我が魂は真紅の眼と漆黒の龍と魔導少女   作:0・The Fool

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デュエル11 恐怖の虫デッキ

 

 

 

 とうとうやって来た制裁デュエルの日。その日に翔と隼人は、

 

「「………ZZZ………。」」

 

 立ちながら寝ているのである。無駄に器用な。そう思いながら、十代に聞いてみたら夕べは一睡も出来なかったらしい。

 

「………どうする?」

 

「クロノス先生に翔達のことを話したら、2時間予定を遅らせてくれるらしいからこちらもゆっくり休もうぜ?」

 

「それもそうね。所で、士。あのドラゴンや、ブラックマジシャンガールは?」

 

「ルビーとフレアの事?」

 

「呼んだ?」

 

「グルル?」

 

 俺の問いにフレアと手乗りサイズのルビーが姿を現した。

 

「やっぱり、その二人は貴女の精霊ね?」

 

「そういうこと。悪いけどさ皆にはコレで。」

 

 そう言って、人差し指を雪乃の唇に当てた。

 

「わかったわ。バレたらうるさそうだしね。」

 

「俺も構わない。」

 

 二人の答えにありがとうとお礼を返した。

 

「そういえば、制裁デュエルの相手って誰なのかしらね?」

 

「さぁ?コレばかりは探りようもないからね。でも、十代達はかなりの強敵だと思うし、俺達の相手はサイバー流の門下生だと思うよ?」

 

 俺の答えに二人は首を傾げる。

 

「どうしてわかるのかしら?」

 

「十代達の対戦相手を決めたのがクロノス先生なんだけど、昨日クロノス先生が十代達の相手をワクワクする強そうな相手を呼び寄せたって言ってた。」

 

「マジか!!!!」

 

「十代のボウヤ。興奮するのはわかるけど、ひとまず落ち着きなさい。で、貴女達の方は、何故そう思うのかしら?」

 

「先ずは、さっきも言ったけど、俺の対戦相手を用意したのは鮫島だ。皆の前で俺と隼人を無惨に潰す事で溜飲を下ろすつもりか、あるいは、リスペクトの大切さを説くつもりか。あるいはその両方か。」

 

 だとしたら鮫島のやつ教育者として失格だよな。

 

 ○ ○ ○

 

 観客が見守るなか、デュエルフィールドの中央にクロノスが立ち、高らかに宣言した。

 

「皆さんお待たせしましターノ!これより、制裁デュエルの始まりなノーネ!」

 

 その言葉に、殆どのブルーが惜しみ無い拍手を送り、逆にイエローとレッドはお通夜みたいな表情をしていた。退学じゃないから、そこまでがっかりしなくても良いと思うんだが、ひょっとして罰則の内容を知らない?

 

「フム。して、雪乃君と十代君と翔君の相手は誰がするのでしょうか?また君が相手を?」

 

「コレは5人の罰則を決める為の罰則なノーネ!なノーデ、それに相応しいデュエリストを呼んであるノーネ!」

 

『とぅっ!』

 

 両サイドから、飛び出し、ばくてん、宙返りを決める禿げチャビン。だけど、

ズルッ!!

 

ゴチッ!!

 

 予めデュエルフィールドにはレッド達に協力して造ったバナナの皮を置いてあり、もののみごとに踏んづけて滑った。(ズルッはこの音。)

そしてその勢いのまま両者頭を床に強打した。(ゴチッはコレのせい。)

 

 激痛に悶える皆が固まっている。その中で俺はバナナの回収をした。

 

「我ら!流浪の番人!」

 

「イヤ、番人が流浪しちゃダメだろ!」

 

 思わずそう返したが、聞いている人はいないようだった。

 

「コレはコレは。思いきった真似を。迷宮兄弟ですか。兄弟ならではのコンビネーションと優れたタクティクスでデュエルキング、武藤遊戯と城之内克哉を苦しめた伝説のデュエリスト。まさか、この目でお目見えしようとは。」

 

「それに、シニョーラ雪乃の対戦相手もなかなかに手強いノーネ!」

 

「ヒョッヒョッヒョッ!」

 

 そ、そのインパクトある笑い方は!デュエルフィールドの中央まで歩いてくる水色の髪の少年は!

 

「彼はデュエルキングダムにおいて、最初に武藤遊戯を追い詰め苦しめたインセクター羽蛾なノーネ!」

 

 そんな。羽蛾が相手なんて。

 

「雪乃!お前勝てる!人間的に負ける要素が見当たらない!」

 

「そうね。デュエルの腕ならともかく、人間的なら翔のボウヤにも負けるわ。」

 

「ウン。僕もこの人に人間的なら負ける気がしない。」

 

「お、お前ら!!ボクの実力を完全に無視して負ける要素が人間性か!!」

 

 俺と雪乃と翔の言葉に当の本人が激怒しそうだった。

 

「と、人間のなり損ないがおっしゃってますが、雪乃様はどうお思いでしょうか?」

 

「ウフフ。きっと、本当の事を言われたから、怒って誤魔化そうとしてるのよ。」

 

「き・さ・ま・ら~。」

 

 おお。やり過ぎた。リアルファイトになりそうだ。

 

「先ずは、雪乃。行ってこい。」

 

「フフフ♪ちゃんと勝ってくるわ。」

 

「………潰す。」

 

 二人はそう言って、デュエルフィールドの所定の位置に立ち、それ以外のメンバーは観客席の一番前の席に座る。

 

「………士。やり過ぎだ。」

 

 俺が観客席に座ると十代がジト目で指摘した。

 

「あ。やっぱり?」

 

 ○ ○ ○ 

 

「ねぇ。皆。」

 

 制裁デュエルに向けて最終調整も終えた俺達は皆が椅子に座ったのを見て口を開いた。

 

「明日の制裁デュエルの最初の対戦相手を挑発しよう。」

 

「え?そんな事をしたら、ソイツ怒らないか?」

 

 俺の提案に十代がしかめっ面で指摘した。

 

「当然怒るだろうな。でも、それが狙いなんだ。」

 

「………あぁ。そういうことね。」

 

 理解が早いな。雪乃。他の3人は未だ?を乱舞させているのに。

 

「士は相手を怒らせて冷静な判断させないようにしているのよ。」

 

 卑怯と言うなかれ。イエス・キリストもこう仰っていた。『デュエルとは準備の段階から始まっている。』と。………嘘です。とりあえず、勝負というものは、準備の段階から始まっていて、どれだけ準備に時間をかけたか、どれだけ情報に時間を裂いたかか有利になってくる。

 

SIDE 雪乃

 

『決闘!』

 

「私のターン!ドロー!手札からマンジュゴットを召喚!効果により終焉の王デミスを手札に加えるわ!」

 

 場に現れた、たくさんの手を持つ天使が私のデッキからデミスのカードを抜き取り差し出した。それを抜き取るとマジックトラップゾーンにカードをセットした。

 

「さらにカードを2枚セットしてターンエンドするわ。」

 

雪乃ライフ4000手札4伏せ2枚

伏せモンスター0枚 マンジュゴットATK1400

 

「舐めやがって!ボクのターン!ドロー!ヒョッヒョッヒョッ!甲虫装甲騎士(インセクトナイト)を攻撃表示で召喚!」

 羽蛾のボウヤのフィールドに装甲を纏った昆虫の騎士が現れた。

 

「インセクトナイトでそのモンスターに攻撃!」

 

 怒るのはわかるけど、伏せぐらいは気にしなさい。

 

「リバースカードオープン!収縮!インセクトナイトの攻撃力を半分にするわ!」

 

 私の場の魔法カードの効果によりインセクトナイトは縮み始める。そして、マンジュゴットの腕がインセクトナイトを叩き潰した(羽蛾ライフ 4000-1400+1900÷2=2600+950=3550)

 

「なぁ!お、ボクの虫が!」

 

 インセクトナイトが破壊されると羽蛾のボウヤは半泣きになる。

 

「感情のままに無謀な突進をするなんてボウヤの証拠よ?」

 

「グヌヌ。手札から愚かな埋葬を発動!デッキからモンスターを墓地に送る!」

 

 羽蛾が行動に周囲は動揺していた。

 

「そんな。インセクター羽蛾がプレイングミス?」

 

「カードを2枚セットしてターンエンド!」

 

雪乃ライフ4000手札4伏せ1枚

伏せモンスター0枚 マンジュゴットATK1400

伏せモンスター0枚

伏せ2枚

羽蛾ライフ3550手札2枚

 

「私のターン!ドロー!センジュゴッドを召喚!効果により救世の美神ノースウェムコを手札に加えるわ!」

 

 マンジュゴットよりも手の数は少ないけど、それでもたくさんの手を持つ天使が私のデッキからカードを抜き取り差し出した。

 

「2体でダイレクトアタック!」

 

「リバースカードオープン!リビングデッドの呼び声!代打バッターを召喚!」

 

 羽蛾のボウヤの墓地から、昆虫モンスターが蘇生する。

 

「構わないわ!このまま続行!」

 

 センジュゴッドの攻撃が代打バッターを破壊した。(羽蛾ライフ3550-1400+1000=3150)

 

「ヒョッヒョッヒョッ!代打バッターが破壊された事により、手札からインセクトクイーンを召喚!」

 

 代打バッターのつんざくような悲鳴に昆虫の女王が現れる。

 

「ひぅッ!!」

 

 羽蛾のボウヤの場に出現した女王のおぞましさに小さく悲鳴を漏らす。

 

「私はカードをセットしてターンエンド!」

 

雪乃ライフ4000手札4伏せ1枚

伏せモンスター0枚 マンジュゴットATK1400 センジュゴッドATK1400

伏せモンスター0枚 インセクトクイーンATK2200+200×1

伏せ1枚

羽蛾ライフ3550手札2枚

 

「ヒョッヒョッヒョッ!ボクのターン!ドロー!速攻魔法カードスケープゴートを発動!ボクのフィールドに4体の羊トークンを特殊召喚!」

 

「え?何で羊トークンを?」

 

 自分のターンに発動!させたカードを見て翔は、首を傾げる。

 

「インセクトクイーンの効果場にいる昆虫族モンスター1体につき200アップさせるのと相手モンスターは戦闘破壊した時、インセクトモンスタートークンという昆虫族のトークンを特殊召喚する効果をもっている。その見返りなのか、戦闘するには生け贄を捧げる必要があるんだ。」

 

「?士さん。それなら、余計にスケープゴートは意味無いんじゃ?だって、羊トークンは生け贄に出来ないんじゃ?」

 

 翔のその間違いを首を横に振って否定した。

 

「羊トークンは生け贄召喚の為の生け贄に出来ないだけで効果発動の為の生け贄は可能だ。」

 

「ヒョッヒョッヒョッ!それだけじゃない!リバースカードオープン!DNA改造手術!フィールド上の全モンスターは昆虫族になる!」

 

 羊トークンや、私の場のモンスターが虫になり、インセクトクイーンの攻撃力が上昇した。(インセクトクイーン攻撃力 2200+200×7=3600)

 

「ヒョッヒョッヒョッ!インセクトクイーンの攻撃!クイーンズヘルプレス!」

 

 羽蛾のボウヤの宣言にインセクトクイーンはがぶっと羊トークンを捕食してから、マンジュゴットにプレスを浴びせた。(雪乃ライフ4000-3400+1400=2000)

 

「んんっ!!」

 

 甘い声が出そうになるのを歯を強く噛んで耐える。羽蛾のボウヤにはこの声は聞かせたくない。だけど、背筋にゾクゾクするものがあり自身の体を抱き締めて身を震わせる。

 

「ヒョッヒョッヒョッ!ボクが勝ったら、付き合ってもらおうかな!」

 

 羽蛾のボウヤは私の全身をなめ回すような視線を向けてからとんでもないことを言ってきた。冗談ではない。私は強い男しか興味がないのだ。怒りに身を震わせているとさらに許せない言葉が飛んできた。

 

「君もそんな仕草で誘っているわけだし問題ないよね?」

 

 私がそんな安い女に見えるのかしら?

 

「ヒョッヒョッヒョッ!ボクはターンエンド!」

 

雪乃ライフ2000手札3伏せ2枚

伏せモンスター0枚 センジュゴットATK1400

伏せモンスター0枚 インセクトクイーンATK2200+200×4 羊トークンDEF0×3

伏せ1枚

羽蛾ライフ3550手札2枚

 

「私のターン!ドロー!手札から天使の施しを発動!3枚ドローしてから手札2枚捨てるわ!」

 

 よし!これなら!

「手札からエンドオブワールドを発動!フィールドのマンジュゴットと、墓地にある儀式魔人ブレサイダーを生け贄にするわ!」

 

 私の言葉に周囲は動揺している。

 

「ば、バカな!墓地から、生け贄だと!」

 

「儀式魔人達は墓地からでも、生け贄に出来るのよ。その場合、儀式魔人達は除外されるけど、終焉の王デミスを儀式召喚!」

 

 私のフィールドに全てに終焉をもたらす王が降臨した。

 

「ギャ、ギャァアァァァ!!そ、そのモンスターは!!」

 

「そう。全体破壊効果を持っているわ。」

 

「ギャ、ギャァアァァァ!!女王様がぁぁッ!!………な~んてね♪そのモンスターの効果を使うには、ライフコスト2000支払わなきゃなんない!でもさ、君のライフじゃとても出来ないよね?だから、そのモンスターはムダ「リバースカードオープン!女神の加護!」ヒョッ?」

 

「女神の加護の効果は私のライフを3000回復させるわ!」

 

 女神の加護の癒しの力が私のライフを回復させる。(雪乃ライフ2000+3000=5000)

 

「で、でも、女神の加護は、フィールドから離れた時、3000ポイントのダメージを受ける!」

 

「さぁ?それはやってみなければわからないわ!終焉の王デミスの効果発動!終焉の嘆き!!」

 

 デミスから、水滴のようなものが落ち、破壊の波紋となり、羽蛾のボウヤの女王や羊トークン、伏せカードや私の場に翻ったカードをも破壊した。(雪乃ライフ5000-2000=3000)

 

「ヒョッヒョッヒョッ♪コレで女神の加護も破壊され、3000のダメージを受けてボクの勝ちだ♪」

 

「何勘違いしているのかしら?」

 

「ヒョッ?」

 

「このデュエルはまだ終わってないわ!」

 

「ヒョッ?や、やだな?君のライフは3000で女神の加護の効果で受けるダメージも3000だから君のライフはちょうど、」

 

 羽蛾のボウヤはそこまで言いかけて私に降り注ぐ破壊の雨が私のライフを癒していることに気付いた。(雪乃ライフ3000+3000=6000)

 

「そんな。どうして?」

 

「デミスの効果発動時にチェーンでレインボーライフを使ったのよ。このカードはダメージを回復に変えるわ。」

 

「で、でも、デミスの攻撃力じゃ、ボクのライフ削りきれない!」

 

「それなら援軍を呼ぶまでよ!手札から儀式の準備を発動!まずはデッキから救世の美神ノースウェムコと墓地からエンドオブワールドを手札に加えるわ!」

 

「………いつの間に?あ。天使の施しの時か。」

 

「後、レインボーライフの時もね。さらに死者蘇生を発動!墓地にあるマンジュゴットを特殊召喚!効果により、救世の儀式を手札に加えるわ!救世の儀式を発動!墓地にある儀式魔人リリーサとマンジュゴットを生け贄に救世の美神ノースウェムコを儀式召喚!」

 

 美神。その名に恥じぬ美しさと気高さを兼ね備えた神が私の場に降臨した。

 

「あ………あ………あ………。」

 

 おそらくはまだ打開策があったのだろう。しかし、私の場に降臨したノースウェムコがその最後の希望まで断ってしまったのだろう。

 

「2体でダイレクトアタック!」

 

「ヒョエエェェェェェェェーーーー!!!!」

 

 2体の儀式モンスターが羽蛾のボウヤのライフを0以下にした。

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