誰が最強トレーナー?   作:ちょこ

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競争

 翌朝。

 

「なーんでみんな揃ってるんかなぁ」

 

 レッドのつぶやきに激しく同意したい。

 3人とも、他より早く旅に出ようとフェイントをかけて研究所に来たのに、全員同じ思考だったのだ。

 

「私が一番早くつくと思うわ。かさばるキャリーバッグは、昨日の夜のうちにニビまで送ったもの」

「俺はトキワまでだ」

「お、俺だけか、何もしてないのは……」

 

 計画性の無いレッドが崩れ落ちる横で、用意周到ずる賢いブルーはピースサインを見せつける。

 計画的なグリーンは、送ったもののトキワまでのようだ。

 

「ほらぁ、トキワに送ったとしてもすぐにニビ行くし、トキワの森通るでしょ? 1日でニビまでついちゃうから、ニビに送ったほうが得なのよ。緊急事態用に、ワンセットだけ着替えを持っておけばいいし」

「なるほどな。参考にしよう」

「あ、あとレッドは自転車ないみたいね」

「俺も無いぞ。いつの間に用意したんだ」

「レンタルよ。トキワでできるのよ」

 

 スムーズに旅を始めるために、何度もニビまで行ったり来たりを繰り返していた時期もあったのだが、ブルーはそれを秘密にするようだ。

 

「というわけで、ひと足先に行ってきますっ!」

「待てぃ、俺が一番だ!」

「違う、俺だ!」

 

 三大強者なだけあってライバル意識が高く、誰が一番なのかというバトルに発展する。いつものことだが。

 オーキド博士は、用意していた祝辞を言う暇もなく旅立ってしまったことにため息をつきながら研究所の中に戻る。

 

 ルーナとフローラはモンスターボールに、俊足のレオンだけを出して1番道路に駆け込む。すぐ後に、足の遅いグリーンを抜かしてきたレッドが、そしてツーテンポほど遅れてグリーンが足を踏み入れる。

 

「こうなることを想定していたのよねっ」

 

 足元に落ちている、草に同化している緑色の石を遠くに蹴り飛ばしながら呟くブルー。こうなることを想定して、自分だけの道標を作っておいたようである。

 同時に、マリンブルー———ブルーを象徴する色の石を落とし、違う方向に向かって導き、後ろの2人を惑わせるようだ。緑色の石は蹴り飛ばしながら来ているので、これについてくることはないだろう。

 

 一方レッドは、草むらを走り回っていた。しかも、方角はトキワシティである。コヤツ、野生の勘が冴え渡ってやがる。そうか、お前もスーパーマサラ人か。

 途中出てきた野生のポケモンは自力でぶっ飛ばし、距離もぶっ飛ばす。道は、ブルーとは違って遠回りのようだが、確実にトキワに近付いている。

 邪魔なキャリーバッグを持っている割には高ペースである。

 

 残るグリーンは、修行の賜物で体力はあるものの、足が遅いという欠点があった。よって、ゆっくり持久走ペースである。そこで、彼は頭を働かせる。「ブルーのことだから、目印があるのではないか」と。

 そしてマリンブルーの石を見つけるが、やはり考える。「ブルーのことだから、これはフェイントなんじゃないか」と。

 そして、草の中にまぎれている緑色の石をみつけ、またまた考える。「ブルーのことだから、見つからないよう、左右に蹴っ飛ばしていったんじゃないか」と。

 結論、「緑色の石の近似直線を走ればいいだろう」。ブルーの考え方を読んだ、非常に効率の良い思考である。

 ただ、もう一度言おう、彼は足が非常に遅いのである。

 

 

「ふぅー、やっとついたー」

「ピィカ、ピカ?」

「お腹すいたけど、ここが我慢のしどきよ。レッドのことだから、ここでお昼を食べてから出発するでしょう。つまりは、ここで一気に距離を稼ぐのよ。幸い、自転車もあるし」

 

 レンタルといいつつ、本当は折りたたみ自転車を購入していたのだ。さすが、腹黒い。

 カゴにレオンを乗せ、キュウコンに進化したルーナも出す。

 

「いい、この自転車電気流すとスピードアップする自転車だから、レオンが微電流を流し続けて、ルーナが横を走りながら野生のポケモンを追い払うのよ。既にニビジム対策の作戦や調整はしているから、トキワの森は正直留まる必要はないわ。一気に進むわよ」

「ピッカ!」

「コォン」

「じゃ、レオン、お願い」

 

 レオンが、電動コードの先っぽを掴み、そこに微電流を流し始める。自転車に装着されたモニターに『準備完了』の文字が表示され、ブルーは自転車を走らせた。

 途中、ベルトにくくりつけていた巾着から木の実を出し、かぶりついたり、レオンやルーナに食べさせながら薄暗いトキワの森の短縮ルートをハイスピードで進んでいく。

 モニターにマップを表示させ、確認するとニビまであと20分でつくとのこと。かなり順調だろう。

 目指すはニビジム攻略。

 一時的に運転をレオンに任せ、ポケギアを開いてレッドとグリーンにメールを一斉送信する送。

 

「さあ、どっちが先に来るのかしらね」

 

 

 レッドは、ブルーがトキワシティについた20分後に到着していた。三大強者が大好きなハンバーガーショップ“ミック”に入り、人気商品のポケバーガーを大量注文する。

 10分後、そろそろトキワシティを出ようと考え、きずぐすりなどを調達しようとショップに向かっていると。

 

 “遅いわね。これじゃ、1番は私確定かしらね。頑張って♡ ブルー”

 

 というメールが届いた。

 レッドは怒る。俺が一番だと。

 そして、怒りのあまり、きずぐすりなどの調達も忘れてトキワの森に走って行った。

 

 ちょうど、ブルーからのメールが届いたあたりで、グリーンはトキワシティに到着した。ポケバーガーを片手に、ポケモンセンターで回復を済ませ、すぐさまトキワの森へ向かう。

 既にきずぐすりなどの調達はしてあったため、かなりスムーズだ。

 トキワの森に足を踏み入れ、短縮ルートなどではなく正規のルートで、ポケモンバトルを繰り返しながら進んでいく。

 グリーンの頑固が招いた、悲しい出来事だった。




バトルは次回かその次です。
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