ベルは『
「ふん、ひょくひゃった。ひゃる(うん、よくやった。ベル)」
「……………………あの、団長」
「ふぁに?(なに)」
「どうしてアグライア様にほっぺを引っ張られているんですか? お師匠様」
半眼を作りながら尋ねるセシル達の視線の先には額に怒りマークを付けた
「おひひょきひゅう(お仕置き中)」
「何を仰っているのかわかりません」
「団長、今度はいったい何をやらかしたんだ?」
「まぁ、団長の事だからまた禄でもないことだとは思うけど」
「………………碌でもないのか決定事項かよ」
「それがお師匠様」
ミクロがまた何かをやらかしたを前提に話を振るうリオグ達に主神であるアグライアが嘆息と共にリオグの質問に答えた。
「【ロキ・ファミリア】との『
その言葉にベル達は数秒思考が停止して後に……………。
『えええええええええええええええええええ【ロキ・ファミリア】と『
城全体を震わせるほどの大声量でベル達は叫んだ。
「団長! おいこら!? いつもいつもそんな重大なことをおいそれと勝手に決めんな!!」
「団長! 貴方が自由奔放、唯我独尊だということは重々承知しているが……………言わせて貰う! 一言ぐらい話してから決めてくれ!! 振り回される身にもなって欲しい!」
「今俺が振り回されてる……………」
衝撃の決定事項に実感を持てないベル達は呆けるも、あの【ロキ・ファミリア】との『
「……………うそだろ?」
「そうですよね? リリの聞き間違いですよね?」
「………………二人共、残念だけど嘘でも聞き間違いでもないよ?」
それが自分達の聞き間違いであってほしいと幻想の願いを口にするヴェルフとリリにセシルは遠い眼差しを天井に向けながら告げる。
「お師匠様はやると言ったらやる人だから」
その言葉に二人は床に手をついて項垂れる。
「アイズさん達の【ファミリア】と…………」
「…………………ベル?」
無意識に手を強く握り締めていたベルに
「あ、ごめん。なんでもないよ」
「まずはそこのヴィーヴルのことについてから話した方がいいか」
いつの間にか二人から解放されたミクロは改めて
「【ファミリア】で『
「は、はい! …………あの、僕の部屋にですか?」
「そうだけど?」
「いけません!! そんなことは絶対に駄目です!!」
「どうして?」
「そ、それは……………駄目なものは駄目です!!」
顔を赤くしながら頑固反対の意思を見せるリリにミクロは首を傾げる。
「別に
「それが駄目なんです!!」
「?」
いったい何が駄目なんだろうと真剣に悩まされる。
「あーリリ。団長のその話を振っても無駄だ」
「団長にそういうのはね……………」
悟った表情で告げる二人にリリは盛大に溜息を吐く。
「むしろ団長は一人で寝てることはねえだろう?」
「アイカやアルガナ達とよく一緒に寝てる」
「団長……………羨ましすぎるぜ」
「まぁまぁ。団長なんだから仕方がない」
うぅ、と男泣きするリオグの肩に手を置いて慰める。
「…………………よくはわからないけど、最初に発見したのはベルだ。団長命令として一晩ヴィーヴルを自室に泊めること」
「わ、わかりました!」
「リリも不安ならベルと一緒に寝たらいい」
「わかりました!!」
「正直過ぎるぞ、リリスケ……………」
ミクロの命令に即座了解するリリにヴェルフは若干呆れる。
「【ロキ・ファミリア】との『
ミクロはそこまで言って何か閃いたかのように『リトス』からある物を取り出す。
「『
「団長! それって……………ッ!?」
「うん。ベルとセシルが持っているのと同じやつ」
ミクロが取り出したのは
おぉっ、と驚愕の声を出して驚くリオグやその盾を凝視するスウラ達もその
その盾には偶然にも竜の紋様が描かれていた。
「あ、そういえばお師匠様。今日使ってみて思ったんですけど、私やベルの武器ってどんな能力があるんですか? 凄く使いやすいのは確かなんですけど」
新しい武器の性能を確かめる為にダンジョンに潜っていたセシル達だが、今日一日使ってみてもそれらしい能力は発動しなかった。
これまで散々様々な
「前にも言った。それは共に成長し、所有者の想い、願いによって動き出すって。どのような能力に目覚めるかは所有者であるセシル達次第。簡単に言えばこれは生きた武器」
「生きた……………」
「武器……………」
ミクロの言葉に二人は自身の得物に視線を向けると、ミクロは『リトス』から三枚の大盾である『アルギス』を取り出す。
「こんな感じ」
不意に『アルギス』は姿を変形し、三本の長槍に姿を変える。
「『形態変化』ぐらいなら少し念じればすぐに変えられる」
再び大盾に姿を戻し、『リトス』の中に収納する。
「作製者である俺の想像を超える武器だ。頑張って使いこなして欲しい」
「「はい!」」
返答する二人に満足そうに頷く。
「それじゃ解散。伝言はよろしく」
伝言を頼んでベル達は部屋から出て行き、ミクロも部屋から出て行こうとするとアグライアに肩を掴まれる。
「なに都合よく逃げようとしているのかしら? まだお説教は終わってはいないわよ?」
表情は笑っていても目は笑っていない
「だいたいミクロ。貴方は―――」
自分勝手な行動を取ったミクロにアグライアはくどくどと説教を続ける。
部屋の外から説教を聞いたベル達は揃って苦笑を浮かべる。
「やっぱまだまだガキだな、我等の団長様は」
リオグの言葉に全員、深く頷いた。