息抜きがてら書くのでこれからも亀更新かと思いますが、エタらない程度にしこしこ書きます。
から揚げ
鶏もも肉を醤油や薬味に漬け、粉を打って揚げた物を想像する方も多いはず。
料理的には粉を打って揚げた物=から揚げや別名で竜田揚げと呼び、アレルギー等特殊な事情が無い限りこの料理を食した事があるだろう。
今回はそんなから揚げのお話。
総武高校職員室
今日は金曜日、という事で平塚静は月曜日に仕事を残さぬよう仕事を片付けていた。
「失礼します」
ノックの音と共に自分が顧問を務める奉仕部の部長、雪ノ下雪乃が入室してくる。
「鍵、返しに来ました」
雪乃はいつも通りに鍵を渡す。
「おおご苦労、今日は何かあったか?」
静もいつも通りに鍵を受け取り一言かける。
「別に、いつも通りでした」
「そうか、それは何よりだ、気を付けて帰りたまえ」
「はい、お先に失礼します」
いつものやり取りをし、雪乃は退室する。
自分の教え子が退室するのを見届けると、机に上がっている缶コーヒーを手に取り軽く振る。
次にプルタブに指をかけカッシュと蓋を開け口をつける。
マッカン程ではないものの十分に甘いそのコーヒーは、静の口の中でコーヒーの香りと共に確かな余韻を残し疲れた体にカフェインと共に染みていく。
「何だかんだでこのコーヒーとも長い付き合いだな」
自分が物心ついた時からある味、その昔からの味が静に落ち着きを与える。
「さて、もうひと頑張りするか」
コーヒーを飲み干し再び仕事にかかる。
―数時間後―
「よし終わった!」
書類をファイリングし、両手を上にあげ軽くストレッチ。
「時間も良いころ合いだし帰るか」
帰り支度をパパパッとすませ自分の車のキーと携帯、セカンドバッグ!?を持ち颯爽と自分の車へと向かう
。
「さて……」
静は車に乗りタバコを咥え、少し悩む仕草をする。
「腹減ったが何食べるべきか」
現在の時刻は8時近く、昼に軽く飯を食べただけの静にとって空腹になる時間。
「気分的にコンビニ飯とかは避けたいな」
明日はせっかくの休み、そんな開放感から普段より少し良いものを食べたい乙女心。
「どこかに寄りたい所だが、あいにく今日は花金だ」
花の金曜日という事で繁華街は賑わいをみせる、静はそこまで人ごみが苦手なわけではないのだが……。
「下手に外食行ってリア充見ながら飯を食うのはイヤだ」
独り身である彼女にとって金を払ってリア充を見ながら飯というのは苦行に等しい行為である。
「こんな時はあそこで決まりだな」
静は携帯を取り出しリダイヤルから電話をかける。
「あ、もしもし平塚ですが……」
「はい、お願いします」
ニコニコしながら電話を切る静。
「よし、行くか!!」
エンジンをかけて車を走らせる。
―自宅最寄りのコンビニ―
(予定の時刻までまだ時間がある、必要なものを先に買い揃えよう)
静は財布を手に取り、その長い髪をなびかせコンビニへと入っていく。
「いらっしゃいませ~」
(とりあえず、週刊誌かな)
女性誌並びにその下段にあるゼ○シィには目もくれずいつものコーナーのいつもの雑誌を手に取りる。
(後は……これだな)
続いて飲料水コーナーと冷凍品コーナーから望みの品を手に取り、レジで会計をすまし店を出る。
「時間は……ちょうどいいころだな」
携帯で時間を確かめると、車に乗り込み目的の場所へと向かった。
「よし、ついた」
近所の食堂(1話に登場)へとやってくる。
静は車を止め、財布を持ち颯爽と暖簾をくぐる。
「ごめんください」
「あ、平塚さんいらっしゃい」
静の性言う店員、どうやら静はあれ以来ここの常連になっていいるようだ。
「ご注文の物はもう少しでできるのでお掛けになってお待ちください」
冷たいほうじ茶をコップに注ぎながら静かに席に着くよう促す。
「ありがとうございます」
軽く会釈しほうじ茶に口をつける。
(やはりほうじ茶は落ち着くな……)
ほうじ茶特有の香ばしさが鼻腔をくすぐり、仕事中に飲んだコーヒーとはまた違う落ち着きを与えてくれる。
その清涼感と冷たさが喉を洗い流すように通っていく。
「お待たせしました」
店員が袋を大事そうに抱え持ってくるその中には、包装されたパックの姿。
「ありがとうございます」
静はワクワクを感じているのか、その袋をハニカミながら受け取る。
「一応確認しますがご注文はから揚げ、おにぎり、豚汁、糠漬けでよろしかったでしょうか?」
店員が念の為に確認をとる。
※1話ではメニューにから揚げと豚汁がありませんでした、モデルになってる店にはちゃんとあるのに、酒飲んで書くからこんなことになるんですよね……酔っ払いって本当にヤァね。
「はい、大丈夫です」
静はコップに残ったほうじ茶をグイッと煽り飲みほし、財布に手を付け会計を済ませる。
「ありがとうございました、また起こし下さいませ」
店員が静にお礼を言う。
静は笑顔を向け会釈し扉を開け車へと向かう。
「フフフ!!今日はコイツで晩酌を楽しみながら録り貯めしたアニメを見るぞ!!」
静にとって最高の癒しのひと時、逸る気持ちを抑えながら車を自宅に向けて走らせる。
―静宅―
帰宅するなり靴を乱雑に脱ぎ捨て、着ていた服をベットにポイッ!
いつものジャージに着替え、机に先ほど食堂で買った物を置きキッチンへ向かう。
「さて、今日は何にするかな?」
冷蔵庫を開けしばし考え込む。
冷蔵庫の中にはビールとジョッキに日本酒、食料などほとんど見かけない。
「いつもならは揚げ物だからビールにするところだが……今回は違う!!」
静はジョッキと野菜室からレモンを取り出し、コンビニ袋から氷と炭酸水を取り出す。
「先週買った角もあるし、今日は角ハイボールだ!!」
ジョッキに氷を入れ、レモンをまるでのこぎりのようにキコキコと危なっかしい手つきで切る。
それらを机に持って行って置き、ソファーに腰かけリモコンを手に取りテレビをつけ録画したアニメを垂れ流す。
シャンランランラーン♪♪
テレビから流れる、爽やかな日朝アニメの音楽を垂れ流しながら静は角ハイボール作りに取り掛かる。
「先ずは氷をくぐらせるように角を入れていって……」
氷の入ったジョッキにウイスキーを注いでいく。
「種は入ってしまうがスイカの要領で口に入ったら飛ばせばいい!フンガーー!!」
半分に割ったレモンを片手で豪快に握り締め、レモンを絞る。
※注意:平塚先生は女性です。
「後は炭酸水入れて混ぜ混ぜだな」
ジョッキに炭酸水を注ぎ、炭酸が抜けないようにマドラーで混ぜる。
「よし!今日は花の金曜日!!飲むぞぉぉぉ!」
独り身で一人自宅で独り言(5・7・5)
「……プハーッ!!暑い時のハイボールは旨い!!!」
ウイスキー特有の芳醇な香りと味わい、それらをレモンと炭酸水がさわやかにさせ、口と喉に爽快感を残し消えていく。
「そんなハイボールにはから揚げだよな!!」
先ほど持ち帰ったから揚げをパックから取り出す、揚げてまだ間もないそれはまだ熱を持ち、サクサク感も残ってる。
「この香りは醤油か……いいじゃないか!!」サクッ
辛坊たまらんと言わんばかりに豪快にかぶりつく。
サクッとした衣、もも肉のジューシーな肉汁に歯応え、噛むほど口に広がるその味わいに静の空腹だった腹は歓喜に満ち、静自身もその味に舌鼓を打つ。
「醤油の香りに鶏ももの旨味、薬味はシンプルにショウガニンニク、気取らない味だがこれが旨い!!」
口にから揚げの余韻が残っている間に再びハイボールを煽る、その爽快感がから揚げの余韻を洗い流し、口飽きさせることなく、から揚げを美味しく味わえるのだ。
「プッ!」
口に入ったレモンの種をスイカの種を飛ばすようにゴミ箱へ飛ばす静。
「これ実家でやったら相当怒られるんだろうな」
自分でも行儀が悪いのは分かってる、だが止められないとハイボールを口に含み再び種を吐き出し、から揚げを頬張る。
「そういえば、遠足や運動会の時とか弁当はいつもから揚げだったな」
―二桁年前の幼き静―
「お母さん!!明日の遠足、から揚げがいい!!」
エプロンをしめ、キッチンに立つ母のエプロンを握りしめる幼い静。
「大丈夫よ、明日はちゃんと作るから」
そんな娘を慈愛に満ちた目で見る母。
「うん!お母さんありがとう!!」
年相応に可愛らしい笑顔を母に向ける静。
(そんな母の言葉が嬉しくて、明日の弁当が楽しみで中々寝付けなかったな)サクッ
から揚げを頬張りながら、昔を思い出し物思いにふける。
「あの頃は、将来は自分も結婚して母になって自分の子供にお弁当作って、から揚げ入れるんだとか考えてたっけ……」
それが当たり前だと思ってたあの頃を思い浮かべ、思わず苦笑になる。
「大人になって結婚、当たり前が一番難しいな」グビグビ
そんな人生の苦味を飲み干すようにハイボールをグイッと煽る。
「ああ~~!圭君みたいな彼氏欲しい……」
テレビの画面に映るふきのとうの天ぷらを作る男の子を見て思わず呟く。
「とはいえ、こんな優良物件がリアルにいるわけない」
「料理ができて、共通の話題持ってて、一緒にいて楽しい人とかいいな……んっ!?」
突如頭に浮かぶ一人の男、見た目は悪くないくせに性格がひねくれている男、でも自分の振ったアニメのネタにも返してくれ、一緒にいるだけで楽しくなる、そんな男の姿が頭に浮かぶ。
「イカンイカン!!!何を考えてるんだ私は!!!」
あわててそれを振り払い、照れ隠しのように空になったジョッキにウイスキーを注ぎレモンをギューッと絞る。
「まだまだ宵の口、酔っぱらうには早いぞ!平塚静!!」グビグビ
先ほどの事を忘れるようにハイボールを再び煽る静。
―そして―
「いかん、飲みすぎた」
調子にのって途中からビールも開けて飲みだした為か、かなり酔っている。
「そろそろ締めにするか」
パックからおにぎりと豚汁を取り出す、時間がたって冷めているの為、静はそれらを器に移しレンジで温め机に持ってくる。
「先ずはおにぎりだろ」
ゴロンと丸く握られたおにぎり、静は豪快に口に運ぶ。
時間がたちご飯にしっとりと馴染んだ海苔と、軽く塩気のあるごはん、そして舌にジワーッと自己主張する旨味と塩気の固まりである筋子。
「うまいなぁ」
アルコールが回った体は塩分と炭水化物、この二つを欲しがる傾向にある。
飲みの後にお茶漬けや麺類などを欲しがる理由のひとつがそれ、静にとってもそれは例外ではなく、体が待ち侘びたその味わいに頬が綻ぶ。
「そんでおにぎりには豚汁が合う!」ズズッ
アチアチ言いながら出汁の利いた汁を飲む、豚の味、出汁の味、野菜の味、それらを味噌が包み込みまとめ上げた豚汁、これが不味いはずがない。
そして
「ふう……ごっさんでした!!」
酒と飯で心を満たした静は爪楊枝を咥えシーシーやりながら満足げにソファーに寝転ぶ。
「いかん、腹満たしたら眠くなったきた」
仕事終わりで疲れた体、酒、飯このキーワードに対する静の答えなど一つしかない。
「風呂は明日入ればいい、私は今すぐ寝たいんだ!!」
酔っていて冷静な判断が出来ない静は寝室に戻る事無く、ソファーで電気をつけたまま睡魔に誘われ、寝落ちした。
時間はそろそろ日付が変わる頃、独り身の静の夜は今日も過ぎていく。
次回の更新、当然未定ですがネタだけはすでに沢山あるのでご安心を。