モンスターハンター 紫煙の狩人 第二回アンケート実施中   作:蜘蛛の意図

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紫苑の荼毘、憤怒の轟竜とついに対峙する

 

古代林の最奥部にあるエリア10。このエリアには無数の無数の菌類は繁殖しており大小関係なく多くのキノコが生えている。また、本来は小型の鳥竜種モンスターも多く生息しているが今ここにはただ一匹の『魔物』が息を荒げさせて佇んでいるだけだった。

 

『(ミツケタ……ツイニミツケタカモシレナイ……母サンヲ、殺シタカモシレナイヤツノ……ニオイ。アノ……クソッタレナニオイ)』

 

実のところその『魔物』には自分の母親を殺した犯人を特定するための要因が母の体を腐らせたあの液体の刺激臭以外何もなかったのである。それに近い臭いをしていたモンスターはあの後何体か殺したがどれもあの時の臭いのような衝撃はなかった。それに苛立ちこの森の物を片っ端から壊し始めたら今度はあの臭い近いものすらしないナルガクルガやドスマッカォの群れに襲われてしまった。いくつかの傷は負ったものの『魔物』は難なくそいつらの殲滅と撃退に成功したが、彼の苛立ちは、憎悪は、憤怒は際限なく高ぶっていった。

 

『(ドイツモ、コイツモ、……母サンノ……カタキウチノ……ジャマ………バカリシヤガッテ……!!………デモ、マァイイ。ヤット……アノ、ニオイニチカイノヲ、ミツケタンダ………!!!ゼッタイニ、ゼッタイニオイツメテオイツメテオイツメテオイツメテオイツメテオイツメテオイツメテオイツメテオイツメテオイツメテオイツメテオイツメテオイツメテオイツメテオイツメテオイツメテオイツメテオイツメテオイツメテオイツメテ…………………殺シテヤルっっっ!!!!!!!)』

 

ごぁあああああああああああああああああああああああああああああ!!!

 

世界が一瞬にして歪ませるような咆哮をを放ったその『魔物』、ティガレックスは生傷と血にまみれたその体を、筋肉を一気に膨張させ上部に向かって飛び立った。その衝撃はそこに生えていた超巨大キノコをなぎ倒し、エリアにある砦蟹シェンガオレンの脱皮膜とそれに付属する老山龍ラオシャンロンの頭蓋を軋ませた。

 

死を体現した狩人と怒り狂う原始の飛竜。その対決は、もう避けられない。

 

 

打って変わりエリア6。ナルガクルガを倒したシエン、テノア、ユカリはこの広大なフィールドで現在武器の調整や素材の剥ぎ取り等をしていた。

 

「いやぁテノアさん!!初めてとは思えないヘビィボウガン捌きだったにゃ!!とても、うろちょろ動きながら一回一回掛け声して、弾丸撃っていた乱造ハンターとはとても思えなかったにゃー!!」

 

「いやぁ、それほどでもーーーあっちゃうのかなぁ?!ハハハ!!……あ・と・後半のやつもう一回言ったらギルドナイトにつかまる覚悟であんたに拡散弾撃つからね?!」

 

「ぎにゃぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

引きつったような笑みをしながらユカリのほっぺを伸ばし制裁を与えているテノアを見て座りながらガンランスの整備を行っていたシエンは思わずため息をついてしまった。

 

「おい、君ら。ここは狩場だ。いつどんなモンスターが来ても対応できるようにもっと警戒心を持て。………あと拡散弾なんて今の君には使いこなせない。ポーチの無駄だ、今のうちに捨てとけ」

 

「ちょっと黙ってて!!これは私のプライドにかかわることで!……てか、ほんとにいいの?ナルガクルガの素材全部私がもらっちゃって……」

 

「下位の迅竜の素材なんてもう売れるほど持ってるからいい。……よしそろそろ次の作戦の指示を………!!」

 

シエンが急に立ち上がり彼方の方向を見た。そして緊迫した様子で二人に指示を出す。

 

「二人ともフォーメイションはさっきと同じ、僕の後ろに付け!!早く!!」

 

テノアとユカリはその怒鳴るような指示を、しかし迅速に打ち合わせをしていた場所に移動する。シエンがここまで焦っている、それが相当にまずいことを暗示させていた。そして、それを予感させた元凶が

 

ついに現れた。

 

その異変は突如前方にあるエリア5に移動するときに通る道のちょうど前あたりに起きた。地面が楕円型に暗くなっていったのだ。そしてその黒はどんどん黒くどんどん大きく複雑な形になり、

 

どぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっっしぃぃぃぃぃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!

 

と大きな地鳴りを上げて黒い影を作っていた張本人、いや張本竜がその姿を現した。その第一印象だが、『小さい』という感想が不覚にもテノアから出てしまっていた。さすがに今まで狩ったことがあるドスマッカォやドスランポスよりは大きかったが先ほど狩猟したナルガクルガと比べると一回りほど小さかったし、前のクエストでシエンが狩ったその個体とは比べることすらおこがましい大きさだった。

 

しかし、だからといって全く楽観視はできずむしろ戦慄を覚えるほどだった。そのわけは、その飛竜にしては小柄の肉体に付けられた数多の傷が物語っていた。おそらくはナルガクルガの爪に引き裂かれたと思われる大きな3本の傷や体中にできているひっかき傷と噛み付き傷、ひび割れた爪に牙。その傷のほとんどから未だ大量の血が流れ草原を赤黒い血で穢していくが、それだけの多くの傷を負いながらまるでまるで戦意は衰えていない。

 

そして、

 

悲哀に憎悪に、それを超える憤怒に彩られたその眼はただただ赤く光っていた、粘り気がある血涙を絶える事無く流し続けながら。

 

「………いやな予感はしていたがこいつ、やはり……!!あのティガレックスの……!!」

 

シエンが言い終わる前にその飛竜、ティガレックスは天に向かって叫びをあげた。まるで死合いをゴングを告げるように。

 

 

龍歴院緊急レポート

 

特殊個体『大罪二つ名モンスターについて』

 

・本項では最近存在が確認されている特殊個体『大罪二つ名モンスター』(以後は大罪モンスター)についての報告を行います。

 

・龍歴院およびハンターズギルドは通常個体と違う行動パターンや体色、形状をしているモンスターを二つ名モンスターと呼んでりいます。今回報告する大罪モンスターもその二つ名モンスターの一種であるがいくつか比較点が存在します。

 

・姿形の特徴はそこまでなく精々鱗の模様が珍しかったりする程度ですが、その最大の特徴はもっと根本的なところにありました。

 

・このレポート制作から約2か月ほど前、沼地でのギルドナイトと上位ハンター数名での狩猟でその地域に住む狩人達から『嫉妬の鎌蟹』と呼ばれている大罪モンスターの捕獲に成功、その後秘密裏に龍歴院の研究所に輸送しましたしました。その日のうちに解剖を行いましたが、その結果驚くべき結果が判明しました。

 

・その脳の機能、特に感情をつかさどる大脳辺縁系と思われる部分の発達が極めて進んでおりほとんど人間のものと変わらないスペックであることがわかりました。特に密度に関しては通常種のショウグンキザミの倍以上をもっていることが判明しました。これにより、極稀にとはいえ成人並みの知能、感情を持つモンスターを確認することができました。

 

・またその当時の沼地は特にモンスターが育ちやすい環境でもなく餌に恵まれていたわけでもないためそれらはこのモンスターの成長には関係がなかったと思われる

 

・以上から通常の二つ名モンスターと大罪モンスターとの違いは二つ名モンスターが餌や環境の違いといった外的因子によって作られているのに対して大罪モンスターは詳細こそ不明ですが内的因子が強く影響していると考えられている、と考察しました。

 

なお、これらの内容は多くの不確定要素が多いため一般ハンターへの公開は厳禁とします

 

 

『ごぉぉぉぉぉぉぉぉああああああああああああああああ!!!』

 

「っく!!!ッはぁ!!」

 

憤怒の轟竜はシエンの姿を見るや否や四本の足を動かしものすごいスピードで突っ込んできた。体感的には先ほどのナルガクルガの倍はあろうスピードでの突進攻撃だったため、思わずテノアは硬直し怯んでしまっていたが、シエンはしっかり反応して楯を展開し憤怒の轟竜の突進をシエンから見て左方向に受け流した。突進方向をずらされ、10メートルほど前に進まされた憤怒の轟竜はすぐさまその場でターンして追撃しようとしたが、振り返った彼の目の前にはすでに母を殺したあの匂いを色濃く放つ狩人が目の前にいた。そして、

 

「はぁぁぁああっ!!」

 

『ごぉぉぉぉぉぉぉぉ?!』

 

彼の武器であるガンランスを上段から振り下ろした。さらに振り下ろしたガンランスが地面に接触した瞬間に通常の砲撃を凝縮したような爆発が起こった。

 

ブラストダッシュⅢ。後方に向けて砲撃し、その反動をすべて推進力に換え前方に突撃するガンランスだけが使える狩り技である。その重量のせいで素早く動くことのできないガンランスにとって一瞬にして間合いを詰める画期的な狩技である。さらにその推進力を余さず生かす攻撃に転じさせさらにフルバーストにも繋げることができる。さすがにこれには応えたのか一瞬憤怒の轟竜の動きが怯んだ。もちろんシエンはこの隙を消して見逃さない。ガンランスのリロードと並行しながら指示を出す。

 

「二人ともよく聞け!作戦を変更する、下方修正だ……!!ユカリ、彼女を連れてベースキャンプまで逃げろ!!」

 

「?!!な、なんで……私だって援護ぐらい……!!」

 

「わかりましたにゃ!!ご主人、ご武運を!!」

 

未だ最初の位置にいたテノアの震えながらの声の反論を遮るような大きな声でユカリが返事をし、テノアの手を引っ張るようにエリア2がある南方に移動を促した。テノアも最初こそ抵抗するような態度をしたが憤怒の轟竜を再度見て顔をこわばらせてエリア2の方向に走って行った。それをわき目で確認するとシエンは全集中力を憤怒の轟竜に向けた。

 

「よし、あそこまで行けば大丈夫だな……………さて、これでシラユキの最後の弟子にまぁまぁハンターとしての経験を積ませられたかな……」

 

先ほどと比べいくつか冷静な口調で楯とガンランスを構えながら憤怒の轟竜に語りかける。当然、モンスターに人間の言葉は通じない。だが、憤怒の轟竜も攻撃をしてこない。決定的な隙を狙っているのか警戒しているのか、それとも母の仇の最期の戯言を聴こうとしているか、それはもう誰にもわからない。シエンはガンランスを上下に移動させながら

 

「……来いよ、君が満足して死ねるまで付き合ってやるよ………!!」

 

「ぐぅぅがあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!」

 

彼の行動を見て直感的に挑発と感じ取った憤怒の轟竜は右前脚の爪を振り上げシエンに向けて思いっきり叩き付けようとした。だが、シエンは螺旋回転を加えながらものすごい勢いで地面と振り上げられた右前脚の間を通り抜けて攻撃を回避する。着地した瞬間、即座に武器を展開し右後脚に刺突攻撃と砲撃を組み合わせた攻撃を繰り出す。

 

絶対回避【臨戦】。もっとも基本的な狩技、絶対回避の応用技で非常に長い距離を移動できるだけでなく着地の瞬間に武器の攻撃準備を整えた状態で展開することができる便利な狩技である。先ほど、憤怒の轟竜の虚をつくために使ったブラストダッシュやさっき使った絶対回避【臨戦】などを使いガンランスの弱点である機動能力の低さを補いながら戦うシエンのその動きにはまるで無駄がなく完璧な動きだったが、

 

『ぐぅぅぅぅるるるるるるぁああ!!』

 

「………チッ。勘弁してほしいものだね。毒も効いているはずなのに弱る気配がない。下手な二つ名個体よりずっと強いな」

 

ナルガクルガと違い毒が効いて弱っている様子もなく強い戦意を保ったままこちらを睨み威嚇してくる憤怒の轟竜を見て辟易しながら悪態をつくも諦めてる様子は、

 

全くなかった。




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