Fallout IF   作:甚九郎

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さてと、これから独自解釈が目立ち始めます。
心を落ち着かせましょう。


<Episode1> Escape

食事を済ませて満たされた私は、とりあえず寝ることにした。

ネイト君のことは気になるが、時間が経ったとはいえ、ついさっきまで核爆弾から逃げていたのだ。

ノーラさん達のこともあったし、もう体力の限界だ。

ちょうど、少々臭うが、御誂え向きなベッドがある。

ここで一眠りさせて貰おう。

 

こうして、テツオは寝床に身を委ねた。

Vaultスーツ越しでも分かる、このマットレスは良いものだ。

柔らかな綿の弾力に感涙を覚える。

しかし彼は微睡みの中で、背中の微かな違和感に気付く。

 

何かがマットレスの下に挟まっている。

まさか、ゴキブリが中に入り込んでいるのか?

仕方ない、引きずり出してやろう。

 

テツオはマットレスの中に手を突っ込み、違和感の正体を引きずり出す。

だが彼の手には生物ではなく、無機物、まだ動きそうな小さな機械が握られていた。

 

腕時計の要領で腕に装着する携帯型個人用ターミナル。

質量保存の法則に喧嘩を売る実在する四次元ポケット。

身体情報をスキャンし、個人のパラメータを数値化、そして個人の持つ能力を引き出す人類の秘密兵器。

Pip-Boyだ。

 

何故こんなところに?

不思議に思った彼は、このベッドを少し調べてみた。

マットレスを引っぺがされた寝台に、全ての答えがあった。

小さな白骨死体、片手に拳銃を、もう片方には熊の人形が握られている。

この機械の持ち主は、ベッドに挟まったまま亡くなったようだ。

 

「ああ、可哀想に……南無阿弥陀無。」

だが、このPip-Boyさえあれば、あらゆる困難に立ち向かう術として活躍してくれるに違いない。

最早、この子の為に置いていくという選択肢はない。

 

「君のこれは貰っていくよ、安らかに眠ってくれ。」

軍用の物は、神経に直接つながるため、痺れるような痛みを伴うと聞いたことがある。

だがこれは、そういった接続機器らしきものは付いていない。

どうやら、民間用に作られたものらしい。

テツオは、左手にPip-Boyを取り付けた。

すると、沈黙していたディスプレイに文字が浮かび上がる。

 

 

<初期化中……完了>

<身体データスキャン中……完了>

<ステータスをS.P.E.C.I.A.Lに反映>

 

Level : 15

Name : Tetuo Tanaka

 

Strength : 4

Perception : 6

Endurance : 5

Charisma : 5

Intelligence : 8

Agility : 3

Luck : 10

 

<取得可能なPerk(2)があります>

<Perkメニューから取得してください>

 

 

成る程、自分はとても運の良い人間らしい。

生き残れたうえに、このPip-Boyを見つけ出せたのも頷ける。

Perkとは、Pip-Boyの機能を最大限に活かし、個人の持つ能力を開花させる機能のことだ。

人のあらゆる体験を数値化したもの、いわゆる経験値に基づき、持ち主に新しい力を与えてくれる。

その機会を今、得ているのだ。

彼は目に付いたPerkを取ってみることにした。

 

 

<Luck10>

・Goddess of favor(Rank.1)

・貴方は女神様の寵愛を受けている!巡りの良い出会いに恵まれる!

 

<Intelligence8>

・Secret service(Rank.1)

・貴方は組織の庇護対象になった。Vats攻撃時、スナイパーが召喚される。

 

 

Pip-Boyが僅かに振るえ、持ち主に新たな力を授ける!

「思った以上に、あっけないものだな。」

しかし、彼は実感する。

温かなオーラを先ほどから感じるのだ。

 

そして、彼はベッドに横たわる仏さまに向き直る。

「この拳銃も貰っていこう。大切に使わせてもらう。」

だが、肝心の弾丸が何処にも見当たらない。

こんな丸腰の状態で、何が起きているか分からない外に出るわけには行かない。

何か武器になるものはないか。

 

 

 

 

そして、監督官の部屋で、彼は大きな銃器を発見する。

「これは、使えそうだが……」

机の上のターミナルを見て分かったが、これが監督官の「楽しい玩具」なのだろう。

あらゆる有機物を一瞬にして氷結させる強力な兵器。

クライオレーターという名前らしい。

 

 

ーー欲しい

 

 

不思議な魅力がある。

あの銃口を見てみろ、脚線美が素晴らしい。

全体の図太く見えてこじんまりとした、若大将の様な出で立ちだ。

銃身から溢れ出る冷気の湯気が、溢れ出るエネルギーを押さえつけようと奮闘する超次元的な存在の様にも、今すぐにでも獲物に噛みつきたいと吠える狼の様にも見える。

ああ、今すぐにでも手にとってやりたいのだが……

 

それを分厚いガラスケースが拒むのだ。

 

どうにかしようにも、鍵なんて見当たらない。

ピッキングをしようにも、日常生活でする機会があるはずもなく、そんな技術は私に無い。

とりあえず、使えるものはないかPip-Boyのインベントリを調べて見る。

すると、「サーシャへ」というホロテープを見つける。

ホロテープ、使い勝手の良い記録メモリーだ。

どうやら、音声データが中に入っているらしい。

 

 

<再生中>

(男の声)「サーシャ、このテープを聴いているということは、すでに僕は死んでいることだろう。Vaultの統率は絶望的だ。人々は食料を求め、争いあっている。それどころか、親しかった隣人を食べる者まで現れ始めた。サーシャ、いいかい……今から父さんは、君に酷いことを言う。どんなことをしても生き残ってくれ。Vaultから脱出するんだ。君の大きさなら、食堂のダクトから監督官室に行くことができるはずだ。父さんのターミナルを使えば、外に出られるようになる。だから、人の気配がなくなるまで、ベッドの下に隠れていてくれ。大丈夫、ブギーマンはいないよ。子グマのティミーも一緒だ。愛してる、サーシャ。」

<再生終了>

 

 

話の内容からすると、これはこのVaultの監督官から娘に宛てたメッセージのようだ。

おそらく、このPip-Boyの持ち主だった子が、サーシャだったのだろう。

しかし、彼女は言いつけを守ったまま、マットレスの下で息を引き取ったらしい。

 

Pip-Boyのインベントリに、大量のゴミが入っていた。

レトルトのステーキの箱、ファンシーラッドケーキの箱……

中にはまだ食べられる物がいくつか入っていたが、殆どが食料品の空箱。

彼女はずっと、ずっと、時を待っていたのだ。

 

 

ーーダクトか

 

 

辺りを見渡すと、ロッカーの足元に、少し大きめの通風口があった。

蓋は、簡単に外しことができた。

中を覗き込むと、ダクトの中に小さな封筒が置いてあった。

 

「『よく頑張ったね、これは父さんからの贈り物だよ。あの大きな銃をPip-Boyにお入れ。きっと役に立つ日が来るだろう』……私は、本当にこれを持って行っていいのだろうか。彼らが残した物を、娘への愛を、私は冒涜しているのではないだろうか。」

 

封筒の中身は、鍵だった。

ああ、きっと、これは最低な行いだ。

先ほどまでの「欲しい!」という衝動は、いつの間にか消えていた。

だが、このまま彼の無念をないがしろには自分はできない。

 

「貴方達の死は、無駄にはしない。」

そうだ、私は鍵を回す手に力を込める。

がちゃりと、歯車の回る音が聞こえ、蓋が開く。

ずっしりと、その銃身の重みを腕に感じ、Pip-Boyのインベントリにクライオレーターを収めた。

 

「そういや、一睡も出来なかったなあ」

 

 

 

 

テツオは今、大きなエレベーターの中にいる。

ゆっくりと、それは地上に向かっており、頭上のシャッターが開いた。

 

そして、目の前の光景に涙を流す。

サンクチュアリ・ヒルズ、彼が住んでいた街。

それはもう、昔の面影を残してはいなかった。

緑が失われた、黄色い地獄。

 

だが、遠方からでも分かった。

 

「人が住んでいる……のか?」

 

彼は堪らず、坂を滑り降りた。

 




<Fallout Guide>
[Perk]
Pip-Boyが与える特殊な能力、または技能のことです。
本作では、個人の潜在能力を最大限に引き出したものと解釈されているため、テツオの持つ取得可能Perkには、原作に無かったものがあり、またPerkの取得可能条件がネイトさんと違ったりしています。
また、ネイトさんが当たり前にできることができなかったりします。

[Perk紹介]
<Strength1>
・Dream catcher(Rank.1)
・貴方はダーツの達人だ!投擲武器の命中率が上がる。

<Perception1>
・Analyzer(Rank.1)
・敵の気配を感じる?敵対している生物の方向がマップに表示されるようになる。
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