※キャラは相変わらず静ちゃんのみなので注意。
焼肉、言葉の通り肉を焼いて食べる至ってシンプルな料理。
一般的には網や鉄板の上で焼いた肉を、醤油ベースのタレに薬味などを合わせたタレや塩レモンなどで食す料理
食の欧米化や飽食の時代と言われ、様々な肉料理が食べられるようになった現在においても性別を問わずその人気は1,2を競うだろう。
そんな焼肉を食べたいが為に焼肉屋を求め街を歩く一人の美人女性。
「腹へった、早く焼肉食いたい!!今日は何から行くかな……」
平塚静の姿がそこにあった。
「おっ!ついたついた!」
目的の店に到着する、焼肉を食すという行為に胸が躍っているのかその顔には笑みがこぼれる。
外に漏れ出す肉の焼けた匂い。
焼肉と生でガーッといきたくなるこの匂いは静の空腹をより一層刺激する。
(辛抱たまらん!早く店内へ!私はとにかく肉が食べたいんだ!!)
「ごめ~ん」ガラガラ
「いらっしゃいませ!」
静は慣れた手つきで一人ですジェスチャーをする、なかなか堂の入った姿である。
「かしこまりました、こちらのお席へどうぞ」
店員に案内され、指定された席に座る。
(さて、どうやって攻めるか……)
メニュー表とにらめっこしながら注文の組み立てに入る。
(とりあえず生はドライだが焼肉だしアリだ、肉はどうする?最初は無難にタン塩か…いやしかし!)
一応女性である静、量も一般男性よりは食べるものの松重ゴローさんのようには食べられない、というかゴローちゃん食べ過ぎ。
とにかく腹が減ってる時は前後不覚に陥りやすいもの、腹が減った状態でコンビニやスーパーに寄った時など必要以上に買い物をしてしまい後悔することがあるように、焼肉屋のような飲食店の場合は最初の段階や食欲に火が付いた途中段階で頼みすぎてしまう事が多い。
(もう、同じ轍は踏まん!少しずつ注文するか?)
「ん?」
ふと一つのメニューが目に止まる。
一人焼肉セット
内容は牛タン、カルビ、豚サガリ、ホルモン
量は大中小のどれかを選べる仕様、丁寧に写真まで貼り付けてある。
「これだ!」
静の体に電気が走る。
(一皿ずつ頼めばどうしても量が増えるが、これなら程よい量で食べられる)
「すいません!生と一人焼肉セットの中、後ニンニクのホイル包み下さい」
「はい、かしこまりました」
「お先に生とお通しになります。お肉もすぐ持ってきますので少しお待ちください」
お通しは千切りキャベツにキムチ、もやしにほうれん草のナムル。
(これは嬉しいな、肉がメインで偏りがちな栄養的にも助かるし箸休めにもなりそうだ。実際このくらいでは足りないが、あるとないじゃ大違い、外食なんだからある程度でOKだな)
生のジョッキを手に持つ。
(おおっ!ちゃんと冷えてる、この前行った居酒屋のチェーン店で出たモルツの生と大違いだ、食洗器で洗い立てのジョッキで入れたからか温くなってしまい恐ろしく不味かった!!それとは大違いだ)
ジョッキをビールと同じ冷蔵庫で保管し十分に冷やし、そのジョッキに生をいれた物、静の心は期待に揺れ動く。
(肉が来るまで待てん!先に飲んでしまおう!!)グビグビ
手に伝わる冷たいジョッキを持ち豪快に飲む、喉にギューッと来る冷たさと苦味と炭酸のさわやかさが、口に広がり爽快感を残し洗い流すかのように消えていく。
「ックーー!!!(家でも冷やして飲んでるがやっぱり店の生は違う!!)」
「お肉とニンニクホイル包みお持ちしました」
「ドモッ!(キタキター)」
牛タン、カルビ、豚サガリ、ホルモンが数枚ずつとアルミホイルに包まれたニンニク。
(まずは牛タンから焼くことにしよう)
網に牛タンを乗せる。
(牛タンは薄切りで早く焼けるのが良いな)
食べたい!今すぐ食べたい!早くそれを口に入れて噛みしめたい!そんな逸る気持ちが静の心を支配する。
(よし!もういいだろう!!)
牛タンをササッと皿に取り上げる。
(先ずは塩のみで……)パクッ
牛タンならではの食感、そしてあっさりながらもジュワーッと広がる肉汁と旨味、塩のみの味付けが出しゃばる事無く牛タンの旨さを引き立てる。
(やはり牛タンは旨い!!そんでもって……)
牛タンを飲み込み、その余韻が残る中ビールを煽る。
「プハーッ!!」
(焼肉とビールの組み合わせはたまらん!!)
続いてレモンを少し垂らし、牛タンにレモンの清涼感と酸味を加味する。
(以前、レモンをかけるタイミングで口論になった事があるが、やはりレモンは後にかけるのが好きだな)
人間、何故か食べ物のことになると譲らなくなる。
(牛タン行った後は豚サガリかカルビかホルモンか……どうする?)
「それぞれ適当に焼こう」ジューッ
(焼いてる間にタレを合わせるか)
ここの店は甘口、辛口の2種類のタレにコチュジャン、レモン汁、塩、醤油が卓上に置かれている。
(辛口が2、甘口が1、コチュジャン少しっと…オッとひっくり返さなければ!)
焦げ付かないよう一通り返す。
(さて、お通しの野菜も食うか)シャクッ
千切りキャベツを口に運ぶ
。
(味がついてる?清涼感ある酸味と微かな塩気……もしかして、塩とレモンか?)
(なるほど、これなら箸休めにもなるしキャベツのほのかな甘味も楽しめる、塩レモンだから出しゃばる事なく肉と合わせて食べてもいい)
シャクシャク言わせながら口に運んでいく。
(こういう細かいところを考えたお通し、いいな)
そうこうしているうちに肉が焼ける。
(さあ、食うぞ!!)
先ずは焼肉の定番カルビ
ここの店は厚めにスライスしてあるためジューシーな肉の旨味と脂、歯ごたえが存分に楽しめる。
静は先ほど合わせたタレにつけ食べる。
(う、旨い!!!肉自体の旨味もさることながら厚めの肉の歯ごたえが良い、噛むと押し返す弾力と肉汁が素晴らしい)
そして
グビグビグビ
「すんません!生おかわり!」
旨い焼肉はビールが進む。
次は豚サガリ
豚肉の中でも少量しか取れない部位、食感と肉の旨味、脂どれも存分に味わう事ができる。
(豚サガリは普段あまり食べないな……)パック
豚の旨味の甘味のある脂、サガリの食感がタレと絡みながら口の中で踊る。
(豚サガリ最高じゃないか!!!ビールにも合う!!!)グビグビ
ホルモン
セットのホルモンはB級グルメでも話題になった豚の大腸であるシロコロ、この店では味噌ダレに漬けて提供する。
その旨味と脂は、コリコリとした歯応えはグランプリを制しただけあって素晴らしいの一言。
(ホルモンは歯ごたえと脂の旨味が良いんだよな)パック
コリコリコリ……。
熟成された味噌ダレと脂が焼く事によって焦げ目ができ、旨味だけでなく香ばしさも加味された味わい、歯応えも相まって噛めば噛むほど口の中にうまみが広がる。
(こりゃたまらん!!!)グビグビグビ
(濃い味の焼肉とビールは最高だ!!)
(そういえば、昔は濃い味の物を食べると“ご飯欲しい”ってなったものだが、いつの間にかビール欲しいに変わったな……)
(そのビールだって初めて飲んだ時は“苦炭酸麦茶”だ不味い!!って状態だったのに、人の好みは流れゆくものだな)
(というか、ご飯の事思い出したら急にご飯食べたくなった……)
「すいません!ライス下さい!」
続いて、皿に残った肉を全て網に乗せる。
(おっと!ニンニク忘れてた!)
網の端で静に佇むアルミホイル。
(こんなに特徴的なのに気付かないなんてあいつみたいだな)
自分の教え子を想像しすこしニヤニヤ。
(特にクセがあるとこなんてそっくりだ)クスッ
アルミホイルを剥きながら、一人の男を考える。
「おお、いい感じに焼けてるな」
アルミホイルを剥くと、湯気と香りを上げながらニンニクが現れる。
(焼肉屋行ってこれあるとついつい頼んじゃうんだよな)
ホクホクに焼けたニンニク、最初は塩を軽く振り口に運ぶ。
まるで芋のような、それでいてねっとりと下に絡むニンニクの旨味。
(やはりこれは旨い!クセはあるが、それがクセになってしまう)
次にホイル焼き用の味噌ダレをつけてパクッ!
(これは見事だ、酒とご飯どちらでも行ける旨さだな)グビグビ
「ライス失礼します」
「どもっ!」
ライスを自分のベストポディションに寄せる。
(さて、少しお行儀悪いがいいか!)
焼けた肉を次々ごタレにつけご飯に乗せる、次にニンニクとナムルにキャベツ、キムチも乗せ、皿に残ったタレもかける……焼肉丼の完成だ。
(さあ、食うぞ!!)
ご飯、肉汁とタレを吸ったご飯を肉と一緒に口に運ぶ。
(旨い!やっぱ焼肉はご飯も合う!!)
ナムルの食感やキムチの辛味と酸味、ニンニクが良いアクセントになる。
(これもまたビールにぴったりだ)グビグビ
そして
「ごちそうさまでした!!」
見事綺麗に平らげる。
(食った食った!やはり肉は良い……)
「すみません、お会計!」
「旨かったです、また来ます」
「ありがとうございました!」
「ふう……」ガラガラ
(良い店だったな)
会計の際にもらったミントガムを口に運ぶ。
「今度は奉仕部の奴らをつれて来るか……」
(それにしても、一人焼肉セットは考えたな……)
(世間は独り身に冷たいというが、独り身に優しいところもちゃんとあるんだな)
「肉食べたい時ちょくちょく来るか」
土曜日の夕方
平塚静は今日もひとり家路につく。
酒入れて書いてるので誤字脱字あったらすみません。