路地裏で女神と出会うのは間違っているだろうか   作:ユキシア

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第五十話

ミクロとセシルの関係が元に戻ってミクロはダンジョンに行けるようになってから約二ヶ月の間は『下層』で様子を見てミクロ達は前回に行えなかった37階層『遠征』を行っていた。

『―――――オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!』

「リュー!魔法まだ!?」

「ティヒアは奴の眼を。残りは結界内からスパルトイを魔法で倒せ。リュコスは俺と一緒に奴の意識がリュー達向けられないように散開」

「あいよ!」

「【今は遠き森の空。無窮の夜天に鏤む無限の星々愚かな我が声に応じ、今一度星の加護を。汝を見捨てし者に光の慈悲を】」

37階層に君臨する『迷宮の弧王(モンスターレックス)』。

Lv.6『ウダイオス』

ミクロ達は階層主であるウダイオスと死闘を繰り広げていた。

スパルトイをそのまま巨大化させたかのような骸骨のモンスターであるウダイオス。

ミクロは白緑色の風を纏い、リュコスは強化魔法を使用してウダイオスの意識をリュー達に向けられないようにウダイオスの周囲を動きつつ攻撃をする。

そんなミクロ達を鬱陶しいと言わんばかりにミクロ達の足元から伸び上がる槍のような漆黒の柱は剣山のように放出。

逆杭(パイル)を回避するが次々に放出される逆杭(パイル)にミクロとリュコスは回避に専念しなければ串刺しにされてしまう。

その間にウダイオスは腕を伸ばしてミクロの魔道具(マジックアイテム)で展開されている結界を攻撃する。

その中にいるリューの詠唱を止めようとばかり。

動きつつ『ヴァルシェー』を使って牽制を放つミクロにその隙を狙って何とかウダイオスの懐に入り込み攻撃するリュコス。

ティヒアももう限界が近い結界内から属性を付与した矢をウダイオスに放つ。

ミクロ達がウダイオスと戦闘を始めてまだたったの数分。

だけどその数分が数時間に感じる程の時間の流れが速く感じる。

ウダイオスを倒すにはリューの魔法に賭けるしかなかった。

「【来たれ、さすらう風、流浪の旅人。空を渡り荒野を駆け、何物よりも疾く走れ】」

ミクロの魔杖を握り締めて高速で詠唱を唱え続けるリュー。

既に増幅魔法を自身にかけてもう一度魔法の詠唱を唱えている。

「【星屑の光を宿し敵を討て】!」

魔法円(マジックサークル)が一層に輝きを増してリューは魔杖をウダイオスに向けて魔法を放った。

「【ルミノス・ウィンド】!!」

無数の大光玉の一斉放火にウダイオスは呑み込まれる。

結界が壊れてウダイオスの周囲に煙が舞い上がる。

魔法円(マジックサークル)、増幅魔法、魔杖を使用したその威力は凄まじいの一言。

リューの全精神力(マインド)を使用して放ったその魔法でウダイオスを倒した。

『ウゥゥッ!!』

そう思っていたが、ウダイオスはまだ倒れてはいなかった。

魔法が直撃する瞬間に自身の前に大量の逆杭(パイル)を放出させて魔法の威力を最小限に抑えることが出来た。

だが、両腕は完全に破壊されて全身の至る所に亀裂を走らせた。

自身での攻撃手段はなくなったウダイオスだがまだスパルトイという兵がいる。

疲労困憊なミクロ達を倒すだけならそれだけで十分だった。

「【駆け翔べ】」

だが、ミクロは魔法を唱えた。

「【フルフォース】」

再び詠唱を唱えて再度白緑色の風を纏った。

「全開放」

自身にある全ての精神力(マインド)を消費させてミクロは最後の一撃でこの死闘を終わらせる。

後方へ高く舞い上がる跳躍を経て、半円型の壁の上部最奥に着壁。

「アルグ・フルウィンド」

必殺技を唱えてミクロは閃光のようにウダイオスに突貫する。

閃光となったミクロの一撃はウダイオスの肋骨ごと魔石を貫通する。

次の瞬間、ウダイオスの漆黒の骨は灰へと変わり地面に広がっていく。

「おわった……」

地面に横たわりながら終わりを告げるミクロの言葉を聞いてリュー達のその場で膝をついて荒い呼吸を整える。

たった数分の時間が数時間に感じる程の死闘を繰り広げたミクロ達。

ミクロの一撃が凌がれたら次はもうない程追い詰められたミクロ達だが、それでもウダイオスを倒すことが出来た。

「しばらくは休みたいわね……」

「賛成……」

遠距離で攻撃したティヒア達も緊張が解けて高等回復薬(ハイポーション)を飲み干す。

見事階層主であるウダイオスを討伐することが出来たミクロ達はしばしの休憩の後で地上へ帰還する。

ダンジョンから無事に生還したミクロ達は真っ直ぐ自分達の本拠(ホーム)に帰還。

「お帰り~」

「ただいま、アイカ」

『遠征』から帰還したミクロ達を出迎えたアイカはミクロ達に駆け寄る。

「遠征どうだったの~?」

「目標達成」

新たな階層に足を踏み込むだけでなく階層主であるウダイオスを討伐することが出来た。

「ふふ~、お疲れ様~ミクロ君~今日は一緒に寝ようね~」

「問題ない」

『ある!?』

二人の言葉に女性団員達からの否定の言葉が上げられた。

「ミクロ!?どういうことよ!?アイカと一緒に寝てるの!?」

「たまに」

「ふふふ~ダンジョンに行けない分こういうところで活躍しないとね~」

声を荒げるティヒアの言葉に肯定するミクロと余裕の笑みを浮かべるアイカ。

「アイカがたまに部屋に来て一緒に寝ることがある」

「心配しなくても~服は着てるよ~今はね~」

ふふふと挑発じみた笑みをティヒア達に向ける。

「勝負は時には積極的にならないとね~」

ダンジョンから帰っても女性団員達の戦いはまだ終わってはいなかった。

「お師匠様!皆さん!お帰りなさい!」

「ただいま、セシル」

セシルがミクロ達に駆け寄る。

「お師匠様!私、8階層まで単独(ソロ)で行けるようになりました!!」

「おめでとう」

到達階層が増えたことを師であるミクロに嬉しそうに報告するとミクロはセシルに告げる。

「じゃ、明日から朝の訓練は倍にした方がいいか。10階層に行くまで時間の問題だし、大型のモンスターも出てくるから」

「お師匠様!!これ以上増えたら私の体が持ちません!!」

訓練を増やそうと思案するミクロにセシルは全力で止めに入る。

師弟の二人にリュー達は苦笑を浮かべる。

「あ、アイカ。セシシャは?」

「お師匠様!?」

訓練を増やそうと思案中にミクロはセシシャに今回の『遠征』での魔石やドロップアイテムの換金についてどうするか話し合おうと思いセシシャの居場所をアイカに尋ねる。

「セシシャちゃんは~今は都市外の商会と交渉に行っているから~帰ってくるのは明日かな~?」

「わかった。じゃ、全員荷物を片付けたら休むこと。換金についてはセシシャが帰り次第行う」

『遠征』の荷物を片付けさせるミクロは魔道具(マジックアイテム)の点検を行う為、各自持っている魔道具(マジックアイテム)を『リトス』に収納する。

「セシル。訓練増やすから明日の朝はいつもより早く起きて」

「お師匠様!?」

叫ぶセシルだがミクロは気にも止めずに執務室に向かって今回の『遠征』の報告書を書いてそれを主神であるアグライアに持って行き報告する。

「報告ありがとう。全員無事に帰って来れて何よりだわ」

ミクロの報告を受けて犠牲者がいないことに安堵するアグライアはミクロの【ステイタス】を更新する。

「やっぱりね……」

どこか諦めに溜息を吐くアグライア。

「【ランクアップ】よ。ついに貴方も第一級冒険者の仲間入りね」

ミクロがLv.5に【ランクアップ】を果たした。

 

ミクロ・イヤロス

Lv.5

力:I0

耐久:I0

器用:I0

敏捷:I0

魔力:I0

堅牢:G

神秘:G

精癒:H

適応:I

 

新しく発現した発展アビリティ『適応』を選択したミクロ。

何となくという理由で選んでいいものではないがまたもレアアビリティを発現したミクロにアグライアは微笑を浮かべる。

「おめでとう、ミクロ」

「ありがとう、アグライア」

素直に祝福の言葉を送る。

ミクロは毎日努力を重ねているその結果が今回の【ランクアップ】。

仲間が増えてセシルを弟子にとってミクロの表情も柔らくなってきた。

「ふふ」

自然にミクロの頭に手を置いて撫でてしまう。

「ミクロ。これからはどうするの?」

「明日、セシシャが帰り次第戦利品の換金と武器の整備と道具(アイテム)の補充。それからは皆と話し合って決める」

「そう、貴方も早く休みなさいね」

「わかった」

アグライアの言葉通りにミクロは早めに就寝した。

次の日の正午にセシシャが帰還して魔石やドロップアイテムの換金を頼みミクロはギルドへ自身の【ランクアップ】を報告する。

報告を終わらせたミクロはセシシャ達に合流する前に椿のところに武器の整備を頼もうと椿がいる工房に足を動かす。

「ミクロ」

だが、その前に声をかけられて踵を返す。

「アイズ」

踵を返した先にはアイズが立っていた。

「Lv.5になったんだね。おめでとう」

「ありがとう」

褒められて礼を言うミクロにアイズは懇願する。

「ミクロ。お願いがある」

「何?」

「もう一度、私と戦って欲しい」

「いいよ」

アイズはミクロに再戦を申し込んだ。

 

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