海岸の町   作:アイバユウ

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第260話

僕はとりあえずカオリちゃんに何か飲み物を買ってくるねというと個室を退室した。

外にはルミナさんが立っていた

 

「カオリちゃんと少し話してみないのかな?」

 

「あなたたちの会話を聞いていただけよ。分かっていると思うけどあなたも気を付ける事ね」

 

僕も狙われていることはわかっている。

カオリちゃんが『碇シンジ』であったことを知っている数少ない秘密を背負っている。

 

「カオリはあなたのことを本当に大切にしている。私から見たら敵対する立場だけど」

 

ルミナさんはゼーレを恨んでいる。ゼーレだけでなくネルフも恨んでいる

だから僕のような存在を認めるはずがない。

それでもカオリちゃんの存在があるからこそ、今も生きていることができている

恩を感じているのは当たり前の話である。カオリちゃんがいなければ世界も、そして自分も生きているはずがない

 

「言っておくけど、カオリに傷一つでもつけたらどうなるかはわかっているわよね?」

 

ルミナさんの言葉でカオリちゃんのことを本気で心配していることは明白。

おまけにカオリちゃんが僕にとってトラブルを招くような存在になった瞬間には殺しに来ることは間違いない

 

「カオリちゃんを守るためならどんなことをしてでも守るから心配しないで」

 

「あなただからできることがあるから、カオリのことはある程度は任せるけど。気を付ける事ね」

 

ルミナさんはそう言うと病院の正面玄関に向かった

おそらく監察局に戻り情報収集をするつもりであることは予測できる

ネルフとゼーレの情報を集めるためにはルミナさんの情報がまさに必要である

ルミナさんの協力がなければカオリちゃんの命を守ることはできない

 

「本当に大変だね」

 

僕はルミナさんの後姿を見ながらそうつぶやいた

 

『ピーピーピー』

 

携帯電話に着信が入ってきた。相手はある知り合いからだ。

電話をしてきた相手はこちらの『過去』を知っている

 

「君からコールとは珍しいね」

 

『あなたは射程に入っているそうよ。気を付ける事ね』

 

そう言うと通話は終了した。

射程に入っているということはこちらに何かを仕掛けてくるために動いている組織がいる

そんな組織は1つしかない。『ゼーレ』関係の組織だろう。あるいは分派かもしれない

 

「トラブルが増えるみたいだね」

 

思わずつぶやいてしまったが、これは現実にあり得る話だ

警戒することは当然の行動である。狙いはわかっている

カオリちゃんを利用してゼーレの復権。そしてカオリちゃんを言いなりにするためにこちらへ攻撃だ

大切な友人と言っても良いのかどうかはわからないが、抵抗すれば僕の命を絶つことで要求してくる

それは間違いない現実になる。それだけははっきりとしている

 

 

 

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