Armour IS Zone   作:アマゾンズ

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傷ついた獣は凶暴だ。

しかし癒えた時も凶暴さは消えない

それが獣たる本性だからだ。


第三話 再会~Reunion~

「ふーん、ここがIS学園か。ここにアイツ等二人がいるのね」

 

IS学園の門の前に一人の少女が立っていた。

 

年齢は鏡夜や一夏達と同じぐらい、小柄な体型だが長めの髪をツインテールに結っており、リボンのような金色の留め金は黒髪に映えて似合っており、時折見える八重歯が可愛らしさを引き立てていた。

 

「ところで受付ってどこにあるのよー!」

 

彼女は完全な迷子になっていた。

 

小柄な少女が迷子になっている、これはこれで映えゲフンゲフン!由々しき事態になっている。

 

「うるさいわよ!!って誰に向かって言ってるのよ・・・私。まぁ、いいわ!誰かに聞けばいいんだし!」

 

 

 

荷物を持って関係者を探すべく彼女は走り出した。

 

 

 

 

 

「よし、では二人は武装を展開しろ。雨宮は姿を変えるだけでいい」

 

「「はい」」

 

授業の前半、ISの展開及び起動訓練を行っていた。

 

 

一夏とセシリアは同時に武装を展開するがほんの少し一夏の展開が遅かった。

 

「遅いぞ、織斑。慣れた者は0・5秒で展開できる。そのくらいまで出来るようになれ」

 

「はい・・」

 

「オルコットは流石は代表候補生だといったところだな」

 

「あ、ありがと…」

 

「ただし、そのポーズはやめろ」

 

「で、ですがこれはわたくしのイメージをまとめるのに必要な…」

 

「隣をよく見て発言しろ」

 

「隣?」

 

「・・・・・」

 

そこにはニコニコした笑顔でセシリアを見ている鏡夜が居た。

 

もちろん楽しくて笑っているのではない。

 

「あ・・・」

 

「ナ・オ・ソ・ウ・ナ?」

 

「ひっ!!は、はい!!」

 

鏡夜の黒い笑顔にセシリアは急いでライフルの銃口を下ろした。

 

「次に雨宮、お前は全身装甲(フルスキン)だからな、普通に展開しろ」

 

「分かりました、少し下がってください」

 

輪切りにしたゆで卵を軽く食べ、アマゾンドライバーを装着し、グリップを捻る。

 

ALPHA(アルファ)

 

「アマゾン…!」

 

BLOOD&WILD(ブラッド&ワイルド) WI(ワイ・)-WI(ワイ・)-WI(ワイ・)-WILD!(ワイルド!)

 

 

衝撃波と炎と共にISという姿で鏡夜は変身を終えた。

 

 

「纏うのは構わんが衝撃波を抑えろ」

 

「睨みを利かせても、これだけは俺にもどうしようもないですがね」

 

 

お手上げのポーズをして何もできないと言った感じに鏡夜は答えた。

 

 

千冬はやれやれと言いながら次の指示を開始した。

 

 

「三人とも、その場で急上昇しろ。まずはオルコットからだ」

 

「はい」

 

セシリアは慣れたようにすぐ急上昇してみせた。

 

「早っ!」

 

「なるほど」

 

セシリアの飛び方に対して二人は違った反応を見せていた。

 

「次、織斑」

 

「はい」

 

同じように上空へ進むが速度が遅く、セシリアの半分も進んでいない。

 

「何をのんびりしている、スペック上の出力は白式の方が上だぞ?まぁいい、最後は雨宮だ」

 

「はい、一番やりやすいのはこれだな」

 

鏡夜はジャンプするように急上昇し、空中でブレーキをかけホバリングのような状態になった。

 

「なぁ!?鏡夜兄まで!」

 

「俺はただ単に思いっきりジャンプする事と戦闘機のホバリングをイメージしただけだ」

 

「鏡夜さんは飲み込みが早いですわね、全身装甲(フルスキン)だからでしょうか?」

 

セシリアは鏡夜の隣へ来ると話しかけた。

 

「いや、関係ない。これでもいっぱいいっぱいなんだ俺は」

 

「ふふ、人は見掛けに拠らないということですわね」

 

楽しそうな笑顔を浮かべ、セシリアは再び場所を移動した。

 

 

「三人とも、次は急降下と完全停止をやって見せろ。目標は地表から十センチだ」

 

千冬の指示に三人は向き直った。

 

「了解です。では鏡夜さん、一夏さん、お先に」

 

セシリアは先ほどの二つの指示を難なくクリアしていた。

 

「すごいな、セシリアは」

 

「動きに無駄がないな、流石は代表候補生ってことか。じゃ先に行くぞ?」

 

「え?ちょっと、鏡夜兄!!」

 

一夏を置いて、俺も先ほどの指示を実行する。

 

「九センチか、やるな。これからも精進を続けろ」

 

「はい」

 

列に戻ろうと歩き出すと同時に。

 

「一夏っ!!いつまでそんなところにいる!早く降りて来い!」

 

どうやら箒が山田先生のインカムを奪って、一夏に話しかけているようだ。

 

あ~あ、そんな事をしてると。

 

ガン!と織斑先生がゲンコツを箒にお見舞いしていた。

 

「何をしている、馬鹿者が」

 

「う・・・・く」

 

箒は頭を押さえて呻いていた。

 

それと同時に一夏は千冬の指示を実行したがグランドに突っ込むという事態を起こした。

 

「馬鹿者。誰がグラウンドに穴を開けろといった」

 

千冬は呆れ、クラスメイト達はクスクスと笑っていた。

 

「自分で開けた穴は自分で埋めるように」

 

「・・はい」

 

「さてと、しばらく時間があるし俺はトレーニング室にでも行くか」

 

そうつぶやいて俺は変身を解除して校庭を出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「100・・・101・・・102」

 

あの試合から俺は自分の中に気にしなければ気にならない程度の違和感を持つようになった。

 

「190・・・191」

 

腕立て伏せを続けているが以前よりも筋力が上がっているような気がしてならない。

 

「198・・・199・・・200!!ふう・・・」

 

握り拳を作り、閉じたり開いたりする。

 

「あれから動体視力も上がってるし、身体も軽くなっている様に感じるしな」

 

偶然にも鏡夜は寮の部屋は一人部屋だった。

 

着替えを持って、トレーニング室でトレーニングに勤しむ。

 

 

「変身し始めてからだな。でもまぁ、良いか」

 

 

シャワーを浴び、着替えると準備をしイベントの会場へと向かった。

 

 

「という訳で!」

 

「織斑君!クラス代表決定おめでとう!」

 

代表が決定した事を祝うパーティが開催されていた。

 

「なんだよ、これ・・・」

 

クラッカーが二回ほど鳴らされ、一夏は中心に座っていた。

 

「せっかく開いてくれたんだ、楽しまなきゃ損だろ」

 

「鏡夜兄・・・」

 

「悪いが、今回は手伝わないぞ?」

 

鏡夜はグラスに入った氷入りの飲み物(中身は烏龍茶)を酒のような飲み方で飲んでいた。

 

未成年の飲酒はダメ!絶対!

 

「烏龍茶なんだが、って俺は何を言ってんだ!?」

 

「鏡夜兄?」

 

「いや、なんでもない」

 

カランと氷が動くと同時に鏡夜は一口飲み物を飲んだ。

 

「鏡夜さん、お隣よろしくて?」

 

「ああ、構わない」

 

あの試合以降、セシリアは何かと俺に構ってくる。

 

時折、顔を赤くしたり安堵したりしているがまさか、な?

 

こう見えて一夏以上には俺は鈍感じゃないつもりだ。

 

だが、好意を寄せられても、応えることが出来るのかと考えてしまう。

 

いや、人間だ。俺は人間なんだ、でも!という考えが常に過る。

 

すぐに答えを出すべきじゃない、まだ早いな。

 

「鏡夜さん?何を考えてますの?」

 

「いや、大丈夫だ」

 

グラスを空けるといつの間にか、お代わりが注がれていた。

 

「あれ?」

 

「わたくしが注いでおきましたわ」

 

「セシリアの酌とはかなりのレアだな?」

 

「こ、このくらいは普通ですわ!鏡夜さんたらすぐに飲んでしまいますし!//」

 

「はははっ、顔赤いぞ?」

 

「か、からかわないで下さい!」

 

からかってるようだが女性と接する機会が少なかった俺には話し方がわからない。

 

「しっかし人気者だな?一夏の奴」

 

「クラス代表に選ばれ、更には男性操縦者ですから」

 

セシリアも何だかんだで楽しんでいる様子だ。

 

「箒は・・・案の定か」

 

箒は一夏の隣にいるがヤキモチのせいか不貞腐れていた。

 

「あ、いたいた。織斑君、雨宮君」

 

「ん?」

 

「なんでしょう?」

 

「話題の男性二人のインタビューに来ました!新聞部副部長の二年、黛薫子です。はい、これ名刺」

 

名刺を出すとは本当にジャーナリストを目指してるっぽいな、この先輩。

 

「それじゃ早速だけど、クラス代表になった感想とかを聞かせてくれるかな?」

 

ICレコーダーを一夏に向けてインタビューが始まった。

 

「まぁ、なんというか。頑張ります」

 

「えー、それだけ?もっといいコメント頂戴よー」

 

「自分、不器用ですから」

 

「うわ!前時代的ー!まぁ、そこは適当に捏造するからいいとして」

 

捏造すんのかい!と俺は心の中でツッコミを入れていた。

 

「で、次は二人目の雨宮鏡夜君にもコメントを頂きたいな?」

 

「俺ですか?そうですね、一夏ならきっといい代表になると思いますよ」

 

「なんだか、見守ってるみたいだね」

 

「それだと、雛鳥を見てる親鳥の気持ちが分かってきてますからなんとも」

 

「あはは、鏡夜君。面白いコメントありがとうね!」

 

そう言って黛先輩はICレコーダーの録音を停めてカメラを出した。

 

「代表ともう一人の男性の操縦者のツーショット写真を頂戴」

 

「別に構いませんけど、鏡夜兄は?」

 

「俺は別に構わない」

 

そう言うと一夏は俺の隣に並んだ。

 

「握手してみて!こう、タッグを組んだって感じで!」

 

黛先輩が催促してきたのでそれに応じることにした。

 

「!(鏡夜兄、前より握力が強くなってる?)」

 

「おお!それじゃあ撮るよ!。35×51÷24は」

 

「え?えーと、2?」

 

「違う、74・375だ」

 

「鏡夜君せいか~い!」

 

パシャッ!とシャッターが切られた瞬間その場にいた全員が写った。

 

「おいおい」

 

「全員かよ、やれやれ」

 

「いいじゃん!」

 

「クラスの記念にね!」

 

クラスメートの女子達は盛り上がりを見せていた。

 

その後、イベントは終わり、解散となって俺は就寝に就いた。

 

 

 

 

 

「ねぇねぇ、鏡夜君、聞いた?この話」

 

「二組に転校生が来るんだって!さっき職員室や廊下で話を聞いた人がいるって」

 

教室に入ると同時に噂話で持ちきりの様子だ。

 

「転校生か・・珍しいな。ここは最低でも国の推薦がないとは入れないが」

 

俺は例外中の例外だ。

 

男性操縦者というのもあるが、なにより開発者の束さんの説得(きょうはく)のおかげで入れたのだから。

 

「なんでも中国の代表候補生らしいよ」

 

「中国・・・中国、ね」

 

「中国・・・まさか、な」

 

俺と一夏は同じ思考をしていたらしくお互いに同じ行動をしていた。

 

「わたくしの存在を危ぶんでの転入かしら」

 

セシリアは腰に手を当てたポーズを取りながら俺達の近くに来ていた。

 

「セシリア、それはないからな?」

 

「きょ、鏡夜さん!失礼ですわよ!」

 

ガーッ!と騒ぐが本当の事だろうと思いつつ黙っていた。

 

「このクラスに転入してくるわけでなのだろう?騒ぐほどのことでもあるまい」

 

いつの間にか箒も近くに来ていた、恐らくは一夏目的だろう。

 

「ま、クラスの目的は半年の学食デザートフリーパス券だからな。頑張れ、一夏」

 

「あ、ああ・・・」

 

そう、クラスの目的は学食のデザート半年フリーパス券。

 

しかもクラス全員に渡されるらしい。

 

試しに学食の和菓子を食べた事があったが絶品だった。

 

この学校、プロでも呼んでいるのかと疑った位に美味かった。

 

「でもこのクラスには専用機持ちが三人もいるし!」

 

「楽勝だよね!織斑君!」

 

「え?ああ・・」

 

一夏に対して色々と盛り上がっていた時だった。

 

「その情報、古いよ」

 

教室の扉から声がしていた。

 

「二組も専用機持ちが代表になったの、そう簡単には勝てないんだから!」

 

明るい声で勝利は渡さないという意思がひしひしと伝わってくる。

 

「お、お前!」

 

「鈴なのか?」

 

「そうよ。中国代表候補生、凰鈴音(ファン・リンイン)今日は宣戦布告に来たってわけ。それに」

 

 

鈴の宣戦布告を俺と一夏は驚いたように鈴を見ていた。

 

 

「ハァッ!」

 

「!シッ!」

 

鈴は鏡夜を見つけると同時に蹴りを横顔へ向けて放ち、鏡夜はそれを受け止め。

 

掌底突きを鈴の顎へ寸止めした。

 

「悔しいいい!あの頃よりも腕が上がってるじゃないの!」

 

悔しそうに鈴は体勢を整え、俺は掌底を解いた。

 

「そりゃあ、な?でも、鈴だってキレが上がってるし重みもあった、腕が痺れたぞ」

 

そう言いながら俺は腕を軽く振っていた。

 

「それとな、そろそろ戻ったほうがいいぞ?」

 

「なんでよ?」

 

スパァーン!と鈴の頭に出席簿が当たった、遅かったようだ。

 

「チャイムは鳴り終わっている、さっさと教室へ戻れ」

 

「っ・・千冬さん、分かりました。鏡夜、一夏!後でまた来るからね!逃げないでよ!」

 

そう言うと鈴はすぐに教室へと戻っていった。

 

相変わらず猫の様に素早いやつだ。

 

「織斑先生だ、全く…」

 

居なくなった鈴に対しての返答を忘れない千冬だった。

 

 

〈BGM Armour Zone〉

 

 

授業も進み、昼食の時間になった為、食堂へと向かっていた。

 

 

「待ってたわよ!鏡夜、一夏!」

 

なぜか食堂の前で鈴が待っていた。

 

「鈴、悪いが場所を開けてくれ、食券が買えないし邪魔になる」

 

「鏡夜兄の言う通りだぞ?鈴」

 

「わ、わかってるわよ」

 

鈴は席を取るために場所を開け、席に向かった。

 

「それにしても久しぶりだな?」

 

席を確保し、それぞれが席に座った。

 

箒は当然、一夏の隣でありセシリアはなぜか俺の隣に座っている。

 

「ええ、にしてもアンタ偏った食べ方してるわね?大丈夫?」

 

「ま、まぁ色々あってな?」

 

「にしても鈴!約一年ぶりか?」

 

「本当にね、一夏は相変わらず鏡夜にくっついてばかりなの?」

 

「う・・・」

 

そこは否定しておけ、また腐った女子のネタにされかねんだろうが。

 

「くっついてばかり!?つまり夜も」

 

「捗る!捗るわ!!ますます描けるわよ!」

 

「その本売って!」

 

「お互いにお互いを求めて・・・ブッハァ!」

 

ああ、やはり暴走してる。

 

俺はこめかみを押さえて頭を軽く左右に振った。

 

 

 

 

「アンタは相変わらずね、そうそう鏡夜!」

 

「ん?なんだ?」

 

口に入れていた肉を飲み込み、俺は鈴に向き直った。

 

「久々に手合わせしない?ISで」

 

「ああ、別に構わ・・・」

 

「鏡夜さんに挑むのはこのわたくしです!あなたは二組でしょう?」

 

「誰?」

 

「な!?わ、わたくしはイギリス代表候補生、セシリア・オルコットでしてよ!?まさかご存知ないの?」

 

「うん。あたし他の国とか興味ないし」

 

「な、な、なっ!?」

 

セシリアは怒りで顔が真っ赤になっていた。

 

「やめておけ、二人共。ここで喧嘩したら俺がお前らをトメルゾ?」

 

「う・・・あ」

 

「っ・・・!」

 

セシリアは試合の出来事を思い出し、鈴は一瞬、恐怖で身を縮こませた。

 

「(な、何?今の鏡夜の声・・・別の何かに変わっていたような)」

 

「とりあえず、さっさと飯食っちまうぞ」

 

俺は残っていた肉の全てを食い終わらせた。

 

「鈴」

 

「な、何?」

 

「放課後を空けておく、手合わせしよう」

 

「ほ、本当に!?」

 

「鏡夜さん!わたくしとの」

 

「もちろん、セシリアにも特訓してもらう。遠距離のな」

 

「は、はい!」

 

セシリアと鈴が嬉しそうだな、なんとなくわかるが。

 

「鈴さん・・・・負けませんわよ?」

 

「私が勝つわ」

 

おお、火花が見えた。こりゃあ黙ってよう。

 

「ああ、そうだ。鈴、俺が勝ったら久々に鈴の中華料理を食わせてくれ」

 

「え!///」

 

「なに赤くなってんだ?」

 

「な、何でもないわよ!」

 

「き・ょ・う・や・さ・ん?」

 

セシリアが笑顔で俺を見ていた、なんだか後ろに炎が見えるぞ。

 

放課後は荒れそうだな。

 

でも今の俺が好意に応えられるのか?

 

俺は・・・人間

 

それとも・・・ケモノなのか?




次回!Armour IS Zone

「あれは・・・」

「鏡夜ァァァーーー!!」

「そ、そんな」

「絶対に倒してやる!」

第四話 傷~Injury~
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