第三新東京市 ジオフロント ネルフ監察局 局長執務室
「局長、今回の件でネルフに動きはありませんが。世界各国の気象観測センターから若干の問題が生じたと」
「彼女の危機は世界の危機ってわけだね。それを見せつけてくれたよ。もう追加予算の話が国連で話し合われている」
私は報告を受けていた。相葉ユウが撃たれた件について。私にとっても今回の事はあまりにも想定外のことだった
まさかこんな直接的に攻撃を仕掛けてくる人間がいるとは。査察部の責任者であるシエラ・ドーレスは査察について提案した
「監察局としてネルフの緊急査察をするべきでは?」
「ネルフが実行したという証拠もないのに動けば彼らも行動に移しかねない」
「ゼーレですか?」
「彼女の新しい敵だよ。そして、真実を知ればやがて恐ろしい結果になる」
そう、彼女が死ねば世界は壊れてしまう。傷ついてしまっても同様だ。
その事を身をもって知っているヨーロッパ諸国は彼女の周囲に過敏になり過ぎている。
些細な出来事ですら大事にするのだ。
「来月には定例査察があるからそれで厳しく査察して様子を見よう。それとゼーレについても情報を集めてもらえるかな?」
シエラはすぐにわかりましたと言う。そして応接セットに座っている少年を見てこういった。なぜ彼がここにいるのかと
「ネルフの内部事情を聞けるのは彼だけだよ。今回の場合でもネルフの動きを知っておくためにもね」
「それでどんな情報を?」
私は彼に話をするように言った
「ネルフはあの町への手出しを禁じていますが。あの3人は別です。碇ユイさん、碇レイ。そして惣流アスカさん」
「彼女にとって最大の敵ね。彼らが独自に動いたと?」
「ドーレス部長。僕はあくまでも可能性としていっただけですので。ただ調べてみる価値はあると思いますよ」
「あなたの意見に乗るのは癪だけど、調べてみましょう」
彼女はそう言うと失礼しますと言って執務室を出ていった
「ゼーレについて情報は?」
「ネルフもゼーレの可能性を疑って保安諜報部が捜査を開始しています。僕にも接触を。協力する気はないかと」
「それで?」
「戻ってくれば不問にすると言っていました。蒼崎局長。僕としては鈴として役割を果たそうと思っています」
「かつての加持リョウジのようにかな?」
彼がゼーレの鈴であったことは裏社会にいれば知られている事だ。
今回はこんな子供にそんな役をおわせることになるのは私でも気が引けた
「なぜそこまでするのか教えてもらえるかな?」
「これが僕の罪です。だから償いをする必要があるんです。ゼーレからの情報はいつもの経由で回しますので」
彼は自らの命を犠牲にしてまで彼らから情報を引き出そうというのだ
それがどれほど危険な事かは十分にわかっているはずだ。あそこにいたなら特にだ
「これで許されるとは思ってはいません。僕は彼女に最大の絶望を与えたのですから」