それでも数あるssの中でこのssに目を通してくださった読者の方々に
感謝の思いを送りたいと思います。本当にありがとうございます。
第15管理世界『ポロル』 首都『チョローン』 首都総合港
搭乗口から一人の少年が出てくる。少年は周りを見渡し、困った顔をする。
「迎えが来てない……」
思わず声が出てしまう。少年にとって、迎えが来てないということは、頭の中の思考が外に漏れ出てしまうくらい困ったことらしい。
息を少し吸って、吐き、背負っている茶色のボストンバッグを床に下ろす。所々黒くくすんでいる白い床がバッグに覆われ見えなくなる。
少年はバッグのサイドポケットからペットボトルを取り出す。ペットボトルの蓋と帯は赤く、中身の液体は黒い。帯には『Coke Cola』と、白い筆記体で書かれている。
蓋を捻り、開ける。すると、中の液体が泡を立て、鉄砲水の如くが勢いで少年に襲い掛かる。
(……)
液体が少年の上半身を濡らす。カジュアルTシャツは台無しになり、顔にかかった液体は泡を立て地面に落ちていく。
少年は眉間にしわを寄せ不機嫌な顔になる。
(どうしてこうなった………)
迎えが来ず一旦落ち着こうとして飲み物を飲もうとしたら、中の液体が噴出し、服が台無しになる。
まさに――泣きっ面に蜂――なかなか起こることではない。
≪Pi Pi Pi Pi Pi……≫
少年のポケットから高い電子音が鳴る。中から手のひらサイズのタッチパネル式の端末を取出し、音が鳴った原因を確認にする。
(メッセージ? 先生からだ……)
パネルを指で操作してメッセージを開き、中身を黙読し始める。
読んでいくうちに、だんだんと顔が明るくなっていく。が、すぐに困った顔になる。
「とりあえず、向かいますかぁー!」
少年は――少し大きめの声量で――そう発し、軽い足取りで出口に向かう。途中、清掃員にぶつかりそうになり、
避けようとして方向転換した先のバケツに足を突っ込みながら…… 。
第1章 Beginning――始動―― (前編)
「あっ、ここら辺で降ろしてください。 支払いはカードで 」
その声でタクシーが停まり、後部座席のドアが開き、中から先ほどの少年が出てくる。
タクシーが行くのを見送ったあと、周りを見渡し、深く息を吸う。
「うーん、いい眺め……というのは誉めすぎかな。 でも、空気は潮の味がして美味しい……!!」
街並はどこにでもありそうな――控え目な感じの――モノであり、 道は白いレンガで舗装されている。
(さて、ホテル『コスモ』はどこかな?)
心の中で呟きながら街並を進んでいく。土産物を販売している屋台を越え、主婦たちの社交場となっている喫茶店を越え、
活きのいい魚を置いている市場を越えた先の道を曲がり、目的地に着く。
その時、体全体に潮風が降りかかる。目にゴミが入る。思わず目を瞑る。
「うおっ! 目がっ! 目がっ……! 」
目を、グシッグシッ、と右手の甲と付け根で擦る。
「ちきしょう……潮風のヤロウ! お断りしますってか? おのれぇ~」
けっして、そんなことはない。偶然、潮風が降りかかっただけなのだが、少年にはこの街が、ひいてはこの世界が彼に向かって、
「お呼びじゃねーんだよ糞ガキ! 」という感じに捉えられたらしい――街にとっては迷惑な話である。
「たくっ! おぉ……取れた。 潮風め……」
独り言を呟きながらゴミを取る、目がその機能を再活動させる――目に景色が入ってきて、
脳にその情報がダウンロードされる――深い青色の海が地平線の先まで広がっている、
太陽光が海面に乱反射し、輝きを放つ。水の都ならではの景観である。
「おぉ……Beautiful」
あまりの美しさについつい声が漏れる。初めて見る景色に感情を露わにする。
「もしもし~」
「えわっぷす!」
急に声をかけられ、しゃっくりを混ぜたような感じの驚いた声を上げ、うしろに振り返る。
「え~と、一応声かけてみたんだけど……ウチのお客さん?」
頭にバンダナを巻いた、15・16歳位の少女が、頭上に?マークを上げて、立っていた。
「え、あ、はい……そうです……」
顔が少し赤くなる。いつからいたのだろう、と頭の中で疑問に思いながら。
「そうですか……! ようこそ! 海都の小宇宙『コスモ』へ! 」
少女は快活な声と朗らかな笑顔で少年をホテルの中に招き入れる。少年もそれに応じ、中へ入っていく。
「そうそう、別に潮風はキミのことを『お断り』していないと思うよ」
「え!?」
少女が、少年にとって聞き捨てならない発言をする。
「いや、だから、この街『海都 チョローン』の潮風は君のことを歓迎しているってこと」
最後に「『お断り』なんてしてないよ」と口にせず、笑顔で伝える。
再度少女の発言を聞き、少年は恥ずかしさのあまり顔を、バーナーで熱っせられたやかんのような勢いで赤くする。
どうやら独り言を聞かれたことが発火の原因らしく、「あうぅぅ」と狼狽し、そのまま口を塞ぎ、目を閉じる。
(顔がバッテンになってるよ、おわ~初めて見たよ)
たとえ少女がそう思わなくても、他者が見たら必ず思うであろう表情を、少年は今している。
(しまった~、一言多かったな~)
「やっちまった」と隠すことなく顔に出しながら、少年をロビーに案内し、ソファーに座らせる。そして、宿泊者名簿を取出し記帳するよう促す。少年はそれに自分の名前を書き込む。書くスピードは遅い。
少女は書き込まれた名前を見て、何かを思い出したかのように呟く。
「この名前……たしかスクライア先生が話してた……」
「先生もここに泊まってるの!?」
「おわあああぁっ!?」
呟きに少年は即座に反応、起立、両手の平でテーブルを音を立てて叩き、大声量で質問し少女が驚く。顔をバッテンにして。
バッテンになった顔はなかなか可愛らしく、『面を喰らった』という言葉を体現している。
「急に大きい声を出さないでよ~」
「あぁっと、すみません。先生の名前が出てきたから、つい……」
少年は顔の前で手のひらを合わせながら謝罪する。
少女は「もうっ……」と漏らしながら心を落ち着け、気を直す。
「『トンビ=マキネ』君でしょ? 先生から話を聞いたよ」
「先生は俺のことを何て言ってた?」
少年……トンビは目を期待に輝かせながら少女を見上げ質問する。
「『好奇心旺盛なのは良いことだけれど、無鉄砲で、感情で判断するところはいただけないな』と申しておりました」
「うぐぐぐぐぬぅ~……」
少女は明るくいじわるな声で答え、トンビはムッとした顔になる。
「あはは、でも、『素直で生意気なところもよろしい』と言ってたよ」
「わざわざ『でも』で括る必要なくない!? 分ける必要なくない!?」
畳み掛けられた言葉に声を荒げてツッコミを入れる。その姿は年相応である。
「そうだ! まだ、自己紹介してなかったね。私の名前は……」
「無視したよ! この女性無視したよ! 」
少女が名乗る前にトンビが間髪入れずにツッコミを入れる。
「んっもう……男の子はそんな細かいこと気にしちゃダメだよ。
まぁ、それはともかく……私の名前は『レベッカ=コスモ』このホテル『コスモ』の看板娘!!」
そう高らかに名乗りを挙げる少女――レベッカ=コスモ、小宇宙の名を冠するホテルの小宇宙を名を持つ看板娘、
清潔感のある白のバンダナを頭につけ、赤毛のポニーテールを可愛らしく垂らし、ライトグリーンのエプロンで身を包み、
胸は控え目だが、『将来性はある』と謂える程の膨らみはある。ジーンズを穿いた下半身はヒップがチャームポイントになっている。
しかし、彼女の魅力はその笑顔にある。快活な声も相まって、『それは見る者を元気づける』という表現では足りない位の明るい顔である。
「なんか勢いで流されたような……」
「細かいこと!」
少女――レベッカは、自己紹介を聞き愚痴を零そうとしたトンビの唇に人差し指を当て、制止する。
「あー! はいはい! わかりました! 俺の名前は……」
一瞬、自己紹介する意味があるのか疑問に思うが、やめるとまた面倒なことになるなぁと思い、自己紹介を続ける。
「……トンビ=マキネ、ミッドチルダ南部の生まれ。でも、今は第4管理世界のカルナログに住んでいるよ……
今年の誕生日を迎えたら11歳になるかな」
一通り自己紹介を終えたトンビにレベッカは疑問をぶつける。
「カルナログって考古学とか発掘技術の分野で有名なところだっけ?」
「え……?」
何を言っているんだい?という目をしながらトンビは言われた単語を頭に浮かべる――カルナログ、考古学、発掘技術、有名。
「あぁ!」と何か閃いたように呟きながら、丸めた右手で左手の平を『ポンッ!』と叩く。
「俺は学者じゃなくて傭兵だよー」
笑顔でレベッカの勘違いを修正する。
「えぇ!? その歳で傭兵!? じゃあ、カルナログってことは『PMC』に所属しているの?」
「そーだよ」
レベッカは驚きを隠せなかった。
PMC……正式名称 Private Magicians Company 《民間魔導師会社》の略称。
管理局に所属しない魔導師に仕事を斡旋することを目的の業種である。
資金があれば一般人でも荷物の運搬、周辺警護等々の依頼を希望することができる。
ちなみにトンビが所属しているのはコエルクスグループという管理世界でも五指に入る企業のPMC部門である。
(こんな子が……)
レベッカはしばし黙考する。
傭兵……その存在自体は否定しない。常に広がっていく次元世界、管理局だけでは対応しきれない。
故にささいなな事象、不確定な小事は切り捨てられる。そして切り捨てられたそれらを含む事象を食い扶持に
生活する者がいることも知識として把握している、なにより自分は宿屋の娘だ、この目で実際に見たことがある。
が、自分より幼い子が携わっているのを見るとどうしても良心的なものが揺らいでしまう。
「どうかした?」
「え……? な、何でもないよ!」
トンビに声を掛けられ、慌てて我に返る。左右の手の平を向けて横に振り、何でもないことをアピールする。
「そうだ、『海底遺跡』までの道を教えてよ、レベッカさん」
「あれ? 先生に教えてもらってないの?」
「いや~先生が教えてくれるはずだったんだけど……」
「……もしかして遺跡の調査に夢中になって、データを送ってない……とか?」
「正解っ! まぁそんなところかな」
「……先生らしいね、あははは……はぁ」
人差し指と中指を向けるトンビ、何とか笑顔を作ろうするがため息で崩してしまうレベッカ。
二人とも困った顔になり、場が静まってしまう。
「とりあえず地図のデータ持ってくるね」
「あっ、よろしく~」
そう言って、レベッカはカウンターの方に向かう。
トンビはポケットの中から端末を取出し、再度メッセージを確認する。
『件名:大 復 活 !!
いや~、聞いておくれよ。たった今、
新たな階層が見つかったんだ!!
最近調査が行き詰ってたところだけど、
これのおかげでモチベが復活だぁ!!
追伸:地図のデータ 付けときます』
再確認して苦笑する、目を瞑りながら。
(まぁ、嬉しいのはわかるけど。ちゃんと確認しようよ先生)
データを開く。集合写真が表示される。中央にゴーグルを掛け民族衣装を着た優男が
スコップを掲げている。彼を中心に老若男女様々な人びとが喜びを顔に出し、ある者は肩を抱き合い、
また別の者は発掘したであろう奇怪な楕円の仮面を付けている。
「それ、中央にいるのは先生?」
「うん、そーだよ」
戻ってきたレベッカの質問にゆったりとした感じで答える。
「まぁ俺はこの場にはいないんだけどね」と、つけ加える。
「そう……ということはこの写真に写ってるのはスクライアの一族の人たち?」
「うん、先生がそう言ってた」
「ふむ、しかしみんないい顔してるね」
たしかに誰もかれも明るく溌剌とした顔をしていて、こちらの気持ちまで明るくなっていく印象を受ける。
しばし写真に見入る二人。
「ああそうだ! これ地図のデータ」
レベッカは本来の用事を思い出し、端末を出す。この端末はB5サイズのノートと同じくらいの大きさだ。
端末の画面を指でなぞりながら操作し、地図の画面を表示する。
そしてその画面を鷲掴みにするようになぞり、手上に向け放す。
空中に地図を映した画面が表示される――幻や手品の一種ではない。
「旧式だねぇ、いつの?」
「う~ん、40年代? お父さんのモノだから、詳しいことは何とも……」
トンビの質問に右手で頬を抑え、左手で右ひじを支え考えるそぶりしながらレベッカは答える。
「じゃあ、データを送るから、準備して」
「はいは~いっと」
トンビは地図に端末を向ける。空中の地図が小さくなり、渦上になって入っていく。幻想的な光景だ。が、これも幻や手品の一種ではない。
「OK、受信したよ」
「よしっ! で、これから君はどうするの?」
「うーん、とりあえず荷物を部屋まで上げて、さっそく遺跡に行こうかな」
「かしこまりました~、晩御飯は夕方5時から10時までだから」
「了解!!」
一連のやりとりの後にトンビは敬礼をする。その姿は幼いながらも大人びていた……。
いろいろヒドイですが、特に会話文がヒドイです。
人間っぽさを感じられないorz
アドバイス等バンバンお願いします!!