「それで森はあれから変化はあったんですか?」
「あぁ、ポケモンが逃げてくるのは相変わらず何だかアオト君との電話が終わってから森の中で何かが倒れるような音が聞こえてね…もしかしたら森の中でポケモンが暴れているかもしれないんだ。」
「ポケモンが暴れているですか…」
俺は少し違和感を感じた。トウカの森は広いが俺が知っている限り凶暴なポケモンはいない…むしろ争いを好まずのんきなポケモンが多いという印象がある。その証拠にさっき話に出たナマケロというポケモンが数多く生息している。その事を踏まえてポケモンが暴れていると考えると
「トウカの森に凶暴なポケモンが迷い込んだってことですかね?」
もっとも高い可能性はそれしかなかった。
「その可能性が高いね。トウカの森にはそんなポケモンはいないし、あ!あとこれを持って行ってくれ…あれどこだ…これじゃない…これでもない………あった!」
そう言うと博士はバックから片手に持てるサイズの機械を取り出した。
「これはポケモン図鑑。本当は今日呼んだ時に渡そうと思ったんだけど森の中で使う時があるかもしれないから持って行ってくれ。使い方は分かるかい?ポケモンが出てきたときに図鑑を開くとそのポケモンの情報が出てくるんだ。何かと便利だよ!」
「ポケモン図鑑…分かりました、ありがとうございます。じゃあ今から森に入りますから、何かあればライブキャスターで連絡します。」
「分かった。私はここで待っているよ。気をつけて行ってくれ!」
そうして俺はトウカの森に入っていった。
森の中はスバメ、ケムッソ、キノココ、アメタマ、ポチエナ、アゲハント、そしてナマケロなどの森のポケモン達が逃げていく以外はいつも通り…いや少しだけ風が強い感じがした。もしかしたら飛行タイプのポケモンが関係しているのかもしれない。
そう考えながら森の中を進んでいった。
暫く進むとまるで強風でなぎ倒されたかのような木が現れた。多分これが博士が聞いた音の正体だ。
「これは酷いな。」
木の中には根っこからなぎ倒されているものもありここで起こった何かの衝撃を思い知らされた。木に目立った痕が残っていない事から飛行タイプが関係している仮説は正解かもしれない。しかし木を細かく見ていくうちに鋭利な刀で斬られたような木を数本発見した。
「ポケモンが何者かに追いかけられているのか。」
そう考えれば鋭利な痕があるのも納得出来た。
「ラ…ルト…」
!今小さな鳴き声が聞こえた。声がする方に耳を澄ませるとなぎ倒された木の中から聞こえていた。木を上を移動していくと倒れているポケモンを見つけた。
「大丈夫か!」
俺はポケモンを抱きかかえた。体の傷からしてこの木がなぎ倒される時に巻き込まれたのだろう。体には細かい傷が多かった。確かこのポケモンの名前はラルトスだな。トウカの森にいるのはかなり珍しい。
「ラルトス、すぐ治してやるからな!」
俺はバックに入っているキズぐすりを取り出した。傷の箇所にキズぐすりを吹きかけて包帯を巻いてとりあえずの応急処置は済ませたが一応ポケモンセンターに連れて行った方がいいな…でも今は行く時間がない…
悩んだ末に俺は1つの解決方法を見つけた。
「なぁラルトス、俺はお前をポケモンセンターに連れて行きたいんだけど今すぐは難しいんだ…そこでなんだけど俺のバックに入って俺と行動して俺の用事が終わったら連れて行きたいんだけどお前はどうだ?」
そう言うとラルトスは頷いた。
「よかった!ありがとう、ラルトス!」
俺はそう言ってラルトスの頭を撫でると顔の部分が赤くなっていた。
うん?顔が赤いな….これは早めに原因を突き止めてポケモンセンターに行かないと…
俺はラルトスをバックに入れて森の先に進んでいった。ちなみにラルトスはバックから頭を出した状態で移動している。
「苦しくないか?」
「ラルル〜♫」
「ならよかったよ。」
ラルトスは首を横に振りながらご機嫌な鳴き声で返事をした。入り心地が良くて良かった。そして木がなぎ倒された道を暫く進むと木が倒されていない部分に出た。
「ここで見失ったのかな…」
辺りを見渡しても木や草むらばかりで手がかりらしい手がかりは何もなかった。ここで調査をやめてこのまま来た道に引き返そうとした時ラルトスが急にバックの中で動き出した。
「ラル、ラル!」
「どうした、ラルトス?」
ラルトスは左端にある草むらを指した。
「あそこに何かあるのか?」
「ラル!」
ラルトスは返事をして頷いた、ラルトスの指した方向に進むと草むらの裏に初めて見るポケモンが傷だらけで横になっていた。そしてそのポケモンはこちらを気付いて鋭い目で睨んでいた。
「このポケモンは…」
さっそくさっき貰ったポケモン図鑑を開こうとした時、頭の中に声が響いた。
「人間!さっきの奴の仲間だな!私は簡単には捕まらんぞ!」
その声が響いた後、謎のポケモンは立ち上がった。