海岸の町   作:アイバユウ

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ネルフ編
第11話


 

私は徐々に近づいてくる彼女に何もしないままずっと立っていた。まるで銅像のように。

近づいてくる彼女の姿はあのときの彼女とダブったまるで人形のように、氷のような女性。

私にはそんなように見えた。私はこのまま彼女に殺されるのかと思い始めたとき、銃をしまったのだ。

 

「家で話を、いいわよね」

 

小さな声だが強い口調で彼女は言うと私はどうぞと彼女を自宅に招きいれた

私と彼女は共に家に入った。私が先に入り彼女がその後ろから着いてくる形でだ。扉を彼女が閉めるとカギをロックをした。

中は静まり返り私と彼女の呼吸をする音だけが響いていた。まるで遊園地にある幽霊屋敷のようだ。

私はリビングの電気をつけるとお互いが向き合う形でイスに座った。

 

「私は、彼女を守るために存在するの。どんな連中からも。でも、唯一つだけ許せないのがあなたがあれを売ったこと」

 

彼女は私が売った銃をイスとイスの間にある机の上に置いた。

 

「私は彼女にこんなものをもってほしくはなかった。ただ、何も苦痛を感じずに普通にこれからも成長してほしかった」

 

それから1分だか5分だかどれほど時間が過ぎたのは分からなかったが沈黙が舞い降りた。私は意を決して彼女に聞いた

 

「彼女は・・・・何を持っているんだい?」

 

それは真実の本当の入口にノックすることであった

 

 

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彼がこの旅館を後にした後、私は自分の仕事を他の仲居に任せるとカオリをお父さんと一緒に部屋に連れて行った

カオリは顔色は真っ青で、少し震えていた。とても歩けるような状態ではなかったので今はお父さんの背中にいる

帰ってくる前に連絡があった。近くに住んでいるルミナさんから連絡があった。彼女の真実がネルフに暴かれるという電話が

電話を受けた私にとって彼女がなぜそれを知っているのかというよりもネルフに事がばれる事のほうが重大であった。

かつてのことは私もある程度知っている。もし真相が漏れればカオリがどうなるかは想像もつかない

ネルフ、監察局、そして国連、その騒動の中心人物になり泥沼に巻き込まれる。その結果がどうなるか。

あの子が封印し続けた真実がさらされることだけはあってはならない。

 

 

以前、私はあの子に聞いたことがあった。真実が明らかになってほしいのかと・・・・

それを望む事は今の世界の崩壊を招くこと。それに・・・私には何が悪くて何が正しいのかは分からない

ネルフもいけないことをした。良い事もした。表裏があって当然なのだと

表裏があるからこそ今の世界があるのだと。そう言ったカオリの目は悲しそうな目だった。

それ以後、私たちがあの子の真実に触れる事はなくなった

 

 

その真実の一端が彼らに知られた。

私はカオリにこれ以上の負担が掛からない事を願った

ただ、心のどこかでは叶わぬ願いだと知りながら

 

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渚カオルが撃たれ、病院に搬送されたから2日が経過していた。

搬送先の病院は一度は緊急だったこともあり地上の病院での処置となったが、

チルドレンという事もあり容態が安定してからジオフロント内にあるネルフ直系の病院に移された

彼が撃たれたとの連絡の直後、私の部屋にもう一つの連絡が来た。

私はその内容に愕然とし、またすべての真実のもみ消しに謀るための行動表を作らなければならなくなった

この事件をネルフに恨みを持つ人物。またはネルフの存在をやましく思う人物の犯行に、

そのためには被害者であり、犯人を目撃した渚カオルの証言に手を入れておく必要があった。

ネルフ監察局の特権である捜査権優先事項に関する規定があったことが幸いした。

ネルフ本体に関わる事件は監察局に捜査権があるのだ。この権限によって渚カオルの事情聴取はこちらに優先権が存在する

 

 

 

彼が病院の特別病棟に着くと病棟の入口には私の部下である女性が立ち出入り規制を行っていた。

入口にはネルフ作戦部長の葛城ミサトと赤木リツコが居り言い争っていた。

 

「なんでネルフ関係者が入れないのよ!」

 

「局からも連絡が行っていますのでご確認をされてはどうですか」

 

私は部下である彼女の発言を聞きため息をつきたくなった。彼女はティア・フェイリア。

今、第1級監視対象である水川カオリの監視を行っているルミナの友人でもあり、ネルフの真実を聞いた一人でもある。

その所為なのかネルフに対して嫌味を言う事は日常茶飯事である。

おかげでいろいろと苦労するのが私なのだがそんな事知りませんと言ってくる始末だ

 

「ティア」

 

私が彼女の名を呼ぶと敬礼をして返すが遅いですよといった表情をしていた

 

「お見苦しいところをお見せして申し訳ありません。すぐにご退出願いますので、奥でどうぞごゆっくりとしてきてください」

 

「ああ、そうさせてもらうよ」

 

「正しき捜査がなされる事をネルフとして要求しますから!」

 

葛城ミサトが病棟内に入ろうとする言うが私はその言葉に苦笑した

正しき捜査などされるはずがないのだ。ネルフにとってもこちらにとっても、

 

そして・・・・・・・・

 

彼女に害が及ばないようにシナリオを作り、それを実行させる事が私の使命なのだから

 

 

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病室に着いた私は扉にノックをした。中からは返事はなかったが失礼するよと言い室内に入った。

部屋の中は白で統一され、一般の病室で言う大部屋とほぼ同じ広さだ。

もちろん部屋には窓があり、そこからは私たちの本部である監察局が良く見えた。

病室内にある一つのベットには少年が居り、起き上がり外を見ていた。

 

「監察局の局長が来るほどの事件でしょうか」

 

少年は外を見ながら私にそう言った。

この少年の言うとおり今までなら監察局内にある捜査課が担当するはずで私がここに来る事はなかった

それは今まで発生した数々の騒動事件にも同じ事が言えた。これまでにもネルフチルドレンが狙われる事件は多々あった。

がこれらに関して私自身が出る事はなく捜査課によって処理されてきた

 

「チルドレンが撃たれたにしては報道管制、情報操作がいつもより厳しい。まるで事件そのものを隠匿しているかのように」

 

「さらに僕が意識を取り戻してから誰にも会わせようともしない。僕の口から犯人の名が漏れるのを阻止するかのように」

 

「監察局は犯人が誰なのかを知っているが、なにかの事情でそれを隠匿する事にした。」

 

「違いますか。国連直属ネルフ監察局、局長の蒼崎さん」

 

私にはこれからのことが恐ろしく感じた。

世界がまた『泣く』のではないかと、そう思ってしまったから

 

 

 

 

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