我が魂は真紅の眼と漆黒の龍と魔導少女 作:0・The Fool
「………健全な精神をもったデュエリストを目指してがんばって下さい。」
鮫島校長の長い挨拶も無事に終わり、さて解散といったところで、
「えぇっと、沖田士君。校長室まで来て下さい。」
やっぱり来たか。そう思いながら配られたPDAを頼りに校長室までたどり着くと、鮫島校長はこちらを見ていた。
「沖田君。お呼びしてすみません。」
「いえ、そんなことより俺の制服が何故コレなんですか?」
バンッ! と校長の前のデスクに叩きつけたのは白を基調とした青いラインの入ったデュエルアカデミアの制服だ。
デュエルアカデミアは配属される寮によって色が違う。青い色はオベリスク・ブルーなのだが、ここで問題が。高校からはオベリスク・ブルーになれない。中学で好成績を残したらオベリスク・ブルーに配属できるのだが、それに、その下のこれは、まさかな………。
「女の子が女子の制服を着るのは当然だと思いますよ?」
やっぱりか。女子は人数的な理由からか成績に関わらず、オベリスク・ブルーに配属される。
つまり、俺は女性だと思われていたわけだ。
「鮫島校長。俺は男だ。」
「フム。何故そのような嘘を?」
「正真正銘本当だ。」
「今から2000年前に若い男が」
「そんな泉に溺れた事実がない。」
「沖田君の冗談はさておき、こちらからも聞かせて下さい。何故、サイバー・エルタニンにキメラテックオーバードラゴンを所持しているのですか?」
予想通りの質問だな。
「決して冗談では無いのですが。
サイバー流のカードとはいえカードはカードですから。買ったパックの中に入ってました。」
「すぐに使用を禁止して下さい。あのカードは相手と全力でぶつかり合うサイバー流のリスペクトに反するという理由で使用を禁じられたカードです。」
「お断りです。リスペクトに反するとかで、禁止カードでないカードを使用をしてはいけないという決まり事は無いです。」
鮫島校長の言葉を首を横に振り拒否した。
「しかし、リスペクトに」
「カードを大切にして、そのカードの使い道を探究するのもリスペクトです。サイバー流のリスペクトが大事などと言われたくありません。」
「………わかりました。それならば、デュエルで勝負しましょう。」
「断ります。」
「デュエリストが申し込まれたデュエルから逃げるのですか?」
俺の拒否に鮫島校長は驚いたように俺を見た。
「アホですか? 賭けはメリットデメリットがあって初めて成立する。所が俺が勝っても得られるものがありません。」
「リスペクトに反するカードの」
「元々あって当然の権利で、勝ったから得られるメリットじゃない。」
俺の指摘にしばし沈黙して口を開いた。
「では、沖田君。君が勝ったら単位をあげるのはどうですか?」
その問いに同意する。
○ ○ ○
『
「俺のターン!ドロー!カードガンナーを召喚!効果でカード3枚を墓地に送りカードを2枚セットしてターンエンド!」
士ライフ4000手札3枚
伏せカード2枚
カードガンナーATK400
鮫島ライフ4000手札5枚
「フム。私のターン。ドロー。手札から強欲な壷を発動。2枚ドローします。続いてパワーボンドを発動。サイバー・オーガ2体を融合してサイバー・オーガ・2を召喚してカードガンナーに攻撃します!」
コイツの攻撃力は、2600だけど、パワーボンドのおかげで攻撃力が倍加して5200になる。
「リバースカードオープン!ガードブロック!ダメージを無効にしてドロー!」
カードガンナーは破壊されるが破壊された時、ドローされ、計2枚ドロー。
「では、融合解除でサイバー・オーガ・2を融合デッキに戻し、サイバー・オーガを特殊召喚します。2体でダイレクトアタックします。」
「手札から速攻のかかしを捨ててバトルフェイズを終了!」
「では、サイバー・ジラフを召喚して生け贄に捧げ効果ダメージを無効にしてカード1枚セットしてターンエンドします。」
士ライフ4000手札4枚
伏せカード1枚
サイバー・オーガATK1900×2体
伏せカード1枚
鮫島ライフ4000手札1枚
「俺のターン!ドロー!手札から天使の施しを発動!3枚ドローして手札を2枚墓地にすてる!」
3枚補充して、手札2枚を墓地すてる。
「手札からオーバーロードフュージョンを発動!墓地にある5体のサイバー・ドラゴンを除外して、キメラテックオーバードラゴンを融合召喚!」
「それは通しません。リバースカードオープン。奈落の落とし穴。キメラテックオーバードラゴンを除外して下さい。」
俺の想定通りにキメラテックオーバードラゴンは異次元の彼方に消滅する。
「やっぱりそう来たか。」
「?どういう意味ですか?」
「キメラテックは素材にしたモンスターの枚数×800アップする。素材枚数は5。つまり、キメラテックの攻撃力は、4000。たいして、サイバー・オーガは同名カードの補助があっても攻撃力が3900しかならない。自分なら破壊手段を予め用意するぐらいしかないからな。」
「………まさか、わざとキメラテックオーバードラゴンを捨て駒に?」
「言い方は悪いけどな。
ライフコスト2000支払い手札から次元融合を発動!除外されたサイバー・ドラゴン3体にサイバー・ドラゴン・ツヴァイ2体をを特殊召喚!サイバー・ドラゴン・ツヴァイを手札のパワーボンドを見せてサイバー・ドラゴンにして2枚のパワーボンドでサイバー・エンド・ドラゴンとサイバー・ツイン・ドラゴンを融合召喚!伏せカード無謀な欲張りで2枚ドロー!
バトルフェイズ!サイバー・エンド・ドラゴンでサイバー・オーガを攻撃!エターナルエヴォリューションバースト!」
サイバー・エンド・ドラゴンが放つ閃光を、
「手札からサイバー・オーガを捨てて攻撃力を無効にして、サイバー・オーガの攻撃力を2000アップします。」
サイバー・オーガが受け止めた。それも無駄なんだけどさ。
「速攻魔法ダブルアップチャンスを発動!攻撃が無効になった時、攻撃力を倍にして再び攻撃!
さらにリミッター解除を発動!」
サイバー・エンド・ドラゴンの背中から生えた三つ首と制限を外されより強力になった閃光がサイバー・オーガを襲いかかる。さすがに受け止めきれずサイバー・オーガは破壊された。(鮫島ライフ4000-4000×2×2×2+1900+2000=-24100)
「さらにサイバー・ツインドラゴンでサイバー・オーガを攻撃してから鮫島校長にダイレクトアタック!」
サイバー・ツインドラゴンの攻撃がサイバー・オーガを破壊してさらにダメージを与える。
(鮫島ライフ-24100-5600×2+1900=-24100-11200+1900=-24100-9300=-33400)
「俺の勝ちだな?」
「いえ、今のは、リスペクトに反してます。高攻撃力で反撃の隙を与えずに倒し、勝負が終わっても攻撃する。そこにリスペクトは感じられません。」
まだ言うか。このハゲ爺。
「どれも鮫島校長に言われたくない。先にやっといてどの口が批判するんだ?」
「何ですと?」
まだわかって無いのか?
「あの時、サイバー・オーガ・2は自身の効果とパワーボンドの効果で攻撃力5400になる。たいして、カードガンナーは攻撃力たったの400。ガードブロックがなければ、1Killされ、速攻のかかしがなければその後の追撃も防げなかった。先にやっといてどの口が批判するんだか?」
「しかし、それは全力でぶつかろうとした結果です。」
「じゃあ、このデッキの全力でぶつかろうとした結果で。それと、このデッキは俺が作ったデッキの中で最弱だ。」
実際はそんなわけはないが、お気に入りかと言われると首を傾げざるをえない。
「何故、そんなデッキで?」
「サイバー流のリスペクトを真似てみたのさ。相手を見下して手加減するデュエルを。」
「手加減とリスペクトはまったく違います。」
鮫島校長の発言に俺は否定する。
「変わらない。相手に全力を出させ、それ以上の力でぶっ潰す。そこのどこに相手を見下してないと言える?」
そう言って、校長室を出る。鮫島校長はその背中を悲しそうに見ているようだった。