Armour IS Zone   作:アマゾンズ

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喰らわれるのは一瞬だ

喰らう者にとっては糧を得る瞬間だ

それこそが獣の生き方。


Prologue2 ~Beast~獣

Prologue2 ~Beast~獣

 

 

織斑家の養子となり織斑鏡夜と名乗るようになり、9年の歳月が過ぎた。

 

義務教育である中学校を卒業する、彼にとっては退屈な年月だった。

 

「とりあえず、俺達も卒業か」

 

「そうだな、鏡夜兄」

 

 

鏡夜と一夏は帰り道を一緒に歩いていた。

 

「三年間を勉強しながらの学校の許可有りバイトするとはな?一夏」

 

「千冬姉に負担をかけないようにしたかったしな、鏡夜兄だってやってたじゃん」

 

「俺は最低限しかやってない上、休日は道場通いだったからな。でも、これからは学校の許可無しで働ける」

 

 

二人は明るく話しているが鏡夜が養子となって13歳になった日に両親が蒸発したのだ。

 

 

「いいよなぁ、鏡夜兄は早生れでさ。すぐに年齢パス出来んだもん」

 

「早生れでもさほどお前と変わらんさ」

 

その事があり二人は少しでも家計を助けようとアルバイトをしていた。

 

鏡夜の方は休日に道場に通って鍛えることを忘れないでいた。

 

「あ、俺、弾達と約束してたんだ!」

 

「行ってこい、俺は先に帰る」

 

「わかった!それじゃ!」

 

 

一夏と別れた鏡夜は狭い路地を一人歩いていた。

 

「サンプルに丁度良い逸材を見つけた」

 

「了解、採取する」

 

鏡夜の後ろで誰かが指示を受け、鏡夜の背後へと音も立てず近づいた。

 

 

「!誰だ!?お前・・ぐあああ!!」

 

 

振り向いた瞬間に鏡夜はスタンガンを浴びせられ気絶してしまった。

 

 

「ターゲット確保しました、これより帰還します」

 

 

 

■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

辺境と呼ぶに相応しい場所にある研究所、それは名も無い生体兵器の研究所である。

 

 

「この子供は使えるな」

 

「所長、この子供の適合率はずば抜けております」

 

 

研究員は横たえられた鏡夜の生体データを見て歓喜していた。

 

 

「この研究成果であるArmour(アーマー)細胞を人間に投与出来る日が来るとは」

 

 

鏡夜の腕に投与装置が着けられ少しずつArmour(アーマー)細胞が投与されていく。

 

「が・・・ぐ・・・ア・・アが・・あ!」

 

「投与率85%、90%、95%、100%、投与完了しました!」

 

 

鏡夜が呻く中、研究員の一人は歓喜の表情でディスプレイを見ている。

 

「しばらくは培養槽にて定着させろ」

 

「はい、分かりました」

 

投与から一年が過ぎ、鏡夜は目を覚ました。

 

「成功だ!私達は最強の生体兵器を完成させたのだ!ハハハハッ!!」

 

「・・・・・グ」

 

 

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「きょうくんが居なくなって一年、ようやく見つけたよ」

 

 

兎の耳のようなカチューシャを身に付け、青いドレス、長く赤い髪を揺らしている一人の女性がコンピューターのキーを叩いている。

 

 

「場所は隠してあってもコンピューターを使っているならこの束さんにとって逆探知は簡単だよ」

 

そう、彼女こそが世界中が捜し求めているIS開発者の篠ノ之束である。

 

 

「きょうくんは取り戻す、必ずね!」

 

 

束の目は取られたものを取り返そうとする襲撃者の目であった。

 

 

「お前らに地獄よりも苦しいものがあるというのを教えてやる」

 

 

逆探知した研究所に襲撃をかける手はずを開始した。

 

 

 

■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

束が手はずを整えたと同時に研究所は大混乱に陥っていた。

 

 

「全ての計器が使えません!セキュリティシステムがダウンします!」

 

「ま、まずい!プロトタイプの実験体が!」

 

研究所の地下に拘束されていた実験体(鏡夜)が鎖を引き千切り、脱走した。

 

 

「ウオアアアアアアア!!」

 

「実験体が!ここに向かっています!」

 

 

アマゾン実験体は走りながら、あらゆる装置を破壊しつつ本能に従い地下から研究所内部へと目指していた。

 

「オレハ・・・ニンゲン・・・ダ、オレハ人間だぁ!」

 

実験体は研究員の全てを殴り、失神させた後に暴走して建物を破壊し続けていた。

 

 

ドゴォォォン!と外での大きな音もかき消されていたが、人参型のロケットが研究所の外に突き刺さっていた。

 

 

「もう、ボロボロになってる・・・どうして?」

 

ロケットから飛び降りた束は内部から破壊されている研究所を見て拍子抜けしてしまっていた。

 

「この束さんが徹底的にやってやろうと思ったにな」

 

 

 

 

 

ウオオオオオオオアアアア!

 

 

「!?何?今の・・・」

 

研究所内部から獣の様な咆哮が上がり、束は身震いしてしまった。

 

それと同時に何かが飛び出してきた。

 

「カハァァァァァ・・・!」

 

緑色の異形、何かを狩ろうとする雰囲気、人の形をした獣がそこにいた。

 

「きょう・・・くん・・なの?」

 

束には緑の異形の中にある知り合いの姿がダブっていた。

 

「タバネ・・・サン・・・・?ウウ・・アアァ」

 

「きょうくん、ごめんね?」

 

 

束は自分の開発した機械によって異形へ向けて何かを撃ち込んだ。

 

「ガ!ウア・・あ・・・・」

 

異形はそのまま倒れこみ、織斑鏡夜の姿へと元に戻った。

 

「きょうくん・・・ん?」

 

束は鏡夜の隣にベルトらしき何かを見つけ出し、拾い上げた。

 

「面白そうな物を作ってたんだね、これはもらっておこうっと。きょうくんに埋め込まれた何かにも興味あるしね」

 

「きょうくん、私の隠れ家に案内するね」

 

束は鏡夜とベルトを回収すると同時にロケットに乗り込むと隠れ家へ飛んだ。

 

 

■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うう・・・ここはどこだ?な!」

 

鏡夜は目を覚ますと拘束されていることに気がついた。

 

「お久だねー、きょうくん。」

 

「束さん?これは一体どういう事ですか?」

 

鏡夜は束を睨むが束はどこ吹く風といった様子だ。

 

 

「きょうくんの中にある変わったものが欲しくてね?」

 

笑顔で平然と言ってくるが科学者として見ていることに鏡夜は気づいた。

 

「なら、拘束を少し緩めてください、全てをお話しますから」

 

「むー、仕方ないか」

 

拘束を緩められた鏡夜は拉致されたこと、研究所での事を包み隠さず束に話した。

 

「つまり、きょうくんの身体の中にはArmour(アーマー)細胞という細胞があるんだね?」

 

「ええ、完全に同化しているらしくて除去はできないみたいです。それに腹が減ると肉や卵(タンパク質)が欲しくて仕方なくなるんですよ」

 

鏡夜は自分の変化を話しながらも少しずつ空腹になっていた。

 

「なら、少し待ってね?」

 

どこから取り出したのか束は鏡夜にゆで卵を差し出した。

 

「!!」

 

鏡夜は奪い取るように差し出されたゆで卵を取ると殻を剥き、貪り食った。

 

「はぁ・・はぁ」

 

「凄い勢いだねー、そんなにお腹空いてたんだ(やっぱり異常だよ)」

 

「言ったでしょう?腹が減ると欲しくなるって」

 

 

束は笑顔のまま表情を崩さず、ゆで卵を食らった鏡夜を見ていた。

 

「束さん」

 

「なーに?」

 

鏡夜は顔を上げると束に土下座した。

 

 

「頼む、束さん!俺の中の獣を抑えてくれ!」

 

「君の中の獣?(あの姿のことかな?)」

 

束は少し思考すると研究所襲撃時に出会った異形(アマゾン)を思い出していた。

 

「他ならぬきょうくんの頼み事だもの、束さんにまっかせなさーい!」

 

「ありがとうございます、束さん」

 

「その代わり、君の中のArmour(アーマー)細胞のサンプルを採らせてね?」

 

鏡夜にとっては自らを差し出せと言わんばかりの条件を束は出してきた。

 

「構いませんよ、俺自身を使ってください」

 

「即決したね?」

 

「束さんの思考はちょっとだけわかるんですよ」

 

「生意気だぞー?きょうくん!ところで、ちーちゃんやいっくんの所へ帰るの?」

 

「いえ、もう帰れませんよ、今帰ったら二人を喰らいそうですから」

 

鏡夜は一瞬だけ目を伏せるとすぐに表情を引き締めた。

 

「そうだね、それならしばらく一緒にいよっか?2日もあれば抑制細胞できちゃうし」

 

「はい、そうします」

 

こうして鏡夜は束と共同生活することとなった。

 

「さ、今日は抑制細胞の投与だよー!」

 

「お願いします、束さん」

 

「うんうん、Armour(アーマー)細胞のサンプルとデータから作ったこの束さん特性のZone(ゾーン)細胞を投与すれば大丈夫だよ」

 

 

束は鏡夜にZone(ゾーン)細胞を投与するための装置を付けた。

 

「投与はすぐだから楽にしててね?」

 

キーを叩くと投与が開始されほんの数秒で投与が完了した。

 

「う・・流石にクラクラしますね」

 

「それはそうだよ、活性化を抑制させてるんだもの」

 

鏡夜はゆっくり立ち上がるがフラッと倒れ込んで何かに触れてしまった。

 

「え、きょうくんがISを起動させた?いっくんと同じように?」

 

「・・なんだよこれ?」

 

ISを纏った鏡夜は驚愕し、それを目撃した束はその場で静止していた。

 

「きょうくん、IS学園へ行って」

 

「え?」

 

「政府を説得して入学できるようにするから」

 

「分かりました、いきなりで驚いてますけどそうします」

 

束の表情から鏡夜は自分が此処にいるべきではないと悟り、束の提案に従った。

 

「それと、これを持って行って」

 

束が差し出したのは襲撃の際に回収したベルトだった。

 

「これは?」

 

「それを使えばArmour(アーマー)細胞を活性化させても、制御状態で姿を変えられるよ」

 

「なるほど、これを使えば」

 

「それと、ISの特性もそのベルトに組み込んでおいたからね、ISとして登録されるよ」

 

「さすが束さんですね」

 

 

 

 

 

 

 

「きょうくん、抑制は出来ても凶暴にならないわけじゃないからね?」

 

 

 

 

 

「ええ、俺は俺です。例え獣だとしても」

 

 

そう言って鏡夜はベルトを受け取ると自分の腰に装着した。

 

 

 

 

 

「きょうくん、私に見せて?きょうくんの内側に潜む進化した獣の姿を」

 

 

 

 

鏡夜は頷き、ドライバーの左グリップを捻った。

 

 

 

 

 

ALPHAとベルトから姿を知らせる音声が響き渡る。

 

 

 

「アマゾン…!!」

 

 

 

 

 

己自身の姿を変える言葉を言い放つと周りに衝撃波と炎が上がった。

 

 

 

 

 

「きゃっ!炎は大丈夫だけどすごい衝撃だよ、でも」

 

 

 

 

BLOOD&WILD(ブラッド&ワイルド) WI(ワイ・)-WI(ワイ・)-WI(ワイ・)-WILD!(ワイルド!)

 

 

 

そこには赤い傷だらけの獣が立っていた

 

 

 

「あれがきょうくんの中にいる獣の姿…すごいね」

 

 

 

 

 

「束さん、俺、行きますよ」

 

 

「うん、その前にZone(ゾーン)細胞と並行して完成させてたきょうくん専用のISを渡しておくね」

 

束はポケットからブレスレットを取り出すとそれを渡した。

 

「これはISだけどあくまでその姿のきょうくんを空中で戦えるようにしただけ、名前は天鎧!」

 

「なにからなにまで束さんにはお世話になりっぱなしですね」

 

「気にしないで!さ、早く行って!ここもバレちゃうから」

 

「はい!」

 

アルファの姿でISを展開すると機械の翼を身に付け、鏡夜は空へ飛び出した。

 

「きょうくん、君ならきっと」

 

 

これが鏡夜が力を得た追憶の記録である。

 

この出来事から2ヶ月後にIS学園へと入学し、家族と再会することとなる。

 

しかしそれは決別をも含めた現実に直面することになる。

 

異形(アマゾン)となった自分との戦いが始まる予兆として




次回、Armour IS Zone

「鏡夜兄・・・なのか?」

「すまない、私はお前を」

「納得できませんわ!」

「オマエヲ…クッテヤル!!」

第一話 入学~Admission~


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