海岸の町   作:アイバユウ

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第158話

 

私が目を覚ますとすでに基地に到着していた

私は少し眠たい表情を浮かべていたようで、ユウさんにぐっすり寝ていたねと言われた

思わず恥ずかしくて顔を赤くしてしまった

 

「恥ずかしいです」

 

「カオリちゃんのそういう一面も僕は好きだけどね」

 

するとルミナさんに私達がまるで夫婦のような会話をしているわよと言われてしまった

 

「ルミナさん!恥ずかしいですから!」

 

「良いじゃない。結構お似合いだと思うけど。2人が結婚式をするならぜひ招待してね」

 

私はいじられることに抗議をするかのように知りません!と言って違う方向を向いたが

内心では恥ずかしくて仕方がなかった

 

「カオリちゃん。きっと緊張をほぐしてくれているんだよ。それに、僕は疫病神だよ」

 

「それなら私も同じです」

 

ユウさんが疫病神なら私はもっとひどい神様だ。残酷で、悲劇ばかりを生み出す

私自身は望んでいないのに。でもそれは仕方がない。そういう運命を背負っているのだから

軍用輸送機の横に車を止めると私はルミナさんとユウさんに守られる形で機内に入っていった

 

「軍用機で帰るんですね」

 

「これも痕跡を残さないためよ。ネルフにこちらの動きを悟らせることを避ける目的もあるし」

 

ルミナさんの言うとおりだ。表向きは今も私はあの町にいる事になっている

もし国外に出たことが発覚すれば彼らも何らかの行動を起こす事は分かっている

あの街は私を守ってくれるが町を一歩でも出れば敵があちこちにいるのだ

輸送機は私達の到着を待っていたかのように座席に座ると機体が動きだし滑走路に向かっていった

 

「短時間の海外旅行でしたね」

 

「そうだね」

 

私にとってはあの時より前の時でも国外に出た事は無かった。

でもそれでも良い。私はあの町で暮らしていくのだから

静かに平穏に過ごせれば何物にも代える事はできないものだ

ただ、いつかは少しは巣立ちたいと思っている。

少しくらいなら出ていきたいと思っているが。

あの町から出るとまた誰かが襲われるのではないかと不安になる

私はユウさんにお茶のペットボトルともらうと私はゆっくりと飲み始めた

しばらくすると私はまた睡魔に襲われたので私は気を緩めてすぐに眠りにつくことにした

 

「ユウさん。日本についたら起こしてくださいね」

 

「わかっているよ。今回はいろいろと会っていろいろと疲れていると思うからゆっくりと休むと良いよ」

 

私はすぐに眠ってしまった。よほど疲れていたのだろうか。

 

 

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僕はルミナさんと話を始めた。カオリちゃんには悪いとは思ったけど睡眠導入剤をお茶に少し混ぜておいた

 

「それで監察局はどうするのかな?」

 

本音を知っておきたかった。今のうちに

 

「私はあの町で彼女を守る事を最優先課題としているだけよ」

 

「ルミナさんのことはよくわかっているつもりだけど、監察局の蒼崎局長さんの意向はどうなのかな?」

 

もしネルフを糾弾をした時にカオリちゃんに何かあったら大変な事になる事は分かっていた

だから知りたかった。相手の出方を

 

「局長はある程度は真実を知っているから無茶はしないと思うわ。それに世界の安定を壊したいと思っていないはず」

 

「ならキール・ローレンツには口止めが必要だね」

 

あの男はいろいろと知り過ぎている。もし裁判になったらすべてを話す可能性がある

そうなればようやく安定しつつある世界が壊れる事になる

 

「日本に戻ったら協議するわ。局長とね」

 


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