四時間目の授業の終了と同時にお昼休み開始の合図を告げる四拍子のチャイムが鳴る。クラスメイトは全員一斉に机から立ち上がりお辞儀を一礼し終わると、それまで整然としていたクラスは、自由な時間を謳歌するためにあっという間に自分の机から離散した。
「おーい、つぐ今日外で食べようよ」
「ああ、いいぞ」
俺は、
ひとつは、俺は魔導師という魔法使いであることだ。俺に魔力の素質があったようでしかも俺の爺さんがそれの関係者だった所以で、俺は爺さんに魔導師の訓練をさせられている。これが、なかなか厳しく、今も爺さんの魔法で、リンカーコアという俺の持つ魔力に負荷をかけている。
体育の時間など、体を動かす授業がある時はしんどくなる時があるが、幼稚園の頃からされているためだいぶ慣れてきた。
教科書をしまいながら、長袖を少し捲りあげ、自分の右手に着けている細い白銀の腕輪を見つめる。この腕輪は、デバイスという魔法の補助をしてくれる機械、名前は『ウインドサイザー』。今は腕輪の形をしているが、魔力を行使すると大きな鎌に変形する。魔法使いなのに近接武器と言うおかしな魔法だとつくづく思う。
そしてもうひとつは、俺は転生者だ。ただし、前世の記憶がまったくないという聞いたら呆れかえるような転生者だ。唯一つだけ、自分が転生したんだと言う事実のみしか知らない。ただ、これだけはわかる。自分は、一度死んだ身なんだと言うことが……
「おーい、つぐ何してんだよー。早く早く」
「もうすぐに出るよ」
俺は、思っている。どうしてこの世界に転生したのか、自分の意志なのか。あるいは、何か大切なモノがあるからここに転生したのか。前世で何があったのかわからない。けど、俺には今魔法がある。この世界でまた死に直面しようとも魔法で叩き潰してやる。今の世界を平穏に生き抜くために。
俺は教室を出てみると、三島の姿はなかった。どうやら先に行ってしまったようだ。まあ、おそらく一階の食堂だと思うが。
「……んな、……よ」
「いいから……、俺に……ろよ」
ん? 階段の降り口の方から声が聞こえた。どうも相手が困惑しているような会話だ。覗き込んでみると、深い青色の髪でロングの女子と前髪がとがった赤髪の男子がいた。青髪の少女の表情は、やはり困った顔をしている。
俺は、階段の踊り場へ下り、赤髪の男子に注意を促した。
「なあお前、その子困っているぞ」
「ああ、だから俺が今聞いていて」
「お前が原因で困っているんだろうが」
「はぁ!?」
赤髪の男子は、すっきょんとうな声を出した後、体をこちらに向けた。赤髪の男子は、犬歯を一本むき出しにして、俺を睨みつけていた。こりゃ、逆切れさせちまったな。
「あ、あのね」
一触即発状態の俺たちに、青髪の少女が割って入ってきた。
「私が友達を探していて、その赤髪の―としみつ君が一緒に探してくれるって言ったから、わるいかなってわたしが言ったの」
「え、そうだったのか」
な、なんだ俺は勘違いしていたのか。とにかく赤髪のとしみつに謝らないと。
「勘違いをしてしまって、すまなかった」
俺は、深く詫びを入れてとしみつの顔を見てみると、さっきまでの表情がすっと消え、笑って俺の肩をポンポンと叩いた。
「気にすんなって、誰にでも勘違いってのはあるからな
「し、
「ああ、名前まだ聞いていなかったからな。にしてもお前、老けるの早い」
「老けてねーよ! これは遺伝だバカ!」
「バ、バカってなんだよ! バカって言うやつがバカなんだぞ」
「六歳児の髪が白いから老けてるって認識するやつがバカ以外になんだって言うんだ!」
「ふ、二人とも落ち着いて」
青髪の少女が何か話しかけてきたが、聞く耳を俺は持たなかった。この髪は、母さんと同じ、ホワイトシルバーだから結構気に入ってるんだぞ。それを
怒りが頂点に達し、俺の右手に力が入り、右手から一陣の風が生成されようとした。
「あんたたちこんなところで何騒いでいるの。あっ、すずか。いったいどこに行ってたの」
「探していたんだよ」
「アリサちゃん、なのはちゃん」
後ろから少女声に反応し、ふと我にかえって、魔法を収めた。
振り返ってみると、オレンジ色の髪で勝気そうな女子と栗色の髪にツインテールの女子が青髪の少女と話していた。
「お箸を教室に置き忘れたから、取りに行ってくるって何分かかっているのよ」
「だ、だってどこにいるのか二人とも言わなかったから」
「ん、おっ探してしていた友達見つかったのかってなのはちゃんじゃないか」
「あ、としみつ君。こんにちは」
どうやら青髪の少女の友達一人は赤髪の少年と友達のようだ。
「あら、あんた。この間のその……あたしとなのはの喧嘩を止めてくれた」
オレンジ髪の女子――アリサちゃんは、どこかバツが悪そうな顔をして、としみつに話しかけた。
「ああっ、あの時の。ってもうなのはちゃんと仲直りしたのかよ」
「うん。アリサちゃんとすずかちゃんとはもうお友達なの」
どうやら、この四人は友達グループを形成していたらしい。俺はお昼を食べに食堂へ向かおうとした。
「あの、一緒にお昼ご飯食べない? 後あの……その」
青髪の女子――すずかちゃんが、昼食のお誘いをしたが最後の方がなにかもごもごとして聞き取れなかった。あ、そういえばまだ名前を言ってなかったな。
「狩谷継導(かりや つぐみち)だ」
「一緒にどうかな?つぐみちくんも」
「ああ、構わないよ」
「俺も全然OKだ。」
としみつも続いて同意した。
「じゃあ、自己紹介するわね。あたしは、アリサ・バニングスよ」
「わたしは、高町なのは。よろしくねつぐみち君」
「改めまして、月村すずかです」
「さっきは、なんか怒らせちまって悪かったな。へへっ、俺は樋口敏光だ。よろしくな」
「いや、こっちも急にカッとなって悪かった」
それぞれの自己紹介が終わり、アリサが「じゃあ、屋上で食べましょうか」と言い、俺たち5人は屋上で食べることとなった。
しかし、みんながお昼のお弁当を広げていた時、事件が起きた。
すっかり三島のこと忘れていた。
「ごめん、俺の友達も呼んでくる。」
この後、食堂で一人で席を確保していた三島も俺たちと合流して一緒にお昼を食べた。
第三話 「転生と決意その三」完
ようやく、オリジナルキャラクターの主格となる三人が出そろいました。物語は、ここからまた時を進めて、本編に突入します。
なお、満君は、この時はまだ別クラスで合流しておらず。つぐみち君も別クラスでなのはちゃん達とは、頻繁に顔を合わせてはいません。