我が魂は真紅の眼と漆黒の龍と魔導少女 作:0・The Fool
ベッドで寝るのは気持ちいいな。デュエルアカデミアに来てからは、硬い土や木の上などで野宿だったからな。そんな事を考えながら、目の前の抱き枕に手を伸ばした。
「はぁん♪」
何故か頭上から艶めかしい声が聞こえた。…なんだろう? 視線を上に向けたら、抱き枕になってた雪乃と目があった。そして、俺の右手が雪乃の自己主張の激しいお山に埋まっていた。って、
「ウワァァァッ!!!!」
思わず後ろに飛び退こうとして床にお尻を打ち付けてしまった。
「ふぁ? おはよう。士。」
雪乃も今ので目が覚めたらしく、寝ぼけ眼をこすりながら挨拶した。
「あ、あぁ。おはよう。で、雪乃?なんでお前が俺の部屋にいる? ここは俺の部屋だし、しっかり施錠したから入って来れないはずなんだが?」
「良いじゃない。細かいことは言いっこなしよ?」
問いかけに笑いながらもベッドから抜け出る。って雪乃のあまりの刺激的な格好に思わず吹いてしまった。スケスケのネグリジェの向こうにグラマーな肢体がうっすらと透けている。
「雪乃! なんて格好で寝るんじゃない!」
「あら?何でかしら?」
俺の言葉に雪乃は可愛らしく首を傾げてとぼけた。
「俺と一緒のベッドで寝て、俺が狼になったらどうするんだよ。」
頭をさすりながら、洗面所のドアを開けた。
SIDE 雪乃
「さて、鬼の居ぬ間にね。」
そうつぶやきながら士のタンスを調べた。
「やっぱり、士は男の娘だったのね。
デュエルアカデミアに入学してから、今までに女の娘らしいところをあまり見せなかった士だけど、彼を見ているうちにあることに気付いた。
それは士が女の娘なら必ず月に一度は来なかったらおかしい日が来ている様子が見えなかったので、タンスを調べてみたら想像通りあの日に必要な物や女物の下着がなかった。それだけでも疑う余地は少ないのに、タンスから男物の下着が収納されていたのだ。
「黙っていた方が良いかしら?」
私は誰もいない部屋で首を傾げていた。
○ ○ ○
「雪乃!」
お昼ご飯を食べてた私に十代のボウヤが声をかけてきた。
「どうしたのかしら?」
「トメさんから聞いたんだけどさ、この頃黄金の卵パンだけ盗んでいくヤツがいるらしいんだ。」
黄金の卵パンというのは、デュエルアカデミアで飼育されてる鶏達が1日1回産む黄金の卵を使ったパンでその卵パンとそれ以外の食材で作ったパンをどれがどれだかわからないようにして販売するドローパンが大人気だったりする。
「あの大量のパンの山からたった1個のパンだけ盗んでいくのってとんでもない強運ね?」
「んで、その窃盗が起こるのって深夜ぐらい何だが、良けりゃ一緒に来て泥棒捕まえるの手伝ってくれねぇか?」
「面白そうじゃない。参加させてもらうわ。」
十代のボウヤのお誘いに了承すると、十代のボウヤは集合場所と時間を教えてその場を去っていった。
○ ○ ○
「今日も来るかしら?」
倉庫の入り口を見ながら私は呟いていた。
「多分来るだろ。ここんとこ毎日盗まれているみたいだし。」
同じく入り口を見張っている士が思い出したように問いかける。
「そういえば、黄金の卵パンってそんなに美味しいの?」
「そうね。十代に食べさせてもらったことがあったけどすごく美味しかったわよ。」
士の問いにジュンコが答えた時、近くの枝からガサガサという音が聞こえて黒い人影が倉庫の入り口めがけ飛び降りた。
「止まるッス!」
翔のボウヤの制止の声に人影が近くの木の枝に飛び移った。
「あ~あ~あ~!」
そんな叫び声を上げながら、枝に飛び移った。
「追うぞ!」
「待てぃ!!」
その叫びとともにデュエルアカデミアの生徒でも、教師でもない男性が私達の前に立ちふさがった。
「通してくれ。俺達はあれを追いかけたいんだ。」
「知らないな。そんな事。俺とデュエルしてもらう。」
「そんな事している余裕はないんだ。通るぞ。」
士の言葉に男は否定の言葉を口にした。
「そうはいかない。少なくとも、沖田士は俺とのデュエルを断れない。」
? なんで士だけ?
「沖田士! 賞金のカードをかけてデュエルしてもらう!」
やってくれるわね。私は怒りの表情で彼を見ていた。賞金のカードをかけたデュエルは拒否出来ない。
「仕方ない。コイツとデュエルするから、みんなは泥棒を追いかけろ!」
「わかったわ! 気をつけて!」
明日香の言葉に皆が駆け出したけど、人影らしきものは見えない。ただ、あのターザンのような叫び声が聞こえる方向に急ぐこと数分で叫び声が聞こえなくなった。そちらに注意しながら、近づいてみると野性味溢れる大男が私達を見ていた。
「あなたが黄金の卵パンを盗んで行った子かしら?」
「人聞きの悪い言い方は止めてもらいたい。俺はただ、ドローの修行に持っていっただけだ。」
私の言葉にターザンはそういい返す。だけど、ドローの修行って何よ?
「俺はかつてオベリスク・ブルーに所属していた。だが、ドローが思うようにいかず、いつも負けてばかりだった。だからこそ、来る日も来る日もドローの修行に明け暮れていた。今回の一件もその成果だ。」
それで連続で黄金の卵パンを盗めるのならたいした努力の結果よね?でも、
「どんな言葉を言い繕っても泥棒は泥棒よ?」
「それなら、俺とデュエルしてもらおう!俺が勝ったら、俺を見逃し、俺が負けたらもう2度とこのようなことをしないと約束しよう。」
私はその言葉に頷いてから、デュエルディスクを起動させた。
○ ○ ○
『
「私のターン! ドロー! 私はマンジュゴッドを召喚するわ! 効果で終焉の王デミスを手札に加えるわ。 私はカードを2枚セットしてターンエンドよ。」
雪乃ライフ4000手札4枚
伏せカード2枚
マンジュゴッドATK1400
「俺のターン! ドロー! ドローラーを召喚! 効果によりデッキの一番下に置いたカード一枚に付き500ポイントアップする! 俺は手札を5枚デッキに送る!」
ターザン男がデッキにカードを送り続け強化していくロードローラー。
「手札を全て? 無謀ね?」
「なんとでも呼べ。出たとこ勝負だ。最強のドローを持つ俺は負けん! ドローラーでマンジュゴッドを攻撃!」
ターザン男の宣言にローラーロードが攻撃を仕掛けるが、
「あら? 激しいのね? でも焦っちゃだめよ?じっくり焦らさないと。リバースカードオープン! 速攻魔法禁じられた聖杯を発動! ドローラーの効果を無効にして攻撃力を400アップさせるわ! ただし、ドローラーの攻撃力が上昇する効果も無効になり、攻撃力が0になってから400アップするわ。」
私のフィールドから翻った聖杯から水をかけるとドローラーが錆び付いて攻撃力がダウンしてしまいマンジュゴッドが返り討ちにした。(大山ライフ4000-1400+400=3000)
「な! く、た、ターンエンド…。」
雪乃ライフ4000手札4枚
伏せカード2枚
マンジュゴッドATK1400
伏せモンスター0枚
伏せカード0枚
大山ライフ3000手札0枚
「私のターン! ドロー! 私は手札から儀式魔法エンドオブワールドを発動! 手札の救世の美神ノースウェムコを生け贄にして終焉の王デミスを儀式召喚するわ!」
相手のフィールド、手札にカードは無し。墓地には1枚だけあるけど攻撃を阻止するカードじゃない。
「もう終わりかしら? 案外早いのね? 激しいのは嫌いじゃないけど、これじゃあ、欲求不満よ? 2体でダイレクトアタック!」
マンジュゴッドとデミスの攻撃ターザンのライフを削りきった。
「く! 何故だ! 何故勝てない! ドロー修行をした俺がなんで!」
ターザンは自身の敗北に地面に跪いてそうもらしていた。
「当たり前だ。お前に足りない物が多すぎる。」
いつの間にそこにいたのか、士がそう言った。
「デュエルにおいて重要な物は何だと思う?」
「ドローの強さではないのか?」
「確かに必要かもしれないが一番重要ではない。じゃあ、十代は?」
「デュエルを楽しむって事だろ?」
「好ましい解答ありがとう。だけど、ハズレ。カードに対する幅広い知識に戦略にドロー。この3つは必要だ。ドローだけ磨いたとしても意味がない。」
「だったら、どうやって戦略を磨けばよいのだ?」
「デュエルに足掻いて自分のカードを理解していけばいい。そうすれば、その分だけ戦略が生まれるはずだ。」
士の言葉をターザンは真剣に聞いていた。
○ ○ ○
「アラ? 士?」
購買に行く途中で珍しく購買に向かう士を見つけ声をかけた。
「雪乃か? ひょっとしてドローパンを買いにか?」
「ええ。ちょっと気分でね。士は珍しいわね。」
「弁当を忘れてな。」
購買部にたどり着くとドローパン売り場に大勢の人が並んでいた。その列に並び、ドローパンを一つ購入して口に運ぶ。濃厚な何かとプルプルな何かのコラボレーションがとても美味しい。なにか入ってるんだろうと思い、パンを見てみると黄金の卵パンだった。
「お、おめでとう。」
ドローパンを見た士を見てちょっとイタズラ心が芽生えた。ドローパンを半分にちぎり、士の口元に運ぶ。
「はい。士。あーん。」
「え? あ、あの、雪乃? お前がちぎった方を差し出したら関節キスになるんですが?」
その言葉をスルーして口を開けるように要求する。その要求に戸惑ったように顔を赤らめて目を閉じて口を開いた。その態度を可愛らしく思いながら、半分にちぎった黄金の卵パンを士の口に運んだ。