海岸の町   作:アイバユウ

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第120話

お昼の時間を迎えて私とユウさんは食堂でランチを食べていた

のんびりとした時間だ。今日はお客さんが少ないのか、厨房も比較的余裕があった

私は鮭定食だ。ユウさんも同じメニューを食べているが量が全然違っていた。

ユウさんの方が圧倒的に多かった。私は明らかに小食用のメニューだ

いつもの昼食だ。食事もある程度終わりに近づいた時にユウさんがこんな一言を言ってきた

 

「決めるのは君だよ。誰にも強制される言われないからね」

 

「ユウさん」

 

「決断は自分が選んだベスト。これは昔馴染みから教えられた言葉だ」

 

「それって」

 

「カオリちゃん。いつまでも箱庭でいるのも良いけど、小鳥のように巣から飛び立つ勇気も必要だよ。それを忘れないように」

 

ユウさんはそう言うと食器を返して、食堂を出ていった。私も自分の分の食器を返すと、自室に戻った

そこで考えた。冷蔵庫から缶コーヒーを取り出して、それを持ってロッキングチェアに腰を下ろした

コーヒーを飲みながらいろいろと考える事にしたのだ。

 

「決断は自分が選んだベスト、か」

 

その言葉は私の中でまるでぐるぐる回るかのように頭の中を回り巡っていた。

確かに今がチャンスなのかもしれない。重要な。これを逃したらもう2度と、チャンスは巡ってこないのかもしれない

 

「どうしようかしら」

 

さらに私はある本に書かれていた言葉も頭の中をめぐっていた。

何が守るに値するか、それは自分の意思で決める物だという言葉だ

確かに何が守るに値するかは自分で決める物だ。そうでなければ、意味がない事はよく理解していた

そしてユウさんの言ったもう1つの言葉。小鳥のように巣から飛び立つ勇気も必要。確かにそれも必要だ

どちらも今の私には欠けているものなのかもしれない。

 

 

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相葉ユウの部屋

 

「確かに君の助言通り。伝えておいたよ。でも良いのかい?君は箱庭の中にいてほしいと思っていたんじゃないのかな?」

 

『状況に変化が生まれれば態度も変える。当然の理屈だと思うけど』

 

僕はルミナさんと携帯電話で話をしていた。さっきの言葉は彼女に伝えるように頼まれたのだ。

あえて僕の口からという形で。彼女からの口からだと余計な詮索を入れる可能性があると思ったからだろう。

だから僕を利用した。その賭けに僕はあえて乗った。確かにこれが最後のチャンスかもしれない

本当に意味で。そしてこれを利用したら彼女がネルフという獣に怯え続ける事を防ぐことができるかもしれない。

そう考えたのだ。

 

『彼女が自由に巣から飛び立つ最後のチャンスよ。きっとね』

 

「僕も同意見だよ。これが本当に最後のチャンスだよ」

 

『珍しいわね。私とあなたの意見が一致するのは』

 

「本当だよ。僕も驚いているよ。それで君はどうするつもりだい?」

 

『すべては事の流れるままに。そして彼女が最も最良と思える判断を下せるように情報を提供する。それだけよ』

 

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