我が魂は真紅の眼と漆黒の龍と魔導少女 作:0・The Fool
「………どうしよう。これを入れるとこっちが動かないしこっちを入れるとこっちが邪魔だし。」
「それなら、ウォーター・ドラゴンを使うべきだ! 炎属性と戦うとき圧倒的に有利になる!」
などと、デッキを眺めてあーだこーだ考えている十代と翔にラー・イエローの…えっと、三沼だっけ? 彼がウォーター・ドラゴン片手に近寄る。その横で明日香や隼人が自分のカードを使って欲しいと近寄る。おいおい。あまりやかましいと、
「うるさいうるさいうるっさーーいっ!!!! あんたらね! 邪魔するなら帰りなさい!!」
「そうですわ! 翔様は大事な友好デュエルに向けて調整中ですわ!」
十代達の邪魔をするのは例え明日香であっても許せないらしい。どす黒い殺気を放ちながら威嚇する2人に何も言わず引き下がるしかなかった。というか、下手に言おうものなら、
「しかしだな、友好デュエルは………グフッ!!」
三沼のようにみぞおちを殴られ沈させられるだろう。
「…ここでは、静かにデッキ調整なんて無理そうですわ。」
「士。あんたのとこの部屋まだ余りはあるでしょ?十代達に貸してあげて。」
ジュンコのお願いに俺は鍵を十代達に渡した。
とまぁ、こんな騒動はあったものの、俺の周りは概ね平和だと思う。しなし、俺達はデュエルアカデミアに潜む悪意に気づかなかった。それに気づいたのは友好デュエルの日だった。
○ ○ ○
ふぅ。危うかった。手洗いにデュエルアカデミアのトイレに向かい、その帰りに近道だからと体育の道具が収納されている倉庫前を通りすぎようとした時、
「ほ、ホントに黙ってくれるでしょうね?」
と、怯えの含んだ問いが倉庫から聞こえた。
「ああ。安心しろ。俺は喋らねぇよ。
お前が俺の要求を飲み続けている間はな。」
脅迫? 聞こえる話の内容からそう判断して、倉庫の窓から中を確認する。
「や、約束が違うじゃない!! あ、あんたの指示を1回聞けば黙ってくれるって、」
窓から様子を確認しようとしたところで、女の子の声が聞こえた。そっと覗いてみると、女の子が怯えた表情で男を見ていた。
「ハッ! テメェみてぇな女を一度食ったぐらいで簡単に手放してやるわけないだろ? 悪いことは出来ないなぁ?」
やはり、弱味を握られて強要されているのか。携帯で2人の行動を撮影する。
「そ、そりゃ、私がやったことは良くないことわかっているわよ。でも、それを理由に脅迫するあんた最低じゃない!」
「あぁ? うるせぇんだよ!」
オベリスク・ブルーの男子えっと、確か
「キャア!!」
花園は顔を赤くして、制服や下着を破られ裸になった胸を隠そうとしたが、そんなんじゃ明日香並みに豊満な胸を隠すことは出来ない。はみ出たバストがかえっていやらしく映る。っと、じっくり見てる場合じゃなかった。
「その辺にしといたら?」
2人から見えないよう注意を払いながら丸藤亮にメールを送りながら外から声をかけてやると、慌てながら俺を見る獅倉。
「や、やぁ沖田さんじゃないか。こんなところでどうしたんだい? あぁ、花園さんのことかい? 心配要らないよ? 俺達は演劇部に所属していてね。さっきのも役作りの為の練習なんだ。」
聞かれてもないのにペラベラと獅倉。よほど焦っているらしい。
「嘘つけ。さっきの会話はどう考えても教育上よろしくないことしようとしたようにしか見えなかったぞ。さっきのやり取りは録画させてもらった。これが公表されればお前はおしまいだ。」
俺の言葉に獅倉は凄まじい形相で俺を睨んでいた。
「デュエルだ! 俺が勝ったらそのデータを削除しろ!」
○ ○ ○
『
俺達はそう宣言しながらカードをドローする。
「俺のターン! ドロー! モンスターをセット! さらにカードを2枚伏せてターンエンド!」
士ライフ4000 手札3枚
伏せカード2枚
伏せモンスター1枚
フィールド魔法無し
伏せモンスター0枚
伏せカード0枚
誠ライフ4000 手札5枚
「俺のターン! ドロー! 手札からパワーボンドを発動!! サイバー・ドラゴン3体を融合してサイバー・エンド・ドラゴンを融合召喚!!」
キシャァァッ!! 獅倉のフィールドに現れた3つ首の機械龍は俺を見て咆哮をあげた。
「パワーボンドの効果により攻撃力が2倍になる! サイバー・エンド・ドラゴンでその伏せモンスターを攻撃!! エターナル・エヴォリューション・バースト!!」
サイバー・エンド・ドラゴンの閃光が伏せモンスターの
「ダメージステップ時にリバースカードオープン!! ガードブロック!! ダメージを0にして1枚ドロー!」
俺のフィールドで翻ったカードが俺のライフを0にするのを防いだ。
「さらに
「サイバー・ジラフを召喚! 生け贄にしてパワーボンドのデメリットを回避する!! さらにカードを1枚伏せてターンエンド!」
士ライフ4000 手札4枚
伏せカード1枚
伏せモンスター0枚 黒竜の雛DEF300
フィールド魔法無し
伏せモンスター0枚 サイバー・エンド・ドラゴンAtk4000+4000
伏せカード1枚
誠ライフ4000 手札0枚
「俺のターン! ドロー! 黒竜の雛を生け贄に捧げ、手札の
俺のフィールドに現れたルビーは怒りの咆哮をその場に轟かせた。
「さらに、ボマー・ドラゴンを攻撃表示で召喚!
バトル!
ボマー・ドラゴンでサイバー・エンド・ドラゴンを攻撃!!」
「バカが! その雑魚の攻撃力でサイバー・エンド・ドラゴンを倒せる訳がないだろう!」
「確かに攻撃力では勝てないな。だが、ボマー・ドラゴンは戦闘によって発生する戦闘ダメージを0にしてこのカードを破壊したモンスターを破壊するんだ。」
「サイバー・エンド・ドラゴンが! クソがっ!!!!」
「さらに、
ルビーの放つ炎が獅倉のライフを焼いた。(誠ライフ4000-2400=1600)
「1枚伏せてターンエンド!」
士ライフ4000 手札3枚
伏せカード2枚
伏せモンスター0枚 真紅眼の黒竜
フィールド魔法無し
伏せモンスター0枚
伏せカード1枚
誠ライフ4000 手札0枚
「俺のターン! ドロー! 手札から天よりの宝札を発動!!互いに手札が6枚になるようにドロー! さらにリバースカードオープン!! サイバー・サーチ!! プロト・サイバー・ドラゴンを手札に加えて召喚!! さらにサイバー・フェアリーを特殊召喚!!」
来るか? サイバー流のイカサマカード。
「サイバー・フェアリーの効果でサイバー・フェアリーのレベルを9にして、
レベル3プロト・サイバー・ドラゴンにレベル9のチューナー、サイバー・フェアリーをチューニング!!」
その言葉に サイバー・フェアリーは緑色の輪になり、その中にプロト・サイバー・ドラゴンが飛び込み、12の星になった。
「シンクロ召喚!! サイバー・ネクロマンサー!! サイバー・ネクロマンサーの効果発動!! 1ターンに1度サイバーと名のつくモンスターを墓地から可能な限り特殊召喚する!! この効果によって召喚されたモンスターは攻撃力が4000アップする!」
獅倉の宣言にフィールドに現れた、機械仕掛けの人形操り師は墓地に糸を垂らして引き上げる。そこには、スクラップで今にも崩壊しそうなサイバー・エンド・ドラゴン達の姿があった。
「サイバー・ネクロマンサーはフィールドにあるこのカード以外のサイバーがいる限り相手のカード効果を受けず、攻撃力もサイバー達の合計となる! しかも、相手の攻撃対象は俺が決める事が出来る!
これで終わりだ! サイバー・ネクロマンサーで「リバースカードオープン!! 和睦の使者!!」
ウザい! さっさと降参してデータを渡しやがれ! もうテメェには後がないだろう!
ターンエンド!」
士ライフ4000 手札6枚
伏せカード1枚
伏せモンスター0枚 真紅眼の黒竜ATK2400
フィールド魔法無し
伏せモンスター0枚 サイバー・エンド・ドラゴンATK4000+4000 サイバー・ドラゴン(フィールドに3体存在)ATK2100+4000 サイバー・ネクロマンサーATK2100×3+4000+4000×4
伏せカード0枚
誠ライフ4000 手札5枚
「諦めろ? 冗談キツいよ? 良いこと教えてあげようか? いつだってピンチの後にはハッピーエンドが待ってるんだよ! ドロー! ほら来た。黒炎弾!! やれ!」
俺の言葉にルビーは獅倉に炎を吐きライフを焼いた。(誠ライフ1600-2400=-800)
○ ○ ○
「お、俺が負けた? こ、こうなりゃ実力行使だ!」
獅倉はそう叫んで殴りかかろうとした時、
ズドンッ!! という音と共に脇腹を押さえて倒れる。
「し、死んだの?」
「いや、ゴムスタン弾だ。そうでしょ?」
「まぁな。」
視線を横に向けると銃を構えた丸藤亮がそこにいた。
「士。協力感謝する。君、サイズが合わないかもしれないが、これでも着ていてくれ。」
丸藤亮はそう言いながら。獅倉に手錠を嵌めた後百合に自身の上着を脱いで百合に差し出した。
「一応、お礼を言っておきます。」
獅倉を本部に連行する後ろ姿に百合は声をかけていた。そして、俺に振り向くと、
「あ、あの、士さん。わ、わたくしの御姉様になってください。」
耳まで真っ赤で恐ろしい事を言い出した。
「………はい?」
思わずそう問いかけた時、
「ありがとうございます!」
満面の笑顔で抱きつかれた。………どうしてこうなった