我が魂は真紅の眼と漆黒の龍と魔導少女 作:0・The Fool
デュエルアカデミアに向かう途中、十代達に気づいて声を上げた。
「はよ。十代。翔。隼人。…で、君は? 見ない顔だけど? 俺は沖田士だ。」
「おはよう。士。コイツは昨日から俺達の同室で早乙女レイだ。」
「士さん。おはようッス。」
「おはよなんだな。」
「はじめまして。ボクは早乙女レイです。」
俺の挨拶に4人が挨拶する。って、この子が男装少女のレイか。
「なあ。レイ。お前って一人部屋じゃないだろ? 確か、オシリス・レッドって空き部屋無いと思ってたけど?」
「いや、ボクは十代達と同じ部屋だよ。」
やっぱりそうか。
「なら、俺の所に移らないか? 十代の所はいっぱいだろ?」「つ、士さん! そんな事をする必要ないッスよ!」
俺の提案になぜか翔が早乙女を睨む様に見ていた。
「うーん。確かにあの部屋を4人で住むのは手狭だよね。」
早乙女はあの部屋を思い出して呟いていた。その瞬間、翔の視線が強くなったが早乙女が何か呟いた途端に翔はホッと息を吐いていた。
「うーん。確かにあの部屋は手狭なんだけど、引っ越しを決めるのはレイ君だよ。」
その結果、早乙女は俺の所に引っ越しを決めた。
○ ○ ○
「はい。コレが早乙女の部屋のカギ。」
カギを手渡ししてから案内する。
「…で、早乙女。女の子が男のフリしたのは何でだ?」
「…気づいてたの? ボクが女だって?」
俺の問いに早乙女は目を丸くしていた。
「ま、ね。で、何で男装を?」
「ごめん。言えない。」
「なら、仕方ないっか。ようこそ、デュエルアカデミアに。」
俺の言葉に早乙女は首を傾げていた。
「聞かないの?」
「別に言いたくないのを無理やり聞かせるのはよくないよ。誰だって言いたくない話の1つや2つはあるさ。」
俺の言葉に信頼してくれたからか、頼み事をしてきた。
「士さん。お願いしても良いですか?」
「何?」
俺の問いに早乙女は答えた。曰わく、自分は小学生であること、ここには1週間ぐらいの体験学習であること、小学校の担任も両親も了解を得ているものの課題を言い渡され、内容次第では留年もありうると。
「課題の1つに自分のデッキのメリットとデメリットを分析してレポートにするというものなんだ。」
「わかった。変わりにこちらからも頼むけどさ、翔が好きな女の子がいるんだけど、なかなか告白しないんだ。その子を一歩前に踏み出させてほしいんだ。」
頷いた早乙女からデッキを受けとり、机の上に並べる。
「恋する乙女と乙女カウンターを利用したコントロール奪取系デッキか。
とりあえず、パッと見た感じ気づいたのは、まず、1キルのようなデッキやバーン、終焉のカウントダウンやエクゾディアのように特殊条件での勝利を狙ったデッキにはこのデッキは無力化すること。
乙女カウンターとキューピットキスで相手モンスターを奪うまでにダメージを受けすぎる。
例えば、攻撃力1000のモンスターを奪うとしよう。そのためにまず一回殴られる。恋する乙女の攻撃力は400。差が600を受けて殴っての2回受けなきゃなんない。
キューピットキスでコントロールを奪取するには乙女カウンターが乗っている状態で攻撃してダメージを受ける必要があり、スピリットバリアでダメージを防ぐとコントロールを奪えない。
次に攻撃力が変動するモンスターを奪った際はどうするか? 例えばワイトキングだ。あれは墓地にあるワイト、ワイトキング、ワイト扱いになってるモンスターの枚数で攻撃力が変動するけど、ワイトは早乙女のデッキには入ってないから攻撃力は0。
最後にコントロール奪取出来ないモンスターは、そもそもコントロール奪取出来ない状況だとキューピットキス、ハッピーマリッジも無力化する。」
俺の解説を早乙女はマジメにメモしていた。
○ ○ ○
「よう。十代。」
何故かオベリスク・ブルー寮を心配そうに見上げている十代を見つけ声をかけた。
「士か。あれ見てくれ。」
十代が指差した先には、木登りしている早乙女がいた。しかも、あっという間に丸藤亮の部屋まで辿り着いて部屋の中に侵入してしまった。
「住居不法侵入じゃねえか! 止めないと!」
十代は叫んでから、木に登り、丸藤亮の部屋に入ろうとする。
その様子を見ながらPDAを取り出した。
『どうした?』
「今、丸藤亮の部屋に忍び込んだ奴がいて、十代が止めようと忍び込んだから十代は大目に見てくれ。」
『わかった。』
俺の頼みを快く了承して通話を切る。それから少しして十代が走ってきた。どうやら、丸藤亮か、あるいはその取り巻きが入り口まで案内してくれたらしい。
「士! レイを見なかったか?」
「十代が来る少し前にあっちに走って言ったが何かあったんだ?」
「…実はレイが、」
「女の子だって事だろ? 知ってるよ?なんでわざわざ男装しているのかは知らないけどさ。」
「そっか。じゃ、誰にも話さないでくれないか? 俺が聞き出してみる。」
十代の頼みに首を縦に振る。もとより誰かに話すつもりなど毛頭にもないし。
「サンキュー。」
十代は俺が指示した方向に走って行った。
○ ○ ○
その後、どういう展開になったのかは知らないが、海辺で十代と早乙女がデュエルディスクを構えている。
「本当にボクが勝ったら黙っていてくれるんだね?」「ああ。デュエルすればその人の事がわかる。わざわざ教えてもらう必要がなくなる。」
十代の言葉に早乙女は呆れ顔になるが、表情を引き締める。
○ ○ ○
『
「ボクのターン! ドロー! 手札から
そして恋する乙女を攻撃表示で召喚! そして、カードを1枚伏せてターンエンド!」
レイライフ4500 手札4枚(黄金の天道虫)
伏せカード1枚
恋する乙女ATK400
「俺のターン! ドロー!
フェザーマンで恋する乙女を攻撃! フェザー・ブレイク!」
『キャァ!』
フェザーマンの羽ばたきが恋する乙女を攻撃する。
『うぅ。酷いです。』
恋する乙女の言葉に戸惑うフェザーマン。
「ダメージ計算時にガード・ブロックを発動! 戦闘ダメージを0にして1枚ドロー! そして、恋する乙女を攻撃したモンスターには乙女カウンターが乗るよ。」
「コレでターンエンド!」
レイライフ4500 手札5枚(黄金の天道虫)
伏せカード0枚
恋する乙女ATK400
フェザーマンATK1000(乙女カウンター1有り)
伏せカード0枚
十代ライフ4000手札5枚
「ボクのターン! ドロー! ボクの手札から
『フェザーマン様ぁ!』
恋する乙女がフェザーマンの胸元に飛び込み、フェザーマンが優しく抱き止め、2人の唇が重なった。(レイライフ5000-1000+400=4400)
「キューピットキスの効果発動! このカードを装備したモンスターが乙女カウンターを乗ったモンスターに攻撃してダメージを受けた場合そのモンスターのコントロールを得る!」
『お願いします! フェザーマン様!! 力を貸してください!』
『よし!! 任せろ!!』
「そ、そんなぁ! フェザーマン!」
「フェザーマンでダイレクトアタック! フェザーブレイク!」
『くらえ!! この悪党!』
フェザーマンが羽ばたきで十代を攻撃する。恋する乙女を攻撃させた恨みからか先ほどより羽の量が多い気がする。(十代ライフ4000-1000=3000)
「カードを2枚伏せてターンエンド!」
レイライフ4400 手札3枚(黄金の天道虫)
伏せカード2枚 キューピットキス
恋する乙女ATK400 フェザーマンATK1000(乙女カウンター1有り)
伏せカード0枚
十代ライフ3000手札5枚
「俺のターン! ドロー!
エアーマンでフェザーマンを攻撃!」
エアーマンは風でフェザーマンを攻撃しようとするが、恋する乙女がフェザーマンの前に躍り出た。
「永続罠カード、ディフェンスメイデンを発動! 乙女カウンターが乗っているモンスターが攻撃対象になった時、恋する乙女を攻撃対象に変更する!」
『キャァ!』
『エアーマン! か弱き少女に手を上げるとは何事だ!』
『うぅ! 俺はなんて過ちを!』
こうして、エアーマンにも乙女カウンターが乗る。(レイライフ4400-1800+400=3000)
「コレでターンエンド!」
レイライフ3000 手札3枚(黄金の天道虫)
伏せカード1枚 ディフェンスメイデン キューピットキス
恋する乙女ATK400 フェザーマンATK1000(乙女カウンター1有り)
エアーマンATK1800(乙女カウンター1有り)
伏せカード0枚
十代ライフ3000手札6枚
「ボクのターン! ドロー!
恋する乙女でエアーマンを攻撃!」
『エアーマン様ぁ!』
恋する乙女はエアーマンの胸元に飛びついて、エアーマンも恋する乙女を抱きしめて唇を重ねた。(レイライフ3500-1800+400+1000=3100)
『エアーマン様もお力貸して下さいますよね?』
恋する乙女が顔を紅くして問いかける。それだけで、
『か弱き少女に力になることこそHEROの務め!』
舞い上がって十代を裏切るエアーマン。まあ、効果だから仕方ないけどさ。
「フェザーマンとエアーマンでダイレクトアタック!」
『食らえ! か弱き少女に攻撃させる悪党!』
エアーマン。すっかり、十代を悪役扱いか。マスター十代なのに。(十代ライフ3000-1800-1000=200)
「ボクはターンエンド!」
レイライフ3100 手札5枚(黄金の天道虫)
伏せカード1枚 ディフェンスメイデン キューピットキス ハッピーマリッジ
恋する乙女ATK400 フェザーマンATK1000(乙女カウンター1有り) エアーマンATK1800(乙女カウンター1有り)
伏せカード0枚
十代ライフ200手札5枚
「俺のターン! ドロー! 手札から愚かな埋葬を発動! デッキから
『小娘の色香に惑わされるとは嘆かわしい。されでもHEROか! 手札に戻れ!』
『は、はい!! 姐さん!!』
バーストレディーの喝に慌てて手札に行くエアーマンとフェザーマン。
「手札からバーストリターンを発動! バーストレディー以外の
スパークマンは恋する乙女に向けて弾丸は発射する。その瞬間、恋する乙女は守りに移った。
「この時、ガードペナルティーを発動!このカードの対象になった、恋する乙女が守備表示に変更した事により、1枚ドロー! スパークガンの効果で恋する乙女の表示形式を2回変更して1枚ドロー! 3回効果を使ったことによりスパークガンが破壊されるが、手札から融合を発動! 手札のフェザーマンとフィールドのバーストレディーを融合!
上手いな。恋する乙女は守備表示なら、戦闘では破壊出来ないって効果も使えない。でも、それは想定済みの戦略みたいだよ?
「攻撃宣言時にリバースカードオープン! 最終突撃部隊! フィールド上の全モンスターは攻撃表示になる!」
守備表示の恋する乙女が攻撃表示になった。(レイライフ3100-1600+400=1900)
「フレイムウィングマンで恋する乙女を攻撃!」
「ダメージ計算時にガードブロックを発動! ダメージを0にして、ドロー!」
「速攻魔法融合解除! フレイムウィングマンを融合デッキに戻してフェザーマンとバーストレディーを特殊召喚! 2体で恋する乙女を攻撃!」
フェザーマンとバーストレディーが恋する乙女を攻撃した。(レイライフ1900-1000-1200+400+400=1400-2200+800=1900-1400=500)
コレでもライフがわずかだけど残っている。
「速攻魔法瞬間融合!フェザーマンとバーストレディーを融合してフレイムウィングマンを融合召喚! 恋する乙女に攻撃! フレイムシュート!」
フレイムウィングマンの龍の口がレイのライフを焼き尽くした。(レイライフ500-2100=-1600)
○ ○ ○
「そんな。恋する乙女が負けるなんて。」
「ガッチャ! 楽しいデュエルだったぜ!」
早乙女の言葉に十代はいつもの決め台詞を口にした。
「終わったな。行ってやれ。」
隠れて様子を見ていた丸藤亮に声をかけた。
「亮様。ボクは、」
「すまない。その好意は嬉しく思う。しかし、俺はデュエルにしがみついていたい。こんな身勝手な俺が誰かを幸せにする事など出来ない。」
早乙女の想いを遮って丸藤亮は謝罪した。
その時、俺は見逃していた。隠れて様子を窺っていたもう1人の人物を。