天の声   作:例の傘屋

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第三話 おねぇちゃんはつよい?

吾輩は天の声である。

 

妖精さんが吾輩をいじめるんです。

 

どうして5歳児提督のお迎えに妖怪幼子大好き戦艦こと長門さんを寄越すんですかね。

 

妖精さん曰く

 

「ナガートナラカワイガッテクレルダロ?ウケケケ」

 

との事だがいささか同意しかねる回答を貰った。

長門が提督の顔をみた表情を妖精さんに見せてやりたい。

顔は一応きりっとしているつもりかもしれないが頬が高揚しており口からは涎が出ている。

 

そうだ、憲兵さんを呼ぼう。

 

 

「ぼく、提督っていいます!よろしくおねがいします!おねーちゃん!」

 

 

駄目だ、その笑顔で長門にあいさつをしてはダメだ!!

嗚呼!!ほら、君にキラキラのあいさつをされた妖怪戦艦は鼻血を出し始めたぞ!

しかもなんかキラキラし始めた!!

エマジェンシーコールをしなくては!!

 

 

「おねぇちゃん…鼻から血が出てるよ…?だいじょうぶ?」

 

「んはっ?!きょ、今日は少し暑いからな!大丈夫だ、ありがとう」

 

 

あの、長門さん…今日の最高気温15度とかなり低めの気温なので暑くはないと思うんですが…。

 

 

「君がこの子のお迎えか?鼻血を出している所すまないが、これが今回提督着任に関する書類だ。」

 

「今日は少し暑いからな。了解した、承ろう。」

 

「書類に関しては…この子には漢字が多すぎる。君たちが主立ってこの子に変わり書類の処理を頼みたい。」

 

「了解した、承ろう。」

 

 

長門の顔が業務モードに変わったようだ。

少し安心した。さすがは戦艦だ。幼い子が関わらなければ長門は頼れる艦娘のはずだ。

 

「ふむ、引継ぎは書類に書いてあるので私は大本営に戻るとしよう。提督、がんばるんだぞ」

 

「うん!ありがとう!おじさん!」

 

「オジサンジャナイデス、あと海軍式の敬礼はこうだぞ?」

 

「えっと…こう?」

 

ビシッと決まったな。なんか隣でグネグネ悶えている戦艦がいるが…

おまえはロックンロールフラワーか。

 

大本営のおじさんは黒塗りのベンツで帰って行ったがなぜ黒塗りのベンツなんだ。

大本営を管轄してる天の声に今度理由を聞いてみよう。

前に聞いた時は示談がなんだかんだとはぐらかされたが…

 

 

「ふぅ、行ったか。では提督、早速鎮守府の中を案内しよう。疲れていないか?」

 

「うん!だいじょうぶだよ!ありがとう!おねぇちゃん!」

 

「おねぇちゃんか…陸奥がまだこの鎮守府にはいないからか久しぶりに言われた気がするな」

 

 

そういえば、この鎮守府には陸奥がいなかったな…

やはり艦娘と言えど姉妹がいなと寂しいものなのだろうな…

 

 

「おねぇちゃんが案内してくれるの?ぼく、うれしい!」

 

「うれしいか!おねぇちゃんもうれしいぞ!」

 

 

前言撤回、陸奥さん、こいつダメです。

早く案内の艦娘を変えないと大変な事になりそうな予感がする為、妖精さんに要望を出したところ即断された事をここに報告する。

 

「さて、では行くとしようか」

 

「うん!でもなんでおねぇちゃんが案内をしてくれるの?」

 

「それはね、提督がかわい…ゴホン!提督が突然、深海棲艦に襲われてもビックセブンでもある私なら身を楯にして守ることが出来るからだな」

 

「びっくせぶん!!びっくせぶんって強いの?」

 

「そうだ、強いぞ!」

 

「そっかぁ~、みをたてにするってどういう意味?」

 

「提督になにか飛んできても私が体で受け止めるってことさ」

 

「え…怪我しちゃうよ…?怪我したら痛いよ?」

 

「それでも私たち艦娘は提督を守らなくてはいけないんだ」

 

「ダメだよ!怪我したら痛いもん!」

 

「…わかった。では、怪我をしないように提督を守ろう」

 

「ほんとに?約束だよ?」

 

「ああ、約束だ」

 

純真ってこういう事か…

吾輩、天の声純真を忘れてしまったお年頃である。

心なしか長門の笑顔も先程のなにか欲望まみれの笑顔からすっきりした笑顔になった気がする。

この子にはなにか邪悪な物を浄化するパワーがあるのだろうか…。

 

「約束破ったらメッだからね!」

 

「ぶほっ!!」

 

いかん!長門がまた鼻血を出したぞ!衛生兵!!いや!憲兵さーん!!




あれ…?
鎮守府の中に入れてないぞ…

だ、大丈夫です!
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