僕は生まれてから身体が弱く今の今までずっと僕は病院で暮らしていた。
ずっとずっと病院で暮らして病院が僕の世界だった。
だけどいつの日かテレビでやっていた旅行をする番組を見てから僕の世界が崩壊した。
何処までも透き通る青
空に浮かぶ綿菓子
陸を覆い尽くす緑
その何もかもが僕にとっては新鮮で斬新でありとあらゆるもの全てが初めてだった。
先までこの狭い建物の中で世界を完結させていた僕をこの小さなテレビが僕の完結された世界を打ち砕き新たな世界の道を開けてくれた、何処までも広く収めきれないほど大きな世界への道を
其れから僕は行けるはずも無い世界に憧れを抱いていた、行きたくて行きたくて胸が張り裂けそうになる………でもどれ程祈ろうと足掻こうとも手を伸ばせば届く世界には行けなかった。
其れから長い年月が経ち医者から余命宣告を受けた
一ヶ月
僕の命が絶たれる期間
其れから家族や病院で出来た友達が来た
皆んなが哀しんだ
だけど………僕は自分が死ぬと言われたのに不思議と悲しまなかった
だけど逆に僕の心の中にあったのは『所詮この程度』
所詮この程度なんだ僕と言う存在は
それからは僕は自分が死ぬその日までずっとずっと行ける筈の無い外の世界を眺め続けた。
余命宣告から一ヶ月後
「やあ」
病室を夕日が照らしオレンジ色になっている僕の病室に一人の男の人が軽い挨拶をしながら入ってくる。
「神無君…」
病室に入って来た男の人はひょんな事から友人になった『霜月神無』だ、彼は病室に籠りきりな僕に対し色んな話をしてくれたのだ。
神無君が話す話は全てが幻想的で竜や吸血鬼、魔法やギルド、ギルドの仲間達と様々な冒険をする話だった。
其れからは神無君が来るたびにその冒険の話をしてくれた、その話の数々はとても愉快でハラハラしてとってもワクワクする話ばっかりだった。
「今日も話してくれるの?」
最期に神無君の話が聞けるのかとワクワクしながら聞くが神無君は静かに首を横に振る。
「済まんな…今日は」
「そうなんだ……ううん大丈夫だよ神無君」
申し訳ない様に言う神無君にニコリと笑いながら言うと神無君は優しく僕の頭を撫でる。
「ふにゅ…」
「本当に強いよなお前は」
「?」
「いや…何でも無いよ、さて…そうだそろそろ本題に入るか」
神無君の言葉に首を傾げる
本題?良く分からないが本題と言うのだからとっても大事な事なのだろう。
「いいか今日17:30分にお前は死ぬ」
「うん」
「だけど…其れだど俺やアイツはそんな事は許さない、まぁ結局死ぬんだけどね…だから『転生』しないか?」
「転生?」
「あぁ転生だ」
「………転生したら外の世界に行けるの?」
「あぁ勿論だ」
「そうなんだ…行けるんだ外の世界に……あの世界に」
その言葉に余命宣告を受けても泣かなかった目から自然と涙を流す、幾ら足掻こうとも行けなかったあの世界が唐突に目の前に現れたのだ。
そんな奇蹟を普通は泣かずに居られない。
「オッケ、じゃあ…特典はいるかい?」
「要らないよ、もう特典は貰ったからね」
そういいニコリと神無君に向かって微笑む、もう神無君と彼の言うアイツと言う人には特典を貰って居るんだ、これ以上貰ったら二人には申し訳ないからね。
「やっぱりお前は強いよな……さて、此れは俺からのアドバイスだ…何時の時代にも闇は現れるされども必ず光は訪れる。」
「アドバイスありがとう神無君」
「いやいや礼は良いよ……頑張れよ」
「うん!」
そう言うと神無君の姿が消えた
5月1日 17:00 死亡
「元気な男の子が産まれました‼︎双子です‼︎」
「そうか……良かった…本当に良かった」
「えぇ!其れで双子のお名前は?」
「…長男の名前は織斑一夏、そして弟は
『織斑十夏』だ。」