記録者達が異世界から来るそうですよ?【削除&改訂予定】   作:白結雪羽

65 / 90
うむ、全く進まん。そして切り方も上手くいかん。


混沌祭-その弐-

 

 狩猟際を終えた雪羽・砂羅・飛鳥・耀・ガロロの五人は露店の建ち並ぶ通りを歩いていた。

 あの後、収穫祭の結果は〝ウィル・オ・ウィスプ〟が優勝間違いなしとガロロは思っていたのだが、砂羅という思わぬ援護者の登場で結果は〝六本傷〟が出し抜く事となった。やはり規格外は一人居るだけでも大いに結果は変わってくるようだ。

 

 だがまあ、飛鳥と耀は少し納得がいっていない様で、やや不機嫌になっていた。というのも、彼女らは制約をガロロから受けた事により本来の力を十全に出し切ることが出来なかったからだ。もし彼女らが全力の本気で掛かっていたら砂羅なしでも優勝は狙えた事だろう。

 詰まる所、二人は悔しいのだ。しかし、その点は、前階層支配者・ドラゴ=グライフの参謀を務めていたガロロに諭され、一応気持ちを鎮められた。

 

 因みにこの間、雪羽は申し訳無さそうに二人に謝罪を一定間毎に述べていたのはご愛嬌ってやつだ。砂羅はというと……そんなの知らぬ存ぜぬといった感じで、ガロロに奢って貰った焼き鳥を堪能していた。彼女からしたら、二人の事情など二の次にも入っていない関係の無い事。そもそもガロロという自分よりも口が上手な人が居た為、口を出す必要もないだろうと思い静観していた。

 

 

「本当、本当にすみません……」

 

「もういいわよ雪羽ちゃん。貴女は別に参加したくてしてた訳では無いんでしょう?」

 

「そ、そうですけど……」

 

「なら良いじゃない。結局は私達の力不足でしか無かったって事よ……」

 

 

 最早軽く投げやりに言う飛鳥。そんな彼女の右手には〝六本傷〟から贈られたガントレットの形を持ったギフトが装飾されていた。

 すると、そこで焼き鳥を食べ終えた砂羅が会話に入ってくる。

 

 

「ところで、飛鳥さんのギフトは中々珍しいものですけれど……消耗が激しいのですよね?」

 

「ええ。……フフ、折角皆に負けない程の力を手にしたと思ったのに、それが散財しないと満足に行使できないなんて………本当、皮肉だわ」

 

「う~ん……。その点何ですけどぉ、雪羽には頼まないのですかぁ? 雪羽なら貴女の力に確り耐えられる物を創る事が出来るでしょう?」

 

「……それだと、結局私は誰かに頼りっぱなしって事。勿論、私の力は元々他の媒介を踏まないといけないようなものよ? でも……それとこれとはまた、違ってくるでしょう?」

 

「………。まぁ、私が態々口を挟むのはいらぬ気遣いでしたね」

 

 

 結構早々と話がついた模様。砂羅はもうその話題は置いておきましょうという事で、話を半ば無理矢理な感じで締めた。

 その後、四人は折角露店の飲食品がただなのだからと食べ歩きをする事になった。その際、耀と雪羽は飛鳥が軽く呆けてしまう程の、量を持ってきたのだが、それは相変わらずのご愛嬌。砂羅はそれを微笑ましそうに見ていた。

 

 暫く……と言っても二、三分。途中十六夜のヘッドホンの話題が浮上したり、それに関して耀が意気込みを表明したりとしてた────その時だった。不図、耀がパイを半齧りにしたまま露店の脇の方をジッと見つめだしたのだ。それは砂羅も同じようだった。そんな二人に飛鳥と雪羽は首を傾げ、

 

 

「春日部さん? 砂羅さん? どうかしたの?」

 

「お姉ちゃん?」

 

 

 その疑問には、耀が直ぐに答えた。

 

 

「……飛鳥、雪羽。アレ、何?」

 

「「え?」」

 

 

 二人とも、耀が指差す方向を見た。見て────(バチィン!)

 

 

「きゃ!?」

 

「ぴゃあ!!?」

 

「あ、飛鳥さん!?」

 

「あ、飛鳥!」

 

 

────飛鳥の額に、拳大の何かが思いっきり衝突した。思わず仰け反る飛鳥に、雪羽と耀は慌てて駆け寄る。その間、砂羅はその衝突した何かを摘んで持ち上げた。

 

 

「あらあらぁ、可愛い妖精さんねぇ~」

 

 

 砂羅が摘んだそれは、妖精…………ではなくて精霊だった。大きさ的にはメルンより少し小さいサイズだろう。今は、ぶつかった衝撃でグルグルと大きな一つ目を回している。非常に可愛らしい。

 

 

「お姉ちゃん………それって、精霊?」

 

「あらぁ、精霊なだったの? まぁどちらにしても可愛らしい子ね」

 

「………大きさ的にはメルンよりちょっと小さいね。これなら一口で食べれそう」

 

「そうね。…………食べる?」

 

「食べる!」

 

「たべちゃダ────ッ!?」

 

「お姉ちゃん!?」

 

 

 雪羽は思わず驚愕した。何と、砂羅は飛鳥の言い分と耀の冗談(かどうかは分からないが)に悪ノリ? して、精霊の制止も聞かずに口の中に放り込んだのだ。そりゃあ悲鳴も上げるだろう。

 だが、砂羅は直ぐ、丁寧に優しく中から精霊を出してあげた。不思議と唾液等は付いていないが、顔は蒼白でブルブルと震えている。と、その間、

 

 

「きゃぁあ!!?」

 

「ぴぎゃあ!!?」

 

「うにゃっ!!?」

 

「ふぎゃあ!!?」

 

「ざまぁあ♪」

 

 

 飛鳥及び、雪羽は再度精霊と衝突していた。順に、飛鳥→精霊→雪羽→精霊→精霊である。飛鳥は最初の一回、後の二回は雪羽のものだ。

 因みに、最後の精霊は悪意10割で雪羽の鼻先に飛び蹴りを咬ましていた。お陰で、飛鳥は軽く仰け反り額を抑える程度で済んでるが……雪羽は連打で尚且つ最後の蹴りもあり、背中から引っくり返ってしまってた。

 三匹の精霊達は、砂羅の指先でのびてる精霊を奪還すると、最後に飛鳥と雪羽を嘲笑うかのように姦しく騒いで何処かへと戸んで行ってしまった。耀はそれを呆然と見ている。

 

 

「な、何……? 同じ精霊が、四人……?」

 

「きっと郡体で一つの個、みたいな子達なのでは? それにしても……情けないですねぇ二人とも……」

 

 

 たかが精霊、されど精霊。どちらにせよ、砂羅は精霊達にやられっぱなしの二人に少し哀れな視線を向ける。

 

 すると、人混みの中から、砂羅以外に聞き覚えのある声が聞こえてきた。よくよく見てみれば、それは──サウザンドアイズの支店で何時も噛み付いてくる苦労人の女性店員だった。彼女は、息を切らしながら走って、耀達を見つけるや否や足を止め、

 

 

「はぁ…はぁ…………そ、そこのノーネームの貴女! この辺りに五人組の小さな郡体霊を見ませんでしたか!?赤紫のワンピースを着た少女型の!」

 

「え、あ………う、うん。み、見たけど……あれって、サウザンドアイズの精霊?」

 

「いえ、アレは精霊ではなくって………と、そんな事はどうでも良いのです! どちらに飛んで行きましたか!?」

 

「それでしたらぁ、其処の崖から下の方へ向かっていきましたよ?」

 

 

 瞬間、キッと視線をそちらへと向け、険しい焦燥感を隠そうともしない表情で耀を強引に引き寄せた。あまりに唐突だったので耀も混乱してしまってる。

 

 

「貴女、飛べましたよね? 直ぐに追いかけてください!」

 

「えぇっ……!? ちょ、ちょっと待っ、」

 

「春日部さん!」

 

 

 だが、耀の苦労はソレに留まらず……後ろから、復活した飛鳥が迫力の凄い表情、様子で静かに……だが、今までに無い位高圧的に告げた。

 

 

「………全員、捕まえましょう。一人残らず、ね」

 

「あ、飛鳥………そ、その……怖いよ? あと痛い」

 

「いいから、早く!」

 

 

 問答も聞かない。有無を言わせないとはこの事だろうか。耀は店員さんと飛鳥、二人に詰め寄られ腹を括るしかなかった。だがまあ、その際に砂羅にも救援の視線を向けておく。

 

 

「ん。私も、勿論お手伝いします。ほら、雪羽も。何時までも目を回して……みっともないですよぉ?」

 

「あふぁぇ~…………」

 

 

 仕方ないですねぇと、砂羅は雪羽を………耀一人では辛いだろうと、店員さんも一緒に担ぐ。そして、タンッタンッと二人は揃って、賑わう広場の上、崖から飛び立ったのだった。

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

「あははっ。ほらペストぉ、あ~ん」

 

「………。殴るわよ?」

 

「ヒドッ。良いじゃん、〝あ~ん〟ぐらい」

 

「そんな屈辱的な事するくらいなら食べない方がマシよ」

 

「そっかぁ…………はむっ」

 

「あッ、ちょ、ちょっと絵錬! それは私のよ! 返しなさいい!!」

 

「…………返して欲しいの?」

 

「変な想像するなッ!?」

 

 

 …………。さて、場面を雪羽達に戻そうかn(殴

 

 

 

 

 

 収穫祭・前夜祭終了のちょっと前辺りかな。橙に染まってた暮空もすっかり満点の星空とダークブルーの帳に覆われた頃、私とペストは昼間からぶっ通しで祭りを楽しんでいた。因みにさっきのはペストが相変わらずツンツンとしてて私の戯れを拒否ったところね。昼間からこんな感じなんだけど……そろそろ飽きてきた。もっと別の趣向でペストを弄り倒したいんだけど………

 

 

「────ん? お、凹凸コンビ。何だ、デートの途中か?」

 

 

 ふと、聞き慣れた声がしたから振り向いてみると、食料置き場の所で十六夜が何か料理をしてた。誰に当てて作っているのか知らないけど、随分と量が多いね………ま、いいや。

 

 

「おぉ十六夜~。うーん、まぁデートって言えばデートなのかなぁ? 形だけ見ればそうかも」

 

「何がデートよッ……それと十六夜。凹凸コンビって、どういう事か聞かせてもらえるかしらッ…………!?」

 

「どうって……ココだろ」

 

 

 そう言ってトントンと胸部の位置を指す十六夜。無論、ペストは顔を……耳まで真っ赤にして激昂した。

 

 

「殺すッ!!」

 

「まあまあペスト落ち着いて~。怒っても胸は大きくならないよぉ?」

 

 

 私は怒れるペストを抱きしめて落ち着かせようと試みる。するとペスト、何だか仇でも見るような目で私を睨んできた。…………折角だからもう少し強めに抱きしめてあげよっと。

 

 

「ほらほらぁ~、落ち着いてねぇペスト~。──で、十六夜は誰の料理をしてるの?」

 

「ん? あぁ、これか。これは「十六夜様ー! 絵錬様ー! ペスト様ー!」な、っと」

 

 

 後ろの方から健気な声が……まぁリリちゃんなんだけど。

 リリちゃんは嬉しそうに二尾をパタパタと揺らしながら走ってきた。どうやら手伝いが終わって、あとお小遣いを貰ってルンラン気分の所私達を見つけたらしい。折角なので撫でて置こうかな~。

 

 

「ん、く、くすぐったいです絵錬様」

 

「いやぁ~、最近ちっちゃい子を見ると何かホワ~ンってしてくるんだよねぇ」

 

「何だ、そっちの気にでも目覚めたか」

 

「うん~? 分かんないけど、これは私にとって新境地だよぉ……ってペスト? 何で震えて────あぐぁッ!?」

 

 

 私の顎にとてつもない衝撃が迸った。そのまま体を支えきれずに後ろに吹っ飛んじゃう。原因は……肩で息をしてこっちを睨むペスト、だと思う、多分。わ、私……悪いことでもした? ってこれ前にも聞いたなぁー……

 

 

「いやぁ、嫉妬の一撃ってのは重いのなー」

 

「あ゛あ゛!?」

 

「おぉ怖い怖い。触らぬ神に祟り無しってな」

 

 

 十六夜に手は出さずとも、それだけで人を逝かせる事が出来そうな位のガンを飛ばすペスト。リリちゃんがブルブル震えてるから止めて欲しいんだけど……との旨を伝えたら、お腹に重い一撃を貰った。私はまだ上体を軽く起しただけで、そこにペストの全体重が乗った肘かなり痛かった……。思わずお腹の中身全部リバースしそうになっちゃった……

 

 会場の篝火が一斉に消えたのは、そんな戯れをしている時だった。周りは一瞬にして静まり返り、次には舞台袖及び舞台を照らすように篝火が一斉に灯った。どうやら猛始まりの時間みたいだね────収穫祭が。

 舞台袖からは黒ウサギが出てきて、開催の音頭をとった。

 

 

「大変長らくお待たせいたしました! 此れより〝アンダーウッド〟の収穫祭を開催します! 進行は〝サウザンドアイズ〟の専属審判でお馴染み、黒ウサギがさせていただきます♪」

 

 

 ドッと、アンダーウッド中に歓声が轟く。遠くの人は連鎖的にかな、最終的には軽く空間がビリビリと振動するほどの盛り上がり具合となった。

 

 

「お、」

 

「きゃ………!」

 

「きゃっ! いたッ! あぐッ!! ~~ッ!?」

 

 

 と、何か歓声が合図だったみたいに、十六夜の持ってた肉袋がパンッて破裂して中から変なのが飛び出してきた。あれは……精霊? メルンよりはちっちゃいけど……。

 あ、あと、ペストがその精霊達と四回衝突して盛大にぶっ倒れた。というか三番目は顎で、四番目は鼻って、絶対狙ってるとしか思えないねぇ。

 十六夜とリリちゃんがポカーンと、私はノンビリ、ペストは倒れてる中その四精霊達は、ギャーギャーと奇声を上げたかと思うと人混みの奥に消えていっちゃった。一体何だったんだろう、アレ?

 

 だけど、そんな思考はものの数十秒後。愉快で粋な演出によって奥隅の方まで追い遣られてしまうの事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




さて、次はあのシーンなんだが……サラが顕在な以上やや変わってくる、かな?
まぁ頑張って辻褄は合わせていきたいなぁ、と思ってます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。