオ〟が誕生したのだった。

 

 

「物の数秒秒で到達する人類の夢、ですかぁ~……安いですねぇ~」

 

「いや、貴女がやったのでしょう!? えっ、というより……今のでゲームクリアなの?」

 

「クリア条件は第三永久機関の……完成。…………雪羽?」

 

「あ、そ、そのぉ……。第三永久機関、って……珍しいものなんですか?」

 

 

 雪羽の無垢で悪びれも無い言葉に問題児三人組及び箱庭勢唖然。

 彼女が言っている事は詰まり……永久機関って普通でしょ? という事だ。言ってしまうと、雪羽は既に数多くの永久機関を搭載した逸品を創造しているのだ。その全ては今では廃棄済みだが……

 因みに、雪羽に頼れなかった場合の解決策としては、飛鳥の所有するディーンの神珍鉄を使用すればいけないことも無かった。まぁもしもの話である。

 

 暫く固まっていた一同だが、何はともあれゲームクリア。コッペリアは実感が湧かないものの、己の内に生まれた永久に輝きを実感し、孕んでいた憂いはすっかりと消えていた。リリもそんな彼女に喜びを感じ祝福した。

 その後、一応祝いの祝勝会を開く事になり、次の晩は大いに盛り上がることとなった。

 その際、コッペリアと十六夜が腕試しを兼ね軽く衝突したり、影禍が飛鳥のディーンを改造してみたらと強化フラグを立てたり、耀がリンネに前夜の憂さ晴らしをしたりetc......あったが、ここで語る事もあるまい。

 

 全ては円満に、終わりよければ全てよし。納得できなくとも理解しろってことで、〝人類最終試練(ラスト・エンブリオ)〟これにて終幕とさせていただきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 余談だが、コッペリアは雪羽の力と砂羅の力で完成された訳で。内包する力だけなら箱庭4桁……3桁クラス以上に相当することとなったのはまた別の話し。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最後に申し訳程度にディーン強化フラグ。ル○オ○君の出番は犠牲となったのか……
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