ここで一つミクロ・イヤロスについて振り返ろう。
ミクロ・イヤロス。
幼少の頃から迷宮都市オラリオの路地裏で生活していた彼はゴミ箱をあさり腐りかけの食べ物を食べ、泥水を啜って生きる毎日を過ごしていた。
薄汚く、薄暗い路地裏で今日を生きるのに必死だった彼は血の気の多い冒険者のストレス発散の道具として暴力を振るわれる。
そんな日々を過ごす中で彼は自分の人生はこの路地裏で終わるのだろうと思っていた。
そこに女神アグライアと出会うまでは。
ミクロはアグライアと出会い、彼女から世界の美しさを教えてくれた。
絶望しかなかったミクロの光となってくれた。
それがアグライアとの出会い、そして【アグライア・ファミリア】の誕生である。
それからミクロはアグライアの眷属となり、彼の冒険が始まった。
アグライアの神友である【ミアハ・ファミリア】に所属しているナァーザと出会い、路地裏でミクロを道具のように暴力を振るっていた冒険者を痛めつけているところに【アストレア・ファミリア】に所属しているリューと出会う。
リューから様々なことを教わるミクロは仲間を殺されたことで復讐に走るリューを止めて、代わりに自分がその【ファミリア】を壊滅させた。
その際左眼を失ったがミクロは気にしていない。
リューは【アグライア・ファミリア】に
それを乗り越えた矢先、今度は強化種のオークと
この時、ミクロは【ランクアップ】。最速記録を叩きつける。
それからもミクロはリューとティヒア。更に新たにリュコスを仲間に加えて冒険を続け、解散した【リル・ファミリア】に所属していたパルフェを仲間に加える。
Lv.3となったミクロは『神秘』の『発展アビリティ』を獲得する。
ミクロがLv.3となって【アグライア・ファミリア】の入団希望者が一気に増えた。
更には【ディアンケヒト・ファミリア】との
それが『
増えた団員、新しい
【シヴァ・ファミリア】
最強の派閥であったゼウス・ヘラの【ファミリア】に滅ぼされた最悪の【ファミリア】。そして、ミクロの両親が所属していた【ファミリア】。
オラリオの破壊を目論んでいた【シヴァ・ファミリア】の脅威がミクロ達に降り注ぐ。
破壊に快楽を覚えた【シヴァ・ファミリア】にミクロはリュー達を人質に取られて命を落とすが、突如現れた魔法陣によって息を吹き返す。
そして【シヴァ・ファミリア】刺客を見事打ち倒してミクロはLv.4となった。
その後、ミクロは父親であるへレスと街中で遭遇。
その時、自分の存在がどういうものなのか、自分の母親のことについて知る。
ギルドから『
自分のことを受け入れつつミクロは冒険を続け、歓楽街でアイカを身請けし、その後、セシルを弟子にした。
この際ミクロの二つ名は【覇者】へと変わった。
順調に到達階層を増やしつつミクロはLv.5に到達する。
【ランクアップ】し、ミクロはアイズと再戦、勝利を収める。それからも弟子であるセシルを鍛えつつ【ファミリア】の為に貢献している時、ミクロの前に再び【シヴァ・ファミリア】が姿を現した。
【シヴァ・ファミリア】の中で最も優れた者達、『
Lv.6となって冒険を続けるミクロの前に主神であるアグライアが勧誘した少年、ベル・クラネルと出会う。
兔のような印象を与えるベルはダンジョンに出会いを求める為に冒険者を目指していたらしい。
ミクロは団長として面倒をみつつ、セシルと共にベルも鍛える。
そこに【シヴァ・ファミリア】である
そんなミクロを守る為にリューはジエンと戦い、ミクロの手助けもあって勝利することができた。
そのジエンは同じ
【ロキ・ファミリア】との遠征から地上に帰還してすぐにミクロの前に死んだはずのシャルロットと出会い、涙を流した。
失った時間を取り戻すようにミクロは母親と一緒の時間を過ごすも、悲劇は起こった。
シャルロットの死という残酷な現実。
心がなかったミクロ。アグライアに拾われてその心ができたミクロに初めて負った傷は母親の死。
その傷を
ラキア王国の侵攻。その時、ミクロは自分の父親であるへレスと戦う。
戦争奴隷だったへレスはシャルロットと仲間達共に理不尽なこの世界を変える。その理想の為に戦い続けてきた。
犠牲を払いながらも、死んでいった仲間達の為に戦うへレス。
二人は互いが背負う信念と覚悟をぶつけあい、最後はミクロが勝利した。
へレスは強い。理想の為ならばと家族さえ切り捨てようとした。
だができなかった。
家族を愛する想いだけは捨てることができなかったへレスはミクロに敗北して最後は自分の息子の手によってあの世にいるシャルロットと仲間達の元へ逝く。
そして、へレスを倒したミクロはオラリオでオッタルに続くLv.7へと到達した。
ミクロは過酷な運命からも逃げず、立ち向かい己を貫き通してきた。
彼を知る者なら誰もが彼をこう言うだろう。
彼は正真正銘の『英雄』だと。
生まれつき『英雄』としての『器』を持ち、その武勇は多くの人を惹き付ける。
僅か五年と少しの歳月で二大派閥から三大派閥まで登り詰めることができたのは紛れもない彼の実力。
彼なしに【アグライア・ファミリア】は成立しないだろう。
オラリオでもミクロを知らない者はいない。
故に神々は彼に新たな二つ名を授けることにした。
それは【ロキ・ファミリア】と【アグライア・ファミリア】の
それともう二人、話題を集めている冒険者、ベル・クラネルとセシル・エルエスト。
その知名度・話題は流石にミクロよりは劣るも、ミクロの記録を塗り替えた
ベル同様に【アポロン・ファミリア】との
神から賜った三人の新たな称号。
セシル・エルエスト。二つ名を【
ベル・クラネル。二つ名を【
そして―――
ミクロ・イヤロス。二つ名を【
神々から賜った新たな二つ名を知るのはもう少し先の話になる。