朝食を食べ終わった後、ライブキャスターから着信音聞こえた。ディスプレイにはオダマキと載っていた。時間はまだ6時過ぎ。
珍しいな、朝のフィールドワークにでも行ってたのかな…
「もしもし?朝からなんですか博士?」
「おぉ!アオト君、起きてて良かったよ。」
画面に映る顎髭がトレードマークのおじさんがオダマキ博士。少々頼りない印象があるが一応ホウエン地方を代表するポケモン博士である。
「たまたまですよ。それで朝早くかはどうしたんですか?」
「あ、そうだった。実は今トウカの森にフィールドワークに来ていたんだけど森の様子がおかしいんだよ。」
「おかしい?どんな風に?」
「今、森の入り口にいるんだけど森のポケモン達が慌てて森から出てくるんだ。あのナマケロ達でさえもね。」
「ナマケロ達もですか…それはおかしいですね。」
ナマケロとはトウカの森に生息するポケモンでその名の通り怠け者のようにあまり動く事を好まず1日の内20時間を寝て過ごす習慣を持つポケモン。
そんなポケモンも逃げ出すということは森の中では何らかの異常がある事は容易に考えられた。
「だからアオト君、悪いんだけど今からトウカの森に来て原因を調査してくれないか?私も何とかしたいのは山々なんだが生憎私はポケモンを持ってきていなくてね。ポケモンが原因だったらどうしようもないんだ。」
オダマキ博士はトレーナーではなく研究者だ。しかもポケモンも連れてきていないから仕方ないな。
「分かりました。今から向かいます!あとフィールドワークの時はポケモンも連れて行った方が良いですよ、何があるが分からないんですから!」
「返す言葉もないよ……ともかくありがとう。じゃあトウカの森の入り口で待ってるよ。」
そう告げると博士は通信をきった。
トウカの森か懐かしいな…
トウカの森はアオトが旅を始めたばかりの時に通った森だ。そこで初めてポケモンをゲットしたのは今でも覚えている。そんな思い出がある森に異変が起こっている。とにかく早く行かないと。
「戻れ、ラグラージ。」
俺はラグラージをボールに戻し、机の上にあったもう1つのボールを手にとった。
「出てこい、ムクホーク!」
「ムクホ〜ク!」
俺の二匹目のポケモン、ムクホーク。特徴は頭の鶏冠が大きく垂れ下がっている所である。主な生息地はシンオウ地方でありシンオウ地方に広く分布するムックルというポケモンの最終進化系である。アオトが初めてゲットしたポケモンであり何でトウカの森にいたのか分からないポケモンである。
「ムクホーク、今からお前の故郷トウカの森に行くぞ!」
「ムクホ〜♪」
ムクホークはご機嫌な声を上げ俺を背中に乗せて大空に飛び立った。やはり故郷に行くのが嬉しいのだろう。
そしてムクホークに乗って暫くするとトウカシティが見えてきた。
「ムクホーク、もう少しだ!少し急ぐぞ!」
「ムクホ!」
ムクホークは一気に加速してトウカの森に向かった。そして森が見えた。森の近くに着くとオダマキ博士の姿が見えた。俺はムクホークに高度を落とすよう手で指示して博士のすぐ目の前に着地した。
「よし、ありがとうムクホーク!」
俺はムクホークから降りた。博士はずっと考え事をしているのかこっちの存在に全く気付いていない。
少しイタズラしたいな…
俺は博士を指差して、
「ムクホーク…鳴き声…」
小声でムクホークに指示。ムクホークも意図を理解したのだろう。無言で頷き博士のいる方を向いた。そして、
「ムクホーーーーーーーク!」
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!んが………」
博士は何が起こったか理解出来ず飛び上がってそして上手く着地出来ず地面に頭をぶつけて倒れてしまった。
あ…やりすぎた…
倒れた博士の顔を覗くと白目をむいていた。手で何回も顔をビンタしても何度呼びかけても全く起きる気配がない。こうなると水でもかけるくらいしないと起きる感じがしないが近くに川などは存在しないし…うん?み…ず………水か!
「ラグラージ、博士の顔に軽めのみずてっぽう!」
ラグラージを出して蛇口から水を出す程度勢いの水を博士の顔に浴びせた。
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
博士は大声をあげて目を覚ました。そりゃ水をかけて起こされればこうなるか。にしても博士は声がデカイ。だから娘がなかなか旅から帰ってこないんだ。いびきがうるさいって…
「おぉ!アオト君、早かったね!ところで聞きたいだけだ私はどうしてラグラージのみずてっぽうで起こされたんだい?何かに驚いた事は覚えているんだが…」
「いや…俺がきた時には博士はもう倒れてましたよ、たぶん森のポケモンが博士にイタズラでもしたのでしょう。」
「そうか…でもムクホークの声が聞こえたような…でもまぁ気のせいか。」
内心ホッとした。いちいち説明するのも面倒だし後でこれの借りって事で何か頼まれるのもイヤだしな。何とかごまかせて良かった。さてと…
「お疲れ様、ムクホーク、ラグラージ戻れ!」
俺は二匹をボールに戻して早速本題に入る事にした。