海岸の町   作:アイバユウ

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第130話

海岸の町 旅館の食堂

 

私はいつものように昼食を食べるために食堂にきていた。ユウさんも来ていて、一緒に食べる事にしたのだが

やっぱり食べる量はいつも彼の方が多い。私はどうしても少食だ。仕方がない事だが

私は私専用の量に調整された昼食をもらうと席に座って食べ始めた

 

「そういえばルミナさんがこっちに戻ってくるらしいよ。いろいろと忙しくなりそうだからね」

 

「それってネルフがらみですか?」

 

そこまでは僕は聞いていないけどと彼は言った

でもきっとネルフがらみであることは察しがついていた

 

「大丈夫だよ。カオリちゃんのことは僕が必ず守ってみせるから」

 

「その代わり生きてくださいね。死んでも守るってのもなしですからね」

 

分かっていると。でも怖かった。ようやく安心できる仲間ができたのにまた失うのではないかという恐怖に

私はまた1人になるのではないかと恐れているのだ。あの赤い世界で1人きりなんてとても耐えられない。

もう2度とあの世界には戻りたくない。そしてこの温かい『家族』から引き離されたくないのだ。私にとってここが我が家なのだから

私は昼食は食べ終えると、中庭に行きいつものようにベンチに座った。すると今日もネコさん達は私に近づいてきた

彼らは本能的なのかどうかはわからないが。私が決して手を出さない事を分かっているのか膝の上で丸くなるものまでいた

私よりも順応している。そんなことを思いながら空を見上げた。雲1つない晴天。研修に来るのは明日から

少し気が重くなりそうになりながらも、これも仕方がないと思っていた。

私が私であり続ける以上あの街とは切っては切れない関係にあるのだから

 

「カオリちゃん。君のお母さんからネコのエサの缶詰と皿を預かってきたけどどうするかな?」

 

ユウさんそう言うと私にそれを差し出してきた。私はそれを受け取ると缶詰の封を開けて皿に盛り付けると地面に置いた

ネコさん達はみんなそれを食べに行ったが私の膝の上で丸くなっている1頭は動こうとすることはなく。

日向ぼっこを満喫していた。のんびりとした時間だ。まるでどこにでもある光景だが私にとっては貴重な時間だ

 

「カオリちゃんはネコが好きだね」

 

「彼らが私のことを好きなんですよ。きっと」

 

「カオリちゃんは愛されているからね。この町のみんなにね」

 

「そうだと良いんですけどね」

 

私はネコさん達がエサを食べ終えるのを見届けた。彼らは食べ終えると自分たちの家に帰っていった

私も彼らが帰るのを見届けると自分の部屋に戻ろうと思った。その時携帯電話に着信が入ってきた

相手はルミナさんの番号だった

 

「ルミナさん。何かトラブルですか?」

 

『あなたの旅館に泊まる予定の人物の中にネルフ関係者が混じっている事を知らせておこうとね』

 

「もうユウさんから話は聞きました」

 

『さすがは腐っても元はゼーレ関係者ね。どこで情報を掴んでいるんだか。とにかく警戒をしておいて』

 

「わかっています。でもできれば接触しないように私の方でもしばらくは部屋で大人しくしておきます」

 

そうする事をお勧めするわと言うと彼女は通話を切った。心配してくれている事はよくわかった

あとは私の問題だ

 

 

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