魔法少女リリカルなのは~俺は転生者じゃねえ!~ 作:サッカー好き
宣言通りに更新出来てほっとしてます!
楽しんで頂ければ幸いです!
「はあ・・・はあ・・・。やべえな・・・」
グループリーグ最終戦。
ガンツ大阪ジュニアユースとの試合。
2-1と善戦して前半を終了した。
でも、俺、
俺は少しでも体力を回復させるためその場に座り込んだ。
いや、座り込んでしまった。
ここは日陰もない炎天下のグラウンド。
座り込むだけでは回復どころか、じわじわ体力が削り取られていく。
起き上がろうとしたけど、身体が言う事を聞かない。
「
「アリシア・・・?」
「ほら水だよ!飲んで!」
流石にやばい。
そう思ってたとき、アリシアが態々水を持ってきてくれた。
マジ助かる。
俺は水を受け取ろうとするが―――
「あっ・・・」
「わ、悪い。手が滑っちまった」
―――違う。
手に力が入らなくて受け取れなかったんだ。
これは本格的にやばい。
しかし、アリシアに心配をかける訳にはいかないのですぐに拾わないと。
「待って」
アリシアの静止の声。
そして何も言わずに水を拾い上げ、水口を開けて俺の口元に向けてくれる。
「少しずつ傾けるから飲んで」
アリシアの言葉に俺は黙って頷いた。
それを見たアリシアは言葉通り少しずつ傾けて俺に水を与えてくれた。
ああ・・・生き返る。
身体中に水が行き渡り潤って行くのを感じる。
「すぐにお母さんが氷とタオル持ってきてくれるからそれまでゆっくり水を飲んで身体を休める。良い?私は監督さんを呼んでくるから」
そう言ってなんとか水を持てるまで回復した俺に渡してその場を離れるアリシア。
持っていた日傘も置いていってくれたし、感謝しかない。
少ししてアリシアが監督を連れて戻ってきた。
「
「はい。喋れます。言っておきますけど交代しませんよ?」
「アリシアちゃんの言う通りか・・・」
溜息を吐きながらそんな事を言う監督。
どうやらアリシアにも同じことを言われたようだ。
「皆には悪いけど俺が交代したら一気にチームは崩れます。まだ勝ってるし、このまま抑えきれば―――」
「本当に抑え切れるのか?そんなボロボロの身体で?」
俺の言葉を遮ってそう聞いてくる監督に俺は即答で答えた。
「出来ます!」
「即答・・・少しは言い淀んだりしてくれよ。交代させ難いじゃないか・・・」
「じゃあ―――冷たい!?」
いきなり俺の首筋に冷たい何かが当てられた。
しかし、すぐにそれは気持ちの良い感覚へと変わる。
視線を動かすとアリシアとプレシアさんの姿。
手には沢山のタオルと大量の氷が入ったバケツを持っている。
「監督さん。
「分かりました。
監督がプレシアさんの指示に従って俺をコートの外へと運び仰向けに寝かせた。
それと同時にバケツに入っていた大量の氷を俺の身体にぶっかけた。
「冷たい!?」
「荒療治だけど普通に冷やすよりは効果的よ」
「あ、ありがとうございます」
「
厳しい現実を告白する監督。
チームメイトがいないこの場だからこそ言える内容だ。
「今、2-1で勝っている。だが、
「はい・・・」
悔しいが監督の言う通りだった。
プレシアさんのアドバイスを生かし、味方にも助けてもらってギリギリの試合だ。
後半がそれにも頼れないとなるとかなり絶望的な状況である。
「だから約束して欲しい。点差が逆転されてしまった時、どんな状況であろうと交代すると。それが後半試合に
「分かりました」
「ま、また即答・・・
アリシアが心配そうな表情で聞いてくる。
それと同時にハーフタイム終了の笛が鳴らされた。
当たり前さ。ちゃんと分かってる。
俺は勢い良く氷から飛び出した。
「俺が無失点で抑えてハッピーエンドさ!」
「な、何も分かってない!?」
俺の回答が悪かったようで嘆くアリシア。
そうだ。アリシアに言いたい事があったんだ。
「アリシア!水ありがとな!」
「あ、うん!」
「それと!」
俺はアリシアにお礼を言ってコートへと入り首だけ振り向きながら最後の一言。
「俺の勇姿に惚れるなよ?」
「なっ!?」
心配された表情で試合を観られるのが嫌だったから冗談を言ってみたんだけど予想以上に効いたのか珍しく大きな声をあげるアリシア。
しかも顔を真っ赤にするアリシア。
それを見て満足した俺は後半戦へと臨むのであった。
「な、ななな・・・」
気持ちを落ち着かせ、走っていく
「とっくに惚れてるよ。バーカ・・・」
その呟きは
しかし―――
「良い・・・良い表情よ、アリシア」
「はっ!?」
「いやはや、青春って素晴らしいね」
「はうっ!?」
すぐ近くにいたプレシア(撮影中)と監督にはばっちり聞かれていた。
「わ、忘れてええええええええ!?」
アリシアの黒歴史のページが1枚追加された瞬間であった。
「そんなバカな・・・」
ガンツ大阪の監督は試合中にも関わらずそう呟いていた。
ガンツ大阪はこの大会に毎年参加している。
例年の流れ、暗黙のルールがあった。
前半の序盤。
格下の相手には何点か取らせるハンデだった。
それでもその実力差で結果的には凄い差を付けて終わってしまう。
だが、この試合は違っていた。
聞いたことのない無名のチーム。
2点先制させて後はいつもの流れ・・・そう思っていた。
拙い守備でありながらも全員が全身全霊で勤めていた。
何よりGKが別格てあった。
ガンツ大阪に所属する高学年のGKでも取ることは出来ないだろうシュートを難なくセーブしてみせ、裏の飛び出しは鋭い嗅覚で防ぎ、センタリングでの競り合いはGKとしては小柄ながらも身体を張って防いでいる。
前半間際でPKをもらっていなかったら無失点で前半を折り返すことになっただろう。
それでも負けている状態で前半を折り返したのは監督として就任して初めての事だった。
監督はハーフタイムで選手達を叱咤するのではなく、相手を称えた。
なぜなら、監督はこの後の展開はこっちのワンサイドゲームになると確信しているからだ。
ハーフタイム時に、相手のフィールドプレイヤー達は失点により、意気消沈。
GKは激しい消耗で虫の息。
この条件で前半のような動きが出来るなどありえない。
そう・・・思っていた。
後半が始まって10分。
半分が過ぎ、そのスコアは
1-2
「集中を切らすな!」
『おう!』
変動はない。
しかも、意気消沈だったフィールドプレイヤーは嘘のように声を出して頑張っている。
ガンツ大阪の監督や選手達はもう
それでも得点出来ない理由が分からない。
ガンツ大阪の選手達も時間はあるが焦りを感じる時間になってしまう。
しかし、ガンツ大阪にはまだ奥の手が残されている。
「頼むぞ、俊輔」
「へーい・・・。まさか最後の大会で決勝じゃなく予選で出る事になるやなんて思わへんかったわー」
俊輔と呼ばれた少年の言葉に監督は不甲斐ない気持ちになった。
しかし、勝つには俊輔の力が不可欠であると判断する。
「選手交代です!18番代わって10番入ります」
ガンツ大阪ジュニアユースが選手の交代。
俊輔は派手な金髪で気の抜けた表情をしてピッチに入るが他の選手とはどこか雰囲気が違う選手だった。
「ほー!銀髪なんて初めて見たわ!しかも目の色が凄い事になっとる!」
「なっ・・・」
俊輔は真直ぐに
唖然としている
「ワイは本田俊輔。よろしゅうな」
「あ、うん。俺は橘
「
初対面の相手にお気楽な態度でバカにされているように感じた
「
「っ!」
「斉藤!田中!2人で10番をマーク!ボールを持たせるな!」
「お、おう!」
「わ、分かった!」
ガンツ大阪の監督はその行動力に感嘆する。
しかし―――
「良い判断やけど・・・甘いで?」
「なっ!?」
「速い!?」
ガンツ大阪のスローイン。
2人にマークを付かれていた本田は足の速さで2人を置去りにする。
しかし、トラップしている間に詰められる距離だ。
「このっ!」
「前には向かせないぞ!」
「甘い甘い!」
スローインは少し浮いたボール。
俊輔は半身の状態で近い右足でボールを浮かすようにトラップ。
すると、ボールは2人の頭上を通り、俊輔は2人の間をすり抜けた。
「たったワンタッチで2人を抜いた!?」
観客も俊輔のプレーで盛り上がる。
ガンツ大阪ベンチも盛り上がるが監督は当然のようにそのプレーを見ている。
俊輔はたった2人で止められるほど甘い選手ではなかった。
そのワンプレーで俊輔が別格の選手である事を理解した
驚いている間にも俊輔は次々と抜いていき、
「いくで?
「くっ・・・」
彼達はペナルティエリア内での対決となる。
俊輔は凄い足捌きで
なんとか喰らい付いて味方が戻ってくるのを待つ
下手に飛び込めばあっという間に抜かれてしまうからだ。
ガンツ大阪の監督は、俊輔の足捌きでは抜かれず喰らい付く
しかし、彼は俊輔の勝利を疑わない。
「でも甘いで?」
俊輔は足裏でボールをコントロールして
この時点で一対一は
「下ががら空きや」
俊輔は寸前で飛び低空一人ボレーシュートを放った。
ループシュートだと思い跳んだ
シュートはそのままゴールへと突き刺さった。
しかし、俊輔は小学生ながらも世界の様々なトップチームからスカウトされ、将来を約束される程の桁違いな天才だった。
俊輔のチームは盛り上がり、逆に
その姿に俊輔はつまらなそうな顔をして自陣へと戻っていった。
天才の彼には国内で同年代のライバルが存在しない。
試合に出ればすぐにゴールを決め、その圧倒的な差に相手選手のやる気さえ奪ってしまう。
そんな彼に国内は狭すぎた。
この大会を最後に世界へと飛び立つ。
本当はこの大会にも出場するつもりはなかった。
しかし、監督の指示でもあったが、
しかし、あのワンプレーで
もうこの国に楽しみはない。
試合が再開され、俊輔はすぐに相手からボールを奪うと数人を抜き去ってミドルシュートを放った。
止めの一撃。
誰も勝敗は付いたと思ったときだった。
「うおおおおおおおおっ!!」
「・・・なんやて?」
俊輔はキャッチにも驚いたが、本当に驚いたのはその後だった。
「えへへっ・・・」
絶望的な状態にも関わらず、まるでこの状況を楽しんでいるかのように笑っていた。
「絶対に勝つ!」
『おうっ!』
そんな光景に俊輔も笑った。
国内最後の試合に面白いライバルになりそうな選手とめぐり合えたからだ。
「おもろいわ・・・。おもろい奴やな、
後半残り2分を切った。
俺、
俊輔を中心に攻め立てるガンツ大阪。
だが、攻めるのは俊輔だけで他の選手は全く攻めてこない。
確かにこのまま引き分けならガンツ大阪は得失点差で1位だ。
俊輔が攻めてくるのは独断によるものなのかもしれない。
しかも、最初以外一対一を仕掛けてこず、ペナルティエリア外からのミドルシュートしか打ってこない。
俺にキャッチされたのが相当悔しかったと見える。
「これならどうや!」
「うおおおおっ!!」
何本目か分からない俊輔のミドルシュート。
最初のシュート以外は弾くのが精一杯だったが、2度目のキャッチに成功した。
「カウンター!」
「なんやと!?」
俺はすぐさま前線へとボールを蹴り込んだ。
ガンツ大阪の選手達はまさかカウンターされるとは思ってなかったようであっという間に攻め込んでいく。
久しぶりのシュートまで持ち込んだが相手GKに阻まれてコーナーキックとなってしまう。
時間的に最後の攻撃だ。
俺はセンターラインまで上がり、俺以外の全員はゴールを狙うためペナルティエリアに集まった。
相手も俊輔まで下がらせ全員守備の態勢だ。
膝に手を置いて休む俺は攻撃に参加しないだろうと判断されたのだろう。
ここだ。ここしかない!
「寄こせ、加藤!!」
俺はセンターラインから走り出した。
それと同時にペナルティエリアにいる味方が動き出す。
相手は俺の声に振り向くもすぐに自分のマークを追った。
しかしボールはペナルティエリア内ではなく、俺に向かって出された。
俺が敵を引きつける役に見せかけて、本当に俺がロングシュートを打つ。
裏の裏をかいた作戦だった。
「そう来ると思ったわー」
「なっ!?」
ペナルティエリア内にいた筈の俊輔だけは騙されず俺に付いて、しかも俺が触る前にボールを奪ってしまう。
「最後の最後はエースが決める。分かるでーその気持ち・・・でもそれが仇になってしもうたな?」
俺が俊輔からボール奪い返すなんて出来るはずがない。
喋る俊輔を他所に俺は自陣ゴールへと走り出した。
「良い判断や。・・・もうドリブルして持ち込む時間はないやろし、残念やけど、こっからのロングシュートで止め刺したる」
急げ!急げ急げ急げ急げ急げ急げ急げ急げ急げ急げ急げ急げ急げ急げ急げ急げ急げ急げ急げ急げ!
「楽しかった・・・で!」
ボールが蹴られる音が聞こえた。
それはまるで時限爆弾のスイッチが押されてしまった。
そんな気持ちになった。
まるでスローモーションに感じる。
そんな言葉を私、アリシア・テスタロッサは思い描いていた。
相手10番のシュートが天高く弧を描いて無人のゴールへと向かっていく。
そのシュートはフィールドにいる選手だけでなく、私を含めた観客さえ目を奪われてしまうほど、綺麗で時間が止まっているんじゃないかと錯覚してしまう。
そんな中、目を奪われる私に一筋の光が入る。
その眩しさに思わず目を細めた私は、すぐに原因が何か理解する。
ミッドチルダでも珍しい銀髪。
その銀髪は風になびかれて太陽の光をあらゆる方向に反射している。
その結果、髪が大変な事になっていくがそれに構うことなく全力疾走を続ける
「
私は願うようにして
普通ならさっきの私や他の人達みたいに目でボールを追いかけることしか出来ないだろう。
でも、
私はそんな
「頑張れ・・・頑張れ・・・頑張れ!
「うおおおおおおおおおっ!!」
私はさっきよりも大きな声で応援すると、
「お母さん!」
「
「ど、どういうことなの?」
「普段垂れ流しの魔力はある条件によって動く時が合った。それは
お母さんが険しい表情になる。
それだけで私は
しかし、私達には見ていることしか出来ない。
それがとても心苦しかった。
でも私は諦めない。
だって、目の前で諦めない人が頑張っているのだから。
息が苦しい。
でも、もっと速く!
足が痛い。
でも、もっともっと速く!
負けたくない。諦めたくない。
だから、もっともっともっと速く!
俺、
『○○○○!○○○!』
ゆっくりと落ちてくるボールにそれをもうすぐ追いつきそうな俺。
『○○○れ!○○ト!』
目に映るものが全てスローモーションに見える。
『○ん○れ!ナ○ト!』
ボールはゴールエリア付近に落ちるだろう。
だが、そのままボールはゴールへと吸い込まれてしまう。
『がん○れ!ナ○ト!』
俺のやる事は一歩でも早く足を前に出してボールに追いつくことだ。
そして、さっきから聞こえる。聞き覚えるのある声に応える為に。
「頑張れ!
「うおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
ゴールエリアでバウンドし、ゴールに吸い込まれるボールに俺は片手を伸ばして跳んだ。
『届けええええええええええええ!!』
俺とアリシアの声が重なった。
鈍い金属音が鳴り響く。
それはボールがゴールバーに当たる音だった。
届いたのだ。
俺の片手の指先が。
バウンドして跳ね上がったタイミングであったのも良かった。
指先だけでもボールの軌道を変えるのに然ほど力は必要としなかった。
そしてボールはゴールの中ではなく、俺の後ろへと飛んでいく。
その行方を俺はしっかりと目で追った。
「認めるわー。
最悪だった。
視線の先には、本田俊輔がいた。
まさか止めと言って打ったのに、そのこぼれ球を一番早く詰めてくるなんて誰が思う?
「これで本当に終いや!」
俊輔はダイレクトでボールを押し込もうとしている。
これがエースの底力ってやつなのか?
でも悪いな。
俺は諦めが悪いんだ。
「ぬおりゃあああああああっ!」
「なんやて!?」
俺は最後の力を振り絞って立ち上がる。
ただ立ち上がるだけでそれ以外何も出来ない。
身体のどこかに当たるのを祈るのみだった。
「ぐふっ!?」
「あっ・・・」
よりにもよって・・・
よりにもよって、俊輔のシュートは俺の顔面へとめり込んだ。
顔面ブロックである。
そして、ボールはふわふわと俺の頭上を越え、さらにゴールバーの上も越していった。
「もう・・・ダメ・・・」
俺は外に出たボールを確認したところで意識を失うのであった。
如何でしたでしょうか?
感想お待ちしてます!