――――オラリオの中央、
神々が集う広間で『鏡』で【アグライア・ファミリア】と【ロキ・ファミリア】の
その円卓に座る一柱、フレイヤは『鏡』で先程の戦いを見て笑みを浮かべていた。
(また輝きが増したわ)
先程の戦闘。ベルとラウルの戦いでベルの魂の輝きがまた増したことにフレイヤは満足気味に微笑むも少しだけ嫉妬することもある。
ベルの魂が輝くのはいい。それは嬉しいことだ。
しかしそれは【
それが悪いとは思っていない。けれど、嫉妬するなというのはフレイヤにとっては無理なことだ。
それでもいずれはベルを手に入れる。
例えその相手がフレイヤとロキと同じ三大派閥だろうとも、【
今までに見たことがない透明な色をするベルの
『鏡』の場面が変わり、別の戦いが繰り広げているなかで『鏡』の一つに【アグライア・ファミリア】と【ロキ・ファミリア】、両派閥の団長同士の戦いに目が留まり、フレイヤはふと思い出した。
(そういえばあの子を初めて見たのも五年前だったわね)
フレイヤの指すあの子とはミクロ・イヤロスのことを示す。
それは【ロキ・ファミリア】が神の宴を開催した時、フレイヤは気紛れ、退屈しのぎで足を運んできた際にアグライアと共にやってきた一人の少年。
その少年を見てフレイヤが最初に思った事は――――懐かしい、だ。
その瞳は今では【猛者】と呼ばれているオラリオ最強の冒険者であるオッタルとフレイヤが名付けた武人がしていた時と同じ瞳。
オッタルと同じくこの少年も薄暗くて寒い路地裏にいたのだとフレイヤはすぐに察することができた。
そしてこうとも思った。――――――欲しい、とも。
その時はアグライアに警戒されて素直に身を引いたフレイヤだったが、欲を言えばその時にでもミクロを手に入れて自分のものにしたかった。
それだけにミクロの『魂』が綺麗だったから。
(だけど今ではそれは間違いだったわね………………)
しかしながらもフレイヤは手を出さなくてよかったと今では思う。何故ならミクロの魂はアグライアの眷属であるから輝いているからであってフレイヤの眷属として手に入れたら恐らくはあそこまで輝くことはなかったと推測できる。
そしてその結果は言うまでもなく、僅か五年と少しでLv.7に到達。零細【ファミリア】を五年と少しで三大派閥まで登り詰めることができた。
手に入れようとしなかったからこそ、ミクロ・イヤロスは輝いている。
そして今でもミクロ・イヤロスの魂は輝きを増し、多くの人々の魂までも輝かせている。
(あら? 【
それが例え対戦相手でも変わらない。
【
――――――『未来の英雄』
希望でも未知でもない。多くの者の未来を作り出す【
下界で稀に誕生する生まれ持って『英雄』の『器』を持つ者。それがミクロ・イヤロスだ。
(だけどあの子はそれだけじゃないわ)
フレイヤは知っている。ミクロ・イヤロスはそれだけではないと。
以前まで【ファミリア】で保護していた彼の母親、シャルロット・イヤロスから聞いた素性。それはミクロ自身も知らない事実であり、彼の秘密の一つ。
ミクロ・イヤロスは様々な奇跡の下で誕生した稀有な存在。
その秘密を知っている限りはフレイヤはミクロ・イヤロスよりも優位に立てる。
(いずれあの子は私のところにやってくる)
それは確信だ。
(けれど今はゲームを楽しまないといけないわね)
まずお目にかかれない【アグライア・ファミリア】と【ロキ・ファミリア】の
(さぁ、私を楽しませてちょうだい。ベルそれとミクロ)
美神は微笑みながら『鏡』に視線を戻す。