Fate/Zero 聖娼婦とおじさん   作:八神っち

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宝具解放

 

 ライダーの呼びかけに現れたアーチャーは自身以外の王を名乗る輩に憤慨しながらもフンッと鼻を鳴らしてもう1つの不満を口にする。

 

 

「して、王の御前で姿を見せぬ不敬な者が居る様だが?」

 

 

 そう言って見据える先から現れるはキャスターである。他のマスター達はこの場にキャスターが居る事とそれを見抜くアーチャーの眼に驚愕を表す。

 キャスターはアーチャーから威圧を物ともせずに優雅にお辞儀をし意を表する。

 

 

「挨拶遅れ申し訳ございませんギルガメッシュ様。元気な様で何よりでございます」

 

「こちらとしては貴様が参加しているとは思わなかったぞシャムハトよ」

 

 

 お互いナチュラルに真名を暴露していきセイバーとランサーは「隠すものではないのか?自分達がおかしいのか?」と聖杯とマスターの知識を疑ってしまう。が、そんな事知った事では無いと言わんばかりに話を始める。

 

 

「それはお互い様と言うものですよ、唯の娼婦を呼ぶ変わり者のマスターが居るとは思いませんでしたが」

 

「ハッ!貴様が唯の娼婦とは笑わせる。聖杯なぞ使わんでも願いを1つ2つ叶える事が出来る奴だろうに」

 

「それは買い被りでございますよ。ギルガメッシュ様は何故この戦いに?」

 

「なにこの時代の人間共が変わった祭りを催していると様子を見に来たが……我の宝の贋作を作ったばかりか汚しているという始末だ。心底落胆している所にこの状況だ」

 

「何かめぼしいものはありましたか?」

 

「序にそこのセイバーが中々に上物の様でな。我の嫁にでもしようと思っている所だ」

 

「あら」

「何?」

 

 

 突然名指しで指名されたセイバーは嫁と言われて眉を顰めアーチャーを睨む。キャスターはご愁傷さまとセイバーを横目に見ているとライダーが話に割り込む。

 

 

「待て待てセイバーもランサーもそこのキャスターも我が臣下に加えると決めているのだ。勝手に手を出すな英雄王よ」

 

「ぬかせ雑種、我が手にすると決めた物を横取りしようとは。それにシャムハトを臣下にだと?冗談でも笑えんな」

 

 

 ライダーの一言にアーチャーが言葉と共に殺意をぶつける。殺意に乗せられた魔力にあてられてしまい腰を抜かすウェイパーであったが、そんなマスターに構わず飄々としたままライダーは剣を向ける。

 

 

「然り!それこそが征服王と呼ばれる余の意志よ!すべてを手に入れた英雄王の宝!それを征服し尽くしてみせようぞ!」

 

「戯言を!」

 

 

 アーチャーがもう言う事は無いと言わんばかりに空中に無数の穴を空けそこに剣・槍・斧等々あらゆる武器を覗かせる。そんな一触即発の中キャスターとセイバーはと言えば。

 

 

「何か勝手に景品にされてますけどどうしますかセイバーさん」

 

「どうするも何も向こうが勝手に始めた事です、無視すればいい」

 

「ですが、その勝手に始めた事で此方に被害が来そうなのですが」

 

 

 どういう事かと疑問を投げる前にセイバーはその直感で感じ取った事に反応し飛んできたアーチャーの宝具を叩き落とす。ふとアーチャーの方を見ると一瞬こちらに視線を合わせすぐさまライダーに戻す。

 

 

「セイバーさんが逃げないように放った牽制ですね」

 

「くっ!」

 

 

 後ろにアイリが居る以上不用意に動けないセイバーは苦い顔をする。こちらが動こうとすればあのアーチャーは間違いなく撃ってくるだろうと。どうにか打開できないものかと飛んできている宝具を素手で弾き飛ばしているキャスターに話しかける。

 

 

「何か策はありますかキャスター」

 

「そうですね……セイバーさんが前に出てこう可愛い感じで『私のために争わ「却下です」駄目ですか」

 

「今は冗談を言っている場合ではありませんよ」

 

「ではそこの逃げようとしているランサーさんを盾にしてですね」

 

「待て!なぜ話を振る!」

 

「こんなか弱い乙女を置いて逃げるなんて騎士の風上にも置けないですよ?」

 

「うぐっ!」

 

「少し時間を稼いで貰うだけですよ?ね、セイバーさん?」

 

「ええ、ランサーが盾になっている間に私達が逃げる。完璧ですね」

 

「セイバーお前まで!」

 

「などと漫才はここまでにして私の宝具を使えれば状況を打破出来ますが、その間無防備になるので守って貰いたいのですが……お願いできますか騎・士・さ・ん?」

 

「……はぁこれだから女性はやり辛い。今回だけだぞキャスター」

 

「はい。1回だけで十分です」

 

 

 女性に弱いランサーを護衛にキャスターは宝具の展開のために魔力を高めていく。その圧倒的魔力量に警戒を見せながらもしっかり仕事をこなすランサーと後ろに下がる様にと目配せをするセイバー。

 

 

「移る場は深き森 何者も閉ざす不可侵の森」

 

 宝具を起動する為の詠唱を始めるキャスター。

 

「相容れぬ者には破壊を 穢す者には災いを」

 

 一節一節紡ぐ度に溢れる魔力。

 

「好意には恵みを 愛には生を」

 

 渦巻く魔力にアイリは目を細める。

 

「執行したるは泥の者 施したるは聖の者」

 

 キャスターが想像するはあの日の事。

 

「誘いましょう彼の地へと 昼夜問わずに語りましょう」

 

 詠唱が完了し宝具を解放する。

 

「さあ行きましょう『森よ、道を開けよ』」

 

 

 高純度の魔力が辺り一帯を包み込む。アーチャーにより位置を調整されたライダーを含めて。そしてキャスターの宝具に合わせ2つの光が交差する。




 スタイリッシュな詠唱って難しい。そう感じる作者です。

 と言う訳でシャムハトさんさっさと宝具を解放。宝具の読み方は決めてません!

 キャスターさん宝具を素手で弾いてるのはなんぞ?→手に魔力を高めて物理で弾けばいいというURUKU特有のアレです。

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