誰が最強トレーナー? 作:ちょこ
「ニビ到着っ!」
やはりというかなんというか、一番にニビシティについたのはブルーである。
もう夕方といえる時間になっており、空は赤く染まっている。
ブルーは用意周到でずる賢いとしてマサラタウンの有名人だ。頭に“ずる”がついても賢いのである。そして、彼女は物心ついた頃から、広い畑で野菜や果物、木の実を作って売り、ある時はアルバイトをして生活費を稼ぎ、コツコツ貯金をしてきた。
そして、今は数百万というお金をカードに貯め、なおかつ更に銀行にお金がある状態なのである。
ポケモントレーナーは、ホテル代、買い物代などを大体カードで支払う。莫大なお金を財布に入れて持ち歩くには無理があるからだ。そして、数万円を小銭に崩し、お財布に入れて賞金として支払ったり、自動販売機の飲み物を買う。
よって、彼女はある程度のホテルに泊まることが可能である。
ポケモンセンターの宿泊施設は、かなり狭くてポケモンを出すことがNGな上に、部屋数が少ないためにすぐにいっぱいになってしまう。しかも、宿泊費がボロな割に高い。
金銭面に余裕があり、なおかつジム戦を控えている身として、普通のホテルに泊まることを選んだ。それでもポケセンより安いのだ、不思議なことに。
追加料金を支払って、結構豪華なディナーをいただき、ジャグジー付きの湯船でゆっくりした後、ポケモンのケアを行い、就寝となった。
翌朝。
昨日のうちに予約をとってあったジム戦のため、時計を見ながら身支度を整える。
水色の半袖のブラウスに、白い七分丈のパンツ。一日中ニビシティにいる予定のため、野を駆け回るような格好ではなく、キャリーバッグから出してきた服装となっている。昨日の服? 洗濯に出しているのさ。
ジム内の受付で名前を書いたあと、すぐにジムトレーナーとの対戦となる。
「タケシさんに挑戦なんて、1万光年早いんだよ!」
……言いたいことはわかるのだが、光年は時間ではなく距離の単位である。
とにかく勝負だ。
我がパーティ第2のエースと謳われるフローラ———フシギバナを出す。
「よし! まずは様子見ではっぱカッター!」
フローラのはっぱカッターがイシツブテに直撃し、効果抜群のためにイシツブテがひっくり返る。ひっくり返る。ひっくり返った。
「……イシツブテ戦闘不能」
なんと、1発でころっとやられていた。
……そうだよね、フローラ、レベル60近いもんね。やられちゃうよね。
あっさりとジムリーダーへの挑戦権を獲得したブルーは、
「……知ってる? 光年って、時間じゃなくて距離の単位なのよ」
若きジムトレーナーに追い打ちをかけ、心を完全にポッキリいかせてしまった。
しかし、ブルーには関係ない。審判が、崩れ落ちたジムトレーナーを引きずっていくのを見ないようにしながら、フィールドに立ち、相手を———タケシを見据える。
タケシがこちらを見て、言う。
「ルールは一対三。俺も一軍を使わせてもらおう」
「望むところよ」
審判が合図を出すため、1歩前に出る。
「———開始!」
「ハガネール!」
「ルーナ!」
タイプは有利、だがジムリーダーの一軍を舐めてはいけない。
ルーナがフィールドに飛び出した瞬間に天候が“ひざしがつよい”に、そして同時におにびでハガネールを火傷状態にした。
「炎三連発っ!」
かえんほうしゃ、はじけるほのお、だいもんじの三連発。相手に攻撃させるより早く、技を決めていく。
「そこまでの強さなら———」
———メガシンカ……!
タケシのハガネールが、メガシンカした。
同時にすなおこしで砂嵐が起こる。
天候の上書きをされたブルーは、次の作戦を考えながらモンスターボールを手に取り、
「ステルスロック!」
即座にもう1つのボールを手に取った。
「交代! レオン!」
レオン。戦いの天賦の才を持ち合わせた6Vピカチュウ。彼は存分に己のバトルセンスを活かした。
それは、地面に撒かれたステルスロックの小さな破片に傷つかないようにすること。ボールから出て回転しながら、
アイアンテールの応用で硬くなった尻尾だけで地面に立った。
「まさか、そんな回避の仕方があったとはな」
「私のピカチュウは天才よ! レオン、でんこうせっか!」
ぴょんと空中に飛び上がり、そこから身体を白く発光させて空中を駆ける。一気にハガネールに接近、
「アイアンテール!」
アイアンテールで巨体を討つ。
「ステロ解除!」
そのまま、味方側のフィールドをかするように、平行にスピードスターを放つ。限定的ではあるが、ステルスロックの欠片を排除し、ダメージを受けずにハガネールの元まで行けるようにする。
「じしん———!」
「こうそくいどうからのバトン!」
こうそくいどうからのバトンタッチ、場に出るのはフローラ。ツルを地面について巨体を浮かせ、地震のダメージを受けないという行動な技術からの
「バトンタッチ!」
バトンタッチで、こうそくいどうを次のポケモンに繋げる。
出てきたのは、ルーナ。S100でこうそくいどう、何度も積めなかったのは惜しい気がするが無いよりはマシ。
次の技を繰り出そうとするハガネールよりワンテンポ早く、れんごく、そしてかえんほうしゃ。最後に、
「だいもんじ!」
だいもんじで決める。
ハガネールが歯をくいしばるが、徐々に崩れ落ち。
「ハガネール、戦闘不能! よって勝者、挑戦者ブルー!」
———最初のバッジを手に入れた。
なんとも言えない高揚感に浸りながら、近付いてくるタケシを見る。
「おめでとう、絆もバッチリだ。全くダメージを受けずに勝利なんて、かなりの快挙だよ。これからも頑張って欲しい」
「もちろんです。———あ、熱血赤帽子とツンツン頭の緑くんが後からくると思うんで、メッタメタにしてやってください☆」
「了解したよ」
にっこり笑顔に上目遣いという、無駄に磨きのかかった技術でお願いしたあと、ブルーはジムを出てニビシティの中央の商店街へと向かう。
そして、存分に買い物をした。