我が魂は真紅の眼と漆黒の龍と魔導少女   作:0・The Fool

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デュエル23 青春 デュエルテニス

「ブラックマジシャンでダイレクトアタック!黒・魔・導(ブラック・マジック)!!」

 

 黒衣の魔術師の攻撃が誰かはわからないけど、オベリスク・ブルーの生徒のライフを削りきった。

 

「ったく、鬱陶しい。」

 

 思わずぼやいてもしかたないと思う。これで、本日5組目の挑戦者なのである。

 

 ○ ○ ○

 

 話は2学期の始業式、つまり3日前の朝まで遡る。鮫島の長くて退屈な話を除いて、殆ど、問題なく進行した。ただ、最後になって鮫島から驚くべき話をしだした。

 

「では、最後に今期から、賞金稼ぎデュエルを開催したいと思います。」

 

 …は?賞金稼ぎデュエル?

 

「内容は簡単です。こちらが選んだデュエリストはこの賞金のカードの入ったケースを所持してもらいます。そして、その人は賞金のカードをかけ、デュエルで護っていただきます。」

 

 …何だがイヤな予感がして来たんだが?

 

「賞金首の方はデュエルを挑まれた場合、拒否する事は出来ません。そして、カードを手に入れた方はこちらまで来て下さい。そのカードと引き換えに10000DPを進呈します。」

 

 DPはデュエルアカデミア内にて流通している電子マネーと言えばわかりやすいと思う。デュエルした場合、デュエルの内容により妥当な額のDPがPDAに加算される。デュエルアカデミア内でしか流通してないので、卒業間近にはDPを使い切る為にカードを買いまくったり、後輩に譲ったりしているらしい。(隼人談)

 

「今週私が選ぶのは、沖田士君です。」

 

 やっぱりだよ。ド畜生。

 

「期間は1週間。その間、士君はこのカード達を死守して下さい。」

 

 やってくれるな。鮫島の狙いもわかっている。先ずは俺のテンションを落とすこと。何回勝っても得られるのはもとからデュエルで得られるDPのみ。この状況でテンションの維持は困難。テンションが落ちた所でサイバー流の誰かが倒しにくるかもしれない。

2つ目は俺のデッキの研究。数多のデュエリストとデュエルする事でたくさんカードを使う。そのデュエルの内容はデュエルアカデミアのホストコンピューターに記録される。しかも、負けたら、それを口実にデュエルアカデミアから追い出しかねない。だからこそ気が抜けない。サイドデッキを入れ替えたり、デッキそのものを交換したりして、上手く回したりしているが、沢山のデュエルするハメになるのか。拒否しようにも、対戦相手のデュエルの学習という名目で拒否させないだろうし。そう思うと、憂鬱なんですが?そう思いながら、近くのイスに腰掛けると先客の明日香が声をかけてきた。

 

「お疲れ様。ホント大変ね?」

 

「そう思うならデュエルかわってくれよ?」

 

 文句をいいながら、明日香が持っているペットボトルを取り上げ飲み干した。

 

「ふう。ああ、明日香。勝手に取り上げて悪かった。って、明日香?どうした?」

 

 何故か耳まで真っ赤な明日香にペットボトルを渡そうとしたのだが、ピクリとも動いてない。なんか湯気まで吐いてる様な?

しばし揺さぶると明日香はフリーズから復帰したらしい。辺りを見回し、俺を見てある提案をする。

 

「つ、士?そ、その、十代の所に行ってみない?」

 

 あぁ、そういえば体育の授業の時にテニスボールを田中先生の顔面直撃させた罰で1日テニス部入部させられたんだっけ?

 

「俺自身は別に構わないけど、賞金稼ぎデュエルのせいで挑まれたらその場から離れられないから、移動に時間がかかるぞ?」

 

「大丈夫。考えがあるわ。とりあえず、十代の様子を見たら向こうでデュエルしてくれないかしら?賞金のカードをかけて。」

 

 ? …そういう事か。

 

「わかった。行くか?」

 

「ええ。」

 

 イスから立ち上がる俺に同じく立ち上がる明日香。案の定、挑んでくる人がいるのだが、「悪いな。デュエルの先約が有るんだ。」

 

 その言葉でデュエルを断った。デュエルを拒否出来ないとは言っても、それは先約が無い状態ならだろう。仮に鮫島あたりがイチャモンつけに来たとしても、

『デュエルの先約があって急いでいた』と口実にすりゃどうとでもなるか。…で、テニスコートで十代がしごかれるのを見ていたわけだが、

「はぁ。どうしてこうなったんだか。」 テニスコートの向こう側で炎を纏ううざやか部長を見て深々と溜め息を吐いていた。初めはジュンコのフィアンセをかけたデュエルだった。十代にスポーツドリンクを持って行く姿が自分への差し入れと勘違いしてスルーされ、嫉妬のあまり十代にデュエルを挑んだらしい。

 

「手札から速攻魔法融合解除を発動! フレイムウィングマンの融合解除してフェザーマンとバーストレディーを特殊召喚!! 2体でダイレクトアタック!」

 

 特に言う事もなく後攻1キルで勝ってしまった。うざやか部長がサービスエースでダメージを与えた後、1伏せ神聖なる球体を守備表示でエンド。十代のターンでフレイムウィングマンを手札融合、エアーマンを通常召喚。効果で伏せカードを破壊。バトルフェイズ。エアーマンで、神聖なる球体を攻撃。そして、フレイムウィングマンでダイレクトアタックの後、融合解除して2体でダイレクトアタックを決めたのだが、揃い過ぎだ。

その後に俺と婚約者の座をかけたデュエルを挑まれた。

 

『ざけんな。何で俺が男と結婚せにゃあかん。この変態。』

 

 思わず吐いてしまった毒も『照れてるんだね?もっと素直になろうね?』と言いやがる。

まったくなんで男にプロポーズしやがるんだ? この変態は。

 

決闘(デュエル)!!』

 

「俺のターン!! ドロー!手札からジェスター・コンフィーを特殊召喚! ジェスター・コンフィーを生贄にマテリアルドラゴンを召喚!カードを一枚伏せてターンエンド!」

 

士ライフ4000手札3枚

伏せ1枚

マテリアルドラゴンATK2400

 

「僕のターン! ドロー! 手札からサービスエースを発動! 効果は知っているよね? ボクはこのカードを選ぼう。さあ、種類を選択してくれたまえ!」

 

「トラップカード。」

 

「残念。モンスターカード神聖なる球体(ホーリーシャイン・ボール)だよ。除外して士君に1500ポイントのダメージを与え…る…?」

 

 俺のライフを削る為に放たれたテニスボール。それが俺のライフを回復させた事に首を傾げるうざやか部長。

 

「マテリアルドラゴンは効果ダメージをライフ回復に変更するんだ。」

 

「な、なるほど、カード1枚で僕の足を止めるなんて、やるね。流石は僕のフィアンセだ。」

 

 誰がお前のフィアンセだ?というか、バーンデッキならこの手の対策は必要だと思うんだが?

 

「僕はカードを2枚伏せてターンエンドだ。」

 

「俺のターン! ドロー! 手札から軍隊竜を召喚! 軍隊竜を除外してレッドアイズダークネスメタルドラゴンを召喚! 効果により真紅眼の黒龍を特殊召喚!」

 

『ガアアッ!!』

 

 俺のフィールドに現れたルビーは歓喜の雄叫びを上げる。手札に黒炎彈があるから余計に嬉しいだろうけど、このターン、黒炎彈なんて使わないぞ? マテリアルドラゴンは相手に与える効果ダメージもライフ回復に変更される。つまりただの役立たずだ。

 

『グルゥ!!』

 

 その言葉にショックを受けるルビー。

 

「バトルフェイズ!マテリアルドラゴンでダイレクトアタック!」

 

 マテリアルドラゴンが輝く吐息でうざやか部長のライフを削ろうとした時、うざやか部長の伏せカードが翻った。

 

「リバースカードオープン! 次元幽閉! マテリアルドラゴンを除外する!」

 

 上手い手だ。マテリアルドラゴンには魔法、罠、モンスター効果の発動を無効にして破壊する効果があるけど、あくまでも『破壊する』効果が発動した場合のみである。つまり、マテリアルドラゴンでは除外するこのカードを無効には出来ないのである。

 

「士君と明日香君と3人で明るい結婚生活はもうすぐだ!」

 

 余りにおぞましい事を言いやがるうざやか部長。

 

「…ふざけてろ。…てめえのその妄想がてめえ以外を幸せに出来ないっていうなら、

まずはその幻想からぶち壊す!

次元幽閉にチェーンでリバースカードオープン! トラップスタン! トラップスタン以外のトラップの発動と効果を発動ターンのみ無効にする!」

 

 次元の檻がマテリアルドラゴンを拘束しようとする直前、バチバチとショートして次元の彼方に消え去り、マテリアルドラゴンの攻撃を阻む物は何もなかった。マテリアルドラゴンの吐息で大ダメージを負う。

 

「真紅眼の黒龍のダイレクトアタック! 黒炎彈!」

 

 自分の必殺技が役立たず扱いされた腹いせなのか普段より強力な火炎弾がうざやか部長に襲いかかる。

 

「ま、待ってくれないか? き、君が望む物を上げる。だ、だから、ま、負けてくれないか?」

 

「ダメだ。お前もわかってるんだろ?お前の中の幻想なんてとっくに終わっちまってるんだよ。みっともなく幻想にすがりづいてないで現実を見ろ!レッドアイズダークネスメタルドラゴンでダイレクトアタック!」

 

 レッドアイズダークネスメタルドラゴンが放った攻撃が残り僅かなライフを削りきった。

 

 ○ ○ ○

 

「お、オベリスク・ブルーの、そ、それも、カイザーに匹敵するはずのこの僕がドロップアウトと同ランクに負けたなんて…。」

 

 あぁ。そういうことか。納得しながら、自分の左腕の真っ赤な腕章を見た。

 

「デュエルは寮で決まるわけじゃない。お前の敗因はそのおごりと慢心だ。それを捨て去ればきっと伸びるさ。」

 

「うぅ。士君。」

 

 とここまでは若干良いシーンだったのかもしれないが、

「アレ?ひょっとして、アニキの1日体験入部はもう終わっちゃったッスか?」

 

と翔がももえを連れて来たせいで台無しになった。いや、翔は決して悪くはない。悪いのは変なスイッチ入ったうざやか部長だから。

 

「いやぁ、君可愛いね。一緒にお茶しようよ。」

 

 うざやか部長の言葉を不愉快に感じたらしく、青筋浮かべたももえは断りの言葉を口にした。

 

「結構ですわ。あなたより、翔様の方が素敵な殿方ですもの。」

 

 ご丁寧に翔の腕に腕を絡めた上に胸を押し付けるのも忘れず、頬にキスするといういちゃつきぶりを披露してくれた。そして、嫉妬したうざやか部長が翔にデュエルを挑んだのだが、

 

「大嵐を発動! さらにパワーボンドを発動! スチームロイド、ドリルロイド、サブマリンロイドを墓地に送り、スーパービークロイドジャンボドリルを融合召喚! 神聖なる球体(ホーリーシャイン・ボール)に攻撃! その瞬間、リミッター解除を発動!」

 

 と1キルを決めたのだが、それにショックを受けたのか、号泣して去っていった。

 

「なんなんスか?今の?」

 

 事情を飲み込めず首を傾げる翔だった。

 

 ○ ○ ○

 

 余談になるけどうざやか部長こと綾小路ミツルがオベリスク・ブルーに入ることに疑問を感じた俺は海馬に調査を依頼したのだが、親が金で成績を買っていたらしいことが発覚。その教師は解雇され、テストを受けさせた結果、オベリスク・ブルーからラー・イエローに降格となり、そこで頑張っているらしい。

 

 追加の余談でその教師の部屋に何故か魔宮の賄賂のカードが大量にあり、解雇されそうな時も魔宮の賄賂で丸め込もうとして海馬の怒りを買ったのだった。

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