獲物を仕留めるまで
徹底的に…!
あれから一週間が経ち、代表を決める戦いが始まる時刻が近づきつつあった。
そんな中、一夏と鏡夜、そして箒は朝食をとっていた。
「鏡夜兄、そんなに食うのか?」
「だからその呼び方をやめろ。当たり前だ、これでも抑えてるぞ?」
「そうは言うが、ほとんど肉ではないか!」
一夏と箒が見ている鏡夜の朝食は牛丼とチキン焼き、そしてハンバーグだった。
「見てるこっちが胸焼けするって・・」
一夏はゲッソリした様子で朝食を口に運んでいたが、鏡夜は箸を止めることなく丼をかきこみ、肉を食らい続けていた。
「ねぇ」
「ん?」
「君達でしょ?噂の子達って」
「赤いリボン、もしかして三年生の方ですか?」
「ええ、そうよ。君ってやっぱり礼儀正しいのね」
「上級生ですからね、当然ですよ」
鏡夜は社交辞令のように会話を進めていた。
「えっと、君」
「俺は鏡夜です、雨宮鏡夜」
「ああ、ごめんなさい。鏡夜君達はIS稼働時間はどのくらい?」
「そうですね、基礎訓練はしてましたから俺は2時間って所です」
「隣の君は?」
「俺は20分くらいですかね」
「代表候補生と戦うにしては足りなすぎるわね」
上級生の女生徒は鏡夜と一夏を見て言葉を紡いだ。
「私が教えてあげようか?ISの事」
「一夏は私が教えますので結構です」
「え?」
一夏は呆気にとられた声を出して、固まっていた。
「あなたも一年でしょ?私のほうが」
「私は、篠ノ之束の妹ですから」
箒はそう言うと上級生を睨んだ。
「そ、そう!それなら」
「先輩」
「鏡夜君?」
鏡夜は立ち上がり、去ろうとした上級生を呼び止めていた。
「俺はISの知識が乏しいので、時間がある時に勉強を教えて下さい」
実際、鏡夜は学園で必要なISの知識が少なく、勉学に躓いていた。
「え?ええ、それくらいなら構わないわよ」
「ありがとうございます、引き止めてすみません」
「大丈夫よ、それじゃ」
上級生は背を向けると去っていった。
「鏡夜兄、先輩に教わるのか?」
「勉強だけだ、それ以外にない。後、その呼び方をやめろ」
一夏は感心したように鏡夜を見ていた。
「それと箒」
「なんだ?鏡夜」
「都合の良い時だけ束さんの名前を出すな、自分で関係ないと言っておきながら都合の良い時だけ出すのは
「なんだと!?貴様ぁ!!」
箒は鏡夜に掴みかかり睨んだが、鏡夜は構わず続ける。
「違うと否定できるのか?自分の思い通りにならなければ癇癪を起こし、暴力に訴え。束さんの名前を出せば自分の意見が通ると思ってる時点で、お前は成長してないただの
「言わせておけば!ぐあぁぁあ!?は、離せ!」
箒が怒りに任せて殴りかかる前に鏡夜は箒に掴まれていた手を捻っていた。
「束さんは俺の恩人だ、都合の良い様に使われるのは我慢できないんだよ」
静かな怒りを見せたまま鏡夜は箒の手を離さなかった。
「鏡夜兄!!やめてくれ!箒を離してやってくれ!!」
一夏の必死の頼みに折れたのか、鏡夜は捻っていた箒の手を離した。
「うう…鏡夜、貴様…!」
「束さんの名前を出す時はそれ相応の覚悟が必要である事を自覚しろ、また自分の都合で使うようなら…お前を喰ラウゾ?」
「う・・・!(また、あの時のような感じが)」
箒は鏡夜に捻られた手を押さえながら睨んでいたが、鏡夜の目が再会した時と同じ、人間とは違う何かが宿っているのが箒の目に見えていた。
その日の放課後の時間帯に一年生は勿論の事、上級生である2,3年生までもが第三アリーナに詰め寄っていた。
「物珍しさで見に来たか、それとも無様な負けを期待しているのか、恐らくは後者だな」
鏡夜はピットの外が見える場所で上級生の中に敵意を向けてくる視線を感じ取っていた。
「まぁ、関係ないが」
ピットの中へ戻ると、鏡夜は持っていたハンバーガーを食べ始めた。
「鏡夜兄、あれだけ食べて更にハンバーガーなんてよく食べられるな?」
一夏は胸の辺りを押さえつつ、鏡夜の隣に並んだ。
「だから、まぁいい…。俺は食わないと持たないからな」
鏡夜はすぐに食べ終えるとハンバーガーを包んでいた紙をゴミ箱に捨てた。
「にしてもこの一週間何をしていたんだ?一夏?剣の腕は多少戻ってるみたいだが?」
「ああ、箒のお陰って奴だよ」
「それで、ISの知識は?」
「ああ、いや、その…」
鏡夜が質問すると一夏は気まずそうに視線を逸らした。
「箒?」
「し、仕方ないだろう!こいつの腕が想像以上に落ちていたのだ!」
「はぁ・・・それなら勉強しつつ終わった後に一緒に素振りするなど方法はあっただろう?」
「実戦形式でなければ意味がない!」
「やれやれ」
箒の勢いに何を言っても無駄だと悟った鏡夜はそれ以上の追求をやめた。
そうしていると誰かが近づいてきていた。
「はぁ!はぁ!織斑君!来ました!織斑君の専用ISが!」
「え、ちょっと!」
副担任の真耶先生が息を切らした様子で一夏を呼ぶとピットへと押して行った。
「鏡夜」
その後ろには担任の織斑千冬が居り、鏡夜に話しかけていた。
「なんですか?織斑先生」
「お前の機体は用意出来ていないが、訓練機でも構わないか?」
専用機は一夏だけに与えられたものだと理解しながら、鏡夜に気を遣っている様子で千冬は話していた。
「心配無用です、俺の専用機ならちゃんとありますよ」
「何!?」
「このブレスレットがそうです、ただし起動するにはこのベルトを使わないといけないんです」
左腕につけたブレスレットを見せつつ、鏡夜はアマゾンドライバーも千冬に見せた。
「二重ロックとは随分厳重だな?お前の身体に関係あるのか?」
「まぁ、そんなところですよ。それより一夏の様子を見に行きましょう」
「あ、ああ…(鏡夜、私はお前を。いや・・・今更取り繕うことなど)」
千冬は己の思考を振り払い、鏡夜と共にピットへと入った。
「白式・・それがお前のISか」
「ああ、箒、鏡夜兄、千冬姉・・・行ってくる」
「見せてもらうぞ?お前の戦いをな?」
言葉を交わした後に一夏とセシリアの戦いは始まった。
一夏が追い込まれていたが
エネルギー切れによる判定で一夏の負けとなってしまった。
「意気込んでいた割にはエネルギー切れとはな?一夏」
「全くだ、大馬鹿者」
「うう・・・」
姉と元義兄から厳しい言葉をもらい、一夏はへこんでいた。
「ところで何故愚弟は負けたと思う?雨宮」
厳しい言葉と共に弟を放置し、千冬は鏡夜に意見を求めた
「おそらく、白式の機体特性か雪片と呼ばれた刀の特性が原因かと」
「ほう?理由は」
鏡夜の洞察力に千冬は感心し、更なる根拠を求めた。
「まだわかりませんが恐らく、刀がエネルギーを吸っていたか、もしくは刀にエネルギーを集中させられていたのが原因でしょう。自身の機体のエネルギーを犠牲に攻撃力を上げているのではないかと思います」
「概ね当たっているな、白式は自分のシールドエネルギーを攻撃に転化する機体だ。攻撃力特化型ISと思えばいい」
「・・・」
「なあに、お前はこれからだ、少しずつ学んでいけ」
「はい!」
一夏は一礼すると顔を上げ、やる気に満ちた顔をしていた。
そして、第二試合である鏡夜とセシリアの戦いが始まろうとしていた。
「鏡夜兄、頑張れよ!」
「鏡夜、負けることは許さんぞ!!」
「少し癪だが、行ってこい!」
「頑張ってくださいね」
「・・・ああ、出るぞ!」
声援を受けた後に深呼吸し翼だけを展開し、鏡夜はアリーナへ飛び出した。
「あら、逃げずに来ましたのね?」
「・・・・逃げる理由など無いからな」
「ふん、よく見ればあなたのISは飛行のみで武装が一切ありませんわね?なめられたものですわ。そんなものでわたくしに勝てるはずがありませんわ!今から泣いて許しを請えば許して差し上げますわよ?」
「慌てるな、俺のは二重ロックが掛かってるだけだ」
「二重ロックですって!?」
「ああ」
そう言って鏡夜は隠し持っていた殻のないゆで卵を食べ、アマゾンドライバーを腰に巻いた。
「な、何ですの!?それは!?」
「今から見せてやる、これが俺のISだ」
そう宣言するとドライバーの左グリップを捻った。
「アルファ?」
セシリアは分からないといった様子で立ち止まっている。
「アマゾン…!」
鏡夜が内に潜む獣の名を呼ぶと同時に衝撃波と炎が上がり、周りを震撼させた。
「キャッ!」
その衝撃波にセシリアを含む全員が顔を守るように覆った。
「・・っ!な・・・!」
その視線の先には先ほどの
「ふ、
「試合は始まるぞ?」
【試合開始】
「!ですが中距離射撃型のわたくしに近距離型で挑もうなど笑止ですわ!」
そう言ってセシリアはライフルを撃ち、先制攻撃をしてくる。
「ちっ!(
「わたくしの射撃を躱すとはやりますわね、でも!これで終わりですわ!」
「ぐっ!後ろから肩に攻撃を!?」
「わたくし、セシリア・オルコットの奏でる
ライフルとビットによる連続射撃によって
「ビットによる遠距離多重攻撃か、だがそれは!頼りすぎれば隙を生むぞ!」
「お生憎様、ブルー・テイアーズは六機ありますのよ!!」
「ミサイル!?ブースターじゃなかっ!」
回避しきれなかった鏡夜の負け、アリーナにいる誰もがそのように考えていた。
「所詮は男、口だけでしたわね。あの鏡夜という男はわたくしの奴隷にでもして差し上げましょう」
勝利を確定事項とし、セシリアはピットに戻ろうとした。
「待て、何処に行こうとしているんだ?」
「!!まさか!」
セシリアが振り返り、ミサイルの爆煙が晴れた中には変身が解けた鏡夜が立っていた。
「あ、あはは!驚かさないで下さい!ISが解除されているではありませんか!」
そう、今の鏡夜はISを展開していない無防備な姿に等しいのだ。
「そんな姿でわたくしと戦おうというのですか!?潔く負けを認めて立ち去りなさい!」
そんなセシリアの言葉に聞く耳を持たず、鏡夜はどこに隠していたか再び卵を取り出し、貪り喰った。
「
アルファの時と違い、咆哮を上げ再びドライバーの左グリップを捻った。
「ウガアアアアア!!」
緑色の衝撃波と共にそこにいたのは傷ついた赤い獣ではなく、純粋に育てられ、ただ喰らうだけの
「クアアア・・・ウガアアア!!」
自分の存在を知らしめるように緑の
「な・・・何ですの?あれが・・あのISの
セシリアは自分がとてつもない猛獣を目覚めさせてしまったのだという事に恐怖していた。
「ガアアアアア!!」
「ひっ!いやあああああ!」
恐怖心からライフルを撃ち続けるが、
「ウウウウウ・・・ガアアア!」
「槍?」
セシリアが槍に気を取られたその瞬間、
そのような音声が聞こえたと同時にセシリアへ引き抜いた槍を投擲したのだ。
「!!きゃあああ!」
突然の事に回避が遅れたセシリアは直撃をくらってしまった。
「う、油断しましたわ!え?エネルギーシールドが大幅に削られた!?」
その一撃はエネルギーシールドの約5割を削っていた。
「ウガアアアア!!」
一撃では喜ばずに
「ひっ!来ないで!い、行きなさい!テイアーズ!」
距離を開き、セシリアはビットによる攻撃を再び展開し攻撃するが
「ウオアアアア!!」
今度は鞭のような武器らしく、それを振るってセシリアが展開していたビットを叩き落とした。
「そ、そんな!テイアーズが!」
自慢の武器が落とされた事にショックを受けたセシリアは動きが完全に止まってしまった。
その隙を逃さず、
「な!キャアアアア!!」
その音声が響くと同時にセシリアは腕についたブレードで切り裂かれた。
それと同時に試合終了のブザーが鳴った。
「しょ、勝者!雨宮鏡夜!!」
「わ、わたくし生きてますわよね・・・!ちゃんと」
ISが解除されたセシリアは恐怖した目で
変身が解け、元の鏡夜に戻ると鏡夜はセシリアの近くへと歩み寄った。
「ひっ!」
セシリアは絶対防御が無ければ身体を引き裂かれていたかもしれないという恐怖から後ずさった。
「これで自分の視野の狭さがわかったか?今度からは気をつけることだ」
「は、はい・・・」
「早く戻ったほうがいい」
「はい・・・」
短い会話を済ませると互いにピットへと戻った。
そこには驚愕の表情の教師二人と自分で自分をを抱きしめている箒、そして怒りに満ちた目をした一夏が待っていた。
「鏡夜兄!やりすぎだ!あれほどまでやる必要はなかっただろ!」
「あのくらいしなければ、あの視野の狭さを直せなかっただろう?」
「ふざけるな!女の子にやっていい事じゃない!!」
一夏は鏡夜の胸ぐらを掴み、詰め寄った。
「なら、お前は何のために戦うのか次の試合で見せろ」
一夏の腕を振りほどき、向かい側のピットへと鏡夜は向かった。
30分の休憩の後、第三試合が開始されようとしていた。
互いに向き合っているのは織斑一夏と
「俺が勝ったらセシリアに謝ってもらうからな?鏡夜兄」
「なら俺が勝った時は俺のやり方に口を出すな、それと呼び方をやめろ」
試合開始のブザーが鳴り響く。
「先手必勝だ!うおおおおお!」
一夏は雪片の特性を生かした戦法で
「成長してるのはお前だけじゃないんだよ」
「ぐあ!?」
受け流されたような感覚に驚きつつ、一夏はよろめきながら立ち上がった。
「く、なんで?今の一撃は決まったと思ったのに」
「言っただろう?成長してるのはお前だけじゃない、俺もしている」
「くっそおおおおおお!」
一夏は突撃と同時に間合いを詰めて斬りかかるが
「なんで反撃しないんだよ!?」
「試合前に言ったはずだ、お前は何の為に戦うんだ?」
「大切な人を守るためだ!千冬姉も箒もセシリアも、俺に関わった全ての人を守るために戦う!!」
「ふっ・・・・・大層な理想だな?それだけか?」
「それだけだ!!悪いかよ!!」
「ハハハハ!言っといてやる、お前は守るものと守らないものをお前の都合で選り好みしてるに過ぎないんだよ!」
少し笑った後に
「なんだと!」
その言葉に一夏は怒りの顔を見せ、拳を強く握った。
「お前は自分の好きなものしか守らないと宣言したんだよ!今、此処で!」
「てめええええええええ!!!」
「一夏!駄目だ!そんな怒りに任せた太刀筋では!」
箒の言葉など今の一夏には届かなかった、自分が掲げた理想を慕っていた義兄に真っ向から否定され、その裏側の真実を暴かれたからだ。
「昔からお前は沸点が低いな?」
「うるせええええええ!」
怒りに身を任せる一夏と冷静に相手を見続ける
「ふん!」
「がはっ!?」
「お前の理想までの遠さ、その身に刻んでやる」
元の姿に戻った鏡夜は卵を喰らい、明らかな怒りをその目に秘めていた。
「うおおおおお!!!アマゾンッ!!」
咆哮を上げてでの再変身、その名前が呼ばれる。
「クハアアア!!」
「負けねぇ、負けられるかよ…!」
一夏は雪片を杖代わりに立ち上がり、再び構えた。
「ウガアアアア!」
右グリップを引き抜くとそこから現れたのは鎌だ、それを武器に戦うらしい。
「コイ・・・・イチカ・・・!」
「うおおおおお!」
二人のぶつかり合いは熾烈を極めたが特性上、接近戦では一夏に分があることも鏡夜は本能で感じ取っていた。
「もらったぁ!」
絶対の自信をもって繰り出された一夏の一撃、誰もが決まったと思ったその矢先。
「ガアアアアア!」
鎌を投げ捨て、獣のように飛び下がる事でその一撃を回避したのだ、だが無傷とまではいかず、エネルギーシールドが削られていた。
「これで俺の勝ちだァァァ!鏡夜兄!!」
「ウオアアアア!!」
トドメの一撃を繰り出そうと一夏は無謀にも突撃した。
それを待っていたかのように
両者がぶつかったが一夏の方がダメージが大きかったらしく立ち上がってもふらついていた。
「負けて・・・たまるか!」
「グオアアアア!!」
「ぐはっ!!」
再びグリップを捻ると今度は一夏を殴り倒し、マウントポジションを取った。
「ガアアアアア!!」
「うああああああああ!!」
そこからは一方的な虐殺という表現が合っていた。
連続攻撃によって白式のエネルギーシールドは0にされ、試合終了のブザーが鳴るまで続けられた。
「しょ、勝者!雨宮鏡夜!!」
試合終了と同時に元の姿に戻った鏡夜は地面にうつ伏せのままの一夏に近づいた。
「これで分かっただろう?お前の理想はただの甘ちゃん思考だという事がな」
「それでも、俺は…!」
「武器をへし折られ、地面に伏せっている今のお前に何ができる?極論を言えば俺はこのままお前の大切な人の命を奪うことが簡単に出来る」
「なんでだよ、なんで、そんな事…!」
「黙れ一夏、お前はただ、世界最強の姉のお下がりを貰ってはしゃいでいるに過ぎない、違うと言いたいのならそれ相応の強さを身につけるんだな」
「ち・・・くしょう」
鏡夜は一夏から離れて自分のピットへと戻った、そこには千冬が険しい顔で立っていた。
「お前のISは危険だ、私に渡せ」
「俺のISをですか?」
「そうだ!あれは人を殺しかねない!だから渡せ!」
「それは無理ですよ?織斑先生?」
「なんだと?」
「翼は補助、ISは俺自身なんですから」
「な・・・・!」
「言っただろう?俺はもう別の細胞を埋め込まれていると」
「ああ・・・」
「その細胞を活性化させて変身しているんだ、だから無理なんだ」
「っ・・・」
「千冬義姉に大切に思われるの、少しでいいから俺に向けて欲しかったよ」
そう言って鏡夜はアリーナを出て行った。
「鏡夜!・・・私は」
試合後、セシリアは自室でシャワーを浴びていた。年齢にしては成長した胸元、水滴を弾く美しい肌、流れる金髪もそのプロポーションを引き立たせるアイテムに変わっている。
「・・・」
唯一二人の男性操縦者と戦った試合の事がセシリアは頭から離れなかった。
自分の中にあった女尊男卑の考えを打ち砕く二人が現れたからだ。
一人は騎士のように真っ直ぐな瞳を持つ織斑一夏。
もう一人は自分を倒し、野性的ながらも信念を曲げない雨宮鏡夜。
「織斑一夏・・・そして雨宮鏡夜・・・」
織斑一夏との戦い、彼は今まで見たことないタイプの男だった、ただただ真っ直ぐに向かっていく強き瞳、負けても成長していく強さ、さんざん見てきた男とは全く違う。
雨宮鏡夜との戦い、彼は自分の中に凝り固まった考えを真っ向から否定し、挙句には戦いの恐怖というものを認識させられた。
己を見失う強烈な野生とそれを押さえ込んだ冷静な状態、あのISの姿は恐ろしかった。
今でも鮮明に思い出せる、胴体が切られたのでないのか?という錯覚をしたほどの一撃を。でもそれは戦いの時だけ、戦いが終われば間違いを指摘し、自分の凝り固まった価値観を壊し、視野を広げてくれた。
「もっと、知りたい・・」
セシリアは鏡に手を当てながら胸の内にある鼓動を聞いていた。
「はい、という訳で織斑一夏に決定です!あ、一繋がりでいい感じですねー」
真耶が和んだ雰囲気の中で一夏はガクッと肩を落とした。
「あの、俺、試合全部負けましたよね?なんで俺が代表に」
「それはわたくしと」
「俺が辞退したからだ」
セシリアと鏡夜はタイミングよく同時に発言した。
「セシリアはわかるけど・・・なんで鏡夜兄まで」
「あんな試合をした俺が代表になれる訳がないだろうが。それに一夏、今の状態であの理想を口にする気か?」
「う・・・」
試合中の口論とボコボコにされた事を思い出し、一夏は押し黙ってしまった。
「経験を積められる分、良いと思えよ」
「わかったよ」
「鏡夜さん」
セシリアは鏡夜の方を向いた。
「なんだ?」
「数々のご無礼、申し訳ございませんでした!」
「別にもういい、ICレコーダーの記録も消してある。今度からは互いに高め合っていこう」
「は、はい!」
セシリアは鏡夜の言葉に笑顔で応えた。
〈BGM Armour Zone〉
「まずいなー、思った以上の状態になってる」
「きょうくんを人間に戻すには一度細胞を殺さなきゃいけない」
「でも、それには必要な人材を」
次回!Armour IS Zone
「久しぶりね!二人共!」
「肉の匂いだ」
「今回は手伝わないぞ?」
第三話 再会~Reunion~