我が魂は真紅の眼と漆黒の龍と魔導少女 作:0・The Fool
「早乙女さん。士さん。おはようございます。」
デュエルアカデミアに向かう途中、聞き慣れた声に後ろに振り返ったらももえがこちらに駆け寄る所だった。
「おはよう。ももえ。早乙女。こいつは友達の浜口ももえだ。」
「ももえですわ。よろしくお願いいたします。」
「ボクは早乙女レイだこちらこそよろしく。」
ももえの自己紹介に頭を下げて自己紹介する早乙女。
(早乙女。以前話した翔に惚れてるって娘はこの娘だ。頼む。)
(ラジャー♪)
早乙女に囁くと、笑顔で答えた。
Side ももえ
………面白くないですわ。私の右側に座る早乙女さんを見てそう思った。いつもなら、翔様の隣がわたくしの席なのに今日に限っては士さんと早乙女さんにとられてしまった。
「…ラ? シニョーラ浜口?」
クロノス先生の声にようやく我にかえる。
「は、はい!」
「シニョーラ浜口? すでに知っている内容だとしても、聞き流すのは感心しないノーネ。罰として、この問題を解いてもらうノーネ。」
といって黒板に書かれた問題は、
『今現在の攻撃力が1200のオプションに巨大化を装備した場合、あるいは収縮を発動した場合の攻撃力の変化とその理由を述べよ。ただし、ライフは相手の数値が多いものとして扱う。』
「巨大化を装備した場合はオプションの攻撃力が倍の2400になり、収縮を発動した場合は攻撃力が600になります。」
わたくしの答えに周囲がクスクスと笑っていた。
「ももえ。オプションの攻撃力は永続的に適用する数値だ。この場合、いったん2400、あるいは600になりその後、1200に戻るんだ。」
えっと、つまりは変動しないが答えですか? してやられたとそんな気分になった時、チャイムがなり、今日の授業は終了になった。
○ ○ ○
授業に集中出来なかった事に反省しながら廊下を歩いていた時、翔様を見つけ声をかけようとしたところで、
「浜口さん。ちょっとデュエルしませんか?」
早乙女さんに声をかけられ、そちらに振り向いていた間に翔様を見失ってしまった。
「いいですけど、場所を変えません? ここじゃ目立ちますわ?」
○ ○ ○
『
わたくしと早乙女さんは宣言してからカードをドローする。
「ボクのターン! ドロー! カードを2枚セット! 恋する乙女を攻撃表示で召喚! そして、手札から魔法カード、終焉のカウントダウンを発動!! これで20ターン、ボクのターンで数えて10ターン後にボクの勝利が確定するよ!
これでターンエンド!」
レイ ライフ2000 手札2枚
伏せカード2枚
恋する乙女ATK400
終焉のカウントダウン01
「わたくしのターン! ドローしますわ! 手札から永続魔法黒蛇病を発動します! そして、デス・ウォンバットちゃんを攻撃表示で召喚します! このカードがあるかぎりわたくしは効果ダメージが0になりますわ! そして、黒蛇病はわたくしの最初のスタンバイフェイズに200。以後ダメージが倍になりますわ!」
わたくしのデッキはデス・ウォンバットちゃんでわたくしを守りつつ、黒蛇病で相手のライフを削るロックバーンのデッキ。デュエルアカデミアではロックバーンが受けが悪く、だからオシリス・レッドの腕章をつけられ、最下位のランクな訳である。それでも、大好きなこのカード達と共に闘いたい。その想いは裏切られたらしい。
「リバースカードオープン! アンシュ・ベーゼ! このカードが表側表示である限り、通常召喚したももえさんのモンスターの元々の攻撃力の半分のダメージを受けることでそのモンスターに乙女カウンターを乗せる!」(レイライフ2000-1600÷2=1200)
アンシュ・ベーゼ(オリカ) 永続罠カード
このカードが表側の時、相手プレイヤーが通常召喚する度にそのモンスターの元々の攻撃力の半分の効果ダメージをこのカードのコントローラーが受けることでそのモンスターに乙女カウンターを1つ乗せる。
『デス・ウォンバット様ぁ♪』
早乙女さんの言葉に恋する乙女ちゃんがデス・ウォンバットちゃんに投げベーゼをすると、デス・ウォンバットちゃんは電気を流されたかのように硬直した。
「バトルフェイズに入りますわ! デス・ウォンバットちゃんで恋する乙女ちゃんを攻撃!」
乙女カウンターを乗せる事が避けられないなら、キューピッド・キスが来る前に決着をつけるべきだと思ったけど、そうもいかなかったらしい。
「リバースカードオープン! ガードブロック! ダメージを無効にして1枚ドローするよ!」
デス・ウォンバットちゃんの攻撃に対してトラップカードで防いだ。
「わたくしはターンエンドしますわ。」
レイ ライフ1200 手札3枚
伏せカード0枚 アンシュ・ベーゼ
恋する乙女ATK400
終焉のカウントダウン02
デス・ウォンバットATK1600
伏せカード0枚 黒蛇病
ももえライフ4000 手札4枚
「ボクのターン! ドロー! 手札の
そして、手札から魔法カード、アームズ・ホールを発動!
このターン、ボクは通常召喚出来ない上にデッキトップのカードを1枚墓地に送らなければならないけど、デッキから装備魔法、キューピッド・キスを手札に加える!
そして、ボクが墓地に送ったカードは
きゅ、キューピッド・キスまで加えただけじゃなく、ライフを1500も回復したなんて。(レイライフ1200+500+1000=2700)
「恋する乙女にキューピッド・キスを装備してバトルだよ!
恋する乙女でデス・ウォンバットに攻撃! 一途な想い!!」
早乙女さんの宣言に恋する乙女ちゃんはわたくしのフィールドにいるデス・ウォンバットちゃんに抱きついてチュッとキスした。
次の瞬間、デス・ウォンバットちゃんは恋する乙女ちゃんに従う形で早乙女さんのフィールドに向かってしまった。
「デス・ウォンバットでダイレクトアタック!」
早乙女さんの宣言にデス・ウォンバットちゃんがわたくしに襲いかかる。(ももえライフ4000-1600=2400)
「1枚セットしてターンエンド!」
レイ ライフ1500 手札2枚(1枚は黄金の天道虫)
伏せカード1枚 アンシュ・ベーゼ キューピッド・キス(装備対象 恋する乙女)恋する乙女ATK400 デス・ウォンバットATK1600
終焉のカウントダウン03
伏せカード0枚 黒蛇病
ももえライフ2400 手札4枚
「わたくしのターン! ドロー!」
「この瞬間リバースカードオープン! 聖なる輝き! このカードがあるかぎりモンスターを裏側表示出す事が出来ないよ! 表側表示なら出せるけどね。それと、黒蛇病のダメージも受けてもらうからね?」
早乙女さんの宣言にわたくしのカードがわたくしのライフを削る。(ももえライフ2400-200=2200)
まずいですわ。あのカードがあるかぎりわたくしのモンスターはセット出来ず、表側表示しか出せない。でもそうすれば、乙女カウンターが乗ってしまう。それなら、
「ジャイアントウィルスを攻撃表示で召喚します!」
「でも、その瞬間アンシュ・ベーゼの効果でジャイアントウィルスに乙女カウンターが乗るよ?」
早乙女さんの宣言通り恋する乙女がジャイアントウィルスに投げベーゼをしたら、ジャイアントウィルスが一瞬硬直した。
「ジャイアントウィルスでデス・ウォンバットちゃんに攻撃しますわ!」
わたくしの宣言にジャイアントウィルスがデス・ウォンバットちゃんに攻撃するけどデス・ウォンバットちゃんの反撃にあう。(ももえライフ2200-1600+1000=1600)
「ですが、ジャイアントウィルスの効果が発動しますわ。相手に500の効果ダメージを与え、同名モンスターを2体特殊召喚します。」
宣言してからジャイアントウィルスをサーチしてフィールドにおく。
「わたくしはターン終了しますわ。」
レイ ライフ1500 手札2枚(1枚は黄金の天道虫)
伏せカード0枚 アンシュ・ベーゼ キューピッド・キス(装備対象 恋する乙女)
恋する乙女ATK400 デス・ウォンバットATK1600
終焉のカウントダウン04
ジャイアントウィルスATK1000×2
伏せカード1枚 黒蛇病
ももえライフ1600 手札3枚
「ボクのターン! ドロー! 手札の
早乙女さんはそう宣言してからカードを引いて捨てる。(レイライフ1500+500=2000)
「さらに捨てた2枚の
そ、そんな! 半分以下だったライフが元に戻るなんて!
「手札からハッピー・マリッジを恋する乙女に装備するよ。
これで終わり! デス・ウォンバットでジャイアントウィルスを攻撃!」
デス・ウォンバットちゃんがジャイアントウィルスを噛み砕きわたくしのライフを削る。(ももえライフ1600-1600+1000=1000)
「恋する乙女でジャイアントウィルスを攻撃! 一途な想い!!」
「させませんわ! リバースカードオープン! ホーリーシャベリン! 恋する乙女ちゃんの攻撃力、2000ポイントだけライフを回復させますわよ!」(ももえライフ1000-2000+1000+2000=2000)
「………ねえ、ももえさん。1つ賭けをしませんか?」
「賭けですの?」
自分が有利になったとたんに賭けを持ち出す事が気に入らないけど、何を賭けるのか気になって首を傾げた時、早乙女さんの口からとんでもない言葉が出た。事が気に入らないけど、何を賭けるのか気になって首を傾げた時、早乙女さんの口からとんでもない言葉が出た。
「このデュエルに勝った方が先に翔様に告白するというのはどうですか?」
「………へ?」
わたくしの口からはその言葉しか出てこなかった。もしかして、早乙女さんって同姓愛好者?
「とんでもない勘違いしているみたいですから訂正しますけど、ボクは女ですよ?」
早乙女さんはそう言いながら、帽子を取る。ふぁさ。早乙女さんの帽子の下から長い髪が零れ出て風に舞い踊る。う、嘘? 本当に女の子だったの? 愕然としているわたくしに早乙女さんはクスクスと笑っていた。
「男の子に見えるように演技していたから誤解されてもしょうがないけどね♪ ボクは翔様に会いに来たんだ。3年くらい前に翔様に助けられて以来、ボクは翔様の虜なんだ。」
そう言いながら、うっすらと頬を赤く染めながら幸せそうにはにかむその表情は恋する乙女のそれで、わたくしの心に不安の音色をかき鳴らすには十分だった。
「で、でも、翔様は、」
「士さんが好きでしょ? ちゃんと知ってるよ? でも、それでも振り向いて欲しいし、その心を独占したい。
それに、どんな事があったとしても士さんが翔様を愛する事は絶対にないよ。
失恋の痛みを味わう事になるけど、その痛みも一緒に包んで癒したい。」
わたくしは早乙女さんを見て不安でいっぱいになった。小柄でかわいらしいこの思わぬ
「………んわ………。」
思わずそんな言葉が漏れていた。
「…なんですか?」
強者の余裕を崩さない早乙女さんにわたくし自身でも驚くような声量を放っていた。
「絶対に誰にも渡せませんわ!!!!」
その叫びにも早乙女さんは余裕を崩さなかった。
「なら、ボクに勝つ事だよ? ターンエンド!」
レイ ライフ4000 手札2枚(1枚は黄金の天道虫)
伏せカード0枚 アンシュ・ベーゼ キューピッド・キス(装備対象 恋する乙女) ハッピー・マリッジ(装備対象 恋する乙女)
恋する乙女ATK400+1600 デス・ウォンバットATK1600
終焉のカウントダウン05
伏せカード0枚 黒蛇病
ももえライフ2000 手札3枚
「わたくしのターン! ドロー!」
来た! 逆転に必要な1枚が!(ももえライフ2000-200×2=1600)
「デス・ウォンバットちゃんは返して頂きますわ!! 手札から魔法カード所有者の刻印を発動します! デス・ウォンバットちゃんはわたくしのモンスターですから、こちらに戻りますわ! それに、デス・ウォンバットちゃんがこちらに戻ったからハッピー・マリッジのパワーアップ効果も無意味ですわ。」
わたくしが発動したカードにデス・ウォンバットちゃんはこちらに駆け寄る。
「うぇっ!!」
そのデス・ウォンバットちゃんを見て驚きの声をあげる早乙女さん。
「デス・ウォンバットちゃんを生け贄に、マテリアルドラゴンを召喚!!」
デス・ウォンバットちゃんがガラスのように砕け散りそこに巨大なドラゴンが現れる。
「で、でも、アンシュ・ベーゼの効果によりマテリアルドラゴンに乙女カウンターが乗るよ。」
恋する乙女ちゃんがマテリアルドラゴンに投げベーゼをすると、早乙女さんのライフが回復する。(レイライフ4000+1200=5200)
「? なんでボクのライフが?」
「マテリアルドラゴンの効果ですわ。このカードはダメージ効果をライフ回復に変換しますの。
バトルフェイズ!!
マテリアルドラゴンで恋する乙女ちゃんを攻撃! マテリアルバースト!!」
マテリアルドラゴンが放つ7色の閃光が恋する乙女ちゃんを襲いかかる。(レイライフ5200-2400+400=3200)
『キャア!! ひ、酷いですわ!!』
『グルル。』
恋する乙女ちゃんの訴えにマテリアルドラゴンが困惑したようだった。
「カードを2枚セットしてターンエンドです!」
レイ ライフ3200 手札2枚(1枚は黄金の天道虫)
伏せカード0枚 アンシュ・ベーゼ キューピッド・キス(装備対象 恋する乙女) ハッピー・マリッジ(装備対象 恋する乙女)
恋する乙女ATK400
終焉のカウントダウン06
マテリアルドラゴンATK2400
伏せカード2枚 黒蛇病
ももえライフ1600 手札0枚
「ボクのターン! ドロー!」
「この瞬間リバースカードオープン! シモッチによる副作用! このカードは早乙女さんのライフを回復効果をダメージ効果に変換しますの! この場合もし、ダメージ効果を発動した場合、ライフ回復効果に変換した後ダメージ効果に再変換しますの。」
つまり、黒蛇病はわたくしのライフを回復しますけど、早乙女さんのライフを削り続けますわ。もちろん、アンシュ・ベーゼも同様ですの。
「次のターンも来させずに終わらせる! マテリアルドラゴンを通常召喚したのは失敗だったよ!
バトルフェイズ!!
恋する乙女でマテリアルドラゴンを攻撃! 一途な想い!!」
『マテリアルドラゴン様!』
恋する乙女ちゃんはそう言いながらマテリアルドラゴンに飛びつく。…それって節操がないと言いませんの? (レイライフ3200-2400+400=1200)
「キューピッド・キスの効果でマテリアルドラゴンのコントロールを得るよ!」
「しまった! わたくしとしたことが!」
『マテリアルドラゴン様は私の味方ですよね?』
恋する乙女ちゃんの問いに困惑しながらも早乙女さんのフィールドに来るマテリアルドラゴン。
「マテリアルドラゴンでダイレクトアタック!!」
マテリアルドラゴンが7色の閃光を放ちわたくしに襲いかかる。
「キャアァァァァ!!!! ………なんて言うと思いましたか? リバースカードオープン!!
わたくしのフィールドに現れた筒がマテリアルドラゴンの閃光を受け止め打ち返した。(レイライフ1200-2400=-1200)
○ ○ ○
「…か…勝てましたわ。」
なんとか阻止できたと安堵していたら、早乙女さんが声をかけてきた。
「フフフ♪ ももえさんが翔様に告白するんですね?」
「〃仝〆〇‘ ̄々 ̄〃仝|[{{¢≦≦」
「…ももえさん。深呼吸して落ち着いてください。テンパりすぎて何を言いたいかわかりません。」
「そ、そうですわ。ヒ、ヒ、フー。ヒ、ヒ、フー。」
「何を出産するつもりですか?」
呆れを含んだ早乙女さんの言葉に漸く落ち着く事が出来た。
「わたくしは翔様が好きです。…だから士さんにも、早乙女さんにも翔様を渡せませんわ。」
「そのいきだよ。ももえさん。頑張って。」
早乙女さんは応援してから帽子をかぶり直した。